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温泉旅行(後編)
※シリーズ越え注意
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【夕食後:女衆】

玲姫と更は“エステ”にでかけてしまったので、残った娘女神達は
琳姫たち家族の部屋で皆で遊んでいるのだが……
琳姫がピットリと遊磨にくっついて、愛おしげに言う。
「遊磨?今日は貴方の為にたっくさん愛情弁当を作って来ましたよ
残したら、承知しません!おしおき、ですからね?」
「わ、わぁぁ……琳姫様……じゃない、琳姫……ありがとう!!
おいしそうだなぁいただきまー……」
「お待ちなさい!遊磨君に愛妻弁当を食べさせるのは!許嫁である私でしてよ!!」
乱入する尊。
そして……
「待ってください!!遊磨先輩とのラブラブお弁当タイムは……ぼくのものです!!
遊磨先輩は誰にも渡しません!!」
乱入する閻濡。
琳姫は次々と現れる恋のライバル(?)に驚いて遊磨を問い詰めた。
「遊磨!わたくしというものがありながらこれはどういう事ですか!?
幼いあの日に交わした結婚の約束は!嘘だったのですか!」
「い、いやあたし……じゃない、オレにも何が何だかさっぱり……!!
助けて桃里……母さん!!」
「あぁあああ遊磨君がモテモテでママ嬉しいわぁ!!
でも、ママも遊磨君大好きだから参戦しちゃう!」
「いやそれもはやヤバいでしょ!!?この台本やめましょうよぉぉぉっ!!」
遊磨の嘆きも虚しく、琳姫と恋のライバル(?)達は口論を繰り広げていた。
「わたくしは遊磨のおっぱいを触った仲なんですよ!?」
「なら!私も触れば済む話です!」
「ぼくだって……!!」
「ひゃぁぁ!私も触っていいですかぁぁっ
「ぎゃぁああああ!!桃里さんに至っては素が出てるぅぅ!!
このままじゃ皆に胸揉まれるぅぅ!!ホントに誰か助けてぇぇぇッ!!」
たまらずその場から駆け出す遊磨。ハッとする女神達。
「「「「遊磨!!
遊磨君!!
遊磨先輩!!」」」」
すると……
「ひゃわっ!!?」
「あらぁ?遊磨どうしたの?」
入って来た玲姫とぶつかりそうになった遊磨は、慌てて照れ笑いを零す。
「いや!ごめんなさい!何だか、遊びに熱中し過ぎたみたいで……!!」
「うふふ、楽しそうでいいじゃない♪あのね、悪いんだけれど、
もう一つ良さげなエステがあって……もう少し部屋を開けてていいかしら?
境佳様達も、戻られてないんでしょう?立佳達は大丈夫かしら??」
「あ、大丈夫ですよ!アタシ達、皆で遊んでますし!きゅ……球里、達も大丈夫だと思います!
ええと、境佳様達は戻ってません。もう少ししたら、あたしがチラッと様子を見てみますよ!」
遊磨がそう言うと、玲姫は嬉しそうに笑う。
「ありがとう遊磨!頼りになるわぁ!!閻濡も、桃里もありがとうね!
琳姫、尊姫も、いい子で遊んでてね??」
そうやって皆に声をかけて、玲姫は再び部屋を出て行く。
そして……

その後はあのハーレムおままごとではなく、普通にカードゲームやら
おしゃべりで盛り上がる娘女神達……
そうやって、しばらく経って――遊磨が思い立ったように立ち上がる。
「玲姫様も戻られないみたいだし、あたし、少し境佳様達の様子を見てきます」
「あ、それならぼくも行くよ!パパが心配だから……」
「そうですね。一緒に行きましょう」
遊磨と閻濡は三神王の酒盛りを見に行くことになり、
「なら私……球里兄さん達の方も見てこようかなぁ?
あ、遊磨さん達が戻るまで琳姫様や尊姫と一緒にいた方がいいですか?」
心配そうな桃里に、琳姫と尊はにっこりと笑って言う。
「大丈夫ですよ桃里!すぐ戻るなら、大人しく遊んでいます!尊姫も一緒だし!」
「琳姫様の言うとおりよ!立佳様を見てきて差し上げて桃里さん!」
「そうですか……?なら、すぐ、戻りますね?」
桃里はそう言って出て行き……
「琳姫様、絶対じっとしててくださいよぉ??」
「大丈夫だよ!ね、琳姫?尊姫も……すぐ帰って来るね?」
遊磨と閻濡も心配そうに出て行く……と。
「ねぇ!探検に出かけませんか尊姫!?」
わずか1秒後の出来事。まさに“待ってました” とばかりに、琳姫が尊を誘う。
尊は驚いて……
「いいですわね琳姫様!ふふっ、少しだけ!」
悪戯っぽく笑う。
こうして幼い姫君達は探検に出かけた。


