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妖怪御殿のとある一日 引っ越し後21
【キャンペーンお礼作品】
座薬ネタ
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ウェッホ!ゴッホ!ゲホッ!!
ンン゛ッ、ごめんなさい……妖怪研究家、ゴホゴホ!げ、け、兼、妖怪の麿拙者麿です……。
あぁ、妖怪も風邪を引くんだと身をもって知ったよ……。
妖怪研究家としては新発見できて嬉しい限りなんだけど、
結構、重めな風邪にかかったみたいで辛いです……。
うぅ頭がクラクラするぅ……。

******************

ここは、麿が風邪を引いてしまった妖怪御殿。
すぐさま隔離され、山の医者に診てもらった麿を、
桜太郎が甲斐甲斐しく看病しているのはもちろんの事。
他のメンバーも合間を見てお見舞いにやってきていた。

「大丈夫ですか麿……?」
「思ったより辛そうだな……」
心配そうな表情の恋心姫と煤鬼に、麿は弱弱しく笑った。
「大丈夫……お見舞いありがとうね。恋心姫君、煤鬼君……」
そうすると、煤鬼が力強く言う。
「麿は俺の弟みたいなものだからな、何かしてほしい事があったら遠慮せず頼ってくれ!」
「わぁ、嬉しいなぁ……僕的には煤鬼君の方が僕の弟って感じなんだけど……(……あ、あれ……?)」
言ってしまった麿が一番驚いて、恋心姫や煤鬼も驚いていて。
“ヤバい”と感じたのはその後すぐ、引きつった笑顔の煤鬼の腕を取って宥める恋心姫を見ながらだった。
「おっ、怒っちゃダメですよ煤鬼??麿は病人なんですから!」
「……別に、その辺は風邪が治ったらハッキリさせるとしよう。相撲とかで」
「い、いやそのっ……!!」
慌てて失言を誤魔化す言葉を探す麿に、煤鬼が少し恥ずかしそうにヤケクソ気味に言う。
「くそう!どいつもこいつも、弟扱いは昔だけでうんざりなのに……!」
「あぁああ……それでも怒らない懐の広い所“兄貴”って感じです煤鬼にぃさぁん……!!」
「変わり身の早い事だ。早く治せよ弟分?」
そう言った煤鬼が麿の頭を撫でて、恋心姫がホッとしたように笑った。
「早く元気になって、また3人で遊びましょうね!」
「うん。僕も早く遊べるようになりたいから、今日はよく休むね。
そろそろ、うつっちゃうといけないから二人は部屋を出てて?来てくれて嬉しかったよ」
麿が穏やかに促すと、恋心姫と煤鬼は笑顔で手を振って部屋を出ていく。
寂しかったり退屈しないようにと、玩具を置いていってくれた。
そうして麿は笑顔で一息つくとともに、さっきの失言の事を思う。
(危ない危ない……!熱でぼーっとしてるとはいえ、
思ってる事がポロッと口に出ちゃうなんて……気を付けなきゃ……!)
そう気合を入れ、深呼吸してからじっと瞳を閉じて休む麿。

しばらくして、部屋に入ってきたのはぬぬだった。
「……麿……寝てる?」
「……ぬぬ君……来てくれたの?」
言いながら体をぬぬの方へ向けると、
表情の乏しいぬぬもほんのり心配そうにしていた。
「ごめん、起こした?」
「ううん。起きてたよ。来てくれてありがとう」
「そうか、良かった。気分はどう?」
「少しぼーっとするけど大丈夫……」
「なら、安心。でも油断も無理も禁物。安静に治しきって。
……誉は、ごめん……意外と病気への抵抗力が脆そうだから……
お見舞いに来られなくても、気を悪くしないでほしい……」
「もちろんだよ……むしろ、僕に近づけないであげて。
うちの大黒柱に風邪をうつすわけにはいかないから……」
「麿優しい……ありがとう」
そんな穏やかな会話が過ぎていく。
ぬぬが額の濡れタオルを取り替えてくれながら言う。
「俺もできるだけ、桜太郎の補佐はしてるから。麿は何も心配しないで休んで欲しい。
恋心姫や煤鬼もお手伝いを張り切ってる」
「ありがとう。心強いな……」
「もちろん、皆二人きりになれる邪魔はしない!」
「そんな事……ところで……(ん……?僕は、何を言おうと……)」
朦朧とした意識が疑問に思う中、麿の言葉はハッキリ紡がれる。
「帝さんとはどこまで進んでる?」
「えっ!?」
「僕、ろくにエロの経験無いし、無理なくエロ展開に
持っていける話術とか……本番でなくても二人でエロステップアップできる
いい方法があったら参考に教えてほしいんだ……
(な、何言ってるんだ僕……!?ってかエロエロ言い過ぎッ!!)」
内心では本当に焦るのだが、言葉はどんどんと吐き出される。
ぬぬの方は珍しい麿のセリフに驚きながらも、遠慮がちに答えている。
「……こんな時にそんな話をして、余計に熱が上がらない……??」
「熱に浮かされた時こそ本気の猥談チャンスじゃないですかぬぬ先輩……!!(何コレ!!?)」
「今日の麿、積極的……!!分かった、長くならないようにする……!」
麿の勢いに、瞳を輝かせてしっかりと頷いたぬぬ。
こうして、麿の意図しない(?)ところでの、
しかし麿はハッキリ参加しているの猥談が始まってしまった。

