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妖怪御殿のとある一日 引っ越し後14
※シリーズ越え注意
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ここは神々の住まう天の国。
神王の一人、和の城では……
「お兄様!」
「…………」
「誉お兄様!お話を聞いてくださいまし!」
「…………」
「誉お兄様ってば!」
「…………」
必死に呼びかける尊が、ひたすらそれを無視する誉を追いかけている
徒歩のプチ鬼ごっこが繰り広げられていた。
「誉お兄様ぁっ!」
じれったそうに尊がそう叫んだ時、誉が立ち止まって、嫌そうな顔でやっと振り向く。
「うるさいなぁ……余はお前の兄ではないと言っておろうがチンチクリンめ!」
「では、誉様♪」
尊はにっこりと受け流して、瞳を輝かせて誉に尋ねる。
「『母の日』はお母様に何をプレゼントなさるおつもりなの??
被らないように聞いておこうと思って!あ!二人でプレゼントするならそれも大歓迎なのですが♪」
が、誉はますます顔を嫌そうに歪めてこう返した。
「お前……本気でその戯言を抜かしてるのか?余があの妾に『母の日』のプレゼントをするとでも??
冗談じゃない!一万歩譲って“お母様”と呼んでやってるが、アレは余の母親じゃないんだ!
『母の日』のプレゼントがしたければ貴様が勝手にやってろ!」
「あら、誉お兄様がプレゼントをあげたら、お母様すごく喜ぶと思いますよ?」
「ふん、あ奴を喜ばせるなど、ますますやる気が失せる。下らん話で呼び止めるな!」
「お父様もとっても喜ぶと思いますよ??」
「!!っ、し、知った事か!お父様がどう思おうが、余はあの妾に施しはせんからな!!」
そう言い捨てて、誉は不機嫌そうにまた歩き出す。
尊はその背中に悲しそうに声をかける。
「えーっ!少しは考えてくださいな誉お兄様ぁぁっ!!」
「うるさい!“お兄様”と呼ぶな!虫唾が走る!」
誉は最後まで尊を邪険にして、歩き去ってしまった。


その後……
誉は妖怪御殿に帰ってきて、先ほど尊に言われた事を考える。
(バカバカしい……何が“母の日”だ。あの妾に、何故余が物を贈らねばならん……)
答えは決まっている。
『絶対にプレゼントは贈りたくない』。
これ以上考えたくないけれど、誉の頭の中からは尊の言った事が離れない。
“母の日のプレゼント”“お母様が喜ぶ”“お父様も喜ぶ”……
誉は頭を振って、ため息をつく。
すると、偶然遊んでいる恋心姫が目に入って、誉はひらめいた。
「姫!!」
「??何ですか帝?」
手招きすると、ちょこちょこと寄ってきた恋心姫に、誉は言った。
「妾腹に、“お母様に母の日のプレゼントをしてはどうか”と持ちかけられてな。姫はどう思う?
余はあの妾に、“母の日のプレゼント”をすべきか?」
「…………」
恋心姫の表情はみるみる不機嫌そうになって、誉はほくそ笑んだ。
そして、誉の望んでいる言葉を恋心姫はくれる。
「必要ないと思います。帝のかか様は穂摘様なのですから、
更にプレゼントをあげる必要なんて、無いと思います!」
「そうだよなぁ。余も同じ事を考えていた。はは、姫のお墨付きをもらえて安心したぞ♪」
「あっ、当たり前のことです……!!」
怒っているような泣きそうな顔で、恋心姫は俯いて顔を逸らす。
何となくお互い無言になってしまって、数拍おいて。
「…………でもっ………」
恋心姫は前髪で表情が隠れるほど俯きながら、絞り出す様にこう言った。
「穂摘様なら……更にプレゼントを渡してほしいって……言うと思います……!!」
「姫……」
「だから!帝の好きにすればいいと思いますッッ!!」
恋心姫は涙声で叩きつけるようにそう言って、走り去ってしまう。
誉は呆然と取り残された。
「……やれやれ……後で、煤鬼が怒鳴り込んでこなければいいが……」
苦笑しながらそう呟いたものの、誉の気持ちは自分の考えとは逆方向に動かされてしまった。


