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姫神様フリーダムanother(立佳&球里アフタークリスマス編)




ここは神々の住まう天の国。ちなみに今日はクリスマス。
立佳がカップル達を潰す為に人間界に旅立った後、球里は驚きのあまりとっさに動けずにいた。
「な、何て事だ……立佳様……!」
「ねぇキュウリ……きゃぁああああああっ!!」
何気なく入ってきた遊磨が突然大きな悲鳴を上げて、真っ赤な顔で壁を指さす。
「あっ、あっ、アンタ何見てんのよ!!」
「え?あぁっ!!」
壁……に、映し出された人間カップルは18禁シーンの真っ最中。
球里も真っ赤になって大慌てで遊磨に弁解した。
「ちちち違うんだ!!これは、誤解だ!!」
「わ、分かるよ?そりゃっ、アンタも……若い男だもんね……。
それに発情期近いんだっけ?でもさ、せめて自分の部屋で……」
「話を聞け!変な理解を示さないでくれ!発情期はまだ2ヶ月先だ!!」
「とにかくそれ、早く何とかしてよ!琳姫様があたしを追いかけてきたらどうしてくれるわけ!?」
「そんな事言われたって立佳様じゃないと止め方が!あ……!」
球里はハッと我に返る。“立佳様を止めなければ”、と。
もう壁の映像をどうこうしている場合では無かった。
「遊磨!とにかく私にはこれの止め方は分からない!
見たくなければこの部屋を出てくれ!それと、私は出かけてくる!」
それだけ投げつけるように遊磨に伝え、球里は走りだした。
「ちょっと!何それ……いやぁああああっ!琳姫様こっちに来ちゃダメですぅぅぅぅっ!!」
遊磨の叫び声を聞きつつ、球里は立佳を探しに出かけたのだった。


そして、時間はかかったものの人間の青年をお供に付けてカップルに
悪戯をしようとしていたらしい立佳を無事に連れて帰ってきた。
流石に戻ってくると、だんだん叱られるのが不安になってきたらしい立佳が
自分を抱っこしている球里の顔を見つめる。
「球里……父上怒ってた?」
「分かりません。お父上様には何も言わずに貴方を探しに行きましたから」
「え?だってお前……“お父上様も心配してますよ”って……」
言いかけながら、立佳の表情が急に明るくなった。
「あれ嘘!?もしかして父上にはバレてない!?
わーい!ラッキー♪ねぇ、じゃあさ、この事はオレ達二人だけの秘密ね!?」
「何を言ってるんですか!」
球里に急に大声で怒鳴られ、立佳は驚いてビクリと体を跳ねあげた。
声も出せず、真剣に怒っているらしい球里の顔を呆然と見る。
「罪も無い人間の恋人達を嫉妬から傷つけようとして!
そんな神として恥ずべき行為を、反省もせずに隠蔽しようだなんて!
貴方のような悪い子は自ら罪を告白して叱っていただくべきです!」
「そ、そんな……反省はしてるよ!もうしないって!ごめんなさい!」
「お尻を叩かれるのが怖くてそんな事言ってるでしょう?!」
「違うよ!そ、それもあるけど!だけど……とにかくもうしないって約束するから!!」
球里の迫力に泣きそうになりながらも立佳は頑張って訴える。
せっかくバレていなさそうなのに、自己申告なんて意地でもしたくない、と思いながら。
「結局、誰も怪我してないし!
クリスマスに彼女もいなくて、寂しくて、それでお尻まで叩かれるってさ、
オレを可哀想に思わない!?お願いだよ球里!
