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妖怪御殿のとある一日 引っ越し後4(帝・ぬぬside)
※所々セクハラシーンが含まれます
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翌日。

布団の上に一つの染みが描かれていて。
とりあえず掛布団を撤去したぬぬは、濡れた布団の上で座って考えていた。
(誉を起こすべきだろうか?)
「んっ……」
(あ、起きた)
ちょうど、この濡れ布団を作り出した犯人が寝返りをうって眠そうな顔をしかめる。
「うぅっ……ベタベタで気持ち悪い……」
「……大惨事。昨日あんなに飲むから」
「お前がやった事にすればよかろうが。早う着替えさせろ……」
帝は眠気と不快さの間を彷徨っているようで、悪びれる様子も無く、眠りかけながらいつも通り着替えを要求してきて。
ぬぬは帝の足の間に移動して、着物を肌蹴るように足を開きながら話しかける。
「それはいいけど誉……」
「っ、あっ!?」
「反省してくれないと困る。やっぱり飲み過ぎは良くない。
こんなにグショグショにして……誉だって、こんな事になって、気持ち悪くて嫌だろう?」
濡れた褌の上から股間を指で軽くつつくと、帝は目が覚めたような大声を上げた。
「やっ、やめろつつくな!変態!いいから、早う着替えさせろ!」
「“もうヤケ酒はしない”って、約束してくれないと安心できない。
もっと別の、安心して眠れる方法を二人で探そう?」
「うーるーさいっ!余の言う事が聞けんのか!生意気なペットにはお仕置きが……」
「生意気に聞こえるかもしれないけど、俺は誉の体を心配してる。
“もうヤケ酒はしない”って、約束してくれないと安心できない」
帝の声に被せるように真剣なトーンでぬぬが言う。
けれど帝はそっぽを向いた。
「役立たず!もういい自分で……!!」
言いかけると、ぬぬが帝の褌を脱がせていた。
帝は驚いたけれど、やっと着替えさせてくれるのかと安堵した……
のはおくびにも出さず、いつも通り不機嫌そうに言う。
「全く、最初からそうすればよいものを!」
ぬぬはそれに対しては何も言わず、寝間着の着物も脱がせる。
「体を起こして。そうこっち」
帝もいつもの事なので言われるがまま、されるがままにしていたら……
「……?……!?」
いつの間にか全裸でぬぬの膝の上に乗っていて、慌てて声をあげた。
「おい何してる!?」
「誉……言ってなかったけど、俺怒ってる」
バシィッ!!
「うぁっ!?」
酷く冷静に言われ、いきなり裸のお尻を打たれる帝。
当然、足をバタつかせて言い返した。
「や、やめんか!!ペットのくせして……
そっ、そんな分かりづらい顔で怒られても知らぬわ!!」
「ごめんなさい……表情の無さは自分でもどうにもならない。
でも、誉が体に悪い無茶をするから、怒ってる。
それを踏まえて聞いて欲しい。“もうヤケ酒はしない”って、約束してくれ」
ビシッ!バシッ!ビシィッ!!
「うわぁぁっ!」
また、何度かお尻を打たれた。
けれども帝は負けじと怒鳴り散らす。
「っ、図に乗るなよペットがぁぁっ……脅しのつもりか!?
余にモノを頼むならそれ相応の頼み方があるだろうが!!」
「……誉様、お願いですから“もうヤケ酒はしない”って、約束して下さい」
ここで、腰低くお願いされた帝は、威厳を取り戻したがごとくいつものペースに戻る……
「しっ、仕方が、ないな!そこまで言うならヤケ酒はしないでおいてやろう!
けれど……こんな風に余を辱めてタダで済むと思うなよ!?
今すぐ離せ!主に乱暴するようなペットはきついお仕置きをして躾け直してやる!!」
「いや……これも乱暴じゃなくてお仕置き」
ビシッ!バシィッ!ビシッ!!
「わぁぁっ!もう叩くな!話を聞いてなかったのかバカ!離せぇッ!」
はずが、また膝の上で暴れることになった。
ぬぬは淡々と帝のお尻を叩いて、赤く染め上げながら、あくまで冷静な声色で言う。
「誉の方こそ、お仕置きを終わって欲しいならそれ相応の手順を踏んでもらわないと。
きちんと、“ごめんなさい”って、謝って」
「あっ、頭でも打ったか!?」
「怒ってるだけ」
ビシッ!バシッ!ビシィッ!!
「んぁあっ!痛い!離せぇ!!何で余がお前に謝らねばならんのだぁぁっ!!」
「無茶をしたから。あと失禁」
「うううううるさいっ!!漏らしたのはお前なんだからなッ!
お前が余に謝罪を求めるなんて100万年早いわ!命令だ!やめろ!離せ!」
「誉様、どうかきちんと、“ごめんなさい”って、謝って下さい」
「黙れぇぇぇッ!!バカにしおってぇぇッ!!」
「別にバカにしてない」
バシッ!バシッ!ビシィッ!!
「ひゃぁぁっ!あぁんっ!!」
しばらく、涙目になっている帝の方が余裕の無い会話が続いて、けれど、
ひたすら謝らない帝のお尻はますます赤くなって、ぬぬがそれを撫でながら言う。
「早く謝らないとお尻が可哀想」
「だったらお前が叩くのを止めればいいだろうがバカ!!」
「お仕置きだからそうもいかない。それに……」
バシィッ!!
「んぁああああ!!」
「今日の誉、とっても悪い子……いつもより口が悪……いや、そこはいつも通り。
それはそれとして、やっぱり、泣きながら“ごめんなさい”って謝る練習をした方がいいかも」
「ぅっ!?ごっ、ごめんなさい!!ほら!これでいいだろう!?
は、離せ!!離してくれ!練習なんて要らない!!」
ここで初めて帝は慌てて投げつけるように謝るけれど、
ぬぬはお尻を叩くのを止めなかった。
ビシッ!バシンッ!ビシィッ!!
「あっ!嫌だっ!ごめんなさい!ごめんなさいぃっ!!」
ビシッ!バシィッ!バシッ!!
「痛いッ!こら、ぬぬ!!あうっ!違っ、ごめんなさいっ!ごめんなさいって、言ってるのに!!」
何度“ごめんなさい”を繰り返しても無言でお尻を叩かれ続けて、
帝はいっそう瞳を潤ませて、声もだんだん不安げになってくる。
「き、聞こえないのか!?うっ、ぇえっ……ごめんなさぁい!ぬぬ!ごめんなさいぃ!!ぅあっ……!」
バシッ!バシッ!ビシッ!!
それでも、返事ももらえず叩かれて。
帝は耐えきれずに泣き出していた。
「うっ、うわぁああああん!!ごめんなさい!ぬぬぅ!ごめんなさいもうやめてぇぇっ!!」
「ふふふ……
ここで、やっと聞こえたのが鳥肌の立つような笑い声で、帝は泣きながら怒鳴った。
「余が真面目に反省してるのに気持ち悪い笑い声を出すなぁぁっ!!うわぁああん!ごめんなさぁぁい!!」
「!……ごめんなさい。真面目にする。誉、反省した?もうしない?」
ビシィッ!バシィッ!バシッ!!
「んっ、うぅっ!反省したぁぁっ!!もうしないから!ごめんなさぁぁい!!わぁああん!!」
「誉ぇ…… っ!!こ、今度からは、ワガママ言わずに最初から“ごめんなさい”言って。分かった?」
何度か理性を失いそうになっているぬぬが一生懸命理性を呼び戻しながらお尻を叩いて、
帝もだいぶ素直になって。
「分かったぁぁ!ごめんなさい!もう嫌!痛い!許してぇッ!ぬぬごめんなさぁぁい!いい子になったぁぁっ!」
「……ふふっ、“ごめんなさい”以外も言えた。誉は優秀
必死の本気で謝る帝を、大満足で許したぬぬ。
しかし、それから新しい褌を締めてあげて、普段着の着物に着替えさせていると、
帝は泣きながら癇癪を起してぬぬを蹴りまくっていた。
「うわぁあああん!!この変たぁぁい!!バカ!バカぁぁっ!
後でお仕置きしてやるからなぁぁぁっ!!」
「ダメ」
「!?」
「誉は悪い子だったから、今日はワガママには付き合わない」
「ふっ……う、偉そうにするなぁぁぁっ!!」
「蹴らないで。やめて」
ぬぬは珍しく、帝のいう事を毅然と受け流しつつ、心の中では
(誉は元気が一番……)
と、元気そうな帝にホッとしていた。