【ひめひめ探検隊】

琳姫と尊は、だだっ広い旅館を思う存分探検し、
だんだんと薄暗い方へと足をすすめ……
立て看板の前でとある出会いを果たす。
「あら、恋心姫様??」
「あ……尊……と……?」
尊に呼ばれて振り返った恋心姫は、琳姫の姿を見るともじもじと後ずさる。
「尊の、お友達ですか……?」
「ええ。琳姫様って言うの。この方もお姫様なのよ?
琳姫様、こちら、恋心姫様っていう、妖怪の子なの。私のお友達なんです!」
「そ、そうですか!初めまして恋心姫!わたくし、琳姫と申します!
尊姫とはお友達だから……貴女とも仲良くしたいです!よろしく!」
「よ、よろしく琳姫……妾も、お友達が増えたら嬉しいです……!!」
琳姫と恋心姫の自己紹介が終わると、尊が不思議そうに尋ねた。
「ところで、恋心姫様はここで何をしているの?他の皆さんは??」
「煤鬼が帝やぬぬとお酒飲で寝ちゃったから出てきてやりました!
それで、探検してたんですけれど……この看板の奥に行こうか考えていたところです」
「“立ち入り禁止”……」
尊が何気なく看板の文字を読み上げると、恋心姫は看板を真剣にじっと見つめて言う。
「やはり、入っちゃダメなところですか……けど、ダメと言われたら……
入ってみたく……!!」
言いかけた恋心姫を、琳姫が慌てて止め――
「い、いいえ!!ダメなものはダメですよ!こんな!重要そうな看板を越えるなんてとんでもない!!
お、おお奥に何があるかなんて、気にしなければ!気にならないのです!!」
「めちゃめちゃ行きたそうですね琳姫……」
切れておらず、尊もにっこりと笑う。
「ふふ、どうなのかしら?旅館の奥なんだから、
ぜいぜい従業員さんの何かがあるだけかもしれないし……」
「尊も行きたいですか?」
「こういうのってドキドキしません??」
尊の言葉に、恋心姫もキラキラと瞳を輝かせた。
「今、すっごくドキドキしてます!よぉし!こうしましょう!
何か危険があっても、妾と尊が琳姫を守ってあげますよ!
って事で、どうですか?」
「あら、素敵ね!私も今宵はレディーを守る素敵なナイトになりますわ!」
「わ、わたくしだって守ってもらえなくてもそこそこ強いんですよ!?」
琳姫がそう主張したと同時に、恋心姫が嬉しそうに走り出した。
「わーい!それじゃあ張り切って行きましょ〜〜う!!」
「待って恋心姫様!ほら、琳姫様も!」
「もう!わたくしだって走りなら負けませんよ〜〜!!」
尊と琳姫も楽しそうに後に続く。と……
「あん??」
連れだって立ち入り禁止区域に入っていく幼い姫達を、偶然に見ていた剛鬼。
「何だ……最近は女のチビでも悪いのがいるなぁ……青い浴衣のチビは、
煤鬼のとこで見たぞ?しゃあねぇ、連れ戻してやるか……」
のそのそと三姫の後を追う剛鬼……ところが。
立て看板を越えた瞬間にびっしりと壁一面、ずらっと貼られたお札を見て……
真剣な表情になって足を速めて声を張り上げた。
「ゴラァァアアアッ!チビ共止まれぇぇぇっ!こっちに戻れ!
そっちは立ち入り禁止だろうがぁぁぁっ!!」
剛鬼は必死に小さい子達を呼び戻そうとする。しかし……
「「「きゃぁああああああっ!!?」」」
逆に三姫は悲鳴を上げて奥へと逃げていって、剛鬼は焦りつつも切なくなる。
「し、しまった!!チクショウ!こういう時、鬼は難儀だよなぁぁっ!
ああもう!俺は怖くねェから止まれぇぇぇ!!」
必死に追いかける剛鬼。
すぐにガラクタだらけの広い部屋で行き止まったけれど、追いかけていた小さな三姫の姿は無い。
剛鬼は薄暗い部屋を必死で探す。
「ど、どこ行きやがったアイツら!!?
チビ共どこだぁぁぁっ!!?とっとと出て来ぉぉぉぉい!」
一方、必死で探されている三姫は、ガラクタの影に三人で縮こまってヒソヒソと相談していた。
(な、何なんですかあの怖いおじさんはぁぁっ!!?)
(鬼……のように見えましたけど……変質者かしら!?どうしましょう!!)
(妾、いいもの持ってます!!これ!このお札を使えば鬼は動けなくなるんですよ!!)
((おおっ!!))
恋心姫が出した便利アイテムに、姫達は一気に活気づく。
さっそく尊が言った。
(ようし!なら!私があの変なおじさんを引きつけます!!)
(その隙に、妾がお札を怖いおじさんに貼るのですね!)
(で、ではわたくしは……!!?)
身を乗り出す琳姫に、尊は首を振って笑った。
(琳姫様はじっとしててください!ここは、ナイトの私達に任せて!)
(そうですよ!オトコノコの本気、見せてあげます!!)
恋心姫にもそう言われて、琳姫は不満げに頷いた。
(うぅうううう!どちらかが怪我をしそうになったら、助けますからね!)
と、作戦会議がまとまった所で、その作戦通り尊が剛鬼の目の前に飛び出す。
「さぁ!!こっちですわ変質者!!」
「変質者!?勘違いしてんじゃねぇチビが!
いいから、俺と一緒にこの部屋を出るぞ!?残りのチビはどした!?」
剛鬼が尊に気を取られている隙に、恋心姫が剛鬼の背後から足に
“動きを封じるお札(鬼用)”を勢いよく貼り付け――
「えいっ!!」
「っ!!?な、何……しやがる!!」
「きゃぁああああっ!!?」
ようとしたら避けられて、なおかつひょいと捕まってしまう。
「「恋心姫!!
恋心姫様!!」」
琳姫と尊は緊迫した様子で叫んで、恋心姫は泣きわめく。
「いやぁああっ!離してください変たぁぁい!!うわぁあああん!!煤鬼ぃぃっ!!」
恋心姫の泣き叫ぶ声に続けて、琳姫や尊も必死に叫んだ。
「恋心姫を離しなさいこの変質者!!これ以上の乱暴は許されませんよ!」
「そうですわ!この女の子の敵!!大人しく恋心姫様を解放なさい!!」
「……コイツら……」
心外な暴言の数々にイラつきが積もってくる剛鬼に追い打ちをかけるように、
三姫は精一杯の口撃をしかけてくる。
「わぁああん!変態のおじさん嫌です!怖いです!助けて煤鬼ぃぃっ!!」
「か弱い子供をいじめて、良心が咎めないのですかおじさん!」
「素直に降伏しないと後が酷いですわよ!この変態エロ鬼おじさん!!」
「……誰、が……」
言われたい放題で体が震えてくる剛鬼は、
壁を殴りたい衝動を握った拳に封じ込め、代わりにありったけの怒りを込めて怒鳴る。
「誰がおじさんだゴラァアアアッ!この悪ガキ共がぁぁぁッ!!」
「「「!!?」」」
「お前らなぁ!!“立ち入り禁止”が読めなかったのか!?
入って来たらダメだろうが“立ち入り禁止”のこの場所にぃぃッ!!
こんなガラクタだらけの暗い部屋で遊んだら危ねぇし、
怪我したらどうするつもりだ!?あぁ!!?
ったく、お前らが男だったらこの場で尻を引っ叩いてやったとこだぞ!!?」
思いがけず至極まっとうなお説教をされてしまって、驚く三姫。
怒鳴る剛鬼の迫力も相まって、さすがに怖がりつつそれぞれ謝った。
「ご、ごめんなさい……!!」
「うわぁあああん!!ごめんなさぁぁい!!妾、可愛い女の子ですぅぅぅっ!!」
「わ、私も……可憐な女の子、ですわ……本当に、反省してます……」
「今すぐ俺と一緒にここを出て、自分らの部屋に戻る!いいな!!?」
「「はい……」」
やっと小さい子達を連れ戻すことに成功した剛鬼は、疲れたような溜息を付きつつ……
手にぶら下げている恋心姫を軽く怒鳴りつけた。
「おめぇはいつまで泣いてんだ!鬼は煤鬼で見慣れてんだろうが!
つーかさっき会ったのに何で俺を不審者扱いしてんだよ!!」
「うわぁああん!!煤鬼はもっと可愛いしおじさんみたいに怖くないんですぅぅぅっ!!
わぁぁん!おじさんなんて妾知らないですぅぅっ!!」
「……お前さんだけは煤鬼にこってり絞ってもらわねぇとな……」
「わぁあああん!やですぅぅぅぅっ!!」
こうして、剛鬼と三姫は無事立ち入り禁止区域から脱出し、それぞれ部屋へ帰ったり、
恋心姫は剛鬼が送り届けていた。
思わぬ苦労をしてしまった剛鬼は、部屋に戻って灯美鬼に愚痴ったところ大爆笑されながら労われ……
後で聞いた話によると、あの部屋は単なる物置で、廊下のビッシリのお札は
ずっと前にあの周辺を“怖い雰囲気ゾーン”にする企画に使っていた名残だったらしい。