――しばらくして。
めちゃくちゃ会話が盛り上がってヒートアップしている
麿&ぬぬのところへ、桜太郎が入ってくる。
「「!!」」
驚きつつ一瞬にして口を閉ざす二人に、桜太郎は呆れたように声をかけた。
「二人とも……声が廊下まで聞こえてましたよ?
何をそんなに盛り上がってるのか知りませんが……
ぬぬ?麿さん風邪なんですから、お喋りもほどほどに」
「ご、ごめんなさい……」
しゅんとして謝るぬぬへ、麿がすかさずフォローした
「桜太郎君大丈夫!僕はむしろもっと話してたいよ!
ぬぬ君のエロ話本当勉強になる!!(えぇえええええっ!!?)」
が、麿の内心も驚きのまさかの言葉に、桜太郎もぬぬも目を見開いて硬直する。
そしてぬぬはそそくさと立ち去ろうとしていた。
「……さ、桜太郎も来たし、あの、俺はそろそろ出てく……」
「待ちなさい」
その手が桜太郎の低音ボイスと共にぱしっと掴まれ……
「まさか今までずっと、病人の麿さんにいかがわしい話を吹き込んでたんですか?」
「えと、その、麿が聞きたいって……」
「悪い子ですね!」
桜太郎の怒った声と共にぬぬの体がぐらりと揺らいだかと思うと、
あっという間に桜太郎の膝に乗せられてしまう。
ぱしっ!
「っ!?」
そして、お尻を叩かれてしまう。
そのまま桜太郎は何度も手を振り下ろしながらぬぬを叱った。
「貴方が!そういう話を好きなのは前々から知っていましたけど!
麿さんに変な入れ知恵をしないで下さい!しかもこんな時に!」
「ご、ごめんなさい……!!」
ぱしっ!ぱしんっ!
「さ、桜太郎くん、やっ、やめてあげて……」
「いいえ!ぬぬには一度反省してもらおうと思ってたんです!」
顔を赤らめる麿の弱弱しいフォローでも桜太郎は止められず、
しかし、服の上からのお仕置きの上、叩き方も
まるで牽制するような、脅すような手加減気味なので
ぬぬは恥ずかしそうに身を捩っていた。
「っあぁ!桜太郎っ、本当に……反省したから……やめ……!」
「何を反省したか言ってごらんなさい!」
「おっ、俺が下ネタ大好きの変態野郎な事です……!!」
(わぁぁ……)
ぬぬがお尻を打たれながら、恥ずかしそうな声で、顔で、
どうにかもがく姿を麿が食い入るように眺めている。
ぱしっ!ぱしぃっ!ぱしっ!
「貴方は普段大人しいし優しい方だから結構見逃してるんです!
でもあまり振りまくなら困りますよ!自重なさい!」
「うぅっ!分かった!分かったごめんなさい!許してください!」
「本当でしょうね!?」
「本当に!あぁっ、お願い、これ結構っ…………」
ぬぬがお尻を叩かれながら必死に桜太郎に許しを請う途中、
またしても部屋の扉が開く。
「ぬぬ、いつまでかかってるんだ?麿はそんなに具合が……」
「誉……ッ!!」
入ってきた帝を見上げて、ぬぬはますます恥ずかしそうになる。
帝もぬぬを見て驚いていたが、すぐに楽しそうに目を細めた。
「面白い事になってるな?」
「ち、違っ、これは……!!」
「そんな顔で、情けない声を上げて……お前は尻を叩いてもらえれば誰でもいいのか?」
「そんな事……!!」
「……痴話喧嘩ならご自分達のお部屋でどうぞ。ここは一応病室ですよ」
桜太郎が冷静にそう言ってぬぬを離すと、帝はぬぬの手首を引いて立ち上がらせる。
そして艶やかな笑顔で言った。
「痴話喧嘩とはまた、随分的外れな言い草だ。
世話をかけたな桜太郎。このペットがどんな悪さをしたか知らんが、
続きは余が躾けておこう」
「そうして下さい」
「あぁ何て事を……」
ぬぬは焦りと落胆が混じったぐったりした様子で、
帝に手を引かれて部屋を出て行った。
そうして、桜太郎は改めて二人きりになった麿へと向き直った。
「騒がしくしてごめんなさい麿さん。お加減はどうですか?」
「ううん!!むしろ興奮しちゃって!(あぁああ僕今日おかしい!!)」
「……本当に具合がお悪いんですね、麿さん……」
桜太郎は心配そうに麿の額に手を伸ばす。
ひんやりとした桜太郎の手を心地よく思いながら、理性の調子の悪い麿が
また調子良く口を動かす。
「桜太郎君がコスプレで看病してくれたら治る気がする!!(……もう諦めようかな)」
「…………」
「あれ、さすがに怒っちゃった……?僕もお仕置き!?(……お休み)」
「嬉しそうにしないでください。着替えて来ます」
「本当に!?」
「ええ。絶対関係ないとは思いますが……もし着替えなくて麿さんの風邪が
長引いたら後悔しそうですし……やれる事はやります」
「わぁああああい!!いい子で待ってまぁあぁぁす
(桜太郎君……やっぱり優しい……!!)」
桜太郎は着替える為に部屋を出ていって、麿(の調子の悪い方)はワクワクと待っていた。

