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妖怪御殿のとある一日4 |
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※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 妖怪の為なら土下座もできる! 妖怪研究家の麿拙者麿(まろせっしゃまろ)だよ! 昨日は帝(みかど)さんが遊びに来てくれてちょっと得した気分だったよ! 帝さん、ほとんど向こうから来てくれないから! 帝さんやぬぬ君は、僕が話せば楽しくお話してくれるんだけど、 いまだににミステリアスな雰囲気漂う二人だからね! 今日もみんな元気かなぁ……! ん〜〜!研究したぁい!! ******************** そしてこちらは妖怪たちの住む「妖怪御殿」。 先日、桜太郎が行方不明になった件で、真相を黙っていたぬぬは、 帝に『罰は受ける』と言ったものの、あれから何のお咎めも無かった。 今も二人同じ部屋にいるが、帝は静かに本を読んでいる。 しかし、ぬぬは考えた。 (きっと、俺から“お仕置きしてくれ”と言うのを待っているのだろう。 このまま、知らん顔をしていたら、酷い目に遭わされそうだ) なので、思い切って帝に声をかける。 「帝」 「ん?」 帝が本から目を離してぬぬを見た。 それだけで緊張したけれど、ぬぬは言葉を続ける。 「この前の……桜太郎の事、ごめんなさい。俺は『罰は受ける』と言ったし、お仕置きしてほしい。 帝の都合のいい時で、いいけれど」 「ああ、その事か!」 帝はにっこりと笑った。 いつもながら華やかで何を考えているのか分からない笑みだ。 「いやぁ、桜太郎に、“ぬぬも桜太郎の事を黙っていたからお仕置きする”と言ったら真っ白な顔で止められてな!」 「!?」 「“ぬぬは関係ないから、罰するなら自分を”と……必死で言うから。 でもさすがに、そなたと煤鬼にもう叩かれてる事だし、 余は“桜太郎のちょっと嫌がる事”でお仕置きさせてもらったよ」 「…………」 「健気なもので、少しも抵抗しなかった。 全く、桜太郎の反応は初々しいから、触り甲斐は一番だな!」 (可哀想に……) ぬぬは内心ため息をつく。 帝は桜太郎に……ごくたまに煤鬼にも、セクハラをしているが、 今回のように半分脅しで抵抗を塞ぐのは悪趣味だ。 恋心姫には手を出さない分別と、からかう程度で本当に皆を傷つけるレベルまではいかない自重は信じているけれど、 煤鬼や、特に桜太郎の事は不憫に思う。 全部自分にくればいいのにと常々思う。 そもそも、こんな話を笑って言うのがまた…… 「そう言うわけだから、桜太郎の健気さに免じてそなたの事は許そうと思う。良かったな」 「…………」 結果的にはこう言われたけれど、ぬぬは悩んでいた。 (ここで“ありがとうございます”と喜んでしまっていいのだろうか? もしかして、油断させて俺を試しているのか?) 全ては帝のさじ加減だ。機嫌を損ねたらお仕置きは倍になる。 けれどぬぬにも、帝は読めないところがあるので…… (下手に喜んで、帝の機嫌を損ねるよりは……怖いけれど、 もう一押ししてお仕置きしてもらった方が、帝も感心して心穏やかに、 怒らせた時よりはましなお仕置きに……) ぬぬがアレコレ考えていると、帝が首をかしげている。 「ぬぬ?」 (あまり黙っているのも良くない!もうひと押し“お仕置きしてくれ”と言おう!) そう決意したぬぬが口を開くより、帝の次の一言が早かった。 「“ありがとうございます”は?」 「!!」 すでに良くない感じを察知したぬぬは慌てて返事をした。 「いや!やっぱり、自分のしたことに対する責任は自分で取らないと! ここで“ありがとうございます”と言うわけにはいかない! 帝、やっぱり俺をお仕置きしてほしい!!」 「今考えた言い訳か?」 「ち、違う……違います……」 語尾が弱くなってくるぬぬをの頭を、帝が撫でた。 「ぬぬ、そなたは余の顔色を伺い過ぎだ。 許してやると言ったら“ありがとうございます”でいい。 