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妖怪御殿のとある一日4.5
注:18禁
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僕の作った妖怪ソング、聞く?
妖怪研究家の麿拙者麿(まろせっしゃまろ)だよ!

今日のお客様は桜太郎君!
いつもみたいに楽しく世間話と言うか、ママ友(?)トークできるかなぁ、
と思ったけど、桜太郎君は何だか神妙な面持ちだ。
それに何だろう、大きめの布バッグ……?

今日も何か悩み事があるのかな??

********************

ここは「妖怪御殿」ではなく自称妖怪研究家・麿拙者麿の家。
桜太郎は大きめの布バッグを持ったまま、麿に申し訳なさそうに言う。
「麿さん……来て早々申し訳ないのですが、今日はお部屋を貸していただきたいんです」
「部屋?!え、あ、構わないよ?何か作業?」
「はい……それで、鍵のかかるお部屋とか、あります?」
「えーと、残念ながら……」
「そうですか……」
残念そうに俯いて何かを考え込む桜太郎。
麿が慌ててフォローするように言う。
「あの!何か秘密の作業かな?!僕、別に覗かないし!」
「……本当に、変なご相談で申し訳ないです。
人様のお家で図々しいのですが……
あの、絶対に、覗かないでくださいね?お願いしますね?」
「分かった!約束するよ!あ、はは!“桜太郎君の恩返し”かな!」
「……確かに、覗かれてしまったら二度と麿さんに会えないかも……」
「えっ!?」
「何でも無いです!気にしないでください!では、その……行ってきますね!」
何やら歯切れの悪い桜太郎が荷物を持って立ち上がる。
麿も片手をあげて見送った。
「うん!好きな部屋使ってね!あ、荷物置いて行っていいよ?」
「いえ、お構いなく!!」
桜太郎は荷物を持ったまま行ってしまって……
「…………」
麿は不思議に思ったけれど、無理やり気にせず過ごすことにした。



