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姫神様フリーダム3




ここは神々の住まう天の国。
この国の幼い皇子、立佳(りっか)は今日も元気です。色々な意味で。
昼間、立佳が渡り廊下を歩いていると、中庭で妹の琳姫(りんき)とその従者の遊磨(ゆま)が遊んでいた。
女の子2人の楽しそうな様子に、立佳も仲間に入れてもらおうと声をかけるが……

「ねぇ2人とも!何してるの?オレも入〜れ〜て〜♪」
「ダメです!!」

拒否された。
断固たる拒否をしたのは妹の琳姫だ。

「今日は女の子だけで遊んでるから男の子は入れません!」
「そんな!!“男子禁制秘密の花園”なんて言われたら、よけい入りたいじゃないか!!」
「そんな事言ってません!!もう、これだから兄上は……入ってこないでください!!」
「琳姫様、そう言わずに立佳様も入れてあげましょうよ……」

怒っている琳姫を宥めるように遊磨が声をかける。
その瞬間、立佳は顔を輝かせて……

「さっすが遊磨ちゃん!!優しいね!
やっぱり、おっぱいが大きいと心も広いって言うか……」

いい終わる前に、立佳の顔が琳姫の傘(姫神式R-2UMB)で横殴りにされた。当然の反応である。
ドシャッと横なぎに倒れた兄に、琳姫はさらに追い打ちをかけるべく傘でバコバコに殴っていた。

「あわっ、痛い!痛いって!その傘どっから出して……痛っ!琳ちゃん、冗談!!冗談だってば!!」
「さっさとどっかへ行きなさい!わたくし、遊磨と遊ぶので忙しいのですから!
兄上はきゅうりとでも遊んでいればいいんです!」
「きゅうりじゃなくて“たまさと”だってば!琳ちゃんのイジワル!風でパンツめくれろ!」
「黙りなさい!このろくでなし!!レーザーで散らしますよ!?」

言いながら、琳姫は立佳の鼻先に姫神式R-2UMBの先端を突き付ける。
立佳は慌ててその場から逃げたものの、妹にボロボロにされて追い返されてとっても不機嫌になった。

(何だよ琳ちゃんのバーカ!実の兄をないがしろにするような悪い妹にはねぇ、天罰が下るんだよ☆)

渡り廊下の柱の影に隠れた立佳は、琳姫と遊磨を見つめながらおもむろに片腕を上げる。
そのままスッと下に下げると、琳姫と遊磨の服が一瞬で真っ二つ裂ける。
はらりと落ちた服。下着姿の二人は一瞬呆然として……

「「きゃああああああッ!!」」

見事な悲鳴を上げた。
これぞ立佳の編み出した“カリスマ秘術☆もう服なんか無くていいじゃん!”。
神秘の力で相手の服だけ一刀両断の便利技である。
何が起こったか分からずに、顔を真っ赤にしてオロオロする二人を眺めて、立佳はご満悦だ。

「あははっ、いい気味〜♪ほーう、琳ちゃん今日はピンクの縞パンかぁ〜〜いいね!合格☆
おりょ?遊磨ちゃん今日は意外に可愛いパンツだ〜〜!
純白フリルなんて初めて見たな……おニューかな?」
「何の話だ?」
「だからぁ〜、琳ちゃんと遊磨ちゃんのパンツ……」

言いかけて、立佳はバッと振り返る。
後ろに立っていたのは立佳の父親の境佳(きょうか)だった。
腕を組んで立佳を睨みつけて……怒っているのは一目瞭然。立佳は慌てて取り繕う。

「ああああれ?父上いつの間に来てたの〜?
いやぁ〜、オレもさ、偶然通りかかったら二人がパンツ姿で日光浴を……
あ、父上も見たい?場所変わろうか?
んもぅ、父上ったら以外とムッツリスケベ〜〜〜☆」

瞬間、境佳の顔がビキッと引きつって……
立佳は手を引かれて連れていかれた。


「全くお前は!!いつもいつも!!」
「ごめんなさい!!ごめんなさいぃっ!!」

パンッ!パンッ!パンッ!

境佳の部屋で、境佳の膝の上でお尻を叩かれる立佳。
今度は自分の下半身が丸裸だった。

「どうして妹達を辱める事ばかりするんだ!」
「やぁぁっ!!はずかしめてないよぉ!
お風呂を覗くのは琳ちゃんの体の健全な成長を見守るためで
パンツを見るのは服装の乱れをチェックするため!
すべて可愛い妹を思うが故の……」
「立佳!」

パァンッ!

得意の言い訳も叩かれて遮られる。
今この状況で、この真面目な父親に少しでも余計な事を言おうものならお尻に3倍返しだった。
容赦なく叩かれる痛みと戦いながらも、立佳は必死に謝る。

「痛ぁぁっ!!ごめんなさい!!実はただのセクハラです!
妹にセクハラはいけないことです!分かってます!ごめんなさいぃっ!」
「いいや、お前は全然分かってない!今日という今日は許さないからな!」
「そんなぁぁぁあっ!!」

パンッ!パンッ!パンッ!