そして……
「ぬぬ、“母の日”というのは、何をもらったら嬉しいんだ?」
自分の部屋に戻った誉は、一緒にいたぬぬに聞いてみた。
ぬぬは穏やかな無表情で小首をかしげる。
「……継母に?」
「バカを言うな。桜太郎にだ」
「桜太郎はせめて“父の日”にしてあげた方が……」
「…………」
そう言ったぬぬは誉に睨みつけられるが、その表情が
どことなく助けを求めるように見えたので、それ以上は何も言わずに助言をしてあげた。
「俺が思いつくのは、花や感謝の手紙とか……何か相手の好きそうなものを贈ってもいいかもしれないけど、
何にしても、大切なのは気持だと思う。何を贈っても、きっと喜ばれる」
「気持ち……」
「気持ちを伝えるのを重視するなら、手紙がいいかもしれない。
納得のいくプレゼントが贈れるように、応援してる。手紙を書くなら席を外そうか?」
「…………その、ここに、いさせてやる」
「分かった」
「……手紙の内容に興味があるか?」
「ある」
こうして、誉はぬぬに手伝ってもらいながらも、手紙を完成させる。
出来上がった手紙を見つめて、誉は嬉しさを隠しきれないようにに顔をほころばせて、
ぬぬがそれを愛おしそうに眺めていた。


そして、幾日か過ぎた、“母の日”当日。

誉は例の手紙を義母の更に渡そうと、更の姿を探していたが……
「更……“母の日おめでとう”……と、いうのは変か。いつもありがとう」
「和様……!!」
「!!」
和に綺麗な花束を手渡されて、感激してる更を目撃した誉は、とっさに身を隠す。
そのまま二人のやり取りを見つめた。
「ありがとうございます……!!あぁ、和様にこんな……何て恐れ多い……!!」
「謙遜するな。お前は最高の母親だし、最高の妻だ。いくら感謝しても感謝しきれない。
お前が妻になってくれていなかったら、私は今頃どうなっていた事か……。
お前の事も、お前が授けてくれた尊の事も……ずっと、大切にしていきたいと思ってる。これからも、傍にいてくれ」
「あぁ、おやめください泣いてしまいます……!!
和様……更は元より、貴方に一生を捧げるつもりで妻になりました……ですから、一生、和様の、お傍に……!!」
「更……!!」
幸せそうに泣きながら抱き合う二人。
誉は手紙を二つに割いて投げ捨てて、その場を離れた。
なので――
「……それに、誉の事もありがとう。お前が誉を受け入れてくれてすごく心強い。
あの子の事も、穂摘にしてやれなかった分……私が傷つけてしまった分……
今度こそ、家族の温もりの中で幸せにしてあげたいと思ってるんだ」
「はい……!!更にも全力でお手伝いさせてください……!!
和様と穂摘様の大事なご子息ですもの……貴方の妃の地位に恥じぬよう、必ず、幸せにしてみせます!!
それにもう私は誉を……自分の息子同然に、愛しています!!」
和と更のこの言葉を、誉が聞く事はできなかった。


