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恋人ですから繋がりたいでしょ?






町の路地にひっそりと佇む小さな喫茶店「Times」も閉店した夜の9時。
店と一体になっている自宅で、女店主の時子(ときこ)は楽しそうにお喋りをしています。

「――でね、とってもあったかいんだよ!?今度優君にも貸してあげるよ!」
『そんなの、一緒に寝れば解決するじゃないですか』

時子が握る受話器の向こうからは若い男の子の声……恋人の優(ゆう)君です。
今日は優君が用事でバイトに来られなかったので、こうして電話で話しています。
電話でも愛想の無い優君ですが、時子はとても嬉しそう。

「それじゃ身も蓋も無いよ!もぉ!あ、ところでさ、お向かいのパン屋さんがね……」
『……時子さん、もう夜も遅いし切りましょう』
「え?……ま、まだいいじゃない……明日休みだし……」

もっと話していたいのに、「切ろう」と言われて時子は少しシュンとします。
しかし電話口の優君は淡々と言いました。

『僕が眠いです』
「えぇ〜〜。子供なんだから……」
『折りたたみますよ?』
「ごめんなさい!」

時子の謝罪に、受話器の向こうから大きなため息が一つ。
また呆れられちゃった……と、時子はますますシュンとしますが……

『仕方が無いので、未練がましい時子さんに一つサービスをしましょう。
いいですか?ここからはイマジネーションが大切なので、時子さんの乏しい想像力を働かせて下さい』
「所々失礼だよキミ!?」
『うるさいです。さぁ、目を閉じてください。キス、してあげますから』
「え!?」
『時子さん、イマジネーションですよ。早く目を閉じで想像してみてください』

驚きながらも言われたとおりに目を閉じる時子。
頭の中で「イマジネーション、イマジネーション」と繰り返しながら、優君にキスされるところを想像してみます。
優君に抱きしめられて、顔が近づいて、それで、唇が……

『ちゅっ』
「ぁ……」

受話器から濡れた音がした瞬間――それはフラッシュのように一瞬の感覚だったけれど
確かに頭の中で、優君と時子は口づけを交わしたのです。時子が余韻にドキドキしてしまうほどリアルでした。

『どうでした?』

優君が平然としているので余計恥ずかしくて、時子のドキドキは治まりません。
受話器を持っていない方の手をもじもじさせつつ、ぼ―っとしながら答えます。

「う、うん……よかった……よ」
『しょせん妄想ですよ』
「うるさいやいっ!!優君から言いだしたくせに!きっ、切るからね!おやすみ!」
『おやすみな――』

ピッ!!

優君が言い終わる前に電話を切った時子。
受話器をソファーに放り投げて、自分もどっかりと座ります。

(バカバカ!優君のバカ!)

頭の中で優君の悪口を言えど、蘇るのはあの“キス”の感覚……
『妄想』と言い切られて一瞬落ち着いた心が、また騒ぎ始めてしまいます。

(キスしちゃった……頭の中だけど……)

恥ずかしくて、頭がぼ―っとして、でもなんだか切なくて……
時子は自分の唇を指でそっと押さえつけてみます。

(キスされて、それでいつもなら……)

押さえていた指を口の中にすべり込ませて、舌で舐めたりしゃぶったり……
頭の中は優君とキスしている自分の姿を思い浮かべながら、口の中で指を遊ばせていました。

「んっ、ちゅ……んんっ……あぁ、優君く……」

自分でも驚くほど、甘えた声。
慌てて引き抜いた指は唾液でベタベタだったのに
こんな事をしている嫌悪感をしのぐ、激しく高まっていく気持ち……。
自然と手は下腹部に伸びていました。

「ダメだよ……こんなことしちゃダメだよ……」

消え入りそうな独り言でその手が止まるわけも無く、スカートに潜り込んで、下着の中に滑り込んで……

「ぅ……」

最初の一瞬はそっと躊躇いがちに、しかしもう次の瞬間にはしっかりと柔肉を包み込んで……
わざと焦らすように優しく秘裂に指を這わせていると嫌でも気分が盛り上がってきます。