一方、部屋を借りた桜太郎。
麿と話した部屋からは、一番遠いこの部屋の障子扉をしめてソワソワしていた。
「……つっかえ棒か、戸の前を塞ぐもの、用意すべきか……
ううん、麿さんは覗かないって、約束してくれた!信じましょう!
あぁ、人様のお家で私は何を……!!いいえ、躊躇してるヒマはないです!
早く済ませなければ!!」
桜太郎は意を決して部屋の壁際へ行き、
持ってきたカバンの中から綺麗に畳まれて重ねたタオルを取り出して、床へ置く。
「よし……!!」
そして、おもむろにズボンと下着をずり下ろすと
壁に背を預ける様に座って足を開いた。
(家の皆には見つかるわけには……と、いうか見られたら何を言われるか分からないし!!
こうするしかなかったんです!これは作業だから、必要作業だから、
私は悪くない、悪い事じゃない……あぁ、早く終わらせたい……!!)
何を隠そう桜太郎、ここへ自慰をしに来た。
普段は皆が完全に家からいない時を見計らって励むほどの徹底隠しぶりで、最近は運悪くタイミングが見つからず。
しかしやらないとやらないで困るし、困り果てて麿の家を借りる事を思いついたのだ。
桜太郎は、胸元を握った手を、恐る恐る股間へと伸ばす。
軽く握ると自分で分かっていても声が出て、
「んっ……」
自分でハッとした。
(そうだ……声、抑えないと……)
そう思い直して、慎重に手を動かしていく。
「はぁ、はぁっ……」
息をひそめ、ゆっくりと下へ上へ。
じわじわと、快感にも満たない刺激を自分へ与えながら桜太郎は考えた。
(とはいえ……今日は何を考えて事に臨めばいいのでしょうか……?)
桜太郎は頭の中で探していた。自分の気持ちを高めるもの。
体の快感を補助してもらうもの。いわゆる“おかず”。
しかし、知識としての“性”以外には疎い、むしろ潔癖なところもある桜太郎。
しかも性的な経験は皆無に等しい彼の使える“おかず”はごく限られていた。
(帝さんに、触られた事……?うぅ、毎度ながら、こんな事考えながらするなんて、
私が変態みたい……帝さんにも申し訳ないし……!)
皮肉にも、帝にされる“セクハラ”が唯一彼の体感した“ちょっと気持ちいい事”だったりする。
こういう時に仕方なく思い出して使う事も多かった。
けれどそれも……
(うぅ、若干やり尽くした感が……何だか、盛り上がらないし……
もっと他の……いやらしい事……
あぁもう!そんなの私が考えられるわけないじゃないですかぁ!!)
普段、いたずらに性的な興奮を高める情報はむしろ身の回りから排除傾向にある桜太郎は、
こういう時に思い浮かべるストックが無かった。
加えて、他人の家でする緊張で、手を一生懸命動かしてもイマイチのって来ない。
気ばかりが焦ってくる。
(でも、早く達しないと……いやらしい事、う〜ん……ココノ姫とススキがやってるような事?
夜、寝室の、壁の向こうを、想像して……いいわけないじゃないですか!!ダメ!絶対ダメです!
あの子達のいやらしい姿を想像するなんて!保護者代わりとしては死んだ方がいいです!!)
必死に股間も頭の中もこねくり回す。
けれど、一向に希望は見えず……
(どう……しよう……全然分かりません……早く、しないと……
いやらしい事、いやらしい事……何かこう……
私の様な恋愛経験の無い者でも体感的に想像しやすそうな……)
じわりじわりと、寄せては返す波の様なほんのりとした気持ち良さ。
そんな中で桜太郎の思考は徐々に固まってきたようだ。
(キス、とか……?でも、誰と……家の皆を汚すわけには……
こうなったら幼馴染の桜衛門と桜之助を……って、あんまり記憶が無いです!!
木が!満開の桜の木が見える!誰か……誰か……!!)
助けを求める桜太郎の頭に、一人浮かんだ人物がいた。
(麿さん……?
いけません!!いつもお世話になってる麿さんでそんな!下賤な妄想を!!
でも、しかし……家族を、犠牲にはできない……!!麿さん……!)
一度は踏みとどまったものの、背に腹は代えられない。
決死の桜太郎は頭の中で何度も麿に謝った。
(ごめんなさい!申し訳ないです!麿さん……!このお詫びは必ずしますから!
今だけ、頭の中だけ、……私の、キスの相手にさせてくださいね……!)
そして、罪悪感を振り切り、思い切って麿とキスをする妄想を始めた。
「はぁっ、あっ……!!」
重なる唇。自分を抱きしめてくれる腕。感じる体温。
出来るだけリアルに、興奮するように、そのための妄想。
(麿さん、優しいからこんな風に……)
やがて妄想の中の麿は、桜太郎と唇を重ねながら、体をまさぐり始める。
帝にセクハラされた記憶と混濁したらしい。
それでも桜太郎、やっと盛り上がってきたようだ。
「んっ……麿さん……麿、さんっ……!」
必死で、気持ち良さそうに股間を擦り立てていた。


一方、部屋でのんびりしていた麿はある異変に気付く。
「ん?何か、いい匂い?この匂い……桜……?」
気づいたらほんのり香る桜の香り。
そしてハッとした。
「桜!?桜太郎君!?いや、気のせい!鼻がおかしいんだ!
待って、でも、気のせいじゃなかったとしたら……!?」
前にも同じような事があった。
酔っている桜太郎に近づいた時、桜の香りがしたのだ。
だとしたら、と、麿は慌てた。
「桜太郎君、また酔ってるのかな!?あのカバンの中身はお酒!?
お家で禁止されたからこっそり飲みに来たとか!?大変だ!!」
すぐさま、桜太郎を探そうと立ち上がる。
けれど、そこで一旦固まる。
「あ、でも……分からないし……覗くなって……でも!桜太郎君にもしものことがあったら……!!」
“覗くな”と言われた、でも心配。そんな葛藤。
悩んで、麿は決めた。
「少しだけ、扉の外に立ってみよう……!!それで、危なそうなら助ければいいし!」
やっぱり麿は桜太郎を探しに出かけた。


