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廟堂院家の双子の話6
【注意】言い訳はしません。そこはかとなくアウト臭いです。ご注意ください。


町で噂の大富豪、廟堂院家には二人の息子がいた。
名前は千歳と千早。まだ幼い双子の兄弟だ。
幼いゆえに彼らは空が暗くなるとすぐ就寝の時間。
今宵もいつものように寝室のベッドの中でくんずほぐれず横になっていた。
唯一つ、いつもと違っていたのは……

『千歳、今日はいい子にしてたかい?ちゃんとベッドに入ってるだろうね?』

普段はそこにいない、優しそうな壮年の声がしているという事だ。
それは千歳が持っている電話の子機から聞こえていた。

「あはは、お父様ったら……僕がいい子にしてないわけ無いじゃない。
ちゃ〜んとベッドに入ってます。千早ちゃんも一緒だよ?ね、千早ちゃん?」
「あっ……ぅ……」

片手の子機で父親と会話し、もう片方の手で器用にガウンを肌蹴て千早の胸を愛撫する千歳。
千早はぼぉっとした顔でうわ言のような声を漏らすだけだ。
そんな弟に優しく微笑みかけた千歳は、そのまま手に持っていた子機を渡す。
千早はそれを受け取って父親と話そうとするのだが……

「お父様……」
『あれ?その声は千早かな?君もいい子にしてた?』
「う、うん……ぁ、やぁっ……」

話している間も千歳は愛撫を止めない。
小さくてやわらかな手が敏感な部分に触れるたび千早は声が漏れてしまう。
潤んだ目で兄に「やめてくれ」と訴えてみるも、千歳は止める事なく耳元で囁く。

「ちゃんとお話ししないと、お父様に変に思われるよ?」
「でもっ……!」
『千早?どうしたの?』
「何でもなっ、は、ぁん……く、ぅっ!!」

父親に勘付かれる事だけは避けたいのだが、声を殺そうにも
千歳の手は的確な部分を這いまわっているので思う様に冷静な声が出せない。
唇を噛んで快感の波に耐えながら、千早は必死に父親との会話を続ける。

「違っ、ぁぁ……虫が、いたんだよ虫が!はぁ、はぁ……」
『虫?部屋の中に?』
「くぅっ……知るかぁ……!」
『千早……本当にどうしたの?大丈夫かい?』

心配そうな父親の声も、千早には遠くで響いているようで会話に集中できない。
千歳の愛撫はさらに凶悪なほどの気持ちよさを与えてくれて、
そのくせ、千歳は耳元で「もっと普通に会話してあげなきゃ」などと無理を言ってくる。
しかし千早にとっては兄の言葉は何よりも尊重事項。ともすれば開きっぱなしになりそうな口を頑張って動かす。

「心配っ、しないで……んっ、はぁ、やっ、ちょっ……!兄様っ……!あぁっ!」

思わず千歳の名前を呼んでしまった千早。千歳が胸元にそっと唇を付けていたのだ。
その直後にぬるりとした感触が肌をくすぐって、そこからはもう父親と会話どころではなかった。

「ごめんなさっ……ダメっ!!やぁああんっ!兄様ぁっ!」

もう電話中だと言う事も忘れて、千早は色っぽい悲鳴を上げる。
その手から零れ落ちそうになった子機は千歳が見事に救いあげて
再び自らの耳元に当てて平然と言った。

「千早ちゃんったら、お父様がいないからってはしゃいじゃってるみたい。
お父様、お仕事ゆ〜〜っくり頑張ってね?あ、でも早く帰ってきてくれないとお母様が発狂しちゃうかも……
ちなみに僕としては、あと一週間くらいそっちにいてくれると嬉しいなぁ。じゃあね、愛してるよ。おやすみなさい」

ろくに父親の相槌も聞かずにサラっとそれだけ言って電話を切ってしまった千歳。
子機は適当に放り投げて、自分の下で息を切らせる千早を妖艶な笑顔で見下ろした。

「下手くそ。あんなじゃ、お父様にバレちゃったかもしれないじゃない」
「ごめん……なさい……」
「ダ――メ。許してあげない。お仕置きだよ」
「……」

とびきりの笑顔でお仕置き宣言をしてきた千歳を、千早は潤んだ目で見つめるしかなかった。
こうなればもう運命は変えられない。
またいつもの理不尽で楽しい“お仕置き”の時間が始まる。


パシィッ!!