【帰還後:姫神】

琳姫と尊が元いた琳姫達家族の部屋に戻ると、当然ながら心配して探していた皆に囲まれるのだけれど……
泣き崩れて謝りまくる桃里に罪悪感がMAXになるところから始まり、
桃里をそんな状態にさせた影響で球里や雪里からも叱られ、
わざわざ釘を刺して行った遊磨からは「だから言ったのに」と叱られ、閻濡には困った顔で見つめられ……
とにかく全方位から叱られ、それらの総まとめとして……母親にお仕置きされる事となる。
(幸か不幸か、父親達は酒盛りのせいでヘロヘロなので、
少し説教したところで玲姫が寝床へ退場宣言を言い渡した。)
お仕置きされる側の琳姫・尊、お仕置きする側の玲姫、更以外は部屋を出て行って、
琳姫と尊にとっては気まず過ぎるお仕置きタイムの開幕だった。
琳姫の方はさっそく玲姫に捕まって膝の上に乗せられて焦っている。
「ゆゆゆ許してください!!ほんの出来心だったんですぅ!!」
「ダメですよ!許しません!“いい子で遊んでてね”って言ったのにどうしていい子にしてないの!?
悪い子はたくさんお尻をぺんぺんしますからね!」
「いやぁああああっ!ご、ごめんなさいきゃぁぁぁあああっ!!」
有無を言わさずで、浴衣を捲られて下着も脱がされて、裸のお尻を叩かれ始める琳姫。
パンッ!ビシッ!バシッ!!
「う、あぁああん!!痛い!痛いですごめんなさぁああい!」
「いい子で反省しないと、後で父上にもお尻ぺんぺんしてもらうわよ!?」
「いやぁあああっ!いい子で反省しますぅぅぅっ!!」
玲姫にお尻を叩かれながら叱られて、泣きそうになりながら叫んでいる琳姫。
そんな琳姫を見ている尊は悲しいような怖いような何とも言えない気持ちになっていた。
「ああああ琳姫様ぁ……」
「尊……」
「ひっ!?」
更にポンと肩を叩かれただけでも、尊は過剰反応で振り向く。
困った様な、少し怒った様な顔で正座した更は、自分の膝をポンポン叩きながら尊に言う。
「ほら、貴方もでしょう?下着を脱いで来て……」
「あ、ぁ……」
尊は顔を真っ赤にして、もじもじと更に問う。
「お、お母様……ここでなの?琳姫様もいるのに……」
しかし、更は尊をじっと見つめるだけで、何も言わない。
なので尊はますます恥ずかしそうに視線を泳がせる。
「わ、私……私、帰ってからお父様にお仕置きしていただきますわ……」
「いけません!」
「!!?」
珍しく、更がキッパリと怒鳴るので、尊は驚いた。
迫力こそあまりないけれど、意志の強そうな声が続ける。
「そんな事を言って、逃げようとしたってダメ!
琳姫様だってきちんと反省してるんだから!早く!!」
「……ぅ、っ……!!」
滅多に見ない更の気迫に押された尊は、
顔を真っ赤にしながら下着を脱いで……恥ずかしさに顔を覆って更の膝に飛び込んだ。
「うぅううっ!ごめんなさい!ごめんなさい!!」
「いい子ね……和様の代わりに、たくさん躾けてあげる」
ふんわりと優しい声でそんな事を言われ、尊はぞわっと鳥肌が立つ感覚に襲われながら
声にならない悲鳴を上げて、内心恥ずかしさに悶えていた。
「〜〜〜〜っ!!(あぁあああ!
お母様にお仕置きされるのがこんなに恥ずかしかったなんてぇぇっ!!)」
と、こんな恥じらいMAXの尊も浴衣を捲られて生尻を叩かれ始めると……
バシッ!ビシッ!バシィッ!!
「!?ひゃっ、あ!!あぁん!い、あっ、ごめんなさぁぁい!!」
痛がって悲鳴を上げていた。
こうして、部屋には二重に打音と悲鳴が響くことになり……

ビシッ!バシッ!バシィッ!!
パンッ!ビシッ!パァンッ!!
「あぁあああん!母上ごめんなさぁぁい!!うわぁああん!!」
「お、お母様っ……もう、やめっ、あぁああっ!ごめんなさぁぁい!!」

ずっとお仕置きされている琳姫と尊のお尻も全体的に赤くなってくる。
そんな頃合いで玲姫が言った。
「貴女達……勝手にいなくなるのはもちろん悪い事だけど、二人でどこで何をしてたの?
遊びに行った先でも悪さをしてなかったでしょうね?」
「「!!?」」
この恐ろしい質問に、真っ先に全力で答えたのは琳姫だった。
「し、してないです!してない!ただちょっとお散歩してただけでぇぇッ!!」
「嘘をついても分かるのよ!?」
バシッ!バシィッ!!
「うわぁあああん!ごめんなさぁぁあい!!」
「あら、謝るって事は何かしたのかしら?」
「あぁあああん!コトバノアヤですぅぅぅっ!!」
イマイチ信用されていない琳姫がお尻にバンバン追及を受けている間、
尊も尊でお尻で尋問を受けていた。
「尊は……何か隠してない?」
バシッ!パンッ!パァンッ!!
「う、ぁぁあっ!あぁん!」
「このままとぼけても、嘘をついてもお仕置きが長引くだけ……
尊は賢い子よね?」
本当に、まったくもって、更の口調はほんわかしていて優しい音色なのだ。
けれど、尊は言い知れぬ圧力を感じて思いっきり叫んだ。
「ご、ごめんなさい琳姫様ぁぁッ!!」
「尊姫ダメェェぇっ!!」
琳姫の絶望の悲鳴を振り切り、尊は自白した。
「ごめんなさい!!色々探検した後に
“立ち入り禁止”区域に入ってしまいました!!
でもっ、すぐに知らない鬼のおじさんが追いかけてきてくれて!叱ってくれて!
皆、怪我もなく連れ出してくれて!ごめんなさい!もうしないです!反省してますぅぅ!!」

もちろん、この尊の告白によって……
「琳姫!!どうして嘘をつくの!!しかもそんな危ない事をして!!」
バシッ!ビシッ!バシィッ!!
「うわぁあああん!ごめんなさい!ごめんなさい母上ぇぇえっ!!」
「そんな悪い子はやっぱり父上にもお仕置きしてもらおうかしら?!」
「いやぁああっ!許してぇぇっ!ごめんなさぁああい!わぁああん!!」
琳姫はますます叱られて厳しくお仕置きされて大惨事になる。
そして、尊の方は……
「……」
「お、お母様……あ、あの……ごめん、なさい……」
パタッと動かなくなった更に、尊が恐々謝っていた。
更は、ガタガタと震えて呟く。
「も、もうダメ……もうダメ尊が、尊がそんなに悪い子だったなんて……
私も和様にお仕置きされるレベル……あぁ、何も申し開きできない……!!」
「そ、そんな!!お母様がお仕置きされることない!わ、私!!
私を、もっと厳しくお仕置きして下さいな!」
「……尊!もうバカ!バカ!今日はどうしてそんな悪い子なの!!」
ビシッ!バシィッ!バシッ!!
「いやぁあああっ!!うわぁああん!ごめんなさいお母様ぁぁっ!!」
何だかふっ切れ気味の更に、バシバシお尻を叩かれる尊。
そんな琳姫と尊のお仕置きは続いて……
「あぁあああん!いやぁぁっ!もう嫌です痛いぃぃっ!!」
「ごめんなさい!ごめんなさいもうやめてぇぇっ!反省したからぁぁ!!」
琳姫も尊も、真っ赤なお尻で……
「ふぇぇっ!母上!母上お願いですからぁぁ!いい子にしますからぁぁッ!!」
「お母様ごめんなさぁぁい!!わぁああん!お母様ぁぁっ!!」
大泣きしながら謝り尽くして……
「「うわぁあああん!ごめんなさぁぁああい!もうしませぇぇん!!」」

