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妖怪御殿のとある一日 引っ越し後11
※ちょいエロ御殿
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妖怪御殿も今は夜。

浴室には帝とぬぬが二人っきり。

帝の背中を流していたぬぬが唐突に――

「……誉」

「ん?」

「俺……誉の事が好き。誉と、恋人になりたい」

******************

背中越しに聞こえた告白に、一瞬、目を見開いて硬直した帝。
無意識に開きかけた口を慌てて閉じて、いつも通りを装って言う。
「……何を言い出すかと思えば……ペットの分際で……冗談も大概にしろよ?」
「俺は冗談は言わない。本当に誉と、恋人同士になりたいと思った」
「だ、黙れ……黙れ、お前は余の、ペットで……」
「別にペットを辞めたいとは言ってない。ペットで恋人!新感覚!」
「何が目的だ!?」
大声で叫んだ帝が、勢いよく立ち上がって振り返る。
「別に今のままでも!!一緒にいる事もできるし!まぐわう事だってしてる!!
今更恋人になった所で、意味なんか無かろう!?何だ!?お前は余と対等の立場が欲しいのか!?」
怒った様な、酷く焦ったような帝の顔を、ぬぬは真剣に見つめて言った。
「確かに……過ごし方は変わらないかもしれない。でも、俺は誉と……恋人の絆が欲しい。
誉の命が危なかった時、俺だけが知ってた“誉”の名前が皆の知るところになった時……
今までより強い気持ちが生まれた。俺の誉への愛はペットのそれじゃない。って、
やっと本気で、“ペット”を越えたくなって。だから……」
「もういい黙れ!!いいか!?二度とペットの癖にふざけた口を聞くな!!
お前が余の恋人など、おこがましいにもほどが……」
「誉は俺の事嫌い?恋人、欲しくない?」
「恋人など……ッ!!」
食い下がるぬぬに、帝の目に涙が溢れる。
それを拭おうともせず、ハラハラと涙を零しながら声を震わせた。
「とうの昔に諦めた……!!このまま、誰に出会う事も無く、誰に愛される事も無く、
ここで一人で死ぬんだと……そう思って受け入れた……!!」
「誉……!!だったらなおさら!!」
感情のまま立ち上がって、帝を抱きしめようとしたぬぬは押し返される。
帝はぬぬから顔を背けて叫んだ。
「だって恋人になったらいつか別れるんだぞ!?裏切るんだぞ!?
恋人なんか要らない!絶対に裏切らない、ずっと一緒にいてくれる存在が欲しい!!
何の為にお前をペットにしたと思ってるんだ!!」
「!?」
思わぬ帝の反論に、押し返された格好でぬぬは硬直する。
そして、戸惑った声で説得する。
「べ、別に、恋人になったからと言って、別れるわけじゃない……!!
恋心姫と煤鬼や、麿と桜太郎を見てたら分かるはず……!!
俺は恋人になってもずっと、誉と一緒にいる!裏切ったりしない!!」
「あ奴らはそうでも!うちはそういう家系なんだ!!父親も!母親も!!恋人を裏切った!!
恋人とは破滅する血筋の呪いが掛かってるんだ!!」
「い、いやそれは……それは!!」
ぬぬは再び勢いづいて、今度こそ帝を強く抱きしめた。
「そんな呪いなんて無い!あったとしても、誉の代で消える!!俺が消してみせる!!
俺は誉を裏切らない、ずっと愛し続ける恋人になる!!」
「口では何とでも言える!!」
「じゃあ!!恋心姫みたいに俺の誉への愛を見てもらったら分かると思う!!誉、そういう能力は!?」
「あっ、あるわけなかろうが!!」
「だったら、俺を信じて!!誉はただ、頷いてくれるだけでいい!絶対幸せにする!!」
ぬぬが気持ちを込めるように、さらに強く帝を抱きしめると、帝から微かに吐息が漏れた。
熱くなっていく帝の体を抱きしめながら、絶対に遂げたい想いを、もう一度口に出す。
「誉、俺を恋人にして……今まで以上に、愛させて!!守らせて!!」
「わ、分かった!!しついこい奴め!!
う……裏切ったら、お前を殺して、余も死ぬからな!!」
それは投げやりのような叫びだったけれど、ぬぬはパッと心の中が明るくなるのを感じる。
嬉しそうに瞳を閉じて、感極まった声を出した。
「!!それでいい……!俺は、絶対そんな事させない!!」
「……じゃあ……今すぐここから出て行け!!」
「えっ……!!?」
告白成功のはずなのに、突然、突き放されたぬぬは呆然とする。
帝の方は、体を洗っていたタオルで体を隠す様に赤面しながら、ぬぬを怒鳴りつける。
「付き合った日に一緒に風呂に入るとか強姦魔かお前は!!早う出て行け!!早う!」
呆然としている間に、ぬぬはお風呂場から押し出されて、脱衣所へ放り出される。
バタンッ!!
「えっ……?」
大げさな音を立てて閉じた扉を、ぬぬはポカンと見つめて静止していた。