「あぁっ!兄様……!!」
「ふふっ、可愛いよ。千早ちゃん……」

ベッドに四つん這いになって、乾いた音をお尻に叩きつけられるのは千早。
黒のガウンは腰まで捲くりあげられて下着は床に落ちているのでお尻は全開だ。
千歳は少し赤みを帯びたお尻に、楽しそうに笏状鞭を当てている。
部屋の中には鞭の音と千早の悲鳴が響いていた。

「はぁっ、兄様ぁ……んっ、痛いです……」
「そんな事言って千早ちゃん何だか嬉しそう……
そろそろお仕置きされるの、癖になってきてたりして」
「そんな、違っ……やあぁぁっ!」

千早は反論しようとするが、強く叩かれて思う様に言葉が出ない。
出せると言えば情けない悲鳴だけで、後は痛みに身を震わせて涙をこらえるだけで精いっぱいだ。
一方の千歳はその苦しそうな千早のお尻を躊躇無く打ちつけながら、慈愛に満ちた瞳で見つめている。

「もっとおねだりしてもいいよ」

規則正しい鞭の音に混じる優しい声。
千早は笏状鞭にまんべんなく染め上げられたお尻を震わせる。

「はぅっ……にっ……様……あぁあっ!!」
「僕にお仕置きされるの好きなんでしょう?」
「ひゃぁんっ!!好きですぅ!すきぃ……!あぁ……!!」
「あはは!さっきは“違う”って言ったくせに、もう“好き”だなんて……いい加減な話だね。
適当言うと……こうしちゃうから」

パシ!パシ!パシィッ!!

赤くなっている所に立て続けに鞭くれると、千早が飛び上がるように体を揺すっていた。

「あぁあんっ!ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさいぃ……」

泣き声に近い悲鳴を上げて、顔を突っ伏して崩れ落ちても、その場から逃げない従順さが千歳には心地いい。
自分にMっ気がある事は否定するくせに、「お仕置きされたいか」と聞けば素直に「Yes」答える……
それは千早が自分に完全に服従しているという意志表示。だから千歳は千早をお仕置きする事でそれに応える。

「いい子だね千早ちゃん……もっともっとお仕置きしてあげる……」
「いやぁああっ!ごめんなさい!兄様ごめんなさぃぃっ!」
「嫌なら逃げればいいんだよ」

もう弾けそうに赤い千早のお尻。
どんなに悲痛な声で喚かれても千歳は手を止めない。
逆に徹底的に千早を泣きわめかせたくなる。

「うぁあああっ、あぁああん!兄様ぁぁっ!」
「いい声。さぁ、どうする?逃げるなら今のうちだけど……」
「あぁああ!逃げません!兄様から、ぁ、うぅ……逃げたりなんかしません!!
どうしてオレが兄様から逃げっ……」
「千早ちゃん」

千歳は千早の言葉を遮って鞭を振りかぶる。

「ありがとう」
 
パァアンッ!!

「うわぁああああっ!!」

ひときわ大きな音がして、千早は大きな悲鳴上げた。
千歳はにこやかに振り切った鞭をまた千早のお尻に当てる。
今までより乱暴に、無茶苦茶に。

パシ!パシ!パシィッ!!パシィンッ!!

