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温泉奇談(姫神様&女悪魔より)
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関東地方某所にあるさる有名な温泉地。 温泉街は今日も大勢の観光客で賑わっている。 だが、この街は他の温泉街とは違っていた。 旅館や多種多様な土産物屋、娯楽施設が立ち並んでいるのは普通の温泉街と変わらないが、道行く客や店員が普通とは違うのだ。 ある者は筋骨たくましい身体つきで角や牙が生えている。 別の者は動物の耳や尻尾が生えていたり、中には頭が鳥で背中に翼が生えているもの、狼の頭と毛深い手足を持つ者などもいる。 人に交じって馬車らしい乗り物が走ってゆくが、その馬も普通のものではなく、鳥もしくは蝙蝠の翼が生えている。 御者も人ではなかった。 ここは、神や天使、妖怪や悪魔といった、人ではない存在のための温泉地。 慰安や娯楽を求めるのは人間だけではない。 そのため、温泉地として有名な土地には、彼ら人ではない種族のための温泉地もあった。 なお、それらの温泉地が人間に気づかれないのは、温泉地とその周囲全体に強力な人間除けの魔法をかけており、また万が一それをくぐり抜けて目撃された場合のためにクリーナー(後始末屋)が常駐しているからである。 その温泉地でも一、二を争う老舗旅館で、素晴らしい露天風呂があることで知られる赤城楼(あかぎろう)。 その廊下を歩く青年の姿があった。 「立佳(りっか)様―、どこですかー?」 球里は主人の名を呼びながら廊下を行く。 「おや、どうしました?」 球里の様子を訝しく思ったのだろう、旅館の従業員が呼びかける。 従業員は見た目は人間だが、頭に角のようにムカデの顎が生えている。 ムカデの精だ。 ちなみに赤城楼は、この温泉地が存在する県の代表的な三つの山の一つ、赤城山の神が所有者だ。 赤城山の神は巨大なムカデであり、一族郎党にもムカデの精が多いため、多くのムカデがこの店でスタッフとして働いていた。 「あの、人を探しているのですが。このくらいの・・・緑の髪と赤い目をした男の子なのですが・・・いつの間にかいなくなってしまいまして」 「お連れ様ですか?」 「ええ。私の主人に当たる方です」 「それは大変ですな。見つかったらお知らせいたしますので」 「よろしくお願いいたします」 そういうと、球里は再び主人を探し始めた。 その同じ頃、宿自慢の露天風呂に隣接する庭をコソコソと移動する人影があった。 人影は小柄で、よく見るとエメラルドのような綺麗な緑の髪をしている。 立佳だ。 立佳は、まるでこれから仕事に取りかかろうという泥棒さながらに、慎重な足取りで露天風呂へと接近する。 やがて、自然石を巧みに組み合わせてつくられた浴槽に近いところにある、生垣のあたりまでやってきた。 幸い、生垣は成人男性の姿を隠せるほど大きく、また場所によっては向こうをのぞき見するのに十分な隙間もあった。 そういった隙間の一つに目を宛がうと、立佳はゴクリと息を呑みながら中を覗く。 すると、案の定、ちょうど風呂に入っている客の姿が見えた。 浴槽に浸かっているのはイタリア系らしい女性。 バッファローのそれに似た黒いつやのある角、夜の闇が実体化したのではと思えるほど見事な漆黒の蝙蝠状の翼と逆トゲ付きの尻尾が悪魔であることを物語っていた。 「ふぅ・・・生き返るわ・・・・」 ルクレティアは目の前に広がる自然の景色を見やりながらそう呟く。 つい2,3日ほど前から兄と一緒にはるばるヨーロッパからバカンスへやってきたのである。 しばらく湯につかっていたが、やがてルクレティアはゆっくりと湯船から出ると、身体を洗うための場所へ赴く。 一流モデルも逃げ出しそうなくらい見事な裸身を惜しげもなくさらして歩くその姿は、何とも艶めかしかった。 (ああいい!遊磨ちゃんよりずっと凄いぃぃ!悪魔族最高ぉぉぉ!!) ルクレティアのセクシーで官能的な肢体に、立佳はすっかり興奮していた。 天の国にも美しい女性達は存在するが、セクシーさや官能性といった面では、やはり悪魔族や妖怪達の方が勝る。 