一週間後。
庭の片隅で座り込んで静止して動かないぬぬの傍で、恋心姫と煤鬼が心配そうに話しかけている。
「ぬぬ?帝とケンカしてるんですか??」
「いや、誉……帝と、付き合ってる……」
「「えっ!!?」」
目が死んでいるぬぬの言葉に恋心姫と煤鬼は顔を見合わせて驚く。
止まった空気を打ち消す様に、恋心姫が慌てて笑顔で明るい声を出す。
「よ、良かったじゃないですか!早く言ってくれれば!
じゃあ、何だか距離があると思ったのは妾達の勘違い……」
「……確かに前より距離が遠くなった……」
「な、何故ですか……?」
今にも崩れそうな恋心姫の戸惑い笑顔をよそに、ぬぬは淡々と言う。
「……“付き合いたてで、一緒に寝るのはおかしい!!”って……服と枕だけひったくられて、寝室も追い出されて、
お風呂も同じ理由で追い出されて、着替えさせるのも拒否されて、
とにかく体に触れないように、肌を見せないように、距離を取られて……今までずっと……」
そこまで言って、ぬぬは勢いよく顔を両手で覆う。
「俺は……俺は!!誉と付き合わない方が良かったんだろうか……!!?」
「ぬぬ!!気をしっかり持って!!」
「お前を意識朦朧になるまで犯しまくって涼しい顔してた奴が、驚異のカマトトぶりだなぁ……」
心配そうにぬぬの肩を持って寄り添う恋心姫と、困った顔で首をかしげる煤鬼。
ぬぬはスッと顔を上げて、再び死んだ目でつらつらと言葉を紡ぐ。
「……俺のプランでは、恋人として幸せに体を重ねつつ、頃合いを見て、
たまには俺が“上”になれないかと持ちかける予定……ここまでの見積もり、ざっと一か月……
でも、このペースだと、この計画は百年後くらいに……!!
俺を変に意識してすぐ赤くなる初々しい誉を見ながら、手を出せないなんて……修業を通り越して拷問……!!
自己流だけど修業もしてたし、自制心にはちょっと自信あったけど、もうダメ。辛い。俺、ホンット、所詮、獣だった。
極めつけは……“心配するな、来たるべき時が来たら、優しくしてやる”って……誉、恋人としても上になる気満々……!!」
「ぬ、ぬぬが、こんなにいっぱいお喋りするの、初めて聞きました……」
ひたすら苦悩を話し続けるぬぬを見て、完全に恋心姫は狼狽していて、
今度は煤鬼が一生懸命慰めようと声をかける。
「し、しかし!帝がそんな腑抜けになってるなら、簡単に関係は覆せるんじゃないか!?
要は段階を踏めばいいんだろう!?逢瀬の回数を稼ぎまくって徐々に押していけば、流れでお前が挿れる側に回れるじゃないか!」
「それに妾が思うに、なまじ経験があるだけに、帝もそのうち……えっちな事、我慢できなくなっちゃうんじゃないでしょうか……?
ぬぬ達も、妾達に負けず劣らず、えっちな事してたでしょう?」
「……ほま……帝は結構、辛い時とか、怒ってる時とか、
そういうのを俺への性行為で紛らわしていた感があるから……
あとは、気まぐれとか……性行為に貪欲かどうかは、正直よく分からない」
「最低な奴だな帝」
煤鬼が心底冷静にそう呟いたけれど、ぬぬの表情は少し明るくなって、目に光を取り戻した。
「……でも、そうか……!いずれは、性欲に耐え切れなくなった帝が、
涙目で発情しながら俺に性行為を求めてくる……そう思ったら、俺も我慢できる気がしてきた!
ありがとう二人とも!!」
「ぬぬが、元気になったなら……わ、妾達、嬉しいですよ!」
「我慢比べ、勝てよぬぬ?それで面白い話を聞かせてくれ!」
「頑張る!」
希望を持って立ち上がったぬぬに、恋心姫も煤鬼もホッとした顔をした。
そして、そのまま3人で“かくれんぼ”で遊んで楽しく過ごす。