「桜太郎君、どんな格好してきてくれるのかな……
本物に近い飾り少な目の清楚なナース服??それともコスプレっぽいゴテゴテしたナース服??
ま、まさか大人コスプレ〜な、露出MAXのセクシー系のナース服だったり……
何 故 医 者 を チョ イ ス し た !!
「ご希望に添えませんでしたか?」

麿がワクワクしてる途中で戻ってきた桜太郎は、白衣を羽織った医者の恰好で、
落胆する麿に呆れた視線を投げかけつつ傍へ寄る。
「看病するならこの格好かなと……」
「うぅ、これだったらエプロンか割烹着の方がマシ……
せめてぬぬ君や恋心姫君の助言を取り入れて欲しかったよ……」
「麿さん……落ち着いて、熱を下げる事に集中していただかないと、
ご自分が後ですごく困る事になりますよ?」
「え……??」
「薬を飲んで下がらないなら、と……座薬が出てます」
「ざっ……嘘ッ!!?」
「私は全然構いませんが、麿さんがお嫌なら、気合入れて治してください」
「死ぬ気で治します!!(ボーっとしてる場合じゃない!!)」
理性の戻ったらしい麿は大慌てでそう言って、布団をかぶって固く目を閉じる。
そんな麿に桜太郎が優しく布団をかけ直して……
また時は経ち……夕刻。

「す、すっかり下がっちゃって……!!」
「……上がってますね。帝さんと恋心姫は立ち入り禁止にしないと……」
赤いほっぺで声を震わせる麿に、割烹着姿の桜太郎が体温計を持って心配そうにしていた。
しかし、麿の方は必死で懇願する。
「ご飯食べて夕方分の薬を飲めば下がると思うんだ!
だからアレだけは!何卒!何卒ッ!!
夜までには下げます!必ず下げますから!どうか夜まで待ってください!
夜まででいいんです!!」
「……分かりました……とりあえず、夕食後の薬を飲んで様子を見ましょう」
必死の麿に困った笑顔を浮かべながら、桜太郎が言う。
すると、麿もホッとしたように笑顔を浮かべて……
「おいしい……!!」
「良かった。きっとすぐ下がりますよ。
だからそんなに怖がらずに安静にしていてください」
「うん……!!」
桜太郎が食べさせてくれるおかゆを頬張っていた。
熱でか“アレ”を免れた極度の安心感からか、“桜太郎に食べさせてもらっている”という事に
頭が回ってないように、恥ずかしがりもせずのんびり食べすすめている。
桜太郎に優しく手助けされながら、デザートの手作りゼリーも少し食べ、薬も飲んだ。
また時は経ち……夜も更けた頃。