本当に散々に泣かされて、ようやく許してもらえた。
許してもらえた後に抱きしめてもらえて、余計安心感で大泣きした姫神達は、
“もう立ち入り禁止区域には絶対に入るまい”と、固く誓ったのだった。


【帰還後:妖怪】


剛鬼によって送り届けられた恋心姫は、その頃には起きていた煤鬼と、
自分達が寝る部屋の中で向かい合って座っていた。
自分の悪事は全部剛鬼から煤鬼へと筒抜けてしまったため、
無言で胡坐をかいている煤鬼の威圧感に、目を合わせる事も出来ない恋心姫は正座で縮こまっている。
(うぅ、煤鬼が一番怒る“危ない事”をしちゃったし、女湯の事もまだ話せてないし……
妾……無事に明日の朝陽を拝めない気がしてきました……!!)
「恋心姫」
「ひゅっ!!?」
急に煤鬼に声をかけられてビクついた恋心姫。
いよいよ怒られるのかと思ったけれど、煤鬼の次の言葉は意外なものだった。
「……済まなかったな。一緒にいると言ったのに、眠ってしまって。退屈だったろう?」
「そんな……!わ、妾もごめんなさい……!
勝手に、お外行ったし……その、入っちゃダメな所も入ったし、いっぱい悪い子で……」
「まぁ、そうだな。退屈だからって一人で勝手に部屋を出て、
その上“立ち入り禁止”区域で遊んでいいわけがない。――で?」
「!!?」
申し訳なさそうだった煤鬼は一転、怒った顔で睨みつけてきて……
恋心姫はまた縮こまっておすおずと言う。
「だから……その……うぅ……どうにか許してもらえませんか……?」
「そこへ座り込んだままで、許してくれと言ってるのか?まさか違うよなぁ?」
「あ……ぅ……」
「許してやるから、着ている物全部脱いで、そこの壁に手を付け!」
「っ、うぇぇっ……」
やっぱり怒鳴られて怯える恋心姫は、モタモタと浴衣と下着を脱ぐ。
その間も恋心姫をじーっと見ている煤鬼の鬼の笑顔は恐ろしかった。
「泣いて怯えながら浴衣を脱ぐ恋心姫というのもなかなかそそるなぁ……」
「な、なら!えっちなお仕置きにしませんか!?」
「は?何か言ったか?」
「わぁあん!何でもありません!!」
とにかく怒っていてお仕置きする気満々な煤鬼は、大好きなはずの“えっち”にも
釣られてくれず……恋心姫は泣く泣く言われた通り、壁に手をついて……
「うわぁああん!嫌!嫌ぁぁっ!!」
叩かれる前から泣いて首を横に振ったけれど、それでどうにかなるわけでもなく。
煤鬼に裸でお尻を叩かれ始めてしまう。
バシィッ!バシッ!!ビシッ!!
「あぁああん!煤鬼ぃっ!痛いぃ!嫌ですぅっ!もうしないから許してくださいぃっ!」
「甘えるな!前に散々ぬぬに叩かれて“勝手にお外をウロウロしない”と約束したのに
またやらかしおって!そんなに尻を真っ赤にされたかったか!?」
ビシッ!バシッ!バシィッ!!
煤鬼も本気で怒ってのお尻叩きなので流石容赦なく、恋心姫は初っ端から大泣きしていた。
立っているのも辛そうにぴょこぴょこしているけれど、腰を抱えられて、
続けて厳しく叩かれて……ますます泣き喚くループだった。
「うわぁあああん!違いますぅぅ!ごめんなさぁぁい!ごめんなさい!もうしないですぅぅぅっ!!」
「可哀想になぁ!?今夜はこの可愛い尻を存分に気持ち良くしてやる予定だったのに!
どこかのいたずら小僧のせいでこんな痛い目に遭って!
元々今夜は最初から眠らぬ予定だったし、恋心姫の大好きな“朝までこぉす”にするか!?」
「あぁあああん!嫌ですぅぅぅっ!!痛い!ごめんなさぁあああい!」
怒鳴り声で叱られて、脅されて、強く叩かれ続ける。
恋心姫がいくら痛がって怖がって泣いてもすぐには終わらない。
お尻もすぐに真っ赤になってしまった。
そんなお仕置きが続くと……
バシッ!ビシンッ!バシィッ!!
「ふぇっ、うぁあああん!!もう痛いです!ヤですぅぅっ!!あぁあああん!」
恋心姫の体力と精神力が尽きて、崩れ落ちてしまう。
煤鬼も最低限支えながら、一旦は恋心姫を地面に座り込ませたけれど……
「こら!誰がしゃがんでいいと言った!?立て!」
そう叱って、ますます恋心姫を泣き喚かせていた。
「うぁあああん!!わぁああああん!!もうやです立てないですぅぅっ!
ごめんなさぁぁい!もう絶対しませんからぁぁっ!あぁあああん!!」
「泣けば俺が甘い顔をすると思ったら大間違いだぞ!ほら立て!
立たんなら、続きは桜太郎か麿からお仕置きの道具を借りてきて叩くぞ!?」
「わぁああああん!あぁああああん!やぁああああっ!!」
座り込んだまま、ひたすら泣き叫びながら首をブンブン横に振る恋心姫。
「……悪い子だ!そこを動くなよ!?」
と、言った煤鬼が部屋を出て行こうとすると……
「やぁあああっ!わぁあああん!待って煤鬼ぃぃぃっ!!ひゅあっ……!!」
「!!」
追いかけようとして、派手に転んで、また泣いていた。
「ふぁあああああん!!あぁああああん!!」
「……急に走るからだろう?」
少しだけ声を和らげて、煤鬼が恋心姫を助け起こすと、
恋心姫は煤鬼に必死で泣きつく。
「だってぇぇっ!!お道具っ、痛いの嫌ですぅぅっ!お願い!お願いぃっ!!
もう反省したぁぁぁっ!!わぁあああん!!」
縋りつかれて大泣きされた煤鬼はため息をついて言う。
「……仕方ない。10回。いい子で我慢するか?」
「いやぁああああっ!!ごめんなさぁああい!!」
「っ……じゃあ100叩きだ!甘ったれの悪坊主め!!」
恩情を拒否した恋心姫は、胡坐をかいた煤鬼の膝の上で続きの“100叩き”をされる事になって。
道具も立つのも免れたものの、真っ赤なお尻を叩かれるのは変わらないので、
大泣きするもの変わらない。
ビシッ!バシィッ!バシッ!!
「うわぁああああん!煤鬼ごめんなさいぃぃぃっ!もうしませんあぁああぁっ!!」
そうやって厳しく叩かれて膝の上で虚しい抵抗で暴れる事しばらく……
「うぁあああん!あぁあああん!ごめ、なさぁぁぁあ!すしゅきぃぃいい!」
「俺は“すしゅき”じゃない!!」
バシッ!ビシッ!バシィッ!!
「あぁあああああしゅしゅきぃぃっ!!わぁあああん!!」
だんだん呂律も回らなくなってきた恋心姫を、煤鬼が怒鳴りつける。
「本当に!散々!危ない事はするなと言っているだろう!?今度こそ分かったんだろうな!?
恋心姫が怪我をしたら嫌だし悲しいから言うんだぞ!?
あと、一人で勝手にいなくなったら俺も皆も心配するだろうが!」
バシッ!ビシッ!パンッ!!
「ごめんなさぁああああい!!分かったぁあああっ!!あぁあああん!!」
と、恋心姫が謝ったところで煤鬼は手を止めた。
そして、恋心姫のお尻を優しく撫でながら言う。
「……はぁ。絶対、今日の約束は忘れるなよ?尻に筆で書いてやろうか?」
「やぁああああっ!!あぁあああん!!」
「はは、そうか嫌か……さ、もう全部許してやるから。あんまり泣くと俺も泣くぞ?」
「!!〜〜〜〜っうぅううっ!!ごめっ……なひゃっ……!!」
煤鬼が抱き起した恋心姫は、必死で泣くのを堪えていて……
「……こういうところは優しくていい子なのになぁ……」
「ふぇっ!ふぇえっ!!」
困った様に顔をほころばせた煤鬼に抱きしめあやされて、だんだんと泣き止んでいった。
そして……
恋心姫の痛みも涙も無くなったところで、煤鬼が嬉しそうに言う。
「うーん、朝まで時間が余ってしまったぞ恋心姫?
ちょうど恋心姫は裸だし……次は“えっちなお仕置き”にするか?」
「……でも、妾……いっぱいお尻ぺんぺんされて、お尻……真っ赤でしょう?
煤鬼とえっちするの恥ずかしいです……」
恥ずかしそうに、モジモジしながらそう言った恋心姫。
煤鬼は、一瞬無言になったが……次の瞬間には愛情テンションが大爆発して恋心姫に抱き付いていた。
「あぁああそんな可愛い顔をして!俺がいつも甘い顔をすると思ったら大間違いだぞ
その恥ずかしい尻をうんとお仕置きしてやるから覚悟しろ〜〜っ
「あぁあああん 煤鬼ぃぃっ!!」
恋心姫も嬉しそうに煤鬼にされるがまま、じゃれ付いて……
こうして、いつものペースに戻る恋心姫と煤鬼であった。
そしてイチャイチャしている最中に恋心姫が“女湯覗き”の事を煤鬼に謝って、余計激しく可愛がられていた。