そのため、スケベな神族には悪魔の女性は人気があった。 (うわぉ・・!!おっぱいもいいけど・・お尻・・・お尻がぁぁ・・もう最高っ!) 普段はおっぱい星人な立佳だったが、今日は何故かお尻の方へ熱い視線を注いでいる。 女性らしい丸みを帯びた柔らかそうなお尻だが、同時に無駄なく引き締まった力強さも感じさせるお尻だった。 覗かれていることなど知らず、ルクレティアは身体を洗い出す。 石けんが全身を覆い、それがまた風呂場ならではの色香を醸し出し、ゴクリと立佳が息を呑んだときだった。 突然、酔っぱらいのそれのような歌が聞こえてきた。 途端にルクレティアは顔を顰める。 「あ〜〜。酔った酔った〜〜〜。へへへ、もう最高〜〜」 いかにもへべれけに酔ったような感じで、ウィスキーだかバーボンのボトルを抱えたまま、同じように身体を洗いに別の客がやってきた。 新たに現れた客も悪魔の女性だったが、こちらはルクレティアよりやや若そうな容貌で、紫髪だった。 彼女も見事な身体をしていたが、ルクレティアに比べるとより無駄なく引き締められたような感じで、身体を使う仕事をしているように見える。 キアラだった。 「ブッハ〜〜〜ッッ!!」 キアラはウィスキー瓶を口に当てたかと思うと、一気にグイッと飲み干す。 そして空になった瓶を放り出すや、ザブンッ!という音や水しぶきと共に湯につかった。 「・・・・・・・」 ルクレティアはこめかみに青筋を浮かべてジッと見つめていた。 風情もへったくれもない、マナーのマの字もわきまえない行動に不快感をかきたてられたのだ。 「ちょっと!いい加減にしなさい!」 ルクレティアはほろ酔い気分で湯につかっているキアラに怒鳴るように呼びかける。 「あん?何だよ?」 「何だよじゃないわよ!こんなところで酒飲んでどういうつもりよ!」 「うっせえよっ!こんのクソアマッ!俺がどこで一杯やろうが俺の自由だろうがあっ!!」 元々気が短い上に酒を飲んでいるキアラは烈火の如く怒り出す。 「ふざけるんじゃないわよ!デリカシーも知らない野蛮人っ!」 「ああ!言いやがったなぁ!」 たちまち、二人の間で猛烈な口喧嘩が始まった。 桃色世界に旅立っていた立佳だったが、突然の喧嘩にすっかり興が覚めてしまう。 このまま覗いていてもピンクな雰囲気を味わえないと判断した立佳が回れ右して戻ろうとしたそのときだった。 不意に小枝が折れるような音が足元でした。 枯れ枝を踏んだのだ。 ハッとして立佳が露天風呂の方を振り向くと同時に、悪魔娘達も気配を察知する。 生垣の隙間からは、二人の片翼があっという間にドラゴンの首に変わるのが見える。 マズイと立佳が思ったときには、錐揉み状に高速回転しながら火の玉が二発飛んできた。 「うわあっっ!!」 火柱が上がると共に立佳は吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。 「げほっ・・げほげほ・・・・」 煙にむせながら立佳は立ち上がるが、だんだんと煙が晴れてくるなり、その表情が強張る。 こちらへゆっくりと近づいてくる裸身の女悪魔たちが見えたのだ。 美しかった顔は、不埒な覗き屋に対する怒りで阿修羅さながらとなっている。 実際、翼が変じたドラゴンの目から発せられるレーザーポイントの赤い光が立佳の姿を求めてするすると周囲を滑るように探っていた。 (やばっ!!殺される!!) 本気で身の危険を感じた立佳はすぐさま逃げ出す。 「あっ!いやがった!逃がすか畜生があっ!!」 キアラは叫ぶなり、滅茶苦茶に火炎弾を撃ちまくる。 「だぁぁぁっっっ!!勘弁してぇぇぇ!!!」 立佳は絶叫しながら必死に逃げる。 二人は立佳を追いかけようとしたが、騒ぎを聞きつけて旅館のスタッフや宿泊客がわらわらと飛び出してきていた。 「くっそ・・・ケツ・・痛ぇぇ・・・・」 その翌日、キアラは玄関口のホールの壁によりかかり、顔を顰めながらお尻をさすっていた。 あんな騒ぎを起こした以上、当然師匠のネロにばれずに済むわけもなく、きつーいお仕置きをされてしまったのである。 「畜生・・あんのクソガキ・・・覚えてやがれよ・・・」 怒りに歯ぎしりしながらキアラがお尻をさすっていると、不意にルクレティアの姿が目に入った。 