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姫神様フリーダム12





ここは神々の住まう天の国。
“時期外れの発情期”が無事解決し、球里が城へと帰ってきた。
大喜びの立佳が迎えてくれる。
「球里ぉぉぉお!!あぁ良かった帰ってきたぁああっ!」
「立佳様!!ご心配をおかけしました」
強く抱き合う二人。
立佳が、今までの淋しさを埋めるように球里にアレコレ話しかける。
「ねぇまさかとは思うけど、美人で巨乳の彼女とかできてないよね!?」
「で、できてませんよ!!立佳様がご立派になられるまでは、そんな事にかまけている場合では……」
「うんうん!オレ、まだまだ手がかかるから、先に彼女なんか作らないでよね〜〜っ!!」
「自分で言わないで下さい!しっかりしていただかないと困りますよ!もう……」
「でもさ!球里のいない間は結構頑張ってたんだから!
柄にもなく勉強とかしちゃったよ!どうしてくれんのさ〜〜!!」
「ええっ!?本当ですか!?ぜひ後で成果を見せてください!!」
「いいよ!球里、絶対感動してご褒美にエロ本読み放題にさせてくれるよ〜〜!」
「それはありません」
「え――――っ!!あぁ、でも……この感じも懐かしいぃぃっ!!」
「立佳様……よっぽど淋しかったんですか?」
「いいじゃん!お前もでしょ!?」
「はい」
ひたすら抱き付いて頬ずりしてくる立佳に、球里も嬉しそうにしているのを、
境佳や玲姫、琳姫や遊磨も微笑ましく見守っていて、
その日は立佳と球里の二人で、立佳の部屋で色々話していた。
特に立佳がテンション高く話していたのは“近々、自分と同じ年頃のお姫様がここへ遊びに来る”という事。
球里は“尊姫の事だ”とピンとくる。
「可愛い子かなぁ!?恋人になれるかなぁ!?」とデレデレウキウキする立佳に、
“さらに積極的になられたら困るし、好意を持っている事は伝えない方が良さそうだ”と判断して、
球里は「まずは友人でしょう!?」と返していた。

その尊姫の訪問を楽しみにしているのは立佳だけではなく、
琳姫も年の近いお姫様の来訪をソワソワドキドキしているようだった。
「どんな方でしょうか?お友達に、なれると良いのですが……!
いいえ!きっと、なってみせます!!」
「その意気です琳姫様!きっとすぐお友達になれますよ!」
遊磨もニコニコと琳姫を応援する。


そして、尊姫の訪問当日。
やってきた和王一家と境佳達一家が対面する。
境佳と和がにこやかに両手で握手した。
「本日はお招き感謝する、境佳殿」
「ようこそ和殿。どうか楽しんでいってくれ。奥方殿もお元気そうで何よりだ」
境佳がニッコリと和の妻、更(さら)王妃を見ると、
更は真っ赤な顔で背筋を伸ばして緊張気味な大声を出す。
「はっ、はい!ありがとうございます!!