(や、ヤバい全然下がってないむしろ上がって……?!!)
麿が自分でもわかるくらい火照る体に焦りを感じていると。
部屋のドアが開き、光が漏れる。
「!!」
「麿さん……お加減はどうですか?」
「う、うんっ!!もう全然平気!!薬すごいね!だから心配ないよ桜太郎君!
あとは放っておいてくれればいいから!桜太郎君も部屋で休みなよ!」
「…………」
「ま、待って!本当に大丈夫だから!もう君の手を煩わせる事なん、か……!」
「先に座薬の話をしたのは迂闊でした。
怖い思いをさせてごめんなさい麿さん……すぐ済みますからね?」
部屋の明かりがつき、割烹着姿の桜太郎が近づいてくる。
麿は必死だった。
「ち、違う!!待って!朝まで待ってください!お願いです!朝まで!
朝までには必ず下げますから!絶対に次こそ下げますから!!」
「貴方はさっき“夜まで”と言いました。あぁやっぱり熱い。ほら、大人しくして」
桜太郎は麿の額を触って、体温計を挟ませる。
そしてしばらく大人しくしていた麿も体温計が高熱を証明すると……
また必死で叫び出す。
「はわぁぁ!お願いしますぅぅ!!後生です!待ってください!もう少しだけ猶予を下さい!
朝まで!朝までには必ず何とかしますからぁぁ!どうか朝までぇぇ!!」
「……高利貸しになった気分です。
大丈夫ですよ麿さん。痛くしませんし、怖くないですから。大丈夫」
「そ、そういう事じゃなくってぇぇっ!恋人にそんな姿見られたくないよぉぉッ!!」
泣き出す麿に、桜太郎は困ったように考え込む。
「……私でなければぬぬか煤鬼に頼むことになりますけど……
確かに、ぬぬは何だかんだ言って上手そうだし、煤鬼は嫌がっても一瞬で終わらせてくれそうですね……」
「うわぁああああそれも嫌だぁあああああっ!!お願いちゃんと治すから一人にしてぇぇぇっ!!」
麿が叫び、突然、地面から蔦が!!
……ヘロヘロの細い蔦が桜太郎手首にふにゃふにゃと緩く巻きつく。
桜太郎は一瞬驚いた顔を浮かべると、勢いよくそれを引き千切って振りほどいて麿の着物を掴む。
そして麿の体を勢いよく自分の膝に乗せて、
「麿さん!めっ!!」
バシィッ!!
「痛ぁぁい!!」
思い切りお尻を叩いていた。
麿が悲壮な悲鳴を上げても、バシバシと叩き続ける。
「前に言ったでしょう!?それ体力を使うんです!
体調が悪い時にやらないで下さい!」
ビシッ!バシッ!バシィッ!!
「分かったぁぁ!ごめんなさい!ごめんなさい!もうしないから許してぇぇっ!!
何かとっさに出ちゃってぇぇっ!!」
「座薬も嫌がりませんか?!」
「それは嫌ですぅううううっ!!」
「だったら許しません!熱があるのに薬を嫌がる悪い子はお仕置きです!」
「嫌だやめてぇぇえっ!!」
泣きながら首を振る麿は、着物の裾を捲られて下着も脱がされ、
もっと本格的にお尻を叩かれ始めてしまう。
バシィッ!バシッ!ビシィッ!
「うぁああああんっ!!」
「泣いてもダメですよ!貴方の風邪を治すためなのに!」
「飲み薬ならいくらでも飲みますぅぅぅっ!!」
「それじゃ下がらなかったから座薬にしようって言ってるんです!」
桜太郎の叱る声にもだいぶ困った感も滲んでいたけれど、
麿は泣き喚きながら、力なくもぞもぞするだけだった。
「あぁああああん!!助けてぇぇぇっ!!」
バシッ!ビシッ!!
「……麿さん、何度も言いますけど、大丈夫ですよ?
小さな薬ですし……本当に全然怖くないですよ?
少し我慢してくだされば、すぐ済みます。すぐ、済ませますから」
麿が哀れになってきた桜太郎はまた優しく宥める方向を試みるが、
麿の方はひたすら嘆きながら首を振る。
「それはそうでも嫌だよ恥ずかしいよぉぉぉっ!!」
「今このお尻を叩かれてる状況とどっちが恥ずかしいですか?!」
バシィッ!ビシッ!バシッ!!
「うっ、うわぁあああああん!!痛い!カッコよくなりたいよぉぉぉ!!」
「もう、麿さん……」
パンッ!パンッ!バシッ!
桜太郎が手を緩めて、優しく語り出す。
「私、麿さんの事はいつも優しくで素敵な方だと思っています。
もちろんカッコいいとも思っていますよ。
けれど、困難に立ち向かう勇姿をこの目で見られるなら、余計に惚れ直してしまうかも……。
具体的に言えば嫌いな座薬に頑張って耐えて下さる姿とか……」
「何それぇぇぇっ!?ヤダよ!そんな子供に言うみたいな誘導に引っかからないよぉぉ!」
「麿さん、麿さんの風邪が治らなかったら私悲しいです……。
また一緒にお料理やお散歩、したいです……貴方の為に思いきれないなら、
どうか私の為だと思って……」
「っ!!うぅうううっ!!」
「ここまで言っても悪い子のままですか?」
バシッ!ビシィッ!!
「うわぁあああん!!分かったぁぁぁっ!ごめんなさい!!」
麿はまたきつくお尻を叩かれて観念したのか、桜太郎の言葉に気持ちが変わったのか、
泣きながらもこう言った。
「しっ、心配かけてごめんねっ、桜太郎君……!!
君の為なら僕っ……!僕は君の為に君に恥を晒しても……!!
うぅ、訳分かんなくなってきたけどぉぉっ……!よろしくお願いします……!」
「ありがとうございます、麿さん……」
桜太郎も、手を止めて嬉しそうに笑った。

