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※注意! 描写力には自信が無いのですが、性描写あります。



『いいかい大一郎?何かあったら、いつでもパパを呼ぶんだよ?
どこにいても、すぐに駆けつけて大一郎を助けるから!』
『本当?』
『本当だとも!パパはどこにいても、何があっても、絶対に大一郎を守ってやるから!』
明るい笑顔でそう言って、父さんは俺の頭を撫でた。

そこで目が覚めた。

「父さん……」
小さくつぶやいた言葉が暗い部屋の中に溶けていく。
隣では旦那様が眠っている。付けている首輪の鎖を握って、俺は小さく吹き出した。
バカみたいだ。来てくれるわけがない。だって、あの時も呼んだのに来てくれなかった。
「嘘つき……」
声を殺してクスクス笑いながら目を閉じる。
『いやぁ!ごめんごめん!』
瞼の裏で、父さんがあっけらかんと笑っていた。

パンドラBOX〜上倉大一郎の場合(中編)〜

その夢の翌朝の事だ。
彼が俺の前に現れたのは。

「いやぁ〜〜!よく来てくださいました!」
この屋敷に来客はめずらしくもない。
その日も俺は来賓室でいつもみたいに執事服を着て旦那様の傍に付いていた。
だらしない笑顔で、他所行きの声を作る旦那様と笑顔で握手する男性。
背の高くてがっしりとした人で……こんな屋敷には不釣り合いな気品を漂わせていた。
旦那様の下品な媚び笑顔とは対極にある、爽やかで上品な笑顔の彼はパッと俺を見る。
「彼は使用人の子ですか?」
「そうなんです〜〜!!この子に目を付けるとは流石ですな!なんせ特別な子でしてね!
ほらチロ、お前もきちんと挨拶しなさい!」
「初めましてご主人様。チロと申します」
促されて、俺は男性に頭を下げた。
旦那様がこれだけ媚びへつらうと言う事は、相当の金持ち&権力者。
俺も媚を売っといて損はないはずなので(それにちょっとタイプなので)、愛想よくニコニコしておいた。
すると、男性も挨拶を返してくれた。
「よろしくねチロ君。なるほど……他の使用人の子と服装が違うから気になったんです。
利発そうだし、とても綺麗な顔をしていますね。この子を特別とおっしゃるのも納得です」
確かに、俺の執事服は他の使用人と色やデザインが少し違う。
ゲストによってはこんな風に突っ込んでくる人もいて、旦那様の方もこの流れには慣れた風に返す。
「いえいえ、それだけでは無いんですよ。まぁ、それは追々……チロ、お前はもう下がってなさい」
「かしこまりました。旦那様」
一礼して部屋を出て、俺は思った。
(上品で優しそうなおじさんだったな……顔もいいし。ちょっと年食ってるけど
あの人なら余裕でヤれるかも♪旦那様の交友相手だしどうせ変態だろうから、
モーションかけたら楽勝だろ。今度抱かれてみようっと♪)
あの優しい笑顔で逞しい腕に抱かれる様を想像して、唇を舐める。
それだけでゾクゾクとした快感が込み上げてくる。
あの人に俺をあてがうなら、きっと旦那様は一番いい部屋を用意するはずだ。
酔いそうな甘い煙と真っ赤に煌めく天蓋に包まれて、天国の様な至福の時……ああ、早く現実にしたい!!
(今日から動いても……構わないよな……?)
すっかり張り切った俺はどうにかあの男性に近付こうと、さっそく他の一般執事さん(NOT性奴隷)に頼んで
二人に紅茶を運ばせてもらう事にした。