しかし、そこからさらに数週間後。
庭の片隅で座り込んで顔をうずめて動かないぬぬの傍で、麿が心配そうにしている。
「辛い……俺、ホンット、所詮、獣。ホンット、獣。もう修業したとか言うのやめる……」
「た、大変だねぬぬ君……もうさ、帝さんと話し合ったらどうかな?
桜太郎君もね、変に、そういう気持ち抑えつけちゃうとこあるから、
この前“今後そういう気持ちになったら二人でどうにかしよう”って、話し合って決めたんだ……」
「!!?」
「僕らの事、参考になるか分からないけど……」
「……いや……もしかして、俺が変に遠慮してたら、帝も俺と同じように苦しんで……??
ちょっと帝の様子を見てくる!!ありがとう麿!!」
「えっ!?あ、うん!!頑張って!」
力強く走り出したぬぬの背中を、麿は大きく手を振って応援した。

その頃。
帝は自室で一人、机の上に広げたぬぬの服の襟のフワフワを手で弄びながら、
熱い吐息を漏らしていた。
「……はぁ……んっ……ぅ……!!」
空いているの方の手が、自身の胸元から徐々に下りて、そろそろと下半身へと伸ばされる。
甘く疼くその場所へ、指が触れては躊躇する。そうして迷うような刺激を続けていると……
「帝さん?」
「!?あ、あ!……桜太郎か……?」
帝は、ぬぬの服を一瞬で机の下へ押し込んで、平静を装って振り向く。
桜太郎はいつもどおり優しい笑顔で、穏やかに笑っていた。
「珍しく、ぼーっとしてました?お茶を淹れたので……居間で皆とお菓子、食べませんか?」
「……どう、するかな……」
「それとも、こちらに帝さんの分だけ持ってきましょうか?」
ドクンドクンと帝の心臓が脈打つ。
桜太郎を見つめる視線を上へ下へ往復させながら、無意識に舌なめずりをする。
微かにつり上がった口元から言葉が滑り落ちる。
「桜太郎、お前は……麿ともう、まぐわったか?」
「えっ!?あっ、いえ……まだ……!!」
一瞬にして赤面して、顔を俯ける桜太郎。
怒る事さえ忘れて恥じらっている彼を見て、帝の悪戯心は一気に膨れ上がる。
体をじりじりと桜太郎に寄せ、一気に抱き付いた。
「!?ちょっ、帝さん!!?」
「ふふっ♪麿は手の遅い男よのぅ……なぁ、桜太郎?それならさぞ、欲求不満だろう?余が慰めてやろうか?」
「ッ、結構です!! わっ、悪ふざけが過ぎますよ!?もっ、やめて下さい!
麿さんを呼びますよ!?あぁっ、麿さ……――あ……」
「どうしたぁ?麿を呼ぶんじゃなかったのか〜〜??」
桜太郎に顔をうずめて、からかうようにそう言いながら体を撫でまわす帝は……
「“父親も母親も恋人を裏切った”……“そういう家系”……なるほど納得。血筋って怖い……」
「!!?」
聞こえてきた冷たい声に、一気に体温が下がって顔を上げる。
案の定、部屋にいたぬぬが恐ろしいほど冷静に帝を見ていて、その姿を見た途端、帝の体から力が抜けた。
「桜太郎、大丈夫?ここは俺に任せて、逃げて」
「は、はい……!!」
桜太郎は走って部屋から出て行く。
「あっ……」
帝はまともな声も出せず、無意識に自分を守るために手を前に突き出すが、
ぬぬは無表情で一歩、二歩と近づいてくる。
「誉……俺が裏切らなくても、誉が裏切ったら意味が無い……」
「ち、違う……!今のは、いつもの、悪ふざけで……!!」
「ふざけてできるなら、本気なら造作もない事……我慢してた俺がバカだった」
「やっ……やめ……」
帝が最後まで言い切る前に、ものすごい勢いで押し倒されて体を畳に打ち付ける。
「つぅッ!やめ、やめろ!!待て!そんな!!いきなり!わぁああっ!!」
「誉は俺の恋人になった。なのに、その自覚が足りない。ちゃんと自覚させてあげる」
ぬぬは暴れる帝を押さえ込みながら、帝の着物を思い切り両側に肌蹴て、
上半身を曝け出された帝が怯えたような悲鳴を上げる。
「やっ、やだぁぁっ!!んんっ!!」