このっ、このような素敵なお城に!おみゃっ、お招きいただいて光栄です!!」
そんなカミカミ王妃の更に、今度は玲姫が優しく言葉をかけた。
「ふふ、更様緊張しないで。今日はわたくし達も妻同士、ゆっくり語り合いましょう?」
「あっ……」
更は赤くなりながらオロオロと和を見て、和が微笑むと、安心したように笑顔で言った。
「は、はい!!楽しみにしておりました……!」
更の緊張が解けたのをホッとして見やりつつ、境佳は尊にも声をかける。
「尊姫も、よく来てくれたな」
「こちらこそ、お招きいただいて本当にありがとうございます。境佳様」
優雅にお辞儀をした尊。
その顔を上げると、さっそく頬を赤らめて、立佳に恋の視線をロックオンしている。
「それに……立佳様、お会いしとうございました!!」
尊に熱烈にそう言われた立佳は驚いた顔をしたけれど、すぐにキメ顔スマイルで尊に歩み寄る。
「光栄ですね。僕もどんな姫君がいらっしゃるかと、心待ちにしてたんです。
貴女のような可憐な方で、夢のようだ」
「ッ!!可憐だなんて……!!」
「よろしければどうでしょう?僕がこの城を案内して差し上げますが。
ぜひ、色々お話でも」
「よっ、喜んでぇぇ……っ!!」
真っ赤になっている尊の手を、立佳が取る。
「きゃっ!!」
「おっと失礼。馴れ馴れしかったでしょうか?」
ニッコリと微笑みつつも、手は離さない立佳。
尊姫はますます赤くなってプルプル震えて、涙さえ浮かべて首を横に振った。
「いえ……いいえ!!嬉しくて……!!」
「良かった。僕も貴女をエスコートできて、とても嬉しいです。
参りましょう、尊姫。和様、更様、どうかごゆっくり」
流れるように挨拶して、立佳は尊の手を引いて連れ出す。
去り際、琳姫には
「琳姫、ごめんね。戻ってくるまで自由にしてて」
と爽やかな笑顔で声をかけて。
ポカンとしていた一同のうち、和が感心したように言う。
「しっかりした、皇子じゃないか。羨ましい」
「……いや、酷い猫かぶりを見た」
呆れ顔の境佳は、心配そうに立佳たちが去っていった方向を見る。
琳姫も同じ方向にジトッとした視線を送っていたが、顔を戻して和と更に笑顔でお辞儀をする。
「わたくしも、下がっていますね。和様、更様、ゆっくりしていってください」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
去っていく琳姫を見ながら、和がまた感心したように言う。
「姫君もいい子じゃないか。本当に羨ましい」
「いやぁ、あの子も普段はお転婆で……」
今度は少し嬉しそうな境佳が照れていて……

一方、部屋に帰ってきた琳姫はベッドにダイビングして遊磨を驚かせ、足をバタつかせて叫んでいた。
「あぁああああっ!何なんですか兄上のあの態度はぁぁぁ!!」
「琳姫様どうしたんですか!?お、落ち着いて……!!」
「“僕”だの“琳姫”だの、気取っちゃってぇえぇっ!!
尊様に、隠し持ってるイヤラシイご本をぶちまけてやりたいですぅぅぅっ!!」
「そ、それはダメですって!琳姫様、とにかく落ち着きましょう?!」
「大体、尊様も尊様ですよ!!わたくしには一言も挨拶なく……兄上にデレデレしてぇッ!!」
「尊様は立佳様の事が好きなんですよ!」
「えっ……?」
はたと動きを止めた琳姫が、勢いよく起き上がって顔を赤くする。
「あ、兄上の事が好きな女の子がいるわけないでしょう!?」
「いや、失礼ですよ琳姫様!!」
「どうせ!兄上もすぐ我慢できなくなって、
いつものいやらしい本性を丸出しにして、嫌われるに決まってるんですから!
なんせ尊様は可愛い方だし……その時はわたくしが改めてお友達になりますよ!」
「えーっと、そうですよ!その意気その意気!」
何とか琳姫のイライラをおさめたい遊磨はとりあえず励ます。
と、琳姫は静かに考え込んで、
「……わたくし、ちょっと二人の様子を見てきます!!尊様が心配ですからね!」
「あっ、琳姫様……!ありゃ、大丈夫かなぁ?
でも、いくら琳姫様でも、よそのお姫様もいる事だし……」
止める間もなく出て行って、遊磨が追いかけるか迷っていた。


その頃の立佳と尊は、和やかな雰囲気で散策を楽しんでいた。
「父上は花が好きで。庭が自慢なんです。まずはそこへ行きましょうか?」
「はい!立佳様……あの、何と言うか……大人っぽくなられましたね」
「え?」
「前お会いした時は……その……もっとフレンドリーというか……
あっ、立佳様は、覚えてらっしゃらないかもしれませんが……!!
でもでも!!どちらの立佳様も素敵なので!!」
顔を真っ赤にして嬉しそうにそう言う尊。
立佳は少し考えて、ニッコリと笑った。
「……尊姫?」
「は、はい!」
「実は今、すっごくカッコつけてます。少し、疲れるかな。
ありのままの僕を、受け止めてくれますか?」
「も、もちろんです!!どんな立佳様でも受け止めて見せます!!」
尊が力強く頷くと、立佳はスッと肩の力を抜いて……満面の笑みで尊の両手を握ってはしゃいだ。
「ありがとう尊姫!!君って優しいねっ っていうか、前会った事あるって!?
