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廟堂院家の双子の話4



町で噂の大富豪、廟堂院家には二人の息子がいた。
名前は千歳と千早。まだ幼い双子の兄弟だ。
千早にとっての天国と地獄の夜から一夜明けたこの日
千歳の部屋で双子兄弟がタダならぬ事になっていた。

「んっ……」

ベッドに座る千歳の前に跪いて、その足先を口に含む千早。
千歳が強制したわけではない。昨日のお詫びにと千早が自分から言い出した事だった。
ちゅむちゅむと濡れた音を立てて、足先をしゃぶっている千早を千歳はいつものように笑顔で見下ろしていた。

「なかなか上手だね千早ちゃん……何だか気持ちいい」
「あ……あいがひょうごやいまひゅ……」
「……口に物を入れたまま喋るとお行儀が悪いよ?」

あくまで優しく声をかけながら、千歳は足先を千早の口の中にぐっと押しこむ。

「んぅっ!!」

千早は苦しそうな声を上げたが、それでも健気に舌を動かしていた。
涙目になりながら必死に兄の足を舐めている。
そんな時間がしばらく続いて、そのうち千歳がゆっくりと足を引き抜いた。

「ありがとう。楽しかったよ千早ちゃん」
「はぁっ、ぁ……兄様……」
「で、この程度でお詫びのつもり?」

サッと青ざめる千早に、千歳が続けて言う。

「……もう少し期待してたんだけど……。
まぁいいか、千早ちゃんだって頑張ったもんね……」

そう言いながらわざとらしくため息をついて見せると、千早が慌てて足もとにすがりついてくる。

「すいません!こんな事しか思いつかなくて……!!
兄様に刃向ったあげく、お詫びも満足にできないなんて……
あぁ、どうかオレを叱って下さい兄様!!
兄様の満足いくまで厳しく躾けて下さい!!
オレは兄様にならどんなに厳しくお仕置きされたって耐えられる!」
「そうこなくっちゃ……千早ちゃん、僕にお仕置きされたい?」
「はいッ!!」
「そう……。だったら……君はどうして服なんか着てるの?」
「え?あっ、はい!脱ぎます!今すぐ全部脱ぎます!」

せわしなく服を脱ぎ始める千早。
千歳は、別に全部脱げとは言ってないけど……と、思いながらも
黙ってくすくす笑っていた。


やがて千早が全裸になると、千歳は彼をベッドの上に四つん這いにさせて
その小さなお尻をいつものヘラみたいな鞭で撫でた。

「怖い?」
「オレは……一瞬でも兄様を奴隷にしようとした自分が怖い……」
「そっか……もう大丈夫だよ?
今ここでハッキリさせてあげるからね……僕と君のどっちが“上”か……」

バシィッ!

「っう!!」

まずは一発思いっきり叩いて、それから慣らすように強めに鞭を当てていく。

バシッ!バシッ!バシッ!

「はぁっ、兄っ……様ぁ!!」
「千早ちゃん、君は僕の何?」
「あぁっ!!奴隷です!オレは兄様の奴隷です!!」

「あははっ、違うよ。君は僕の弟」

いつもにまして下手な千早に千歳は思わず笑ってしまった。
千歳を“奴隷”扱いしたのをよっぽど気にしているらしい。

バシッ!バシッ!バシッ!

「ふふっ、バカな子……僕の奴隷になりたいの?」
「にっ、様……なりたい……なりたいですぅ!!」
「ふぅん……そっかぁ……」

躊躇なく返された言葉に千歳は気分を良くする。
自分にお尻を叩かれて痛めつけられいるのに、この絶対的な服従心はどうだろう……
千歳にはそんな千早が愛おしくて仕方がない。

バシッ!バシッ!バシッ!

「じゃあ、僕が廟堂院家の当主になったら、千早ちゃんを僕専用の奴隷にしてあげる。
毎日傍に置いて可愛がってあげるからね」
「あっ、あぁ、ありがと……ございます……!!」
「僕の事……“ご主人様”って呼んでみる?」
「ふっ、ううっ、兄様……!!」
「ご・しゅ・じ・ん・さ・ま」

訂正しながら叩くと、苦しそうに声を吐き出す千早。

「はぁ、はぁっ……ご主人様!!ご主人様ぁ!!」

荒い呼吸を繰り返しながら痛みに体をくねらせる千早は哀れと言うより淫靡だった。
裸で身悶える弟のあられも無い姿が目の前……
千歳も気分が高ぶってきて、さらに手を強めていく。

バシッ!バシッ!バシッ!

「あら、“ご主人様”っていうのもなかなか悪くないね……」
「ぅっ……ああっ!!」

「千早ちゃんが奴隷になって、何か粗相をしたらこんな風にお仕置きなんだろうね……。
僕はこんな可愛い千早ちゃんを見られるなら、毎日お仕置きしたっていいよ。
君はどう?毎日だってこうされたい?」

「ひゃぁぁっ、オレは……オレっ……ぁんっ!!」

千早が答えにくそうにしているが、千歳は手を緩めない。
苦痛に歪んだ顔も、一生懸命自分を呼ぶ声も、赤く染まったお尻も
全部愛おしくて、もっと見ていたいから。

バシッ!バシッ!バシッ!