「失礼します。紅茶をお持ちしました」
とびきりの笑顔で、紅茶を乗せたトレイを持って部屋に入る。
そして紅茶を件の客人男性に出そうとしつつ……
「あっ!」
男性に向けて倒す。“しまった!どうしよう!”みたいな顔で。
その後、盛大に青ざめて半泣きでうろたえてやればいい。
「もっ……申し訳ありません!!」
「いや、大丈夫だよチロ君……」
「ですが……!!」
紅茶は床と男性の靴を濡らしたけれど、優しい笑顔で許してくれる客人男性。
大体、普通はこんな展開だ。
でもねぇゲスト様?貴方はすでにこの屋敷のショーの客席に座ってるんですよ?
俺が内心ニヤついていると、シナリオ通りの旦那様のどなり声。
「チロ!何て事をしたんだ!」
「旦那様、申し訳ありません……!!」
「謝って済むと思ってるのか!?お仕置きだ!こっちへ来なさい!」
「はい……!」
大粒の涙を溜めて、トボトボと旦那様に歩み寄る。
さてと……あの人の位置からだと、どの角度で膝に乗れば一番エロく見えるか……
計算しながら、俺は旦那様の傍へ行く。
乱暴に俺を膝の上に乗せる旦那様。小さな悲鳴を上げて膝に引き倒された俺。
ズボンと下着を剥ぎ取られた尻は少し持ち上げておく。恥じらう表情も忘れずに。
「あ、あの!やめてあげてください!私なら大丈夫ですから!」
椅子から立ち上がる勢いで焦って叫ぶゲスト様を、旦那様が厳しい声で宥めた。
「いいえ!こんな恥ずかしい粗相をする使用人はきちんと躾けませんと!
廟堂院さんもしっかり見てやってください!そうしないとお仕置きになりませんから!」
(え、廟堂院?!あの大金持ちの廟堂院か!?)
ゲスト様の意外な正体に驚いたけれど、とりあえずしおらしくすすり泣くポーズはやっておく。
「ふ、ぅっ、ごめんなさい……旦那様……」
「そんな風に泣いたってダメだぞ!悪い尻が真っ赤になるまで叩いてやるからな!」
そう言いつつ俺の頭を押さえつけるように撫でて、俺にだけ聞こえるように小さな声で囁く。
「さぁ……廟堂院さんが見てるんだ。いい声で鳴けよ、チロ?」
(はい。旦那様……
心の中で答えて小さく頷く。押し殺したような下衆い笑い声が聞こえた。
そして、ゴツイ手が裸の尻に振り下ろされる。
ピシャンッ!
「ひゃぁぁんっ!」
この反応が大げさじゃないほどの鋭い痛みが襲ってくる。
一度目の痛みを楽しむ間もなく、等間隔で、ずっと。
ピシャンッ!パン!パン!パン!
「やぁぁぁっ!ごめんなさい!旦那様!申し訳っ、あぁああん!」
悲鳴を上げつつ、ゲスト様……廟堂院様が良く見えるように抵抗に見せかけて尻を揺する。
「暴れるんじゃない!お仕置きが素直に受けられないのか!?」
「ごっ、ごめんなさい!!ふぁぁん!」
叱られて叩かれて、その上に見られて。この状況だけで俺は達してしまいそうだ。
旦那様は俺の反応を楽しむように徐々に強い平手を浴びせてくる。
パン!パシィンッ!ビシィッ!ビシィッ!
「ひぃぅっ!痛い!ごめんなさい旦那様ぁぁっ!あぁぁっ!」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「痛ぁぁい!やだぁぁっ!」
「“ヤダ”とは何だ!お仕置きを受ける態度が全然なっとらん!」
「やぁぁぁっ!ごめんなさぁぁぁい!」
なるべく、甘えるような声を出したいけどその制御も効かなくなってくる。
だって痛いから。痛みが次から次へと与えられていく。
「あぁぁああん!痛いぃ!痛いよぉぉっ!ごめんなさい!あ、ぅぅっ、もうしませんっ!!」
口では心底嫌がって謝るけれど、体と心は痛みに支配される悦びに満ち溢れていた。