【三神王酒盛り】

時は遡って、遊磨と閻濡が三神王の酒盛りの様子を見に、会場である閻廷達の部屋に行った時の事。
遊磨は緊張気味だったが、しかし隣に同じく緊張気味の閻濡を連れていたので
心を奮い立たせ、勢いよく部屋の扉を開ける。
「こんにちは――!盛り上がってますか――っ!!」
「お、お邪魔します……!!」
部屋に入った遊磨と閻濡に境佳と和が一斉に視線を向ける。
手には杯を持っているものの、騒いでいる様子も無い。
閻廷は机に突っ伏して眠っているようだ。
「(な、何だ……お二人とも結構大人しい感じで飲んでる……そりゃそうだよね……)
あの、入って来ちゃってごめんなさい!少し様子を見に来ただけなんです!すぐ帰りますので!」
「パパ、寝ちゃったんですね……こんな所で寝ちゃって大丈夫かなぁ?」
悪酔いして無さそうな神王達に遊磨はホッとして、閻濡はさっそく心配そうに閻廷に寄りそっている。
閻濡に答えるように境佳が言った。
「大丈夫だ閻濡……全く、飲み比べをしようと言い出した癖に、真っ先に寝てしまうとは……」
「はは、閻廷殿らしくていいじゃないか……意外に強かったらどうしようかと思った……」
そんな境佳と和の会話を聞きつつ、遊磨が閻濡の傍に言って声をかける。
「閻廷様だけ横になっていただいて、あたし達はおいとましましょうか?
あたしが動かしますから」
「そうだね。ありがとう、遊磨……」
平和な遊磨と閻濡の会話。
そして、無事にこの部屋から帰れるかのような流れ。
しかし、その流れは一瞬にして変わる。
「なんだ、帰ってしまうのか?」
「ぴゃっ!?」
スイと、閻濡の手を引いて自然に抱き寄せるのは和だった。
和は誘惑するような甘い笑顔で言う。
「せっかく可愛らしい女神が二人も来てくれたのに、
すぐにいなくなってしまっては寂しいじゃないか。
二人共、少し私達の相手をしていかないか?」
「よ、和様……!!」
「閻濡姫……近くで見ると一層可愛らしくていらっしゃる
閻廷殿が手放さないのも分かる。どうかな?閻濡姫も一杯……」
「そ、そんな……ぼく、は……」
閻濡は顔を真っ赤にして硬直してしまっている。
遊磨が慌てて二人を引き離そうとする
「ちょっ……!ちょっと和様!!マズイですよ!!閻濡様はまだお酒が……」
「あぁ、貴女は遊磨と言ったか?
なるほど、流石は琳姫姫の侍女だけあって貴女も美しい。
境佳殿もお目が高いなぁ……」
「ひぇっ!!?い、いやあたしは……!!」
が、和が器用に捕まえてしまって、遊磨も顔を真っ赤にしてしまう。
神王の、むしろ神皇子の色香を惜しみなく振りまく和は若い女神達をナチュラルに口説いていた。
「ふふ、そんなに警戒しないでくれ。
何も、無理やり酒をすすめようと言うのではない……。
酒の入っていない甘くて美味しい飲み物も持ってこさせよう。な?
せっかくの機会なんだから色々話して、親睦を深めようじゃないか……」
「い、いや……(境佳様がこの状況に何も言わないなんて……!!
二人共想像以上に酔ってるかも!!閻濡様だけでも何とか逃がさなきゃ……!!
酔っぱらいの対処はおっとうで慣れてるんだから……!酔い潰して寝かせちゃおう!!)」
やっと遊磨が状況の深刻さに気付いて、反撃をしかける。
少し、女らしさを意識して体をしならせながら、和にほんのり甘え声で言う。
「よ、和様……そういう事なら、あたしがお相手いたしますから……閻濡様は部屋に帰してあげてください。
琳姫様や尊姫や桃里さんを部屋で待たせてるんで……」
「え?何だ、麗しい女神達は皆こっちへ呼ぶといい」
「絶ッッッ対嫌です!!大体!尊姫にこんな姿見られていいんですか!?
あたしとしては今すぐ更様を呼びたいですよ!!」
が、慣れない所作は長くは続かず、地に戻ってツッコんでいた。
和は堪えていない様で、のんびりと会話に応じている。
「……あぁ、更も呼びたいなぁ。こんな時に何をしてるんだ全く。
隣にいてくれないと寂しいじゃないか」
「玲姫とエステ三昧らしいぞ?ふふ、玲姫がますます綺麗になってしまうな……
「境佳様やっぱり完全に酔ってるじゃないですか!!」
境佳もどこかおかしい事に希望を失う遊磨。閻濡がそんな遊磨を勇気づけた。
「遊磨、ぼくは大丈夫。この状況で遊磨だけ置いていけないよ……。
だから……和様に早く寝てもらおう!!」
「!!閻濡様……わ、分かりました!一緒に頑張りましょう!!」
こうして、遊磨と閻濡は和を酔い潰して寝かせるべく、両側からガンガンお酌をしていく。
「はい、和様じゃんじゃん飲んじゃってくださいね〜〜!!」
「和様、ぼくのも飲んでください……」
「あぁ参ったなぁ 両手に花ではどんどん酒が進んでしまう!」
が。
和は嬉しそうに酒を飲み進めるばかりで、
なかなか思い通りの展開にならず、遊磨も閻濡もだんだん困惑してくる。
(くっ……なかなか酔いつぶれない!!和様ったら結構上戸なの!?)
(な、なんだか注いでも注いでも……和様、こんなにお酒飲んで平気なのかなぁ??)
そんな遊磨と閻濡の思惑はつゆ知らず、和は陽気に酒を飲み進め、
境佳との“飲み比べ”を続けているらしい。
「はぁぁ、やっぱり美人と飲む酒は格別だ!境佳殿もじゃんじゃん飲まないと、
私が勝ってしまうぞ〜〜??」
「そんな事言ったって、こっちは誰も注いでくれないんだから早さにも限度ってものが……
うぅ〜〜遊磨こっちにも注いでくれ〜〜」
境佳は拗ねたようにそう言って、この状況を受け入れていて……
遊磨はまた怒鳴る。
「イ・ヤ・で・すッ!!二人ともさっさと酔いつぶれちゃってくださいよぉぉッ!!」