その後。
事件は更の部屋で起きる。
「きゃっ!?誉、やめて……!急にどうしたの!?」
驚く更をベッドに押さえつけた誉が、憎悪に満ちた顔で怒鳴り散らす。
「ガタガタ騒ぐな売女が!!
抜け目なく子を孕んで手に入れた妃の地位はさぞや気分がいいだろうな!?」
「な、何を言って……!!?」
「お前なぞ、妃の地位が欲しくてあのクズに取り入った女狐の癖に……!!
あの男にしたみたいに余にも媚びてみたらどうだ!?」
「違う……違う!!私は、ずっと和様を愛して……!!」
「ハッ、お互い打算まみれの夫婦が純愛気取りだなんて、笑えんな!不愉快の極みだ!!
あの男とて、跡継ぎが無ければ体裁が悪いからお前を孕ませただけ!
王位を継がせる器が欲しかっただけだ!どうせお前やお前の子を愛してなどいまい!」
誉のその一言に、青ざめて泣きそうになっていた更がキッと眉を吊り上げる。
そして控えめだが毅然と、言い返した。
「わ、私の事は何を言っても構いません……!!
例え一生愛してもらえずとも、和様の寵愛は要らぬ覚悟で、あの方を支えたい一心で、妃になりました……!
けれど尊の事をそんな風に言わないで!!あの子は王位の器なんかじゃない!!
あの子は和様に愛されてます!!貴方と同じくらい、愛されています!!」
「黙れ!!ふふっ、いい事を教えてやろうか妾?
余はあのクズに檻に押し込められている間に、ささやかな嫌がらせをしていたんだ。
卑猥な本ばかり読みたいとせがんで、持ってこさせた。おかげで、そっち方面の知識がすっかり肥えてしまってな?」
「っ……!!」
ニヤリと笑う誉に、更はまた青ざめて怯えた表情になる。
それを見た誉がまたいやらしい笑みで更に言った。
「おぉ、お前にしてはなかなかそそる顔だな?なるほど、あの男にもそうしたのか?」
「い、いや……やめて、やめてください……!!和様!!」
「更!?どうし……」
すぐに、幸運にも近くにいたらしい和が、更の悲鳴を聞きつけて部屋に飛び込んできて、
その状況を見て顔面蒼白で固まった……のは、ほんの一瞬で。
「誉!!」
すぐに誉を更から引きはがして、肩を掴んで必死に怒鳴る。
「何のつもりだ!!?」
「ほぉ、自分の女を寝取られそうになって悔しいか……?」
それでも怯まない誉は、不敵に笑って、和を睨みつけて……
「お前もやった事だろうが!!」
「「!!」」
その場を凍てつかせる言葉を叫んだ。
更も和も真っ青になって……和は頭を押さえて動揺しながらも、
「た……確かに……お前が本当に更を愛して、こうしているなら……
私には口を出す権利は……無いのかもしれない……けれど……」
途中からは、キッパリと誉に言う。
「更を傷つけるためだけに、こんな事をしているなら承知しない!!
言いなさい誉!!何でこんな事をしたんだ!!?
更とは仲よくやってたんじゃなかったのか!!?」
「うるさい!!うるさい!そんなにこの女が大切なら、
前の女の忌み子など今からでも殺して無かった事にしてしまえばいいだろう!!」
「何を言ってるんだお前は!!とにかく、こっちへ来なさい!!少し頭を冷やしてもらおうか!?」
和は困り果てつつも、怒鳴りながら誉の手を引いて、誉は必死に抵抗していた。
「離せ!離せ虐待魔!!」
「そうか、お仕置きされるのは分かってるみたいだな!?ちゃんと歩かないと抱き抱えて連れて行くぞ!?」
そうやって大声で言いあいながら、和が誉を無理やり連れて出て行った。
残された更は、本当に悲しそうに涙を流す。
「誉……どうして……どうしてなの……?」
そうやってしばらく泣いていると、
「あの……更様?失礼します……」
雪里(♀)が、遠慮がちに更の部屋にやってきて、二つに裂けた手紙のようなものを更へ差し出す。
「廊下で、これを見つけて。失礼ながら中を見させていただいたら……」
更はそれを受け取って、不思議そうに色々眺めて……目を見開いた。