お前の言葉で目が覚めたんだ!お願いだから今回だけは見逃して!」
自然と瞳を潤ませながら必死に頼み込むと、
球里はしばらく怖い顔をしていたけれど……最終的にはため息をついて表情を緩めてくれた。
「分かりました……今回だけは」
「ありがとう球里!!お前は最高の従者だよ〜〜っ!!」
「…………」
「……球里??」
「聞いていますよ。都合のいいおべっかですこと……」
澄まして答える球里だけれど、立佳には彼の様子が何かおかしい事に気づく。


だから帰ってからはずっと球里にくっついて行動していた。
球里は不思議そうにするだけで、特に変わった行動は取らなかった。
家族+従者で楽しいクリスマスパーティーも満喫して、その日は何事も無く過ごせて。
けれど立佳は粘った。次の日もこっそり球里の行動をつけていたのだ。
そして、その努力は功を奏した。
球里が立佳の父親の部屋に入っていき、中から
『実は昨日立佳様が、人間の恋人達に嫉妬して悪戯をしようと……』
という声が。
(た、球里が裏切った――――っ!!)
立佳は絶望しつつも、扉に耳を当てて必死に中の音を拾おうとする。


一方、部屋の中では……
球里が緊張の面持ちで机に向かっている立佳の父親の境佳と対面している。
「申し訳ありません。
実は昨日立佳様が、人間の恋人達に嫉妬して悪戯をしようと
人間の世界に行っていらしたのです。
誰かに被害が出る前に私が連れ戻す事に成功しましたので
怪我人などはいなかったのですが……もちろん、何か壊したとかそういう事も無く……」
「アイツは……とんでもない事をする。誰に似たんだ……」
境佳は“頭が痛い”とでもいう様に額を押さえる。
怒ったような呆れた様な、そんな低い声だ。
だから球里は慌ててるけ加える。
「どうか、立佳様を叱らないであげてください!
恋人がいなくて寂しい想いが暴走した結果だと思います!
人間の世界に行く前に、止めて差し上げられなかった私にも責任のある事です!」
「確かに……お前が付いていながら何故止められなかった?」
急に自分に向けられた厳しい視線に、球里は一瞬たじろぐ。
「!?……ぁ、申し訳ありません……」
「どうした?“私にも責任のある事”だと言いながら、随分驚いた様な顔をするな?
まさか自分が叱られないとでも思っていたか?」
「い、いえ……本当に自分が不甲斐ないです。申し訳ありませんでした」
「立佳の心配をするより自分の事を先に謝るべきでは無かったかお前は。
大体、何故今頃言いに来た?もっと早く謝りに来られなかったのか?」
「は、はい……それは……」
「やましい事が無いのなら顔を上げろ」
球里は慌てていつの間にか俯き加減になっていた顔を上げる。
そうすると境佳の厳しい視線に射抜かれてしまって、体中が固まる様な心地がした。
そして自分を責め立てるようなお説教は止まらない。
「大方、立佳に口止めされたんだろう。
けれど、良心が咎めたから今頃ここに来たか?情けない。
口止めされた時点で立佳を説得して謝りに来させるのがお前の仕事だろう?」
「もっ、申し訳……」
球里、この時すでに半泣きであった。+泣くまいと必死でこらえていた。
怖いやら情けないやらで言葉が最後まで続かなくても
境佳は眉一つ動かさずに次の言葉を投げかけてくる。
「さっき、“立佳様を叱らないであげてください”と言ったな?
それは……お前が立佳の分もお仕置きを受けるという意味か?」
「は、はい!そうしてください!」
「軽々しく返事をしてくれる……」
舌打ちしそうな勢いで苦々しくそう言った境佳の顔に苛立ちが見えた。
球里は悪い意味でドキッとしてまた俯きそうになって、慌てて前を向いていた。
ずっと見ていても怖い表情の境佳が言う。
「言っておくが、いつもの何倍も苦しむぞ?お前を厳しくお仕置きすれば立佳は反省するだろうからな……」
その言葉を聞いて、極限に達した恐怖と緊張で体中がビリビリしてきた。
それでも、球里は声を振り絞る。
「か、覚悟は……できています……立佳様の為なら、喜んで……」
「やめて!!」
突然、勢いよく部屋の扉が開く。
入ってきた立佳は力いっぱい叫んでいた。
「球里!お前、何してんだよ!