「いや〜〜〜っ!!ごめんなさい父上〜〜〜っ!!」

素直に謝り続ける立佳だが、普段の行動が行動なのでなかなか許してもらえない。
暴れても跳ねても、境佳に平手を浴びせ続けられる。

「ごめんなさい!!ごめんなさいってば〜〜〜っ!!」
「お前の“ごめんなさい”は全然説得力が無い!
琳姫や遊磨に悪戯するなといつも言っているのに……これで何度目だ!?」
「やぁぁっ!!回数なんていちいち数えてないよ〜〜〜!!
大切なのは回数じゃなくて、琳ちゃんがどんなパンツをはいてたかとか
遊磨ちゃんのおっぱいがどういう感触だったかとかそういうことで……」
「お・ま・え・は〜〜〜〜〜ッ!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

「ぎゃ―――――――っ!やぁぁっ!痛い―――――っ!!」

一段と当たりが強くなったお仕置きに、悲鳴を上げながら足をばたつかせる。
怒らせると分かっていても、つい本音を叫んでしまうのは立佳の悲しい性だ。
そしてそれをどうにかしようと叫ぶ言葉もまた……

「うわぁぁぁんっ!!父上もムッツリスケベならこの気持ち分かるでしょ〜〜〜っ!?」
「……誰がムッツリスケベだッ!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

……逆効果。
余計お尻を真っ赤に腫れ上がらせてしまう結果になる。
本人、悪気が無いだけにだんだん悲しくなってきた。
それに叩かれているお尻がそろそろ痛過ぎて、涙が出てくる。

「ひぃっ、ふぇっ、ごめんなさい父上ぇ……っ!!もうやだぁっ!」
「お前が本当に反省しない限り、膝から降りられないぞ!」
「うあぁぁぁぁんっ!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

泣いたぐらいで許してくれる父親ではない事は分かっているので
立佳は泣きながらも頑張って謝った。

「ごめっ、ごめんなさぃいっ!!うぇぇっ!琳ちゃんのスカートめくるのとか
遊磨ちゃんのおっぱいさわるのとかぁ、我慢しますっ……!!」
「もうしないんだな?」
「やぁあああっ!!もうしません!!たぶん!!」
「……たぶんか……」

パンッ!パンッ!パンッ!

「うわぁぁあんっ!!しません!!もう二度としません!!絶対しません!!」

本当はこんな約束したくはないのだが、この期に及んで自分の煩悩なんて構っていられない。
立佳は境佳に許してもらうために必死で泣きながら叫ぶ。

「ごめんなさぁぁい!!もうしません!!本当だからぁぁぁ――!!」
「信用できないけどな……」

パンッ!パンッ!パンッ!

「うわぁぁああん!!父上――――っ!!ごめんなさい〜〜〜〜っ!!」

それからしばらく叩かれて大泣きして、やっと許してもらえた。
今は境佳に膝抱きにされている。

「父上……ごめんなさい。
オレいっつもこんなんで……父上みたいに立派になれないよ……
見損なわないでね……」

立佳がぎゅっと抱きついていくと、境佳も優しく立佳の頭を撫でた。

「何を急に……お前はどんなでも私の可愛い息子だ。
でも、悪戯はいい加減にしないと琳姫に嫌われるぞ?」
「もう嫌われてるかも……一緒に遊んでくんなかったから……
だからイライラしてせめてパンツだけでも拝見しようと!!」
「……そういう事するから琳姫は余計怒るんだ。ちゃんと謝って仲直りしなさい」
「……うん、そうする」

こうして父親の部屋を後にした立佳の前に、琳姫が現れた。
ご立腹の様子で立佳に近づいてきて喚き散らす。

「兄上!!さっきの貴方でしょう!?わたくしと遊磨にいやらしいイタズラばっかり……
全く!!貴方はいつになったら……」
「う、うん……ごめんね琳ちゃん……オレ、本当に琳ちゃんと遊びたかっただけなんだ。」
「…………あ……」

しおらしい立佳の様子に琳姫も勢いを無くした。
困ったように視線を彷徨わせて俯いている。

「わ、わたくしだって兄上の事、嫌いじゃないのですよ?……た、ただ……
兄上が変な事ばっかりするから……わたくしだって本当は仲良く遊びたいです……」
「琳ちゃん、ごめん。オレ、心を入れ替えてまともになるよ!」

琳姫の肩に手をかけて、真顔で宣言する立佳。
いつもと違う兄の様子に、琳姫もパッと期待に満ちた表情で立佳の顔を見る。

「本当ですか!?」
「本当だとも!!なんならここで琳ちゃんの唇に誓いのキスを……」

いい終わる前に、立佳の足を思いっきり踏みつけた琳姫。当然の反応である。
痛みで屈みこむ兄を置いて、琳姫はさっさと歩いていってしまった。
置いてきぼりをくらった立佳は、一人呟く。

「おかしいな……自然な会話の流れだったはずなのに……」

小さな神様兄妹が仲良く遊べる日はまだ遠い……。



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