「こんなにしても、君は僕にそう言ってくれるんだね……嬉しい」
「ごめっ……あぁ!ごめ、なさっ、やぁあああっ!うわぁあああん!!」

限度を超えてなおも無慈悲に叩かれて、千早は謝る事もままならないで泣きわめいていた。
千歳は千早を見ている。お尻を真っ赤にして泣いている可哀想な弟は、確かに千歳の目には入っているのだが……
感じるのがゾクゾクと体の表面を這いまわる高揚感なのでどうしようもない。

「君がそうやって僕に服従を示すなら、僕は君を支配する。
いや、違うかな?“支配”なんて乱暴な言葉じゃ足りない……」

止まらない。体も心も。
千歳は鞭を振るいながら言った。

「愛してるよ千早ちゃん。
君の全部、奪ってしまえるほど愛してる」
「んぁああっ!!兄様ぁッ!!」

ビシッとお尻を叩かれながらそう言われ、泣きぬれた顔に喜びを浮かべて悲鳴を上げる……
千早も千早でどうしようもなかった。

この二人は小さい頃から自然にこういう位置関係なのだ。
特に「千歳が兄だから」という教育も行われていなかったというのに……
もっとも、二人は“運命がそう決めてしまったんだろう”と納得済みだが。

そして最近のこの“お仕置き”が、二人の上下関係をより鮮明にしていた。
痛みを介する刺激的なやりとりだからこそ、ハッキリと全身に焼きつけてくれる、
そんな感覚が堪らなく心地良くて、だから何度やっても飽きる事は無い。
どんなに泣かれても……どんなに痛い思いをしても。

「やぁああん!兄様ぁっ!!うわぁあああんっ!!」
「はぁ、千早ちゃんが可愛いから終わるに終われない……」
「痛い!痛いです!ごめんなさいぃっ!助け……ぁあああん!!」
「一番痛いとこ超えたら、逆に気持ち良くなってくるかもよ?」
「やぁああああっ!」

パシ!パシ!パシ!!

泣き叫ぶ千早は首を狂ったように横に振る。
そして悲鳴を上げるのにいっぱいいっぱいの喉から声を絞り出していた。

「やだぁっ!そんなっ……変になるっ!本当に、ひっ、マゾみたいに……
兄様に、あぁっ、変になったオレ見てほしくないぃ!!」
「何言ってるの?別にマゾになったって良いんだよ千早ちゃん……」
「嫌だ!嫌だそんなのっ、兄様……いやっ……!!」
「僕は許してあげる」
「兄様ッ……いやだ……ごめんなさい!ごめんなさい!」
「ずっと傍にいてあげるから……」
「いやだぁああっ!!うわぁああああん!兄様ぁぁっ!」

本気で怯る千早の泣き声を聞いて、全身の血管が一度に脈打つような興奮が千歳を襲う。
それと同時に体中にドロドロとした欲望が流れて行くように感じて
千歳は一瞬立ちつくした。

(あ……ダメだ……僕ったら……)

少し目眩がして足がふらつく。

(入れ込み過ぎたみたい……)とため息をついて、千歳は鞭をベッドに置く。
気配が変わったのを感じてか、千早が怖々と千歳の方を見ていた。

「どうしたの?足りない?」

千歳に言われて、千早は慌てて首を振る。
その様子にクスリと笑った千歳が千早の痛々しいお尻を撫でると
真っ赤なお尻がかすかに震えた。

「あ、ぅ……!!ぐすっ……」
「痛いんだ……少しやり過ぎたかなぁ……」
「うっ、ぇぇ……」

泣きながら首で「No」を示す千早。
千歳はいっそう優しくお尻を撫で続ける。
そうしているうちにだんだん愛しさがこみ上げてきた。

「千早ちゃん……キスしていい?」
「え……?」
「こっち向いてほしいな……」

千早はすぐさま身体を起こして千歳の方を向く。
そうすると覆いかぶさるようにキスされて、仰向けでベッドに倒れこんでしまう。

「ねぇ、もうちょっと二人で夜更かししようか?」

うっとりとした表情で千歳がそう尋ねると、千早からキスが返ってきて……

二人の夜更かしが決定したのであった。



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【作品番号】BS6

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