お前がこんな事するくらいならオレ、最初から父上に謝ったよ!!
影でコソコソこんな事しないで!!」
球里を睨みつけてそう言ったかと思うと、
今度は境佳を睨みつけて……
「父上も、あんな言い方ないじゃないか!悪いのは全部オレだよ!
なのにっ、どうして球里がオレの代わりになるのさ!!」
「立佳……」
境佳はそんな息子を見て、ホッとしたように肩を落とした。
「いつ出てくるかと思っていたが……もう少し早くても良かったんじゃないか?」
「えっ……!?」
驚く立佳。球里も目を丸くする。
境佳は今までとは別人のように球里に向かって微笑んだ。
「済まなかったな球里。キツイ言い方をした……でも、
言った内容は事実だからな?もう少し頑張って止めて欲しかったし、
もっと早く私に謝りに来て欲しかった。立佳を連れて」
「あ……も、申し訳ありません……!!」
と、言った瞬間に無意識に零れ落ちた涙。
球里は焦ってそれを受け止める様に俯いて涙を拭う。
「分かってくれればいい。さて、お前達?」
呼ばれた二人共が同時に境佳に注目する。
穏やかな表情の境佳は落ち着いた声で言った。
「お互いを思いやっているの良い事だな。
心配しなくても今からお前達の受ける罰は自分の分だけだから……どちらが先に来る?」
「「!!?」」
『今から』
『罰』
『どちらが先に来る?』
これに素早く反応したのは立佳の方だった。
「ちょっと待ってよ球里もお仕置きって事!?さっきも言った様に悪いのは全部オレで……!」
「ああ。悪いのは全部お前だ。
お前の考えなしの行動のせいで球里が犠牲になるな。可哀想に。
分かったら二度とこんな事はするな!」
と、問答無用とばかりにそう怒鳴られた立佳はしゅんとして俯く。
「そんな……ごめんね球里……」
「貴方の為なら、私は何にだって耐えてみせます。
どうかそんなお顔をなさらないで下さい」
球里に優しく肩を叩かれた立佳が大きく鼻をすすって無理やり笑うと、
父親に対してバッと手を突き出して高らかに言う。
「ちょっと待って!タイムね!相談するから!」
そう言って、球里をの手をぐいっと引っ張って父親に背を向けた。
地面を覗きこむように球里に体を寄せて、口に手を添えて小さめの声を出す。
「球里!お前先に行った方がいい!」
「なっ、何故です!?」
オロオロしながらも、とっさに合わせて小さな声で聞き返す球里。
「たぶんね、後だと先の人が叩かれてるのを見なきゃいけないから怖くなるんだよ!
お前怖がりだから先行った方がいいよ!」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!怖がりって……!そんなの平気です!
それに私が先だと、叩かれてる所を立佳様に見られるって事で……」
「大丈夫!オレはお前を女の子だと思い込んで楽しく見つめてるから!」
「最低じゃないですか!!嫌ですそんなの!」
「落ち着け!まだ理由はあるって!
今日父上が全力出したいのはどっちのお仕置きだと思う!?オレでしょ!?
だから、最初にお前が行けば父上は体力をセーブしようとしてあんまり痛くないはずなんだ!」
「どれだけ深読みするんですか!?」
「ここの戦略を読み違えるとお互い不幸になるんだよ!
一緒に幸せになろう球里!!いいか!?お前は先に行って、
泣き叫び謝ってなるべく父上の気力だけでも削って!!