その頃。
誉の方は、和の部屋に連れて行かれて、
ベッドに腰掛けた和の膝の上で、裸にされたお尻を叩かれて泣いていた。
ビシッ!バシィッ!ビシッ!!
「うわぁああああん!痛い!離せ!離せぇぇっ!!」
「何であんな事をしたんだ!嫌がらせにしても度が過ぎてるぞ!?」
「黙れ!黙れぇぇっ!!許さない!許さない!幸せそうにしやがって!!
お前の大切な物全部、めちゃくちゃにしてやるぅぅぅっ!!」
「誉……!!」
和は心底悲しそうに、辛そうに誉の名を呟いて、手を振り下ろす。
バシィッ!ビシッ!ビシッ!!
「わぁああああん!!」
「何で急にそんな事を言い出すんだ!?
お前と一緒に幸せになろうと、やり直している最中じゃないか!
私が幸せそうに見えるのは、お前がまた傍にいてくれるようになって、
更や尊もいて、大切な家族が揃ったからだ。それが嫌なのか!?」
「うるさぁぁい!!お前が大切なのは、あの妾と妾腹だろうがぁぁっ!
“大切にしたい”って!“最高”だって!うわぁあああん!!」
「!?さっき、更に言った事か……?誉、聞いていたのか……?」
「三人でよろしくやりたければ!余の事など放っておけばよかったのに!!
うわぁあああん!やっぱり貴様らなんぞに関わらなければよかったぁぁぁあっ!!」
大泣きする誉の言っている事を聞いて、和もだんだん誉があんな振る舞いをした
理由が分かってきて、誉の癇癪を無理やり宥めるようにお尻を思い切り叩く。
バシィッ!
「わぁああああん!」
「こら!落ち着きなさい!お前、あの話を聞いていたなら、私も更も
お前の事を大切に思っているのが分からなかったのか?」
「お前が!気持ち悪いくらいあの妾を褒め称えていたアレのどこから!
余が大切にされている事を聞き取れって言うんだクズがぁぁぁあっ!!」
「一番大事な所を聞き逃したらしいなぁ……ほら、誉!今一度良く聞け!」
ビシィッ!バシッ!!
「わぁああああんっ!!」
そろそろお尻も赤くなってきて泣きわめく誉に、一旦手を止めた和が穏やかな声色で言う。
「私は、“誉の事もありがとう、お前が誉を受け入れてくれてすごく心強い。
誉には穂摘にしてやれなかった分、私が傷つけてしまった分、
今度こそ、家族の温もりの中で幸せにしてあげたいと思ってる”と、更に言ったんだ。
それに対して更は“自分にも全力手伝わせてほしい”と、
“和様と穂摘様の大事なご子息だから、妃の地位に恥じぬよう、必ず幸せにしてみせる。
私は誉を、自分の息子同然に愛している”と、言ってくれていた。分かるか?」
パンッ!
「ひっ、いぅぅっ……!!?」
和が呼びかけるように軽くお尻を叩くと、誉は驚いたようにビクンと身を跳ねさせる。
そして、そんな誉に、和が困った様な声で言う。
「これでも、まだ何か不服か?」
「うっ、うぅっ……!!」
「納得できたなら、お母様に酷い事をした事を、じっくり反省してもらおうか」
「あぁああっ!ある!不服ならあるぅぅっ!!」
和にぐっと抱き直されて、手を振り下ろされる気配がして、とっさに誉は叫んだ。
「余の!余のお母様には労いの言葉は無しか薄情者!!」
とっさに叫んだものの、それは誉の本心で、和は悲しそうな顔で笑って
「そうか……そうだな。悪かった。穂摘……」
バシィッ!!
「んあぁっ!!」
誉のお尻を叩きながら、穂摘に語りかけるように言葉を続ける。
「誉を産んでくれてありがとう。きっと、今こうしてこの子が元気である事も……
お前が見守っていてくれているおかげだろう。本当に感謝してる」
ビシッ!バシィッ!!
「ひっ、あぁあああっ!うわぁああん!」
「生きていれば……きっと優しくて、素晴らしい母親になっただろうに、
お前を、母親にしてやれなくて……本当にっ……うっ……!!
許してくれ……!!守ってやれなくて、何もしてやれなくて、本当に済まなかった……!
愛してる……!私はずっとお前を想い続ける……永遠に……!!」
「お、おい……」
言葉を続けるうちに、泣き出した和に、誉が心配そうに呼びかける。
と、和は勢いよく涙を拭って
「っ、それで……お前の分まで、しっかりと誉を躾けるから!安心してくれ!」
ビシッ!バシッ!バシィィッ!!
「うわぁあああんっ!」
また強く、誉の赤くなったお尻を叩いて泣かせて叱りつけていた。
「いいか!?二度と更を……お母様を傷つけるような事をするな!
私への当てつけにしても最低の行為だぞ!?
穂摘だって今日お前のやった事を見て、ものすごく悲しんだはずだ!ごめんなさいは!?」
「ひっ!うわぁああああん!ごめんなさぁぁぁい!!もうしない!しないぃぃっ!」
バシッ!バシィッ!ビシッ!
「更にも謝るな!?」
「謝るぅぅっ!!うわぁあああん!ごめんなさぁぁい!!」
「……いや、事が事だから……もう少しだけお仕置きするか……」
「うわぁあああん!嫌だぁぁっ!痛いぃ!ごめんなさぁぁあい!ごめんなさぁぁい!」
痛みに耐えられなくなって、ジタバタしながら泣いている誉。
すると……
「和様……失礼します」
「更!?」
「!!?」
部屋に入って来た更に和は驚いていて、もちろん誉はもっと驚いていた。
「ご、ごめんなさい……誉に、話が……」
和を怖々チラチラ見つつ、更は和の膝の上でポカンとする誉に近づいて言う。
「誉……私、貴方にどんなに脅されたって、乱暴されたって、貴方なんか怖くない。
だって、貴方の“お母様”だから」
「え?は?」
「あんな事して。本当に、いけない子」
更は言うだけ言って、混乱する誉のお尻を平手で打つ。
パンッ!!
「ひゃぁぁっ!?」
「ごめんなさいは?」
「ごっ……ごめんなさい……」
一発だけのお仕置きを終えた更は、謝って呆然とする誉に笑いかけて、和にも気弱な笑顔を向ける。
「和様。私は、大丈夫ですから。許してあげてください」
「……分かった。お前に免じて」
和も笑って、誉は許された。