(あ、また!んんっ、くるぅっ!うあぁ……これヤッバイ痛い!幸せすぎる!もっと、もっとぉぉっ!)
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「んっ、はぁっ、旦那様ぁっ!反省、しましたぁぁっ!も、はぁっ……んぁぁっ!
許して下さい!っ、んくぅぅぅっ!」
犬畜生みたいな短く荒い呼吸を繰り返しながら無様に許しを乞う……
こんな俺の姿をあの、廟堂院様に見られてるなんて!恥ずかしい!恥ずかし過ぎて果てるぅぅ!
ギンギンに勃起している俺のドMアンテナは廟堂院様に見えているかな?見えてればいいのに!
もう、すべてを彼の前に曝け出したい!
そんな俺の心の声を汲み取ったかのような旦那様の怒鳴り声がする。
「チロ!反省したのか!?きちんと廟堂院さんに謝りなさい!
ちゃんと、反省した真っ赤な尻を見てもらいながら謝りなさい!」
「わぁああああん!廟堂院様ごめんなさぁぁい!チロは反省しましたぁぁぁっ!ふぇええ――――ん!」
半分本当に泣きながら、旦那様に言われるがまま廟堂院様に謝った。
すごく痛いんだけど、叩き尽されて真っ赤になっているであろう尻を、
廟堂院様に見られているかと思うと興奮して堪らなかった。
それに腹部には旦那様の熱い塊が当たって……それだけで性感が刺激されっぱなしなのに
尻を無遠慮に叩かれる。下半身が疼いてたまらない。
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「あぁあああっ!やっ、あはぁぁんっ!」
(気持ちいいッ……このまま、イクぅっ……んあぁ、イキたい!!)
ギュンギュン加速する快感のメーターが上限を突きぬけそうになった。
のに、その時……
「お願いです!もう許してあげて下さい!」
「!!」
「っぁ!?」
絶頂への決定打は来なかった。
何故かって、廟堂院様が旦那様の手を力づくで止めたから。
「廟堂院さん……!」
(余計なマネを……!!)
旦那様の驚いた声を聞きながら、俺は内心舌打ちする。
後一歩を掴み損ねた体に、じわじわと広がっていく余痛が切ない。
まぁいいさ。こんな番狂わせも生かすくらいじゃないと。
俺は健気に瞳を潤ませて廟堂院様を見つめる。儚げな、純粋無垢な瞳を意識して。
廟堂院様は俺の視線に優しい笑みを返して、旦那様に言った。
「彼は十分反省しています。どうか、もう終わりにしてあげて下さい」
「さ、さすが、廟堂院さんは懐の広い……わかりました。貴方が、そう言うなら……」
旦那様は相当驚いたみたいで、歯切れ悪く戸惑いながら俺を膝から下ろす。
けれど、コンマ1秒の早さでへつらいスマイルに切り替えて、
廟堂院様からは見えないように俺の尻を変態的に撫で回しながら言う。
「すみませんねぇ。お見苦しいところを。この子は息子の様なもので……つい躾にも力が入ってしまいました」
「いえいえ。愛情が深いのは素晴らしい事だと思います。驚きましたけれど……。
あの、服を……早く着せてあげて下さい」
「いやはや、失敬失敬……早く服を着なさいチロ!」
ピシッ!
「ひぁっ!ご、ごめんなさい!」
撫でられていた尻を急に叩かれてビックリしてしまった。
慌てて下着とズボンを着て廟堂院様を見ると、やっぱり優しげな笑顔だった。
今の茶番に興奮してくれたのか否かは読みとれなかった。
(ふーん……もっとガッつかなきゃダメか?)
よく旦那様が連れてくる変態ゲストならここで目に見えて興奮してるし、
そのまま乱交……なんて事もザラだ。でも今日は違うみたいでつまらない。