そんな時。
またまた事態が動いた。
「父上!和様!ちょっと緊急事……ぎゃああああっ!!?
何二人でハーレム満喫してんの!?信じらんない!!このエロ酔っ払いオヤジ共ぉっ!!
羨ましすぎるぅぅぅッ!!」
慌てて駈け込んで来た立佳が、要件を忘れるほど羨ましがるこの状況。
遊磨が慌てて話を戻す。
「り、立佳様!羨ましがってないで!緊急事態って何なんですか!?」
「そ、そうだ!大変なんだよ!琳ちゃんと尊姫がちょっと目を離した隙にいなくなっちゃったんだって!!」
「「何だと!!?」」
立佳の言葉に、境佳と和は表情を引き締めて立ち上がる……
が、
「「!!?」」
立ち上がれなかったり、よろめいていたり。
さすがの立佳も神王達のこの姿には頭を抱えて叫んでいた。
「も〜〜っ!肝心な時にカッコ悪すぎるから少し休んでなよ!球里達呼んでくる!!」

こうして、球里や雪里に支えられながら、境佳や和は皆と合流する事になる。
閻廷は布団で皆より一足早い就寝タイムとなった。


【就寝時:神様勢】

色々あった温泉旅行も、あっという間に就寝時間になり、
この時ばかりは皆に平和が訪れる。

境佳達家族の部屋では、琳姫と立佳はすやすやと眠っていて。
境佳と玲姫も並んで横になっているのだが……
「う〜〜っ……」
苦しげに唸る境佳に、玲姫が少し困った様な笑顔で尋ねる。
「大丈夫ですか境佳様?貴方が飲み過ぎるなんて珍しい……」
「いや……なんだかつい……ダメだな、温泉旅館と言うのは誘惑が多すぎる。
結局、立佳も琳姫も大人しくしていられなかったし……。
次に皆で出かけるなら、もっと健全で誘惑の無い場所に……」
調子が戻ってきたのか、真面目に色々考えている夫に玲姫がクスクス笑う。
「ふふ、そうですね。でも子供達、楽しそうでしたよ?
わたくしも楽しかったし……素敵な息抜きになったわ
「それは、私だって楽しかったが……お前がそうならいいけれど。
あぁ、そう言えばエステに行ったんだか?……あまり変わらないな?」
「あらあら……ぶん殴りますよ?」
軽くキレ気味の玲姫に、臆する事無く、境佳がふにゃりと無防備な笑顔で言う。
「お前はいつ見ても綺麗だ
「……うふふ たまには酔っていらっしゃる境佳様も良いわね
擦り寄る玲姫を、境佳が拒まず愛おしげに抱きしめる、
そんなレアシーンが繰り広げられていた境佳達家族の部屋。


一方、和達家族の部屋では。
布団で横になっている和を、傍で座り込む更が心配そうに覗き込む。
「和様……大丈夫ですか……?」
「あぁ、大したこと無い……少し、飲み過ぎただけだ……」
「ですが……」
「あぁ更…… いい匂いがするな…… エステの効果か?」
「ひゃっ!?和……様……??」
和が下から更に手を回して抱きしめようとする。
更がオロオロと抵抗すると、甘えるような、蠱惑的な音色で囁いた。
「もっと近くに来てくれ……いつもみたいに、寄り添って寝てくれないのか……?」
「ダメ、です……い、いけません!!しっかりしてください!尊、が……!!」
そう。
更の言うとおり、近くで横になっている尊は呆れ気味に怒鳴る。
「お気になさらず!お邪魔ならさっさと寝てしまいますわ!
(もう!せっかくお父様やお母様と眠れるチャンスだと思ったのに!)」
「何だ、尊はまだ起きていたのか?仕方ない、抱いて眠るのは尊で我慢するとしよう……」
「きゃあああっ!!?」
急にきつく抱きしめられた尊は驚いて、頬を赤らめて抵抗する。
「あぁもう何ですの!!?この酔っ払い!
私には立佳様がいるんだから、変な事したら蹴り飛ばしますからね!」
「バカを言うな……お前にそんな事するわけがないだろう?
こんな時くらい、素直に懐いてくれたっていいじゃないか……!」
「うぅぅ、仕方ない、ですね!今夜だけは、お父様の顔を立ててあげますわ!
で、でも抱きしめ過ぎです!苦しい!!」
そんな和と尊のやり取りに、更はますます心配そうで……
「よ、和様……」
「何だ更……寂しいか?ふふっ、お前もこっちにおいで……
しかし、尊とは逆側に抱きしめてられてしまって……
「も、もう!!和様ぁぁっ……!!」
呆れ気味に(迫力無く)怒鳴っていた。


そして、閻廷達家族の部屋では。
眠っている閻濡の隣でふと目を覚ました閻廷が、考え事をしていた。
「う〜ん、いつの間にか眠ってしまった……今日は閻濡とあまり一緒にいてやれなかったかなぁ?
酒盛りの時の事もゼンッゼン記憶が無いし……私は負けてしまってのだろうか?
済まない……閻濡……」
「……〜〜、だ、ダメ、ですぅ……和様ぁぁ……ぼく、パパ以外には……!!」
「!!?」
と、急に聞こえてきた閻濡の寝言に、驚いて一気に目が覚める閻廷。
「え、閻濡……?え、一体どういう夢を!!?いや、しかし起こすのは……!!
あぁああ閻濡!なぜ和殿なんだ!?パパの夢を!パパの夢を見てくれぇぇッ!!」
そう言いながら、閻濡を抱きしめる閻廷だった。