君みたいな可愛い子の事を覚えてないなんて、オレの頭どうかしちゃってるよ〜〜!
でも大丈夫!!今日からオレ達のラブラブな思い出、たくさん作っていこう!?」
「立佳様……!!そうです!まさしく、私の知ってる立佳様です!!」
立佳が通常テンションに戻っても嬉しそうな尊なので、立佳も嬉しそうに微笑んだ。
「あっはは!変にカッコつけない方が良かったかなぁ?ねぇねぇ、尊ちゃんって呼んでいい?」
「もちろんです!お好きにお呼び下さい!!
それに……その、ぜひ……ラブラブな、思い出も、作っていきたいです……!」
「!?」
尊の思わぬ反応に驚く立佳。
少し照れながらも、テンションを保とうとする。
「いや〜〜、最近の女の子って積極的だね!そ、それって……オレの事好きって事?」
「好きです……!!」
「えっ!?うそっ!?」
「嘘じゃありません!!ずっと前からお慕いしておりました!!」
「……」
生まれて初めて女の子から告白され、硬直した立佳は思わず……
「……結婚、しよっか?」
「喜んで!!」
あっさり結婚を成立させていた。
しかし、そこに琳姫が声を張り上げる。
「ちょっと待ったぁあああっ!!」
琳姫はダッシュで立佳と尊の前に回り込んで立ち塞がると、息切れ気味に叫んだ。
「なっ、なっ、何ですか貴方達!!
会っていきなり結婚だなんて聞いた事ありませんよ!!」
「あ、琳ちゃん!こちら、琳ちゃんの新しいお姉ちゃんの尊ちゃんだよ!」
「当然のように紹介してこないで下さい!!わたくしは姉だなんて認めてませんよ!!」
「えーっ!ちょっとそんなイジワル言わないであげてよ!いきなり嫁小姑戦争勃発なの!?」
「嫁でも小姑でもありません!尊様!騙されないでください!
兄上はすっごくエロなんですから!すぐスカート捲るし、大きいおっぱいが大好きだし!
可愛い女の子には見境なくて、100パーセント浮気します!
いやらしいご本もたくさん持ってますよ!?」
「うわぁああっ!そんなに言うなんて琳ちゃん酷いよ!!」
琳姫と立佳が言い争うのをニコニコ見つめていた尊は、そのままの笑顔で言う。
「構いません。男の子として、健康な証ですわ」
「「えっ……?」」
「立佳様みたいな素敵な方の妻になるんですもの。ライバルは多くて当然です。
私、立佳様が他の女の子に目移りしなくなるくらい、愛していただけるよう自分を磨いて頑張ります!」
「尊ちゃん……!!」
「…………」
呆然とする琳姫の目の前で、立佳が尊の両手を握って真剣に見つめる。
「今すぐご両親にご挨拶に行こう!!」
「立佳様
「きゃぁあああっ!ちょっとぉぉ!!もう何なんですか貴女!!兄上から離れてください!!」
「きゃっ!?」
琳姫が、立佳と尊を引き離す様に尊を押しのけて、尊がよろつく。
「何するんだよ琳ちゃん!!尊ちゃん大丈夫?!」
すると立佳が慌てて尊を心配していて、琳姫はムッとする。
尊の方はまたすぐ笑顔に戻って言った。
「だ、大丈夫!ビックリしただけで……全然気にしませんのよ?
私ったら、立佳様に会えて浮かれてしまって。
琳姫様にはきちんとした挨拶もまだでしたね、ごめんなさい。
私、琳姫様に会えることも楽しみにしてたんですよ?」
「あっ……わっ、わたくしも……」
尊の言葉に琳姫はしゅんとして、頬を赤らめてオロオロするが……
「なんせ、私の未来の妹君になるお方ですもの
明るくて可愛らしい方で安心しました!姉妹として、仲よくしましょう?」
「はぁッ!?なっ……!?な、馴れ馴れしいんですよ貴女っ!