その後特に興味もない無難な会話が繰り広げられて、廟堂院さんが帰るという。
当然、お見送りをするんだけれど……このまま何事もなく帰られるのも嫌だ。
屋敷を出た廟堂院様が車に乗り込もうとする、まさにお別れの寸前、俺は声をかけた。
「廟堂院様?」
廟堂院様は嫌な顔一つしないで「何だい?」と優しい声で返事をくれる。
俺は俯いて、まるで純情な乙女の様に恥じらいながら言う。
「今日は本当に申し訳ありませんでした。それに、恥ずかしいところをお見せしてしまって……
あの時、私を庇ってくださって嬉しかったです。ありがとうございました」
「いや、チロ君は何も気にしなくていいんだよ」
「あぁ、廟堂院様……!!」
俺は思いっきり廟堂院様に抱きついた。胸に顔をうずめた後、深呼吸して
しっかりと彼の目を覗きこむ上目遣いで言う。
「また、いらしてくださいね!?心待ちにしていますから……!」
「ありがとう。きっと、また来るよ」
廟堂院様が笑顔でそう言って、俺の頭を撫でた。
その瞬間に俺の心臓がドクンと跳ねる。
(父さん……?)
撫でられた感触が、声と笑顔が記憶と重なって混じり合う。
心の中に無意識に浮かんだ呟きに、自分で驚いてしまってとっさに体を離した。
変に心臓がドキドキして表情に出てしまいそうで、俺は必死で笑顔を作って頭を下げた。
「引きとめて申し訳ありませんでした。お気を付けてお帰り下さいませ」
「ありがとう」
廟堂院様は車に乗り込み、車は走り去っていく。
けれど嫌な動揺は消えなかった。
(ビックリした……あんな奴が父さんと被るなんて、どうかしてる!!
あんな、変態……そう、変態のはずだ!アイツだって!化けの皮を剥いでやる……近いうち、絶対に!!)
そんな決意をしていたはずなのに、何故だか涙が出てきた。
「父さん……父、さん……!!」
感情が抑えられない。きっと昨日あんな夢を見たから。
俺はその場にしゃがみこんでしばらく泣いてしまった。