「ダメだよ……ダメだよ優君……」

ダメなのは優君じゃなくて私!冷静な部分がそう言っても、時子の手も止まらないし気分も鎮まりません。
それどころか“気持ちよさ”の欠片がどんどん集まってきて「もっともっと!」と追い立ててきます。
あまつさえ頭の中では優君に触られているという設定なので……

“仕方のない人ですね、時子さんは……”
「知らない……優君が悪いんだもん……」

声まで聞こえてくる始末。
手にもだんだん力がこもってきます。

「優君がいけないんだ……んっ……優君が……はぁっ……」

キスなんてするから。だから私、こんな変な気分に……!!
一番気持ちいい部分をぐりぐりと押さえながら、時子はひたすらに優君の事ばかり考えていました。

「ふっ、ぁ……優君……会いたい……あぁ……声だけじゃ足りないよ……」

もう文句を言いたいのかすら分かりません。
ただ気持ちよくて、最後の瞬間を迎えたくて、ひたすら手を動かしていました。
優君のことだけを考えて……優君と……!時子はそう念じます。

「優君……優くんっ……」

もうちょっと……もうちょっと……
息を切らせながら、時子が順調にフィナーレへの階段を上り進めてきた、その時でした。

ガチャ。

部屋の扉が開く音。
時子が反応するより早く、扉をあける優君が見えました。
一瞬だけ見開いた優君の目とバッチリ目が合ってしまって……

「何を?」

そう言った時の優君は至って冷静でしたが
逆に焦ったのは固まってしまっていた時子の方でした。

(何で!?そ、そっか、優君……合鍵を……!!
ど、どうしよう!?玄関の音……ぼーっとしてて聞こえなかった!!)

頭の中が大混乱しつつ、慌てて下着から手を引き抜いて顔の前でブンブン振ります。

「ち、ちがっ、違う!これは、違う!違うんだよ優君!何か、あの、かゆくて!」
「慌てないでください。僕たちは大人です。性欲があるのは当たり前ですし、
ある程度のコントロールだって必要でしょう。恥じる事はありませんが……」
「そ、そうだね……許してくれるの?」
「万死に値します」
「ほらやっぱり怒ってるゥッ!!」

時子が叫び声を上げた瞬間、優君は部屋に押し入ってきて、ソファー座っている時子を押さえつけ
強引にスカートに手を入れて下着を脱がせます。

「や、やめて……自分で……!!」
「貴女が脱ぐと恥ずかしがって5分くらいかかるじゃないですか。
時間稼ぎなんてさせませんよ。さっさと足を広げてください」
「やぁっ!ちょっとそんな無理やりぃっ!!」

力押しで足を広げられて下着はあっさり抜き取られ、宙を舞います。
気付けば時子の身体はいつもの嫌な定位置にセッティングされていました。
すなわち優君の膝の上……制裁の時を待つしかありません。
羞恥で顔を真っ赤にしながらも罪悪感はあったので、時子は涙目で謝ってみます。

「ご、ごめんなさい!こんなはしたない事……いけないと思ったんだけど……」
「全くです。僕が来るというのに待たないで自分だけイイコト始めるなんて」
「そこ!?待って、私達微妙に主張が食い違ってる!」
「待ちません」

バシィッ!

優君が早々に振り下ろした手が時子のお尻に当たります。
毎度お尻を打たれている時子ですが、この痛みに慣れる事はありません。

「やぁんっ!だ、だって!優君『来る』なんて一言も言わなかったじゃない!?」
「『来ない』なんて一言も言ってませんよ」
「そんな、へ理屈ぅあぁっ、ぃいったい!!」

バシ!バシ!バシ!