わたくし、貴女を姉だなんて絶対に認めませんからね!?」
「琳ちゃん!!」
結局は尊を指差して怒っている琳姫を、立佳が困りつつ咎める。
けれど尊は気にしてない風に笑っていた。
「まぁっ いいんですよ。ゆっくり距離を縮めていきましょう?
安心してくださいな琳姫様。貴女からお兄様を取ろうというわけじゃありません。
私と立佳様が夫婦になったとしても、貴女が立佳様の妹君であるのは変わりない事。
立佳様はお優しい方ですし、きっと、今まで通り貴女を大切にしてくださいます。妹君として」
「あっ、貴女に兄上の何が分かるんですかぁぁっ!!」
琳姫が尊に掴みかかると、立佳はいよいよ困ったように叫ぶ。
「琳ちゃんいい加減にしてよぉ!!」
「兄上は黙ってて下さい!!」
怒っている琳姫とは対照的に、尊は掴みかかられてもまだ笑っている。
「あら、お相撲ですの?受けて立ちますよ?」
「調子に乗らないで下さい!!兄上と貴女が夫婦になるなんて、貴女が一人で言ってる事です!!」
「ごめんなさい。立佳様も“結婚しよう”と言ってくださってますので」
「兄上は女の子なら誰にでもそう言うんです!!わたくしだって何度も言われました!!
閻濡お姉様にだって!遊磨にだって!言ってたんですからね!!」
「その中で、どなたが立佳様のプロポーズを受け入れた方はいらっしゃるのかしら?
立佳様を好きでない女の子の事なんてどうでもいいわ。ライバルですらないもの。
私はもちろん、立佳様のプロポーズ、受け入れます。これで結婚成立でなくて?」
「うっ……うるさい!!とにかく貴女なんて大っ嫌いです!!」
琳姫がそう怒鳴って、尊の髪を引っ張る。
「っ!?」
「琳ちゃん!!」
「琳姫様!!」
ここで追いかけてきたらしい遊磨が、慌てて琳姫を引き離して抱き上げる。
そして、困り顔で叱りつけた。
「何やってるんですか!こんな事されたら、遊磨でも庇いきれませんよ?!」
「あーもう!今日の琳ちゃん凶暴過ぎ!遊磨ちゃん部屋に連れてっといて!!」
「分かりました!申し訳ございません立佳様!尊様!」
「うっ……うわぁあああん!兄上のバカァッ!!」
琳姫が喚きながら遊磨に連れ去られるのには目もくれず、立佳が必死に尊に謝っていた。
「ごっ、ごめん!大丈夫尊ちゃん!?せっかくの綺麗な髪が!」
「ふふっ、大丈夫です。癖っ毛だから多少引っ張っても問題ありません。
私の方こそごめんなさい……偉そうな事を言ったかしら?琳姫様に嫌われてしまったみたいですね……」
「ううん!尊ちゃんは悪くない!全然悪くないからね!?
……琳ちゃんも、本当はいい子なんだけど、手が出やすくて困っちゃうな」
立佳は本当に困ったようにため息をついて、尊がそんな立佳を慰めるように笑う。
「立佳様……私、琳姫様ともこれから仲良くなっていきたいと思ってますの。
琳姫様のお話、聞かせて下さる?」
「尊ちゃん……!!ありがとう!!」
立佳もホッとしたように、そして嬉しそうに笑って、
その後は、二人で楽しく話して過ごした。



その後しばらくして。
「琳ちゃ〜〜ん?」
立佳は琳姫の部屋を遠慮気味に覗き込む。
ベッドの中で丸まっている琳姫を見て、呆れ気味に声をかけた。
「えぇ!?まだ機嫌悪いの?!……あのさぁ、尊ちゃん……和様達帰るって。
お見送り行こうよ。あと、尊ちゃんに謝ってほしいんだけど」
「…………嫌」
琳姫は立佳の方を見向きもせずにそれだけ言って動かず。
立佳は参ってしまいながらも、声だけは気にしていない風に言い放った。
「あっそ。別にいいけどさぁ。オレ、父上に言いつけちゃうから。お仕置き、覚悟してね」
「兄上のバカ!」
「琳ちゃんのガンコ〜〜。もう知〜〜らないっと」
立佳は扉を閉めて、琳姫は丸まったまま。
遊磨も心配そうに琳姫に声をかけた。
「琳姫様……」
「遊磨だってわたくしを味方してくれないんでしょう!?」
「味方したくてもできないんです。琳姫様だって、自分が悪いって分かってるくせに」
遊磨がそう言っても、琳姫は何も答えなかった。
諦めた遊磨も黙り込んで、しばらく無言の空間が続いていた時、
「琳〜〜姫♪」
ひょっこりと扉を開けて顔を覗かせたのは、琳姫の母親の玲姫。
琳姫は目を丸くしてベッドから起き上がる。
「母上……?何かご用ですか?」
「うふふ〜〜♪おかしいわねぇ、身に覚えがないのかしら?」
玲姫は笑顔のままスーッと琳姫に近づくと、ベッドに腰かけて
軽やかに琳姫の体を膝に乗せてしまう。
「えっ!?ひゃっ!?」
琳姫が驚く間もない早業でスカートを捲って下着を下ろして、
そして、お尻を叩く。
「尊姫にケンカをしかけて、手を出したんでしょう?素敵なお姫様のする事じゃないわね」
パァンッ!