それからというもの、俺は廟堂院様が来るたび色々とモーションをかけまくった。
擦り寄ってみたり抱きついてみたり、キスを迫ってみたり……
ところが、この廟堂院という男はどうにも俺を子供扱いしているらしく、
何をしても「チロ君は甘えん坊だね」+紳士スマイルで一蹴された。キスは頬にされた。
(人をバカに……してる!!)
俺が彼を誘惑しようとすればするほど、“懐いてくる知り合いの子供”感覚が強化されていくようで……
そんな日が続くものだから、いい加減俺もイライラしてきた。
俺の魅力が無いのかと別の日に他のゲストに同じ事をしてみれば即レイプ状態。
いつもより激しく犯されてしまって、フラフラしながら歩けば偶然目の前にはあの男。
(よし……今日こそ!!)
ブラウスの上から3番目までのボタンはワザと止めずに、着崩した執事服を振りみだして彼に向かって走る。
「廟堂院様!!」
「あぁチロ君。こんにちは」
「私あのっ、さっきまでおじ様達に犯さ」
「あれ?ダメだよチロ君……ボタンはきちんととめないと」
「れ……」
「これでよし。じゃあねチロ君」
「……」
きっちりとボタンを全どめされて、そう、上着まで……俺は立ちすくむ。
呆然と廟堂院を見送ったら、沸々と怒りがこみ上げた。
(あんのクソがぁぁぁぁッ!!変態クソジジイ共が俺を抱く為にいくら払うと思ってんだよぉぉぉっ!?
それを、それを……せっかく俺から誘ってやってんのにぃぃぃぃっ!!)
俺にだって、M奴隷としてのプライドがある!!打倒廟堂院!目に物見せてくれる――ッ!!
と意気込んで俺は庭に出た。裏の方へ回ると、庭師の耕作さんがいた。
耕作さんはお世辞にもハンサムとは言い難い、でも愛嬌のある顔の小太りな中年だ。
色のくすんだ作業着を着て、よれよれのタオルで汗を拭きつつ笑顔で声をかけてくれた。
「お〜〜チロちゃん!どしたね?」
「ねぇ耕作さん!あそこにお客様がいらっしゃるでしょう?!」
俺は少し遠くの窓から見える廟堂院を指さして言った。そう、ここは部屋から見える庭。
耕作さんは何かを察したようにうんうんと頷く。
「あぁ!あの人にあげる花さ、選ぶんだね?」
「違うんです!あの人に見えるように私を抱いて欲しいんですッ!!」
「え……?」
「できれば私をM字開脚にして後ろから犯してくれるとありがたいんですけど!」
笑顔だった耕作さんは真っ赤な顔をしてうろたえだした。全力で首を左右に振って。
「そ、そんな!チロちゃんにそげな事できねぇだよ!!」
「何を今さら!何度か犯してくれたじゃないですか!お願いです!貴方にしかこんな事、頼めない!」
「う、うぅっ……」
「耕作さん!!チロが嫌いですか?!」
「オラはチロちゃん大好きだよぉっ!」
そんな会話をしながら俺はそこらへんの石を取って窓に軽く当てる。
タン。という音で廟堂院が俺の方を見て、俺は笑顔で彼に手を振った。
そして、下半身を脱衣しながら耕作さんを急かした。
「だったら早く!彼が視線をそらしてしまう前に!私も耕作さんの事、だ〜〜い好きなんです
「あぁ、父ちゃん、母ちゃん!可愛い嫁ごさ連れて帰れねぇけんども、オラは都会で立派な男になってます!」
耕作さんが勢いよく、リクエスト通りにM字開脚にさせて後ろから抱きかかえてくれる。廟堂院の方へ向けて。
俺はバランスがとれなくて背中を思いっきり耕作さんの脂肪に打ちつけた。
「ぁ、耕作さん……!貴方ってやっぱり素敵です!」
窓を見れば、廟堂院は“目が点”状態で俺達を見ている。
(あぁ、見られてる見られてる……!
このまま俺達のセックスシーンを見せつけて、廟堂院の化けの皮を剥いでやる!)
そう意気込んでたら、首筋にむしゃぶりついてくる耕作さん。
「んぁぁっ!耕作さん……!くすぐった……んっ!!」
ジュルジュルと下品な音を立てて首筋を吸われて、思わず目を閉じて。
そして、もう一度開けて窓の方を見たら……