こうして、楽しい温泉旅行は幕を閉じた。



【帰宅後:和】

温泉旅行から帰ってほどなくした頃。
和の城には一本の電話が鳴り響く。

電話の相手は閻廷で……“恐ろしく”無邪気な声がこう告げる。

『あぁ和殿!調子はどうだ!?温泉旅行楽しかったなぁ!
閻濡から聞いたんだけれど、私が酔いつぶれてしまった酒盛りで……
和殿は閻濡と遊磨を両手に抱えて、お酌をさせていたそうじゃないか?
ふふ、散々二人を愛で口説いてなかなかのプレイボーイっぷりを発揮していたらしいぞ?』
「えっ、あ……」
『まさかまさか!私の閻濡にこんな事をして、タダで済むとは思ってないだろう?
と、言うわけで和殿……更王妃に代わってくれないか?』
「!!?」
最後になるにつれ、だんだん暗い真剣みを増してくる閻廷の声色。
和は慌てて謝る。
「す、済まない閻廷殿!!記憶があまりないけれどその……!
閻濡姫にも貴方にも、本当に失礼で申し訳ない事をした!
今度改めて、お詫びに伺うから、どうか更にだけは……あの子は気が弱くて、ショックを……!」
『……どうして、私の親切心を分かってくれないんだ和殿?
尊姫や誉皇子にも話したくなってしまうじゃないか……』
もはや、普段の閻廷の喋り方とは程遠い冷たい声に、和の全身から冷や汗が吹き出して。
ますます慌てふためいて話を続ける。
「なっ、そ、そんな……閻廷殿……わ、分かった更に代わるから!!
尊や誉にはこの話は……!!」
と、和が言うと……閻廷の声はコロッといつもの明るい調子を取り戻す。
『大丈夫、大丈夫!更王妃に話を通せば私は満足だから!!
和殿は更王妃を怒らせた事はあるか?私の光濡は普段おとなしい子だったけれど、
怒らせた時のお仕置きは厳しかった。和殿も、たっっくさんお仕置きされて存分に反省できるといいな??♪』
「ま、全くだ……更を怒らせた事は無いけれど……十分、反省したいと思ってる……」
『そうそう!そのお詫びとやらはいつ来るんだ!?ぜひに早めがいい!
私が直々に和殿をお仕置きできるのを楽しみにしてるぞ??』
「……なるべく、早めに伺おう……その、本当にごめんなさい……。
貴方のお仕置きも……心して、受けようと思う……」
『はっはは!和殿はいい子だなぁ どうか悪く思わないでくれ……
これでも、私の閻濡に不埒を働いた罪にしては軽すぎる罰なんだ。
和殿は大切な友達だからな……あまり乱暴はしたくない。……待ってるからな?』
「は、はい……申し訳ございませんでした……」
もはや完全に下手に出ている和。
しかし、閻廷は容赦なかった。
『ふふふ♪まぁ、私のお仕置きが済むまでは究極に反省していてくれ!
さ!そろそろ更王妃と話がしたいぞ!』
「ただちに代わります……」
こうして、驚きつつも電話を代わった更は……
電話口にも関わらず、直角に近いお辞儀を繰り返して謝り倒していた。
そして……