「やぁぁっ!何故それをっ!?」
予想外の人物からのお仕置きに、琳姫は痛がりながら驚く。
玲姫はさらに手を振り下ろしながら、穏やかに答えた。
「立佳が教えてくれたの。どうしてそんな事したの?」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「うっ、あっ!だ、だって!尊様が腹の立つ事ばっかり言うからぁっ!」
「腹が立つ事って?」
「んっ、あぁっ!兄上と、結婚するだの、妻になるだのなんだの!
初対面の癖に、ふっ、ぅ、馴れ馴れしいんです!!」
痛がりながらも怒っている琳姫に、玲姫が笑いながら言った。
「あらぁ……立佳を取られると思って、ヤキモチ焼いちゃったのね?」
「そんなんじゃありません!!」
「違うの?」
「ち、違います!!……自分でも、よく分かりませんけど!でも、とにかく腹が立ったんですぅ!!」
必死に“ヤキモチ”を否定しながら足をバタつかせる琳姫。
「そう」と、優しく相槌を打ちつつ、
「何にせよ……腹が立ったからって、暴力はいけません」
バシッ!
少し叩く手を強める。
琳姫がビクンと跳ねて大きな悲鳴を上げた。
「きゃぁぁっ!うぅっ、分かりました!もうしませんから!」
「よろしい。尊姫に何をしたの?」
「許してはもらえないのですか!?」
「きちんと反省できたらね?」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「いやぁああっ!反省しましたぁ!」
お尻もほんのり赤くなってきた琳姫が
涙目になって痛がって逃げるが、玲姫は難なく押さえて叩き続ける。
パンッ!パンッ!パンッ!!
「まだ反省している途中です。さぁ、答えてちょうだい。尊姫に何をしたの?」
「んっ、あっ、髪を、引っ張ってっ……!!」
「まぁ!尊姫、痛かったでしょうね」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「あぁあっ!ごめんなさい!」
「それから?」
「それからは無いです!それだけです!!」
「それだけでも随分、乱暴だったのね。悪い子」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「ひゃっ!?ごめんなさぁい!母上ぇぇっ!もう許してください!!」
「わたくしね、父上の代わりに来たの。だから貴女を甘やかすわけにはいかないわ」
パシンッ!
「うっ、うわぁあああん!!」
また強くお尻を打たれた琳姫が、泣き出して、泣き喚きながらも必死に叫ぶ。
「ごめんなさぁい!反省しました!しましたからぁっ!
もうすぐに暴力を振るったりしません!!あぁあああん!!」
「そうよ〜〜?相手も女の子なんだから。怪我をさせたらどうするの?
それに、乱暴な事をしていたら、何かの拍子に貴女が怪我をするかもしれないし。危ないでしょう?」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「ひゃぁん!ごめんなさぁい!」
「立佳も貴女を心配してたのよ?父上じゃなくてわたくしに話してくれたのはせめてもの情けじゃないかしら?