廟堂院がいなかった。

(あれ!?アイツ逃げやがっひひゃぁん!!)
気付けば耕作さんが自分の肉棒を俺の尻の谷間に擦りつけていて、
興奮するんだけど、廟堂院見てないし……!と、耕作さんに訴えた。
「こ、耕作さん!あのっ、廟堂院っ、いなくて!この、意味がっ……!」
「んだら、もう向こう向かなくていいだな?」
「ひぁっ!?」
耕作さんがいきなり俺を地面に投げ出す。
その後すぐに覆いかぶさって来て唇を塞がれた。
「ぁ、ふっ……んんっ、……んんん〜〜!!」
乱暴な舌使いのキスは長らく、辺りに淫靡な水音を響かせていたけれど
やっと解放されたかと思ったら……
「チロちゃん……好きだぁッ!オラ、もう我慢できねぇ……!」
「耕作さん!だから、やっても意味がっ……はぁんっ!!」
声は無視され、無理やり両足を開かされて耕作さんの指が後ろの穴に差し込まれる。
乱暴に揺すって、少しも経たないうちに本数を増やされた。
それだけで自分の竿の先端からはぶちゅぶちゅと先走りが溢れだす。
「耕作さっ……んぁっ、ぁう!!」
「気持ちええがチロちゃん?とっても滑りがいいだよ」
「きもっ、ちいっ、です!!でも、私――はぁぁんんっ!」
そう言った途端、指が引き抜かれる。俺はぐっと目を閉じて耕作さんの服を握る。
けどまたすぐに何か入ってきた。さっきよりずっと大きな塊が。
気持ちいい!けど、俺はこんな事してる場合じゃ……!
「あぅぅぅっ!!だ、ダメですそんなぁぁぁっ!!」
体の中を押し広げるような圧迫感。それがそのまま激しく前後に揺すられる。
耕作さんは興奮し切ってるらしく、遠慮なく突き上げられる。俺の性感帯を抉る様な激しさで。
そのリズムに揺られながら、息を乱されながら俺は叫ぶ。
「あぁああっ!んぐぅぅぅぅっ!耕作さん、やめっ……いやぁぁぁあああっ!」
「チロちゃぁぁぁぁん!オラの愛を受け止めてくれぇぇェェッ!!」
「んぁあああああんっ!やめてぇぇぇぇっ!!」
完全なるレイプ・プレイになっているこの状況。
俺の悲鳴と耕作さんの叫びが辺りに響いて、その後数分も経たずに純白の花弁が舞う。
完全に果てて荒い呼吸の耕作さんから逃げるように俺は風呂に駆け込んで
大急ぎでシャワーを浴びて、服は備え付けのバスローブを引っかけて。
髪もろくに乾かさずに、屋敷の中を駆け回った。あの男を探しながら。