ルクレティアはキアラの方を見やったかと思うと、こちらへ詰め寄ってくる。 「何か用かよ?」 今にも噛みつかんばかりにキアラは尋ねる。 「あなた・・・お尻・・叩かれたんでしょ?」 (何でわかったんだ!?) キアラは思わず衝撃を覚える。 同時に羞恥が一気にこみ上げてきた。 屈辱感が怒りを呼び起こし、キアラは目の前の相手を消し炭にしてやろうと殺気を放つ。 「落ち着きなさい。侮辱する気はないわよ・・」 「嘘つけ・・・・てめぇみたいなアマのやるこたぁわかってんだよ・・・」 「馬鹿に出来るわけ・・ないじゃないの・・。私だって・・同じなんだから・・・」 ボソリとルクレティアが呟いた言葉に、一瞬キアラは怪訝な面持を浮かべる。 だが、すぐに理解すると、もっと怪訝そうな表情を浮かべた。 「どうして・・話した・・?」 キアラには目の前の相手が、決して自分の恥を人に話すようなタイプではないことはよくわかっていた。 「昨日の・・覗き屋は覚えてるかしら?」 その口調が、どこか人を見下した感じなのに怒りを堪えつつ、キアラは答える。 「たりめえだろうが・・・。あんのガキャ・・。絶対にただじゃおかねぇ・・!」 キアラは怒りに表情が変わる。 裸を見られたということも屈辱的だが、それよりも覗き屋のせいでお尻を叩かれたかと思うと悔しくてたまらなかった。 「私もよ・・・たとえ子供だろうが・・・この私に屈辱を与えた者は決して許さないわ!!」 「あんたの言いてぇことがわかったぜ・・。二人で・・あのクソガキにヤキ入れてやろうってんだろ?」 「そうよ。どうかしら?」 キアラは考え込むような素振りを見せたが、既に心は決まっていた。 「面白ぇじゃねえか・・。やってやらぁ!!」 「ふふん。どうやら交渉成立ね」 「立佳様、これはいかがでしょう?」 「こっちの方がいいんじゃないのか?」 「そうでしょうか?こちらの方がよろしいのでは?」 土産物をあれこれと見比べながら立佳と球里はそんな会話をしている。 家族や知り合いへのお土産を買っているのだ。 (ん・・?あれ?) 何気なく通りの方を見やった立佳の目の前を一人の女性が過ぎてゆく。 艶やかな真紅の髪をした悪魔の美女。 立佳はすぐに昨夜自分が覗きをした悪魔の一人だと気づいた。 (うっわ・・・すっご・・) ルクレティアの姿に立佳は思わず見とれてしまう。 ルクレティアは普段のロックバンド風の露出の高い服では無く、着物姿だった。 黒を基調に手の込んだ模様があしらわれた着物が、髪と同じ赤の帯と相まって色香をかきたてる。 球里がお土産を選ぶのに忙しいのを尻目にいつの間にか立佳はフラフラとルクレティアの後を追っていた。 後をつけていくうちにだんだん温泉街を離れてゆく。 やがて、二人は河原に出た。 しばらく河原を歩いていると、竹製の壁で囲われた脱衣所が見えてくる。 川底から噴き出す天然温泉を利用した野外風呂だ。 立佳が恐る恐る様子を伺っていると、ルクレティアが脱衣所へ入ってゆく。 それを見届けるなり、立佳はゴクリと息を呑んで抜き足差し足で脱衣所へと近づいていった。 (もう・・少し・・もう少し・・・) 足音を立てないよう、慎重に歩みを進めながら立佳は息をのむ。 桃色の桃源郷を味わえるのも、相手に気づかれないでこそ。 さながら獲物に慎重に接近しようとする猟師のような面持ちで立佳が脱衣所へ近づいていたそのときだった。 突然、馬車が現れたかと思うや、河岸へ乗り込む。 さながら、立佳の目の前を横切ったまま停止した状態になった。 馬車は幌馬車、いわゆる西部劇に出てくるやつだ。 もっとも、馬の背中には黒く大きな蝙蝠の翼が生えているが。 何だと立佳が訝しく思っていると、突然、幌が引き上げられる。 中から現れたものを見るなり、立佳はギクッとした。 そこにあったのは、三脚に載せられ、手回しレバー付きの機関部に、六本の銃身をつけた大砲のようなもの。 人間の間ではガトリング砲として知られ、幕末モノやマカロニ・ウェスタン(イタリア製西部劇)、巨大ロボットものなどでお馴染みの兵器だ。 そのガトリング砲のレバーをがっしりと掴んだ状態で、砲の後ろにはキアラが控えている。 「かかりやがったな。