「……和様ぁぁ……」
電話を終えて、何か言いたげにボロボロと涙を流す更を見て、
和も泣きそうになりながら謝る。
「す、済まない更!!ち、違うんだ!酔っていただけで!覚えていなくて!!」
「ふっ、ぇっ、和様……が、うっ、若い女の子を、見境なく……!!」
「ちちち違う!!信じてくれ!私は、私が……!!愛しているのは、お前だけだ更……!!」
「……穂摘様は?」
「穂摘と、お前だけだ!!」
和に力強くそう言われながらガッシと肩を持たれた更は、すんすんと半泣きながらも、
少し顔を逸らして頷く。
「……うぅっ、わ、分かりました……和様がそう仰ってくださるなら、
更がそれを疑うのは不遜と言うもの……更はいつもで和様の意思と共にあります……」
「あぁ、分かってくれたのか……ありがとう!!
もう、決してお前を悲しませるような事はしないから……!!」
ホッとして嬉しそうな和を、更の方はまだ少し不機嫌そうに睨みつけて言葉を続ける。
「……しかし、それはそれとしても……更が他に妻として目を向けるべきは、
和様がお酒に酔った“お戯れ”で、閻廷様や閻濡姫や……遊磨さんに迷惑をかけた事……。
閻廷様は仰っていました“きつくお仕置きしてやってくれ”と……」
「う……」
「ご無礼を、お許しください和様……けれど、貴方の妻として、頑張って、みます……。
ね?一緒に寝室に、来てくださいますか?」
「更……」
まるで誘うような上目遣いの更に手を取られた和は、
ドキドキと寝室にやってきて(連れて来られて)、落ち着かない様子で更に問う。
「さ、更……お仕置きと言うのは、一体……!!」
「……お顔が真っ赤です和様……いけない事を考えていらっしゃいます?」
困り顔でそう言う更に、そっと頬に触れられると、和は余計に恥ずかしげに顔を赤くしてしどろもどろになった。
「す、済まない……“お仕置き”なのだから、こういう態度はいけないと、分かっているのだけれど……!!
お、お前にその……そういう事を、されるのかと思うと、どうしても……!!」
「……違います和様」
「――え?」
和のドキドキを砕いた更の冷静な一言。
それはこう続けた。
「和様は、きっと勘違いをなさっています。
“お仕置き”というのは“お尻を叩く”という事、ですよ……?」
「……」
「ご無礼を……」
「ダメだ、許されない……」
和は違う意味で顔を赤くして、片手で頭を抱えて一歩後ずさる。
そして震える声で言う。
「よしてくれ更……冗談だろう?」
「下着を脱いでこちらに……」
「や、やめなさい……」
「……和様……尊はできたのに……」
「やめてくれ……」
「和様?」
「許してください……!!」
「…………」
「更ぁぁ……!!」
もはや夫の威厳は底を尽きて、情けない声で縋る様に更の名を呼ぶ和。
しかし……
「……仕方ない、お父様ですね……」
穏やかな声と共に、そっと手を取られる。
「もしや……更に無理やりお膝の上に乗せてもらいたい、甘えん坊さんでしたか?」
「!!?」
そう言われながら困ったように微笑まれて、和は体の中からくすぐられるような感覚に陥る。
顔も体も熱くて堪らないのに、全身が粟立って動けない。
無理やりでも、強い力でもないのに抵抗ができなくて、
気が付けば、ベッドに座った更の膝の上でお尻を丸出しにされて嘆いていた。
「うっ、うぅっ……!!こ、こんな!こんな情けない……!!
更……お願いだやめてくれ……!!」
「でも……抵抗なさらないという事は、
自分が悪いから、頑張ってお仕置きを受けようと思っていらっしゃるんでしょう?」
「本気で抵抗しても、いいのか?お、お前に怪我をさせたくない……!」
「……和様!!」
バシィッ!!
「った!!?」
更が思いっきり和のお尻を打ったかと思えば、
そのまま何度も平手打ちしながら怒鳴りつける。
ビシッ!!バシッ!バシィッ!!
「神の国の王ともあろう者が!だらしなく酒に酔って女性を口説きまくる醜態を晒した挙句!
他所様に迷惑をかけて、罰もまともに受けようとしない!恥ずかしくないのですか!?」
「う、ぁあっ!?さらっ!?」
「尊の方が!自分から膝に来られたし、きちんと謝っていたし、よっぽどいい子です!!
和様はお仕置きを受ける以前の所から躾ないといけないみたいですね!」
「ひっ、うっ!!」
更に初めて怒鳴られた和は、驚きながらも打たれるたびに悲鳴を上げて、
怒られ+叩かれ続ける事しかできなくて。
「いいですか!良く聞いて!今から、和様のお尻をたくさん叩きますが、
膝から逃げる事は許されません!貴方に許されるのは泣いて謝る事だけ!
もし無理にでも逃げようとしたら、更はこの話を央様……お父様に告げ口します!
お父様なら、和様を完璧に逃げられないようにした上で、厳しくお仕置きして下さるでしょうから!
分かりましたね?!」
バシッ!!
「わ、分かりました……!!」
しっかりと脅し付けられ、しゅんとする和。
ここで更も、やっと落ち着いたような悲しげな声を出す。
「……素直に反省していただけるなら、きっと、そんなに酷くはできません……!!
例えお仕置きだとしても、和様の苦しむ姿は長く見たくありません故……!!」
と、いう更の言葉を聞いて、和もますますしゅんとして恥じ入る。
「更……!うぅっ、本当に済まない……お前にこんな事をさせてしまうなんて……
自分が、恥ずかしい……ごめんなさい……!」
「和様……そう、ですね……本当に恥ずかしいお方……」
「!!?」
ふんわりとした声で思わぬ切り返しをされて、
和が再び全身が熱くなるような寒気に襲われて顔を真っ赤にすると、
すぐにお尻の痛みが追ってきた。
ビシッ!バシッ!ビシッ!!
「あっ、うぁぁっ、更っ……!!」
「ダメですよ、そんな弱弱しい声を出したって……悪い子の和様はしっかり反省してくださいませね?」
「そっ……んくっ!!」
優しい声で叱り責められる、ビリビリとした感覚がむず痒くて、和は思わず声を殺す。
もちろん、更の前でみっともない悲鳴をあげたくないと言う気持ちもあって、
それからの和はお尻を打たれても、なるべく声をあげそうになるのを我慢していた。
バシッ!バシッ!ビシッ!!
「うっ、うっ……あぁっ!!」
ビシッ!バシッ!バシッ!!
「っ、いっ……!!」
しばらくそうしていて、和の痛みもお尻の赤みも蓄積されているところへ、
手を振り下ろしていた更がふと尋ねる。
「和様……本当に反省していらっしゃいます?」
「してる、本当だ……!!んっ……!!」
「そうですか……?何やら先ほどから声を抑えるのに必死で、
全然“ごめんなさい”が聞こえてきませんので……
まだ動揺していらして、反省どころではないのかと……」
「それ、は……っ、ご、ごめんなさい……!!」
「はい、和様。素直に反省していただいて嬉しゅうございます」
柔らかくて可愛らしい、いつもの更の声。
しかし、それも叩かれ通しの和にはどこか恐ろしく聞こえて、
大きな呼吸を繰り返しながら懇願した。
「も、もう許してくれ……!!」
「それ、は……」
更は迷うようにそう言って……迷いなくお尻を叩いてくる。
しかも今までよりも手を強めて。
バシッ!!ビシッ!バシィッ!!
「うぁああっ!更っ、ま、待っ……やめっ……!!」
「“きついお仕置き”と言う事なので、
せめて、和様が泣いて謝るまでと、思ったのですが……」
「あぁっ、今!今十分キツイ!!お、お願いだ、更っ、ひぃぅぅっ!!」
強くなったお尻打ちで、痛みも悲鳴も我慢できなくなって、
和は更へ叫ぶように言う。
「嫌だ!更っ、泣くまでなんてぇぇっ!!」
「痛いお仕置きをされて涙が出るのは当たり前ですから、
恥ずかしがらなくてもいいんですよ和様……?」
「〜〜〜〜っ、嫌、だ!それでもっ、嫌、うぁぁっ!ごめんなさい!もうしない!
だから、だからどうか許してくれ!!この、ままではぁぁっ……!!」
またしても、ゾクゾクと体を撫で上げられるような羞恥を誘う更の言葉と痛みに苛まれて、
涙腺決壊寸前で和は頼み込んでいるけれど、それに対する更の返事が……
「……ですが和様、現状……お尻を真っ赤にして喚いていらっしゃいますし……
ここまでくれば、泣こうが泣くまいが、同じだと思うのですが……」
「…………」
この一言で、主に精神を抉られた和はあっけなく泣かされてしまった。
顔を覆って、弱弱しい涙声を出す。
「うっ、ぇ……ごめん、なさい……ごめんなさい……!!」
ビシッ!!バシッ!バシッ!!
「あ゛、う!!もう、もうこんなの耐えられません……!!
私が悪い子でしたぁぁ……!!反省します!悔い改めます!!
だから、うぇぇっ……許してくださいぃ……!!」
「そうですよ。いけない子」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「うぁぁあ……!!ごめんなさぁぁい……!!」
少し手を緩められても、和は相変わらず弱弱しく泣いていた。
そして、更が最後に毅然と叱る。
「みっともないお仕置きをされたくなかったら、みっともない女遊びは慎んでください!」
バシッ!!
「うっ、うぅっ、分かりましたぁぁっ……!!」
「……分かっていただけたなら、お仕置きは終わりです」

との事でお仕置きは終わり、更は和を膝から下ろすが……
「あぁ和様……お仕置きとはいえ、更はなんと不敬な真似を……申し訳ありませんでした!!
こう、こうなったら更も和様にお仕置きしていただくしか……!!」
服を整えた和と対面した更は、途端にいつもの気弱さに戻って涙目でガタガタ震えていた。
和も早々に涙を拭っていつもの調子に戻る。
「い、いや……更、いいんだ。すべては私が悪かった事……。
むしろ、お前のおかげで、自分の軽率な行いも反省できたし……ありがとう」
そう言うと、和は更を抱きしめた。
「あぁ、更……私は、やっぱりいつもの奥ゆかしくて可愛らしい妹姫なお前が落ち着く……」
「和様……(お仕置きの途中、少し興奮してらっしゃったように見えたのは……勘違い、ね……)」

と、和のなかなか大変だったお仕置きはひとまず終わった。
しかし、その後まだ閻廷からも“お仕置き”もあるのだと思い出して、ブルーになる和を、
更が一生懸命励まして、その日は過ぎていった。



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【作品番号】onsen2

TOP小説妖怪御殿
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