(おのれ廟堂院!逃げるとは卑怯なり!!)

そして駆けまわった甲斐あって、廟堂院を見つける。
もう……もう逃がさない!!俺は走っている勢いそのままに、その腕を取る。
「うわっ!?」
廟堂院の悲鳴なぞ気にせず、そのまま全力で引っ張って近くの部屋に引きずり込んだ。
ガコンッ!
勢いよく内鍵をかかる音を鳴らす。
俺は近くでポカンとしていた廟堂院に向き直って、極上の笑顔で言ってやった。
「うっわぁ〜〜たぁいへん♪閉じ込められてしまいました〜♪」
「チロ君……これは、何のつもりで……」
「なんのつもり?白々しい方……さっきの、見てたくせに」
廟堂院が俺の視線から気まずそうに顔を逸らす。そして言いにくそうに口を開いた。
「彼とは……その、恋人同士なの?」
「いいえ。貴方をその気にさせたいから抱かれてみました。
なのに廟堂院様……いつの間にかいなくなってるから。でも、嬉しいです……
チロのいやらしい姿……見ていてくださったんですね?
だったら……ねぇ、私を抱きたくなりませんでした?」
俺は廟堂院に抱きつこうとしたけれど、廟堂院は俺を押し返す。
「チロ君、何を言ってるの?」
「私を犯して下さいと、そう言ってるんですよ」
「そんな事できない」
「私が男だからですか?そうやって最初は抵抗を持つ方もいらっしゃいますけれど……
でも!そんな事、関係ないくらい満足していただく自信があります!
チロがご奉仕すると皆さんとっても喜んで下さるんですよ!?」
「“皆さん”……?一体、君は……誰にでもこういう事をするの?」
ここまできたら意地だ。脱がせて合体してしまえば、コイツだって喜々として俺を犯す……!
そう思って廟堂院の服を脱がせようと手をかける。でもその手は掴まれて止められてしまう。
「やめなさい!どうして!?君みたいな子がこんな……無理やり、やらされてるの!?」
「さ〜〜ぁ?ただ、旦那様も喜んでくださるしお金も割増でもらえるんです」
「お金!?もっと自分を大事にしないと!!」
……さっきから手が全然動かせない。廟堂院の方が力があるみたいだ。
それならば!と、俺は自分の服から脱ぐことにした。
さっきからの綺麗事並べた説教もイライラしてきたし、たった一枚、バスローブを脱ぎ捨てながら言ってやったんだ。
「“自分を大事に”って、言われましても……今まで何人に抱かれたかよく覚えてないし、
もう大事に取っておくような貞操は残ってませんよ」
「チロ君……!」
心底悲しそうな声。そこで俺は思った。
あ、コイツ同情煽った方がいいかも、と。
そこで悲しげな顔と声を作ってこう続けた。
「廟堂院様……私だって、ずっと後悔してるんです……。
体を売ろうと思って、初めて紹介された相手が、とても顔の良い優しいお兄さんで……愛してしまったんです!
彼の家に招待されて行ったら……3人、知らないおじさんがいて……
彼、“好きな子が輪姦されてるのを見るのが好き”な性癖が狂ってる人だったみたいで!!
私、初めてだったのに!その時に今の旦那様に気に入られて、今日まで……!
私だって!!ぐすっ、好きな人と幸せな初体験を迎えたかった!!」
こんな感じで悲劇の青年ぶって泣き真似をすると、廟堂院が優しく肩を抱いてくれる。
「チロ君……そうか、辛かったね……」
「はいっ……!!実は、貴方はその初恋の殿方にそっくりで……だから、無茶を言って……
ごめんなさい!もう抱いてくれなんて言いません……せめて、私の隣で添い寝をしてくださいませんか……?」
瞳を潤ませて廟堂院に懇願した。すると……
「分かったよ。そう言う事情なら……こんな事しかしてあげられなくてごめんね?」
「あ……!」
さっきまであんなに抵抗していたのに、廟堂院は自分から俺の手を引いてベッドに上る。
そして、中央で俺を優しく寝かせて隣に寝そべった。あまつさえ俺の手をぐっと握る。
その流れるような紳士的な動作に不覚にもドキッとしてしまって……慌てて気付いた。
この、カモが、ネギしょって、鍋で出汁風呂に入ってるような状況に!!
ここまできたら、やれる!!
「よかったら、聞かせてくれないかな?君が売春なんかしてる事情を……」
「黙れよ変態」
「え?」
油断し切っていた廟堂院に、体を勢いよく起こして思いっきり馬乗りになるのは簡単だった。
完全に乗り上げてしまったらさすがの廟堂院も抵抗できないらしい。
やった――!やっとお楽しみタ――イム♥♥
俺は廟堂院を余裕たっぷりに見下ろしながら言う。
「私をベッドに引っ張ってくるなんて、やっぱり私とセックスしたかったんでしょ?
ま・さ・か〜〜あんな泣き真似、本気にしたなんて言わないで下さいよぉ〜〜??
んもぅ、最初っからおっしゃって下さればいいのに……それとも、これって変わった前戯ですか?」
「……君は、話せば分かってくれる子だと思ってたけど……」
「ごめんなさい。チロはバカですから、体に教えてくれなきゃ分からないんです」
「そうか……残念だよ。――四判、そろそろ入って来れる?」
「は?」
「お待たせして申し訳ございません千賀流様!!」
いきなり知らない男の声が聞こえたかと思ったら、天井から男が降ってきた。
念のためもう一度言うけど、天井から男が降ってきた。
立て膝を突く様にベッドに降り立って、俺を睨みつけてきた。
「千賀流様から離れなさい。若者よ」
「おまっ、お前、どっから入って……!?」
「離れなさいと……言っていますぞ?」
そう言った、よく見ると執事服の男にすごい力で腕を後ろに引っ張られて廟堂院から引き離される。
というより、投げられたに近くて仰向けに近い尻もちをついた。
「千賀流様!お怪我はありませんか!?ててっ、貞操の危機は!?」
「大丈夫だよ四判。若い女の子じゃないんだから」
「あぁぁぁぁ良うございました!!千賀流様にもしもの事があったら、奥様に申し訳が立ちません!!」
(何だコイツら……)
男は慌て気味に廟堂院を助け起こし、廟堂院は平然と微笑んでいる……そんな光景を
呆然と見つめていると、急に男に睨みつけられた。
「それにしても……この若者、よりによって千賀流様に淫らな行為を……!
千賀流様!ここは、この四判がしっかりと愛の鞭を叩きこんで反省させます!!」
「いや、四判……ここは私にやらせてくれないかな?チロ君!」
「……ぁ」
呆然としていたから間抜けな声しか出なかった俺に廟堂院が言う。
「こっちへきて。お尻を叩いてお仕置きしてあげる」
「…………」
“お尻を叩いて”“お仕置き”この2単語が頭の中で強調されてる。
あ、何だ……コイツ、やっぱり変態じゃん……!!
(そっか……廟堂院サマ、良いご趣味をお持ちで……!!)
与えられる痛みと快楽の予感に舌なめずりをして。
俺はワクワクしながら廟堂院の傍に近付いた。




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【作品番号】PB3・2
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