覗き屋野郎」 ニヤリと笑みを浮かべたかと思うと、キアラはレバーを思いっきり回転させる。 ドラゴンをモチーフとした銃身がぐるりと回転したかと思うと、火炎弾が立て続けに発射された。 「こんっ・・・クソガキャーーーーーーッッッッッ!!!!」 キアラの絶叫と共に銃身が回転し、次々と火炎弾を吐きまくる。 着弾のたびに、河原の石や土塊が吹っ飛び、或いは水柱が立つ。 「ひぃぃーーーーっっ!!勘弁してーーーーっっっ!!」 カリスマオーラを出して誤魔化す暇もなく、立佳は悪魔のガトリング砲から雨あられと撃ちだされる火炎弾やその衝撃から必死に逃げ回る。 「野郎っ!大人しくくたばりやがれっっ!!」 「はいそうですかなんて言えるかーーーっっっ!!!!」 火炎弾の嵐を必死にくぐりながら立佳は叫ぶ。 必死に河原を立佳は疾走する。 逃げる立佳の後を追い詰めるように回転する銃口から発射される火炎弾が着弾し、火柱を列柱のように立てる。 息せき切って立佳が河原を走る中、普段のロックバンド風の衣服に着替えたルクレティアが対岸でその様子を見つめている。 彼女は片腕を持ち上げたかと思うと、何やら人間のものとは思えない言語を詠唱しだす。 突然、河原に幾つか穴が開いた。 直後、中からぬっと巨大な柱のようなものが生える。 それはウネウネと揺れ動き、先端には肉食恐竜に似た頭がついていた。 「ひ・・・・」 怪物たちは逃げ道を塞ぐように立佳の前に立ちはだかる。 恐る恐る後ろを振り返れば、馬車に陣取り、ガトリング砲を構えたキアラの姿。 「へへへ・・・年貢の納め時だなぁ、クソガキ?」 キアラはそういうと、レーザー・ポインター装置を取り出して砲に装着する。 装置を作動させると、赤いレーザー光が発射され、キアラが砲を動かすと同時に赤い光点がスルスルと河原を移動する。 今やすっかり恐怖に震え、ジリジリと後ずさりする立佳を追い詰めるように光点がスルスルと移動してゆく。 やがて、立佳のつま先に光点がともったかと思うと、ゆっくりと身体を上ってゆく。 (こ・・殺される・・・) 立佳は相手の本気を悟った。 やがて、立佳の胸のあたりでピタリと光点が微動だにしなくなる。 「あばよ、クソガキ。後悔は地獄でしな」 キアラは怒りに満ちた表情を浮かべると、吐き捨てるように言う。 そして、不埒者をミンチにしてやろうとレバーを動かそうとしたときだった。 突然、砲の機関部が爆ぜたかと思うとバラバラに吹っ飛ぶ。 その衝撃でキアラは馬車から転がり落ちた。 「ぐ・・何だよ!?」 キアラがバラバラになった砲を見やると、被弾の跡がついている。 それを見るなり、ハッとした表情を浮かべると、すぐに片翼をドラゴンの首に変えて周囲を警戒し始めた。 (どこだ!?どこに・・いやがる!?) ゴクリと息をのみ、彼女は河原を見渡す。 彼女達の知らない第三者が攻撃を仕掛けたのは間違いなかった。 突然、水しぶきの音がした。 本能的にキアラはドラゴンの首を向けて魔力を火炎弾に変えてぶっ放す。 だが、河に立ったのは火柱と水しぶきだけ。 (くそ・・!どこだ!どこだどこだどこだ!!) 血眼になってキアラは見えない敵を探す。 再び、水音がするや、数溌立て続けに火炎弾をぶっ放す。 派手な水しぶきが幾重にも生じたが、誰も姿を現さない。 「汚えぞっ!面ぁ見せやがれっ!!」 恐怖と極度の緊張に喉が焼けつくような感覚を覚えながらキアラは叫ぶ。 不意に彼女は目がくらむような感覚を一瞬だけ感じた。 同時に身体を赤い光点がスルスルと這いまわっていることに気づく。 それが意味するものを察知するや、本能的に光源に目を向ける。 すると、数メートルほど離れたところに、何も無い空中から光が出ているではないか。 ハッとしたキアラの肩から生えたドラゴンが思いっきり口を開けようとするよりも早く、空中から重りを片端につけた金属製の縄をもう片方の端で繋いだ捕獲用の金属ロープが現れた。 「ぐっっっ!!!」 強烈な衝撃と共に金属ロープで身体をグルグル巻きにされ、キアラは河原に倒れる。 同時に電撃が走り、そのショックでキアラは気絶した。 キアラが気絶すると同時に、バチバチと静電気のような音や光が走る。 