お前に苦しんで欲しくは無いけど、オレも怖いもんは怖い!!」
「この会話たぶんお父上様に聞こえてますからね!?」
と、いう球里のツッコミが響くが、ここまでで決着はついた。
暇そうだった境佳が「終わったか?」みたいな表情で席を立つ。
そんな動作一つにもビクリと身を震わせる球里を心配そうに見つめる立佳。
「本当にごめんね球里……」
「ぅ。お恥ずかしい限りですね。私はすぐに耳と尻尾に出てしまうらしくて……」
「いや、顔に出てるよ?」
「えぇっ!!?その、とにかく!!私を哀れに思うならきちんと反省して下さいね!?」
球里はぺたぺたと顔を触った後、逃げるようにその場を離れて
境佳のいるベッドの方に行って跪く。

「主上様……その、私を先にお願いします」
「そうか」
ベッドに腰掛けていた境佳は、そう言ったきり動かない。
     ・
     ・
     ・
「……あ!し、失礼します!」
3秒ほどの沈黙と膠着の後、球里が慌てて境佳の膝の上に横たわると、
境佳の方も何事も無かったかのように球里のお尻を丸出しにしてピトッと手を添えた。
「球里……今回の件でお前にこんな罰は理不尽に思うかもしれないけれど
“立佳をあまり甘やかすならお前も一緒にお仕置きしてしまうぞ”と、いう事だ」
「いえ、私が悪いのです。も、申し訳ございませんでした……」
「今から反省してくれればそれでいい。
けれど、済まないな……立佳の言う通り体力は温存したいんだ。
一気にいかせてもらうぞ?」
「え……?」
丸裸のお尻を晒されている羞恥心と恐怖心で固まっていた球里が、
気を緩めた瞬間に一打目の罰が下る。
ビシィッ!!
「ひ!?」
バシィッ!バシッ!バシンッ!
息を飲むほどの痛みがその後何度も。最初から手加減なしの連打だった。
「う、あっ、主上様っ!!」
バシィッ!バシンッ!バシッ!
「あぁぁ!申し訳ありません!申し訳あ」
バシィッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
ほとんど喋る間もなく、畳みかける様にお尻が痛くなって
球里は叩かれ始めて間もないというのに、必死の大声で悲鳴を上げてしまう。
「うわぁぁあああっ!お許しください、あっあぁああああ!!いぃ痛いです!痛いぃぃ!!」
「お前、他にも立佳を庇って私に隠している事はないだろうな?」
「ひゃぁぁああ!無いですぅっ!も、申しっ、訳ぇぇっやぁぁあああ!」
バシンッ!バシンッ!バシンッ!
痛かった。とにかく痛かった。
最初はバタバタしていた球里の耳と尻尾は電池が切れたかのようにとある一瞬を境にダウン。
お尻はいつの間にか真っ赤になっていて、気が付けば涙を流していたくらいだ。
その変化にすら付いていけないほど苦しむ球里が泣き叫ぶ。
「うぁああああ申し訳、申し訳ありませ……あぁはぁああああ!!」
「どうだ反省したか?」
「反省しました!反省しましたぁぁあああ!!」
「なら、いい」
「っぁ!?」
驚くほど、サッパリと許された。
怒涛の様に終わってしまったお仕置きに、球里が呆然としていると
助け起こされて、境佳にしっかりと両手を握られた。
「球里……厳しい事をしてしまったけれど、お前だけが頼りなんだ!!
立佳の将来の為にも、立佳に流されないでくれ!頼む!!お前は私の従者でもあるだろう!?」
「も、もちろんです……!以後、気を付けます」
目の前の必死さに圧倒されながらも球里が頷くと、境佳はホッとしたように熱い手を離す。
「良く言ってくれた……もう下がっていいぞ」
「え?しかし……」
戸惑いながら立佳を見やる球里。
立佳の方はワザとらしく身をくねらせて言う。
「ヤダ球里!オレがお尻打たれてるとこ見てく気!?
エッチ!スケベ!むっつりスケベ!エッチマン!