時子が叫んでも呻いても、優君は何の躊躇も無く手を振りおろして
そのたびに時子がまた叫んで……の繰り返し。
痛みがだんだん増してきて声も大きくなってしまいます。

「やっ、あっ、うぅ〜〜!!優君嫌だよ!やめてよ!」
「時子さんが僕の目の前で、さっきの続きをするならやめてあげてもいいですけど」
「冗談じゃない!!」
「だったら大人しく叩かれなさい!」
「ぁああんっ!優君っ!こんなの酷いよぉ!」

足をばたつかせて時子は叫びます。
優君に会えない寂しさからついつい及んでしまった行為なのに……せっかく会えてこの仕打ち。
酷く理不尽な事をされている気分になってきて、文句の一つも言ってしまいます。

「大体っ、優君が悪いんだよ!キスなんかするから……だから私……!!」

バシ!バシ!バシ!

「イマジネーション、上手にできたんだよ!?そしたらドキドキしてきて……止まんなくなっちゃって……!!」

バシ!バシ!バシ!

「来るならちゃんと待ってたよ!
『切ろう』なんて言わないでそう言ってよぉ!!寂しかったんだからぁ!!」

バシィッ!

「きゃぁあああぅ!!」

時子が思いのたけを叫ぶのと優君が思いっきり平手を叩きつけるのがほぼ同時でした。
強烈な痛みに大声で悲鳴を上げた後、上から優君がポツリと呟く声が聞こえます。

「……可愛い事言うじゃないですか時子さん……」
「へ?な、何?」
「確かに、時子さんがヘタレで寂しがり屋な事を失念していた僕にも責任があるかもしれない……
と、言いました」
「そんな長ゼリフだった……?」
「余計な突っ込みはしない方が、世のため人のため身のためですよ」

バシッ!

「はうっ!痛いよ優君……!」

真っ赤なお尻を平手でたしなめられて、時子はややぐったりしましたが
まだお仕置きは終わるはずもなく……優君の冷静な声がこう続けます。

「……先ほど言ったように僕にも非があったようなので、少し回数を減らしてあげましょう。
9999回に。よかったですね」
「うん。でも多いよね?確実に多いよね?減る前は何回だったのか気になるけど聞きたくも無いよ!嫌だよ!」
「せっかくの親切をむげにするような人は、やっぱり元の100万回に戻します」
「えぇええっ!?ちょっと!や、ヤダよ!イヤだっていうか人類のお尻の限界を超えて……!」
「人類の未到達地に行ってください時子さん」

優君の手が振りあがるのを気配で感じて、時子は慌てました。
本当に前人未到の境地に連れて行かれる!!
と、恐怖感が襲ってきてとっさに叫びます。

「いやだぁぁあああっ!ごめんなさい!優くんごめんなさぁぁぁい!!」

バシ!バシ!バシ!

「いたっ!!やぁぁっ!いやぁああああっ!!」

しかしその声は聞き入れられず、今までよりアップテンポで叩かれてますますお尻が痛くなってきます。
逃げようとしても体を押さえられているので満足に動くことすらできません。

(痛いよぅ……怖いよぅ……痛いよぅ!!)

痛みも恐怖も極限に達した時子はぐすぐすと泣きだしてしまいます。

「優君くっ……あぁぅ!いだいよぉっ、ふぇっ、えぇぇぇっ!!やだぁぁっ!!」
「まだ100回もいってませんよ?言ったでしょう1000万回って」
「あぁああああんっ!!増えてるぅぅぅっ!!」

泣きながらもツッコミは欠かさない時子。ほとんど無意識です。
今はそんな事よりお尻の痛みで泣き叫ぶので精いっぱいなのです。

「ごめんなさいぃっ!ごめんなさい優君〜〜っ!!」
「いつもあんな事ばっかりしてるんでしょう?
セックスに誘うと今だに恥ずかしがってたくせに、本当はド淫乱じゃないですか。
困った人だ。反省してください」
「ちぁうよぉっ!!あんな事ばっかりしてないよ!!今日は偶然だよ!
あぁあああん!ごめんなさぁいっ!」
「信用なりませんね。部屋の鍵もかけないなんて、無防備過ぎる。
慣れていて日常的にしている証拠です。プロと言っても過言ではない……」
「うわぁああんっ!違うもぉぉぉんっ!!」