そんなこんなで、朝食を食べ終えた後。
ぬぬが何気なく食事する部屋を通りかかると、桜太郎に声をかけられた。
「あぁ、ぬぬ。これ、“気分が落ち着くお茶”作ってみたんですけど、
帝さんに、飲んでもらって感想を聞いておいてもらえますか?
うちには怖い夢を見る子がたくさんいるから……少しでも助けになればと」
「甘くておいしいですよ!!煤鬼もきっと喜びます!」
傍では恋心姫が嬉しそうにその“気分が落ち着くお茶”を飲んでいて……
酒の代わりになりそうな真心ドリンクの登場に、ぬぬは目をキラキラさせて桜太郎にお礼を言った。
「桜太郎……ありがとう!!救世主!!」
その言葉に、桜太郎は照れくさそうに笑う。
「そんな、大げさですよ。麿さんにも少し知恵をお借りしたんです。
お礼なら、どうか麿さんにも」
「分かった!麿も救世主!!あっ……」
ここで、ぬぬは大事な事を思い出し、冷静に桜太郎に伝えた。
「桜太郎。ごめんなさい。年甲斐も無くおねしょをしてしまった。布団は自分で干しておくから」
「えっ……あぁ……これからは、気を付けてくださいね?」
「気を付ける」
ぬぬが真面目に頷くと、恋心姫がニコニコと片手を上げた。
「ぬぬ!ドンマイですよ!」
「ありがとう」
ぬぬはほんのり笑いながら、恋心姫とハイタッチして、
それを和やかに見守る桜太郎だった。

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【作品番号】youkaisin4a

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