そして、桜太郎がいるであろう部屋を見つけたはいいが……
「んっ……あっ、はぁっ……!!」
(桜太郎君の、声!?え、でも……何だか……)
聞こえてくるのは桜太郎の艶めかしい声。
麿は一瞬にしてドキドキしてしまった。
それでも声は途切れることなく響く。
「やっ……んっ……!!」
(だめ、ダメだよ……覗くなって……でも、もし、苦しがってたら……いけないし……!!)
本当は、分かり切っていた。明らかに苦しんでいる声ではない。
だからこそ、麿は覗きたい衝動を抑えられない。
もっともらしい理由をつけてでも、覗きたかった。
障子戸に手をかけて、スッと音も無く少しだけ開いた。
(ごめんね!桜太郎君!君が心配で……うわぁああああっ!!)
麿は目の前の光景のあまりの衝撃に、心の中で大絶叫し、物理的にも必死で口を塞いだ。
(あがっ……あああアレって……!!)
桜太郎の自慰姿をバッチリと見てしまったのだ。
頬を染めて、控えめな嬌声を漏らし、
興奮気味に自身の枝を擦り立てる桜太郎の姿を。
桜太郎は覗かれている事にも気づかないで、自慰を続けている。
「麿さんっ……はぁっ、あぁっ、麿さん……!!」
(僕の名前……!?い、いや!きっと知り合いに栗の木がいるんだよ!マロンさん!
……マロンさんいいなぁ!って!何考えてんだ僕!!)
必死な桜太郎を必死で見つめてしまう麿。
まさに桜色の頬に、桜色の唇は力なく開かれていて、色っぽい吐息を漏らす。
目を閉じかけたり開いたり、ふわふわした表情。
手を滑らせる、キラキラ光る枝も桜色……
(桜太郎君……可愛いな……)
「はぁっ、はぁっ、私っ……んっ、くぅっ!!」
(とってもいい匂い……何だか、頭がクラクラして、僕まで……)
桜太郎が高ぶれば高ぶるほど、桜の香りがますます濃くなっている気がして、
麿も興奮に酔ってしまいそうになっていた。
そして、ついに。
「あっ、んんっ!!」
「あっ!!」
ガタッ!!
桜太郎の絶頂に食いついた麿が障子戸を開けてしまった。
しかも音を立てて。
結果、桜太郎と呆然と見つめ合う事に。
「「………………」」
沈黙。
しかし、みるみるうちに桜太郎は真っ赤になって表情が引きつる。
「ひっ、ぎっ……」
「さ、桜太郎君!違うんだこれは……」
「うわぁあああいやぁあああああああっ!!」
桜太郎渾身の悲鳴と共に、麿の顎めがけて植物の蔓のような塊が吹き上がる。
そのまま麿を突き上げ、綺麗なアッパーカットが決まった。
「ごべぼっ!!」
麿はそのまま気を失った。