「オレは……!!」
「されたい?」
「ああっ、されたいですっ……!!」
「あははっ……」

千歳は千早の回答を聞いて心底楽しそうに、ふわりと笑って……

「このドM」

酷く冷めた音色でそう言った。
その声に突き刺されたように千早の背中がビクリと震える。
同時に「うぅ……」と嗚咽を漏らしていた。

ああ、泣いちゃった……

千歳は甘い罪悪感に満たされながらさっきと正反対の優しい声を出す。
千早のお尻を打ちながら。

「ごめんね……傷ついた?」
「ぐすっ……えぅっ!……うぇぇっ……」
「軽蔑したわけじゃないんだ。僕は千早ちゃんが大好きだよ?」
「ふぇぇっ、うぁぁっ……!!」

優しい声をかければかけるほど、千早の泣く声は大きくなってくる。
こんな声さえもが千早を追いつめるのか……それともずっと叩いているお尻が
限界に達しているのか……どちらにしても、今の千歳は体が震えそうなほど興奮していた。

「千早ちゃん、言ってくれたよね?“マゾだろうが何だろうが、どんなお前でもオレは愛してる”って。
僕も同じ気持ちだからね?まぁ、マゾなのは君の方だけれど……」
「ごめんなさい……ごめんなさい兄様ぁ!!うぁああんっ!!」
「そうだよ……そうやって僕に楯ついたこと後悔してくれればいい……」

バシッ!バシッ!バシッ!

「ひっく、ふぇぇぇっ!!もうしません!!もう絶対しません!!
許して下さいぃ!」
「うん……千早ちゃんは可愛いから、もう許してもいいかも……
でも覚えてる?“兄様の満足いくまで厳しく躾けて下さい!!”って
“オレは兄様にならどんなに厳しくお仕置きされたって耐えられる!”って言ったのは君だよ?」
「うわぁぁぁんっ!!ごめんなさい!!ごめんなさいぃっ!!兄様許してぇぇっ!!」
「それなのに、“許してください”なんて無しだよ……」

バシッ!バシッ!バシッ!

泣き叫ぶ千早に淡々と鞭を振り下ろす千歳。
驚くほど穏やかなその表情、優しい瞳がだんだん狂気に輝く。

「愛しい千早ちゃん……僕だけの可愛い雄奴隷……」

バシッ!バシッ!バシッ!

千歳は完全にこの状況に酔っていた。
そんな千歳に千早の声悲痛な声が届くはずも無い。
届いたところで余計千歳を陶酔させるだけだ。

「うわぁぁぁああんっ!!兄様ぁ!!兄様ぁ!!」
「あぁ、もっと僕と君の“差”、体で感じてよ……」
「ふぇぇぇん!わぁぁあああん!ごぇんなさいにぃさまぁ!!
やめてぇぇ――!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

千早が必死に呼びかけても千歳は無視して続けた。
そろそろ止めなければと感じながらも、本能がこの至福の時を終えるのを拒む。

この“お仕置き”が泥沼化していたその時……

コンコンコン

ノックの音で千早は反射的に動きを止める。

「ち、千歳様……」

ドア越しに聞こえる気弱な声は鷹森のものだ。

「やらぁっ!!開けないで兄様ぁ!!」

すぐさま千早がぐっと服を引っ張ってきた。
涙も拭かずに必死の形相だ。
「大丈夫だよ」とたしなめて、千歳はドアの前に立って向こう側に声をかける。

「何か御用ですか?」
「いえ……あの……」
「ごめんなさい。今はお部屋の中に入って来てほしくないんです……
また後でにしてもらえますか?」
「……わかりました」

それ以上声は返ってこない。鷹森は立ち去ったらしい。
千歳は息をついて、千早の元に戻って……

「さて……邪魔者も行ったし、続きしようか?」

明らかに怯える千早に、にっこりとほほ笑む。

「嘘だよ」
「ふぇぇっ……」

また泣きだした千早を抱きしめて、あやすように撫でる。
裸であることも気にせずに自分にすがりついて大泣きする弟に
千歳はずっとそうしていた。

やがて落ち着いてきた千早に少し休もうと声をかけて、二人でベッドに入ると
千早は泣きつかれたのかすぐに眠ってしまって、
千歳は気持よさそうに寝息を立てている千早の顔を覗き込む。

そして思い出す。
先ほどまで泣き叫んでいた千早。
自分の奴隷になりたいと、毎日でもこうされたいと言った千早。
千早を鞭打っている時の胸を焼き尽くしてしまいそうな激情……

自分がこの家の当主になったら、本当に千早を奴隷にしてしまえるだろうか?

「だとしたら……早く大人になりたいね、千早ちゃん」

それとも、大人なる前に……

千歳はふっと頬を緩ませて、千早の頬に口づけた。
焦らなくていい。ゆっくりの方が、きっと楽しい。
そんな事を思いながら、千歳も目を閉じた。


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【作品番号】BS4

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