「ちゅっ……んっ、ぴちゃっ……ちゅぅっ……!!」
ぬぬは悲鳴の上に被せるように口付けて、舌を絡ませたり吸ったり、
とにかく積極的に、好き勝手帝の口の中を蹂躙する。
時折漏れる苦しげで色っぽい帝の吐息にゾクゾクしながら、自分優位のキスを堪能して唇を離すと、
涙を浮かべて息を切らせた帝が必死に喚いていた。
「はっ、はぁっ、待って!待ってぇッ!嫌だ!やめて!
犯さないで!!犯されるのは無理ぃっ!!あっ、あぁっ!!」
「誉は感じやすいから……っ、素質、あると思う……!!」
素肌に触れただけで過剰反応する帝の姿で
擦り切れてしまいそうな理性の糸を必死で保って、今度は帝の下半身の着物を肌蹴ようとする。
と、帝は余計に喚き散らす。閉じた目から涙が流れる。
「やぁめぇてぇぇっ!!うっ、あぁあん!やだっ、やだぁぁっ!」
「怯えて泣いてる姿もむちゃくちゃ興奮する……!!」
「うわぁあああん!!ゲス野郎がぁぁっ!!」
「どっちが!!」
ぺちっ。
弱い音で軽く頬を叩いて、それでも、帝は目を閉じて半泣きの声を出していた。
「ひっ!ぬぬが叩いたぁぁッ!!」
「……はぁ。でもさすがに、怯える誉に無理やり突っ込むのは可哀想だからやめる。
今のも叩き甲斐が無くて、気が晴れない。誉、どこなら思いっきり叩いていい?」
「そんな場所、あるわけっ……」
「どこならいい?!」
「うわぁああん!!怒鳴るなぁッ!!」
「ごめん怒ってるから!!どこなら思いっきり叩いていい!?
さっさと答えて!!適当に決める!?」
「うっ……うぁあああああんっ!!」
「あぁそう!じゃあ適当に決める!ど・こ・に……」
そう言いながら、ぬぬは帝の頭や頬や太ももを指差す様に軽く指で突いて……
体を起こして、帝の体を膝の上に乗せる。そして引き続き、
「し・よ・う・か・な!!ハイ決定!!」
背中や両手を軽く突いて指差して、最終的にお尻を指差していた。
改めて着物の裾を捲られて、帝が真っ赤な顔で大声を上げる。
「絶ぇぇっ対、お前適当じゃないだろうがぁぁぁぁっ!!」
「誉が元気だからいっぱいお尻お仕置きできそうで嬉しい!!」
「バカ!バカぁぁぁっ!!」
バシィッ!!
「うわぁああああんっ!!」
半泣きながらも威勢よく反抗していた帝は、一発強く、褌越しの裸のお尻を叩かれてやっぱり半泣きの悲鳴を上げる。
冷たい視線でそれを見下ろすぬぬは、力強くもう一度手を振り下ろした。
「誉……とりあえず……ここまで一ッッ言も、謝罪の言葉が出てこない事が俺は信じられない!!」
バシィッ!ビシィッ!!
「ごめんなさぁぁい!!」
「……。今日はお仕置きしてる間ずっと、謝り続けて。気が向いたら許してあげる」
「はぁっ!?なっ、何言って……そんなの……!!」
バシィッ!バシッ!ビシッ!!
「ひゃぁあああんっ!痛い!痛いぃっ!!」
有無を言わさず平手を振り下ろすぬぬは、相変わらずの感情の無い声で言う。
「謝り続けて。でないと……俺は何をするか分からない」
「うっ、うぅっ……あぁああんっ!!」
「誉ぇ?まさか、聞こえない事は……無いと思うけど……」
バシッ!ビシィッ!バシッ!!
「あっ、あぁあっ!!分かった!!分かったぁぁっ!!」
「ならいい」
「んっ、うぅっ……ごっ……!!」
バシィッ!!ビシッ!ビシィッ!!
「ごめんなさぁぁい!ごめんなさい!ごめんなさいっ!!うあぁああんっ!」
何か反抗的な兆しが見えるたび、ぬぬがお尻を叩くので、帝はぬぬの言う通りに謝り続けるしかなかった。
帝の声がどんなに泣き声に近くてもどんなに抵抗しても、素知らぬ顔でぬぬはお尻を叩きながら帝を諌める。
「桜太郎はもう麿と付き合ってる。イヤラシイ事をしたら、桜太郎も麿も可哀想。
誉も俺と付き合う事になったし、いい加減、セクハラはやめるべき。てか、やめてお願いだから」