そしてちょうど良くお尻も出しているので
そのまま桜太郎へとお尻を突き出して……
「さぁ、麿さん……深呼吸ですよ?力を抜いて……怖くないですから……」
「……!!」
麿ドキドキの投薬タイムが……
「麿さん……大好き
「―――ッッ
終わった。



「!!!!」
ガバッと勢いよく跳ね起きた麿。部屋は、朝だった。
(あ、あれ!?何かスッキリ……!!)
麿が体調の良さに感激しているところに、桜太郎がやってくる。
「麿さん、どうですか?熱は下がりました?」
「!!っ、あっ、その……!!良く、なったみたい……!
桜太郎君の、おかげだよね、……ありがとう……」
恥ずかしさで真っ赤になってしどろもどろの麿。
桜太郎も嬉しそうながらも不思議そうだ。
「お顔が赤いですが……病気ではなさそうですね。
治ったなら良かった!皆も喜びます!
……けれど、どうしました??そんなに照れるような事がありました?」
「だ、だって昨日……!!」
「昨日……私がお食事をお手伝いさせていただいた事でしょうか?
確かに、治って思い出すと恥ずかしいかもしれませんね」
「……ざ、座薬……」
一番のビックイベントに触れずに笑う桜太郎に、麿は不思議に思いながらも呟く。
すると桜太郎は少し大げさに声を出す。
「あぁ!麿さん良かったですよね。あんなに嫌がった甲斐あって、
夜には薬が効いて熱も下がって、ぐっすりでしたから!」
「えっ!!?」
「もしかして、夢に出て来ちゃいました?」
(ゆ、夢……だったのかな……??)
優しく微笑む桜太郎の笑顔はどこかフワフワした不思議な感覚になる、
そんな妖艶な笑顔だった。

【おまけ】

※薬袋の中身を数えた麿

麿(ほらぁああああああっ!!
やっぱり夢じゃなかった夢じゃなかった夢じゃなかったぁぁぁっ!
でも桜太郎君、僕があんなだったから夢だって事に
思わせようとしてくれたのかな優しいナァァァァッ……!!
よし!桜太郎君に座薬が必要になったら僕が入れてあげるからね!)

桜太郎(!!……何か、妙な感じが……)


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【作品番号】youkaisin21

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