「――さん!麿さん!!お願い、目を開けてください!!」
「んっ……ん?」
「麿さん!良かった!ど、どこか怪我は無いですか!?」
「うっ……」
麿は桜太郎の声で目を覚ました。まださっきの部屋らしい。
後頭部は痛むけれど幸いにも、起き上がれそうだ。
ので、泣きそうな顔で自分を見つめる桜太郎に、心配かけまいと起き上がった。
「ううん……頭、打っただけかな?平気だよ?テテ……」
「麿さん……!!」
桜太郎が麿に抱き付く。
そして泣き出してしまった。
「ご、ごめんなさい!私、ごめんなさぁぁぁい!!」
「桜太郎君……!!」
「ごめんなさい!!私……あの、私……私っ……!!」
涙ながらに、顔を真っ赤にして、何かを必死で言おうとしている桜太郎。
麿はとっさに(言わせてはいけない!)と桜太郎を怒鳴りつける。
「酷いじゃないか桜太郎君!いきなり殴りつけるなんて!確かに、覗くなって言われて覗いた僕が悪いけど!
でも植物で殴ること無いよ!麿は怒っております!」
「えっ……!」
「だっ、ダイエットメニューをこなしてたならそう言ってよね!
僕は桜太郎君が腹筋運動してるとこしか見てないよ!もう、桜太郎君ったら……えいっ!!」
麿は驚いている桜太郎をそのまま膝の上へ引っ張り乗せた。
「ひゃっ!?」
「そういう暴力的なバイオレンス桜太郎君はお尻100叩きの刑!いいね!?」
ズボンと下着はすでにずり落ちていて、これもさっきのままらしい。
桜太郎が倒れた自分に驚いて、服を着るのも忘れて自分に呼びかけてくれていたのだと、
温かい気持ちになった。
けれど麿は、桜太郎の裸のお尻を平手で叩いた。
パンッ!!
「ぅあっ!?」
パンッ!パンッ!パンッ!
「あっ!麿さんっ、私っ、んんっ、あぁっ!!」
「バイオレンスはダメだよ!」
「やっ、ご、ごめんなさい!!」
パンッ!パンッ!パシンッ!
何度か強めに叩いて、桜太郎の悲鳴を聞いて、麿は思う。
(も、もうそろそろいいかな……“お仕置き”されたって事で、桜太郎君の申し訳なさも消えたと思うけど)
元々は勢いで誤魔化すために、あと桜太郎が気に病まないように始めたお仕置きで、
本当に100もお尻を叩く気も無かったので、麿は手を止めようと桜太郎に声をかけた。
「でもさ、桜太郎君……良く考えたら、
僕が桜太郎君の覗かれたくない所を覗いてしまったから、桜太郎君ビックリしたんだよね」
「あ、ぅっ、麿、さんっ……!!」
パンッ!ピシッ!
「桜太郎君は人間ではないから、とっさの力加減が人間より強かっただけなんだよね。
だから、そんなに悪い子じゃない気がしてきたよ」
パンッ!パンッ!パンッ!
「はぁっ、あっ!!」
「だから、ね、もう許してあげる(これでよし!)」
そう言って、麿は手を止める。
けれど、桜太郎から返ってきたのは意外な言葉だった。
「……いいえ、麿さん……私、麿さんにとても酷い事をしました」
桜太郎の声は泣きそうに震えていた。
そのまま、言葉を続ける。
「ですから、麿さんに、泣くまでお尻を打たれるくらいじゃないと……
っ、申し訳が立たなっ……うぅぅっ!!」
(もう泣いちゃってるよ桜太郎君!!)
涙で声を詰まらせえた桜太郎は、再び声を落ち着けて懇願する。
「お、お願いです……!100叩き、なんでしょう?そのくらい、叩いてください……!!」
「桜太郎君……(部屋でオナニーしてたこと、気にしてるのかな?)」
麿は一瞬、これ以上叩く事を躊躇したけれど……
(これを、断ったら……桜太郎君、勇気を出して謝ろうとしてくれてるのに、辛いよね)
そう思い直して桜太郎へ頷いた。
「分かった。お仕置き続けるから反省してね」
「は、はい……」
麿は再び、桜太郎のお尻に平手を振り下ろす。
パンッ!パンッ!ピシッ!!
「ひぁっ!んっ!!」
(桜太郎君……)
声をあげながらも耐えている桜太郎を見て麿は考えていた。
(僕はさっき、桜太郎君のオナニーを見た事をうやむやにしようとした……
そっちの方が、桜太郎君も恥ずかしい思いをしないからいいだろうと思って)
パンッ!パンッ!パンッ!!
「やぁぁっ!うぅ、あぁあ!」
(でも、桜太郎君はきっと、最初僕にその事を言って謝ろうとしてくれたし、
今だってそれで罪悪感を持って……そもそも、どうして僕の家でこんな事をしたの?
それが目的で、この家に来たみたいだし。お家ではできないって事?
だったら、桜太郎君のオナニーを見たって、ちゃんと言ってあげて、
それで「してもいいんだよ」って、許してあげた方が桜太郎君は救われるかもしれない……)
膝の上で痛がっている桜太郎の反応は次第に大きくなってきた。
桜色を通り越して赤みがさしているお尻を叩きながら、麿は桜太郎に声をかける。
「桜太郎君、僕、殴られた事はさっき許したんだ。君は今、何を反省したいの?」
「そ、それは……」
「ごめんね。さっきは嘘ついたけど……
僕、桜太郎君がその……自分でしてるとこ覗いちゃったんだ……」
「!!」
桜太郎が息を飲む。
「だから、覗かれたくなかったんだよね?本当にごめん。僕だって、十分君に申し訳が立たないよ」
ピシッ!パンッ!パンッ!
「ご、ごめんなさい!!ごめんなさい……!!」
「謝らないで。仕方のない事だよ。お家でやりにくいから、こっちに来たのかな?」
「うっ、ぐすっ……ふぇっ!!」
言葉が出ないくらいにボロボロに泣き出した桜太郎。
そんな彼をなるべく傷つけないようにと、麿は慎重に言葉を紡いだ。
「ごめんね、こんな話嫌だよね?
でもね、桜太郎君本当に、気にしなくていいんだよ?恥ずかしい事じゃない。
人みたいな体をしている君達なら、当たり前の事なんだ」
「うっ、ぇぇっ、うぁぁぁっ……!!」
「ごめん……傷つけてるのかな?
桜太郎君の気持ちが楽になる様に、上手く言いたいんだけど。
あの、桜太郎君、僕のま……僕の、家では、ちゃんと発散していいから。
許してあげるからね」
「うぁああああんっ、ごめんなさい!ごめんなさい!!」
「うん、お仕置きしてるから。許してあげる」
バンッ!パンッ!パシッ!!
大泣きしている桜太郎の気持ちを受け止めるように叩いて、
「あぁっ!ごめん、なさっ……ひっく、うぁああっ!!」
泣かせて、けれど、気が付けばお尻はさっきよりも赤くなっていて
可哀想になってきたので、麿は言う。
「あー……ごめんね、数、数えてなかったや。
でもさ、“泣くまでお仕置き”ならできたし。これでいいでしょ?」
「うぅぅ、ぐすっ!は、はいっ……ありがとう、ございます……!!」
お仕置きを終えて、桜太郎を起こして抱きしめると、また大声で泣き出した。
麿は桜太郎を抱きしめながら撫でて、思う。
(恋心姫君と煤鬼君はカップル……ぬぬ君と帝さんにも絆がある。
桜太郎君はきっと……家ではこんな風に誰かに縋れないんだろな。
ただでさえ、“自分が家族を守らないと”って思ってるみたいだし)
そう思うと余計に桜太郎を強く抱きしめる、麿であった。