下半身見せつけてないで、さっさと服着て出て行ってよ!」
「ッ!?わ、分かりました……!失礼します!!」
球里は真っ赤な顔で自分の服を整え、結局、押され押されで出て行ってしまった。
それを見届けて、長い溜息をついたのは立佳だ。
「……父上、けっこう、精神的にきた。
オレが叩かれてるところなんて見せたら、アイツ悲しむよね」
「そう思うなら、これからお尻を叩かれない様にしなさい。
ちょうど今からたくさん反省できる事だしな」
「うぅ……」
少し気落ちしたくらいで優しくしてくれる父親ではないようで。
立佳のお仕置きは滞りなく行われる。
球里と同じように膝の上で、ズボンも下着も脱がされて。
「人間の世界に行く事自体は、別に禁止というわけではない。
何も言わなくても、皆が“皆さんやめときましょうね”と思っているぐらいだ」
バシッ!バシッ!
「やっ……!」
感じた痛みに立佳は反射的に目を閉じる。
冷静に話している割に境佳の平手打ちはいつもより強く感じて、思わず身じろぎした。
「閻廷なんかはたまに遊びに行っているらしいし。
けれど、私としてはあまり行かない方がいいと思っている」
バシッ!バシッ!
「うっ、あぁっ!」
「私達と人間はやはり違うんだ。悲しいけれど、向こうに深入りしすぎて身を滅ぼした
神々の例が後を絶たない……だから皆、行かない様にしてるんだ」
バシッ!バシッ!
「ひっ……いたっ!!んっ!」
「それを、お前の様な子供が一人でだなんてとんでもない!!
しかも悪戯をしに行っただなんて論外だ!!」
バシィッ!
「わぁぁぁぁあん!」
ここで急激に強く叩かれて、大声で悲鳴を上げた立佳。
もうここからは本気モードらしく父親のお説教の方も口調が強くなる。
「こちらで散々悪戯してもまだ足りないか!?
いつになったら真面目に生活する気になる!?」
バシッ!ビシッ!バシッ!
「ごっ、ごめんなさっ……ごめんなぁぁぁぁああうっ!!」
今まで何度となく繰り返されてきたお説教フレーズは聞き流せても、お尻の痛みだけは流せない。
叩かれるたびにお尻ごと体を揺らして、痛みに耐えながら必死で叫ぶ。
「ひぃぃ!オレぇっ、カップルが、うぅぅっ妬ましくてぇぇぇぇっ!!」
「そんな下らない理由で、球里にも迷惑をかけて!!」
バシッ!バシッ!バシッ!
「やぁぁっ!下らなくなんかないよ!父上には母上がいるから
オレの気持ちなんか分からないんだぁぁぁあ!!」
「なっ、そんな事……!」
その時、動揺した境佳の様子に立佳は気付かない。
ただ、痛みに任せて言わなくていい事を叫んでいた。
「どうせ昨日も『今日はクリスマスだな?どうせなら私とホワイトクリスマスにしてみないか?』
とか言ってたんでしょ!?もうやだ――――ッ!!」
「バッ……このっ、バカな事を言うんじゃない!!全く反省できてないなお前は〜〜〜ッ!!!」
ビシィッ!バシィッ!バシィッ!
無駄なひと言でお尻叩きはさらに厳しさを増して、
立佳が慌てて真っ赤なお尻跳ねあげて半泣きで謝る。
「ひぃぁぁあああん!反省してる!反省してるってぇっ!ごめんなさいぃ!」
「さっきまでふざけていたくせ、どの口が言うんだ!
どうやら私はお前を甘やかし過ぎていたみたいだな……」
「えぇぇぇぇっ!?違うよ!それ勘違いだよぉ!むしろ厳し過ぎ、痛いぃッ!」
「黙りなさい!今日はお前が深く深く深く深く反省するように、たくさんお仕置きしてやると決めた!」
「ぎゃぁあああああっ!やだそんなのぉぉぉぉっ!深すぎるよ地獄だよ!ごめんなさい!ごめんなさい――!」
「地獄にでも落ちないと反省しないだろうお前は!!バカ息子め!」
ビシィッ!ビシィッ!バシィッ!