ボロボロに涙をこぼしながら、真っ赤なお尻を揺らしながら、時子は謝ります。

「ごっ、ごめんなさい!!ごめんなさい優君……!!あぁっ!!
もう君が来る時にこんな事っ……しないから!!」
「そうですね。僕が行く前に抜きつくされたら困りますので」
「やぁあんっ!!約束するから許してぇ!!うわぁあああんっ!あぁんっ!!」
「嫌です」
「何でぇっ!?」

バシ!バシ!バシ!

心底謝ってるのにきっぱりと断られ、時子は悲愴な叫び声をあげます。
優君はしれっと言いました。

「泣いている時子さんを見ていたら興奮してき……僕が別れの挨拶をしている最中に電話を切ったでしょう?」
「ぜっ、前半の本音丸聞こえだよっ!!」
「チッ……ド淫乱な地獄耳ですね時子さん」
「ド淫乱関係ないよぉっ!!わぁあああんっ!人が真面目に反省してるのに興奮してるなんて最悪だぁっ!!」

優君の意外な本音を知ってしまった時子は膝の上で暴れますが
非力な反抗では膝から抜ける事はできませんでした。
しかも暴れるとさらに凶暴な平手打ちが帰ってきます。

バシ!バシ!バシィッ!ビシィッ!バシ!バシィッ!

「やぁあああっ!!痛いぃっ!!叩き方で怒るのやめてぇええっ!!」

もう耐えられる痛みはとっくに限界を超えている時子は、やや頭が真っ白になりつつも
ひたすら泣きわめきました。

「やぁ――めぇ――てぇっ!!私のこんな格好で興奮する優君の方がド淫乱じゃないかぁっ!!
うわぁああああんっ!!」
「何言ってるんですか。自分の事棚に上げて」
「ひっ……!!」

いきなりお尻を叩いていた手が、股の間にすべり込んできて時子は驚きました。
指がぬるりとした潤滑油の上を前後に滑って、時子に小さな快感を運んできます。

「やっ……ぁっ……」
「貴女だって叩かれて興奮してるくせに……」
「違うっ……それはさっき、自分でいじってたから……んっ!!」

優君の言葉に恥ずかしくなった時子は、反論しますが
無遠慮に動く指が肉壁の間に潤滑油を塗りたくって、自分でするより強い刺激を与えるものだから
情けなく震えた声しか出ません。
その弱弱しい反論を優君が意地悪く投げ返してきます。

「……今この場でイかせてあげましょうか?『お尻叩かれて膝の上で絶頂を迎えた時子さん』。
伝説の出来上がりです。もう言い逃れできませんね」
「やめてっ……あ、あぁんっ!!」

往復する指の速度が速まり、膨張する恍惚感。
時子はまともな声も出せずに腰をヒクつかせて悶えます。

「優君くっ……ふぁっ……や、あぁああっ……やめぇぇっ……」
「じゃ、やめます」
「!!」

さっきまでの大きな快感が火が消えたように無くなりました。
あっさりと離れた優君の手は、何とも言えないくすぶったじれったさだけを秘部に残して
時子は思わず……

「や、やめちゃうの?」
「はい?」
「何でもないッ!!も、もう、お仕置き終わりでしょ!?わたっ、私、反省したしっ!」
「……何か時子さんがぬるぬるしてるし、仕方ないので終わります。」
「ぬるぬる言うなッ!!」

真っ赤な顔で何とか起き上がって叫んだ時子を、優君はじっと見つめながら言います。

「ぬる子さん、このままソファーでいいですか?それとも布団しきますか?」
「やめて!!学校に出そうなオバケみたいな呼び方やめて!しかもいきなり何の話を……!!」

言いかけて、時子は優君の言わんとしている事に気がついて……

「……布団……敷いてくる……」

じっと見つめてくる優君の目から逃げるように寝室に走って行きました。



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