その後。
更と廊下を歩いている誉も、落ち着いてくるといつもの調子を取り戻し、
真っ赤な顔を更から逸らしつつ、悪態をついていた。
「あの程度で、余に勝ったつもりになるなよ妾!?お前のお仕置きなぞ、痛くもかゆくも無かったわ!」
「……誉」
「なっ、何だ!やるのか!?受けて立つぞ!」
誉が焦って身構えるが、更はおずおずと、
破れた手紙を取り出して見せ、嬉しそうに笑った。
「これ、ありがとうございます……」
「あっ……!う、嬉しくないだろう!?だからそれは……嫌がらせで……!」
「嬉しいです!!」
勢いよくそう言った更は、手紙を大事そうに抱きかかえて、ボロボロと嬉し涙を流した。
泣きながら、一生懸命に声を震わせる。
「例えっ、嫌がらせであっても!!嬉しいです!!大切に、します……!!」
「あ……ぁ……!!」
そんな更に、誉も顔を真っ赤にしてしどろもどろになって……
「お前なんぞに!余が嫌がらせする暇などあるわけないだろうが!
だからそれっ、それは!何と言うか……“母の日”だから!お前は!へらへら笑って受け取れば良い!!」
「はい……!はい!ありがとう、誉!!」
泣きながらニッコリと、嬉しそうに微笑んだ更を見て、誉も少し顔をほころばせた。



それを、見ていたのは尊と雪里で……尊が少し困った笑顔で明るく言う。
「あーあ〜……あんなにハードルあげられちゃ、私が渡しづらいなぁ〜〜……」
「姫様……!そんな!」
「ふふっ♪冗談よ!それに、いいの!今年はイイトコロは誉お兄様に譲ってあげるの!
来年からは二人でプレゼントできたらいいなぁ!」
「雪里もお二人が仲良くなれるように、お手伝いしますから!」
「ありがとう雪里」
尊と雪里も、嬉しそうに微笑み合った。


【おまけ】

尊「お母様!はい!母の日のプレゼント!」
更「まぁ……!ありがとう尊……!!」
尊「えへへ……こ、今年は!誉お兄様からももらったんでしょ!?良かったじゃない!
  嬉しかったでしょう!?」
更「ええ、嬉しかった。尊のプレゼントも、同じくらい嬉しいから……
  2倍嬉しい、素敵な母の日になったわ。ありがとう……」
尊「あっ……うっ……!!」
更「尊……おいで」
尊「うわぁああああああんっ!!ずるいずるい!誉お兄様ばっかりずるい!
  王様にならないのに!好き勝手してるのにお父様に愛されて!ワガママ言っても許されて!
  好きな人と、幸せになってもお父様に反対されない!それにお父様と一緒に寝てるし!
  うわぁああああああんっ!!」
更「色々、無理させてごめんね……でも、お父様は尊の事も、すごくすごく愛してるのよ?」
尊「分かってるぅぅぅ!!うわぁああああああんっ!!」



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気に入ったら押してやってください
【作品番号】youkaisin14

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