そのうちに桜太郎も落ち着いてきて、服を着ていない事に気付いて
慌てる場面もありつつ……今は二人、いつものように楽しく会話している。
「麿さん……本当にありがとうございます。とっても気が楽になりました」
「良かった!また困ったらうちの部屋使ってよ!今度は絶対覗かないからね!」
「ありがとうございます……」
桜太郎は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑っている。
「でも、きっとお家の皆も気にしないと思うけどなぁ……」
「そんな気もしてきました」
(でも……できればここを使って欲しかったりして……ってうぁああっ!破廉恥!
僕は健全な妖怪研究家だよぉ!!)
「お互い様ですしね……」
(誰かのそういうシーンに出くわした事あるの!?気になる!)
頭の中はてんやわんやな麿。桜太郎が少し俯いて遠慮がちに話を続けた。
「……麿さんあの……実は、さっき麿さんに謝れなかった事があって……」
「え!?まだあったの!?あ、でも気にしないよ!」
「ありがとうございます」
「…………」
「…………」
(あれ!?会話終わっちゃった!?何の事だったんだろう……)
聞くに聞けず。
でも麿にはどうしても一つ、確認したい事があったので思い切って聞いてみる。
「と、ところで……桜太郎君の知り合いに栗の木の方はいる?」
「……?ええと、特に、いませんが……?」
「あ、そう!?あはっは!ならいいんだ!いやぁ、何か急に気になっちゃって!」
「そうですか……」
少々会話にぎこちなさを残しつつ、
それでもこの日も楽しく過ごした麿と桜太郎だった。



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【作品番号】youkai4.5

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