よっぽどの事で無い限り、そこまで理不尽はせぬよ」 「帝……」 「ただ、今日はそなたが頑張るつもりらしいから、 きっちりお仕置きさせてもらうけれどな」 「……お願いします」 「そこは言えたか。よし、じゃあ尻を出して四つん這いになれ」 何とも軽い号令だけれど、ぬぬは緊張しながら帝の言うとおりにした。 ズボンと下着を下ろして四つん這いになると、すぐに音と痛みを感じる。 バシッ!! 「うっ!!」 「余に隠し事をした事も、それはそれで腹が立つけれど、 姫のあの状態を見てよく黙っていられたな?」 ビシッ!バシッ!ビシッ! 帝にお尻を打たれながらも、ぬぬは頑張って答える。 「恋心姫は……煤鬼が、ついていれば大丈夫だと思った……!! 桜太郎のした事の重さを、なるべく、そのまま本人に感じて欲しかった……!! 心配させればさせるだけ、桜太郎の罪は重くなると思ったから、 桜太郎には……それで、たくさんお仕置きされて、反省して欲しかった!!」 「黙っていたならそなたも共犯状態になるというのに」 「あっうっ、ごめんなさい……!」 ビシッ!バシィッ!ビシッ!! 「桜太郎が、んっ、きちんと正直に謝るのかも、みたかった…… 嘘を、ついていたけど……」 「怖くなることは誰にでもあろう。ましてや、こんな風に尻を叩かれると分かっていれば」 ビシッ!! 「うぁっ!!」 不意に強く叩かれで大声が出たけれど、体だけは動かないように何とかとどまらせる。 そこからは、無言でただ叩かれるだけになった。 ビシッ!バシッ!バシッ!ビシッ! 「……っ、……くっ……!!」 ぬぬは黙って耐えようと思ったけれども、 叩かれれば叩かれるだけ痛みはハッキリとしてくる。 お尻も赤くなってきて、耐え切れず、ぬぬは声を上げた。 「ごめんなさい!ごめん、なさい!あぁっ!帝っ……!!」 「そなたの言い分は大体分かった。が、皆を心配させる隠し事はやはり良くないな」 とりあえずは帝から反応が返ってきた事にホッとするぬぬ。 まだお尻を叩かれている事には変わりないけれど。 ビシッ!バシッ!バシィッ!! 「ごっ、ごめんなさい!!」 「桜太郎の事を報告した上で、そう言ってくれれば、 余が直々に桜太郎をたっぷり反省させてやったのに。そなたにするみたいに」 「うっ、うぅっ……!!」 「そしたら、そなたも泣かずに済んだのにな。愚かよのぉ」 ビシッ!バシッ!ビシッ!バシンッ! 「んぅうっ!みかっ……みか…様……ごめん、なさっ……許し……!!」 「余のペットならもっと賢く立ち振る舞えよ?」 バシィッ!! 「ひゃぁぁっ!!」 赤くなっている上、叩かれ続けているお尻をまた強く叩かれて、 本当に我慢が出来なくなった。 ぬぬは涙声で喚くように謝る。 「ごめんなさい!!帝様っ……あぁうっ!は、あぁあっ、ほ、誉(ほまれ)様、ごめんなさい!!うっ、うぅ!!」 「あと、媚びるならもっと可愛らしくな」 ビシィッ!バシィッ!バシィッ!! 「ごめんなさい!ごめんなさい!!」 姿勢を崩してしまいそうになりながら、涙が流れても、ぬぬは必死で謝るしかない。 どうにか帝の気が鎮まる様に祈りながら。 「うぁあっ!お願いですっ、誉様、もう……もう、許して、下さい!」 「みだりにその名を呼ぶでないぞ?一応、隠してあるのだから」 「ごめんなさっ……ごめんなさい……!!うぁああっ!誉様ぁ!!」 「言った傍から」 バシィッ!ビシィッ!バシッ! 「うぁあああっ!っ、ごめんなさい!!うわぁあああん!!」 「……まぁ、いいか」 ぬぬが声を上げて泣いたら、帝はあっさりと手を止める。 「これからは隠し事をするなよ?」 「うっ、ぐすっ、は、はい……!」 「しばらくそのままな」 「はい……」 帝はまた本を読み始めて、ぬぬはそのままじっとしていた。 しばらくして落ち着いてくると (桜太郎の我慢を無駄にしてしまったな……ここへ来なければいいけど……) と、思うぬぬであった。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 気に入ったら押してやってください 【作品番号】youkai4 TOP>小説 戻る 進む |