「わ、分かった!!やめる!ごめんなさい!!やめるからぁっ!!」
「麿だってきっと今日の事聞いたら、怒る。……桜太郎が、告げ口をするかは分からないけれど」
「んあぁあっ!!ごめんなさい!ごめんなさぁい!!ごめんなさい!!ひぁああんっ!」
バシィッ!バシィッ!ビシィッ!!
「麿だって、怒ったら怖いと思う。そもそも桜太郎だって怒ったら怖い。
誉は煤鬼にお仕置きされる事しか警戒してないみたいだけれど……あんまり皆を舐めない方がいい。
もちろん俺だって怒ったら怖いって事……」
バシィッ!!
「うわぁああんっ!ごめんなさい!ごめんなさぁぁい!!」
「……そろそろ、分かってくれてもいいと思うけど」
大声でもないのに、恐ろしいほどの威圧感を醸し出す声が、囁くようにこう続ける。
「道具でも使わないと分かってもらえない?」
「嫌だぁ!!ごめんなさい!分かってる!ごめんなさい!ごめんなさぁぁい!!」
「ふふっ……いい子 必死に謝る誉可愛い
恐ろしさで必死で謝っているものの、こうやって笑われると気に食わなくなる帝が、機嫌悪く叫ぶ。
「ッ!!余が必死で謝ってやってるのに、からかうなぁぁっ!!」
バシィッ!!ビシィッ!ビシッ!!
「あぁあああん!!」
「――ごめんなさいは?」
「ごめんなさぁぁい!ごめんなさい!!」
けれど、やっぱり絶対零度の威圧で謝らされ続ける。
さらには――
「……あと、細かいようで悪いけれど“謝ってやってる”とかそういう上から目線の態度は……
何て言うか……お仕置きされる側の態度としては……」
「ひっ!?待て!待てやめろ!!違っ、ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
「余計、お仕置きされることになるから気を付けて」
ビシィッ!バシィッ!バシィッ!!
「うわぁあああん!ごめんなさい!!ごめんなさぁああい!!あぁああん!!」
思わぬ墓穴を掘ったりして。
そろそろ本格的に泣き出している帝へと、またぬぬの嬉しそうな声が掛かる。
「誉ぇっ もうお尻真っ赤になってる……反省できてる?」
「うわぁああん!言うなぁ!ごめんなさい!ごめんなさい!!
わぁああん!何回も謝ってるだろうがぁぁッ!!」
「素直に謝るのは大事だけれど、ただ謝るだけだったら意味が無い。
反省して、心から謝る事が一番大事。誉はその点、すぐ反抗的になるからボロボロ……」
バシッ!バシィッ!!
「うぁあああん!ごめんなさぁぁい!!もう嫌だぁぁ痛いぃぃっ!!」
長らく厳しく叩かれたおかげで真っ赤になっているお尻にも、ぬぬは容赦なく平手を振り下ろして、
「本気で反省できてる?もうしない?」
そう聞かれた時には、帝は必死で泣き喚いた。
「ごめんなさい!もうしない!もう本当にしないからぁぁ!!わぁあああん!!」
「その、心からの感じで……桜太郎や麿に謝って。分かった?」
「麿、には……!!」
ビシィッ!バシィッ!!バシィッ!!
「分かった!分かった麿にも謝るぅぅっ!!ごめんなさぁぁあい!!」
「……今日は初回サービスで許してあげる。次、恋人としての道徳に背く行為を見つけたら承知しない」
「うぅっ、あぁああん!分かったぁぁっ!!」
小さくため息をついたぬぬは、ここで手を止めた。
そして、帝のお尻を撫でながら、うっとりと言う。
「……本当に、お尻真っ赤になった キスマークとどっちが長く残ると思う?」
「知るか変態!!」
そう叫びながらも、顔を伏せて大人しくお尻を撫でられている帝。
そして……
(そう言えば……誉をお仕置きしたら、何だか性欲が消えてスッキリした!
もうしばらく我慢できそう!!)
(ぬぬが、尻なんて叩くから……ムラムラしていたのが吹き飛んだな……。
まぁ、付き合ってすぐ体を許すのも変だし……良かった、か……)
もうしばらくお仕置きの体勢のまま、お互い考え事をする二人だった。