あとね、父上と和様は仲良しなの。琳姫と尊姫の仲が悪かったら、きっとお悲しみになるわ」
「あぁっ、仲よくしますからぁぁっ!!母上ぇぇ!許してください〜〜っ!」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「うわぁああああん!ごめんなさいっ!ごめんなさぁぁい!!」
「痛い事をされたら嫌だって分かったでしょう?」
「あぁん!分かりました!ごめんなさい!うわぁああん!!」
玲姫はふんわり言い聞かせつつも、お尻を叩く手は緩めないため、
琳姫のお尻は今や真っ赤になってしまっている。
「いやっ!うわぁああん!母上ぇぇっ!ごめんなさぁぁい!」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「うわぁあああん!!」
泣いて嫌がる琳姫をしばらく叩いてから、玲姫は声をかけた。
「琳姫、反省したの?」
「しましたぁっ!もうしません!もうしません〜〜!!」
「尊姫に謝るのよ?立佳にもね」
「あぁっ!謝ります!謝りますから!ごめんなさい母上ぇぇっ!!」
パンッ!パンッ!パンッ!!
「ひゃぁああん!ごめんなさい母上ぇぇっ!わぁあああん!!」
「今日のところはわたくしから父上に、貴女をお仕置きしないように頼んであげるけど、
今度やったら、許しませんからね。わたくしにも父上にお尻をお仕置きされると思っていて」
バシィッ!!
「うわぁああん!分かりましたぁぁぁっ!」
最期に一発、強く叩かれて泣き喚いて、琳姫は許された。
その後は服を整えてもらって、落ち着くまで玲姫に泣いているのをあやしてもらって、
一部始終を硬直して見つめていた遊磨も、やっと深く深呼吸したのだった。


その後。
廊下でバッタリ鉢合った琳姫と立佳。
立佳はニヤニヤしながら琳姫に言う。
「あっ!琳ちゃんお尻大丈夫〜〜?ナデナデする?」
「…………」
が、琳姫が冷ややかな眼差しを送ると慌てて態度を裏返した。
「う、嘘嘘!からかってごめんね!正直、触りたかったのもあるけど!!」
「バカ兄上!!謝まろうと思ってたのに!!その気を削ぐつもりですか!?」
「とんでもございません!!お願いします!!」
立佳が慌てて背筋を伸ばすと、琳姫はもじもじしながら謝る。
「あ、あの……わたくしも、ごめんなさい……。
次に尊様にお会いしたら、仲良くなれるように努力します」
「うん!ありがとう!」
嬉しそうに微笑んだ立佳の笑顔につられて、気の抜けた琳姫も微笑む。
しかし次の瞬間、
「なんせ琳ちゃんの未来の姉上だからね!」
「だから!わたくしは姉だとは認めませんってば!!」
「えぇええええっ!!何で!?尊ちゃん可愛いし、琳ちゃんにも優しくて余裕あるし……
あぁあああ最高じゃんオレの彼女〜〜っ彼女って言うかむしろ、お嫁さん!?
わぁい!やったぁぁああっ!!」
「バカァッ!!デレデレしないで下さい〜〜〜〜ッ!!」
デレデレし出した立佳に、最終的にはまた怒っていた琳姫だった。


【おまけ】

和「尊、今日は楽しかったか?」
尊「ええ、とっても!立佳様はとても素敵だしカッコいいし優しくしてくれたし!
  けれど……琳姫様には嫌われてしまったみたい……」
和「お前が立佳皇子に馴れ馴れしくしたから……」
尊「うっ……うぅっ……!」
和「な、泣く事は……また次の機会に仲よくなればいい事だから!な?」
尊「……あら 次の機会を作ってくださるのねお父様? だぁい好き
和「あっ……!お前は全く……」
尊「うふふ!立佳様にね、琳姫様のお話をたくさん聞いたんだけど、
  琳姫様をとても可愛がっていらっしゃって、兄妹仲良しみたいで羨ましかったの!
  私も兄弟がいれば良かったのに!」
和「…………」
尊「……お父様?」
和「お前一人でも手がかかるのに」
尊「お父様ぁぁっ!!」




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【作品番号】HS12
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