もうすでに真っ赤なお尻を厳しく叩かれながら、地獄行きのチケットを手にしてしまった立佳は
痛みと恐怖で暴れながら泣き叫ぶ。
「うわぁああああん!そんな事ありません〜〜っ!ごめんなさい!もうしない!もうしないからぁぁっ!」
しかし、立佳が何を泣き叫んでも無駄なようで……
「やだぁぁっ!もうやだよ痛いよぉぉっ!わぁああああん!父上ごめんなさいぃぃ〜〜!!」
「嫌だじゃない!痛いのは当たり前だ!お前は悪い事をしたんだから!」
「わぁぁぁあああんごめんなさいぃぃ〜〜!もうしない反省したから〜〜!!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!
一旦怒らせてしまった厳しい父親は容赦なくお尻を叩き続けてくるのだった。
「あぁやぁぁあああっ!ごめんなさいっ、ううっ!ごめんなさい痛い痛い痛い〜〜っ!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!
「うぁあああん!いたいぃごめんなさいやぁあああああっ!ふぇぇぇえええっ!!」
もがいても逃れられない痛みになすすべもなく、立佳はただ必死で謝り続けるしかない。
悲鳴と泣き声交じりでもい喋れないギリギリだけれど、許されるその時を信じて。
「もうやぁぁああだぁぁあ!!わぁああああん!!父上ぇぇぇぇ〜〜っ!
許してぇぇぇぇごめんなさい〜〜!!父上うわぁぁああん!」
「お前はの“ごめんなさい”はもう信じない!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!
叩かれつつ謝りつつ、たまにそれを受け入れ拒否されつつ叱られつつ、
立佳にとっては時間の流れなど気にする余裕のないお仕置きが続いて
泣き声も抵抗もやがて果ててくる。
「あっ……うぅっ、やぁぁああっ!父上ぇぇ……もっ、やだぁぁ……!」
「…………」
バシィッ!バシィッ!
「うぅっ、ぐずっ……うぇぇっ!!ぇぇ……!」
「立佳……」
境佳は手を止めて立佳に尋ねる。
「きちんと反省できたか?」
「でっ、できたぁぁ……ごめんなさぁい……ぐすっ……!
オレぇぇぇ……!」
立佳がボロボロ泣きながら謝って、こう続けた。
「楽し……かったんだ……!隊長、ジェラスと……カップル、追いかけるの……!
友達っ……なれて……ご、ごめんなさっ……」
「……そうか」
立佳の頭を境佳が複雑そうな笑顔で撫でる。
「次から、もしどうしてもあちらに行きたいなら私に言いなさい。
理由次第では行かせてやるから」
「はいぃぃ……」
境佳は、お仕置きが済んでもなかなか泣きやまない立佳を膝に乗せたまま頭を撫で続けた。

と、結局このように、立佳にとっても球里にとっても厳しいクリスマス後日となったわけだけれど、
あの人間の青年が同じように厳しくお仕置きされた事実を彼らは知る由も無かった。


【おまけ】

「はぁ……立佳にも良い友人ができればいいのだがな。
私と閻廷の様な関係の者が……人間では無くて、こちら側に」
「あら……“良い友人”だなんて、閻ちゃんが聞いたら喜びますね、境佳様♪」
「……言うなよ?」
「まぁ!どうしてです?もし逆に閻ちゃんなら、今の言葉をとびきりの笑顔で
境佳様に伝えてくれますのに……」
「私とアイツは違うだろう……それに、今更改まって言う事でも……」
「友情に“今更”も何も無いでしょう?たまには改まってみたら、閻ちゃんとても喜ぶと思いますよ?」
「いや、まぁ、だからっ……〜〜っおい!
いい加減に“閻ちゃん”と呼んでやるな!アイツも大人なんだから!」
「うふふ……分かりました♪」





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【作品番号】HSB17

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