ちなみにその後、帝の元には迫力無く怒っている麿が抗議に来たりする。
「帝さんもぉぉおおっ!桜太郎君にセクハラするの勘弁してくださいよぉぉおお!!
僕の恋人なんですからぁぁああっ!!」
「……はは。すまんすまん。桜太郎は愛らしいから……つい、な♪」
ニコニコしながら一応は“謝る”帝。
そうすると、麿は困り顔を真剣にして、声のトーンを下げ目に言う。
「――ぬぬ君にはお仕置きされました?今度やったら僕も、本気で怒りますからね?」
「ほ――ぉ?本気で……なぁ?図に乗るなよ麿?」
しかし、帝も負けじと笑顔で麿を脅しつつ、麿の胸倉を掴むと……
「すすすすみませぇぇん!!でも僕本気ですからぁぁぁッ!!」
やっぱり情けない声を上げる麿。
ぬぬが心の中で応援していた。
(麿……!!体の大きさでは勝ってるから頑張れ……!!)


【おまけ】

ぬぬ「“ペット”としてならめちゃくちゃ犯してもらえる事が分かった!!誉、久しぶりに激しかった……
煤鬼「……それでいいのか?」
ぬぬ「すっごく良かった……!!」
煤鬼「……いや、うん。お前が満足ならいい。(気持ちは分からんでもない、しな……)」



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【作品番号】youkaisin11

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