やがて人型の揺らめきが現れたかと思うと、一人の悪魔が姿を現した。 黒い髪と瞳に彫りが深く精悍さを感じさせる面立ち。 右側は端正な感じだったが、左目を黒に近い紺色の眼帯で覆っており、その周りには火傷の痕が見える。 ネロだ。 「やれやれ・・・また・・やってくれたな・・・」 静かな口調でそういうと、ネロはぐったりしている弟子を担ぎあげ、ガトリング砲だった残骸と共に気絶している弟子を馬車へ乗せる。 そして御者席へ乗り込もうとしたが、ふと立佳の方を振り向いた。 「小僧・・・」 「は・・はいっ!!」 無意識のうちに立佳は背筋をピンと伸ばす。 逆らってはいけない相手だと感じたのだ。 「年に似合わぬことはやめておくがいい・・・命が惜しいならな・・・」 それだけ言うと、ネロは馬車に乗り込み、馬に鞭をくれて走り去った。 バッチィ〜ンッ!ビッダァ〜ンッ!バアッア〜ンッ! 「きゃあんっ!ごめんなさいっ!ごめんなさい〜っ!」 兄の膝の上で手足をばたつかせながらルクレティアは必死に謝る。 「全く・・幾ら覗きをされたからって・・あんな小さな子どもになんてことをしたんだい」 チェーザレは呆れ気味な口調で妹にお説教をする。 あまりにも派手にやらかしたものだから、当然ながらバレてしまい、帰ってくる途中で兄にあえなく御用となり、お仕置きの真っ最中なのだ。 「うわぁ〜んっ!だって許せなかったんだもん〜〜〜!!」 「だからってあんなことしていいのかい!今日は幾ら泣いても許さないよ」 「うわぁ〜んっ!!許してぇぇ〜〜〜」 その後、泣き声と激しく肌を打つ音が部屋中に響き渡った。 「畜生っ!!離しやがれこのク○○チ○ポ〜〜〜〜!!」 一方、キアラもお仕置きの真っ最中だったが、こちらは本職のヤクザや娼婦ですら赤面しそうなほどの悪口雑言を吐き散らす。 「何を言っている・・・。子供の悪さにあんな真似をするとは・・・。恥ずかしいとは思わないのか?」 「うっせえよっ!エラッそうに説教なんざくれやがってぇぇぇ!!」 「そうか・・・よくわかった・・・」 ビッダァ〜ンッ!! バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッッッ!! ネロは息が詰まってしまうのではと思えるくらい容赦ない平手打ちの嵐を叩き込む。 「っっっ・・・!!」 あまりの痛さにキアラは顔をしかめたまま声も出ない。 「おのれの非も認めず暴言を吐くような娘は一回地獄を見た方がいいだろう・・」 「ふざけんなぁぁぁ!!離しやがれぇぇぇ!!」 キアラは必死に抵抗するが、ネロはそれに構わず、お尻を叩き続けた。 「いやぁぁぁっっ!!ごめんなさーーいっっっ!!」 立佳は必死に抵抗するが、構わず球里は主人のお尻をむき出しにして膝に押さえつけてしまう。 「駄目です。性懲りもなく覗きなどするような子にはお仕置きして差し上げます」 「で、出来心だったんだってば!!せ、せっかく温泉来たんだから男ならレッツゴーかなって!!」 「前にも言いましたが、男ならレッツゴーという考え自体が女性の敵ですよ!」 「わああんっ!勘弁してーーーー!!」 「許しません!また懲りずに覗きなんてやって!しかもそのせいで命まで危険にさらすようなことにまでなって!百や二百では許しませんから覚悟して下さい!」 「そんなーーーーっっっ!!」 その後、少年のものと思しき絶叫が響き渡った。 ―完― |
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山田主水様から、コラボ作品いただきました!これはカナ・エル、興奮せざるを得ない(笑)!! どうですか!?アクションあり、お色気あり、もちろんスパシーンありッ!! マニアにはたまらない一品となっております(笑)!立佳も球里もよく特徴をつかんでくださって嬉しいです(ノ´∀`*) お尻の良さにも目覚めた立佳に全力で吹きました(笑)。 こうやって見ると、おぜう様とキアラちゃんってお仕置きされてる時の態度が正反対ですよね(笑)。 山田主水様、本当に、ありがとうございました☆ |
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