TOP小説
戻る 進む


門屋がやらかしたようです



愛のひしめく場所、廟堂院家。
平執事の相良直文はウキウキしていた。
何故なら今日は恋人の門屋準とペアで仕事ができる日。
2人が付き合っている事は公には内緒なので、イチャイチャはできないが
それでも二人きりで過ごせる時間は嬉しかった。

しかし、相良のペアとしてやってきたのは……
「木村!?」
「うぃっす相良!リーダーじゃなくて悪いな!」
CADの仲間で、友達の木村だった。相良は驚いて目を丸くするしかない。
「いや、えっ!?リーダーは!?」
「それが、上倉さんに連行されたんだって」
「……な、何かやらかしたの……?」
「まーた鷹森に暴力振るったんだって」
「!?何で!?小二郎の件が片付いてからは大人しく……!」
「分からないけど……気分だったのかね?鷹森いじめは
リーダーのライフワークみたいなとこあったから、久々にって感じかなぁ?」
(この前“今度から上倉さんにお仕置きされるような事があったら、俺もお仕置きしてやる”って言ったのに……!!)
木村も事情はよく分からないみたいで、
相良もそれ以上は深く追求する事は出来なかった。
その日は木村とペアを組むしか無くて、内心ガッカリしつつ、
とにかく今夜門屋に会ったら、問いただしてお仕置きしてやろうと心に決めた。

――その夜(相良の自室)

門屋と二人きりになった相良はさっそく昼間の事を聞いてみようと門屋に話しかける。
「今日は準と仕事ができると思ったのに、残念だったよ」
「文句は兄さんに言ってくれ……あぁ理不尽!!」
「何が“理不尽”だ、後輩いじめ魔。何で、今になって……」
「アイツは、生意気なんだよ!!本ッ当、見てるとイラつく……!!」
「お前なぁ」
不機嫌そうな門屋に、相良は呆れ顔だ。
本当に、木村が言うように“気分”でいじめたのだとしたら自業自得としか言いようがない。
自分が二回目のお仕置きをしても全然構わないくらいだ。
逃げられないように門屋の手を取って、相良は言った。
「準……お前は忘れてるかもしれないけど、前言ったよな?
“今度から上倉さんにお仕置きされるような事があったら、俺もお仕置きしてやる”って」
「は!?そ、そんなのただの脅しで……ッ!!」
「来いよ」
「おまえっ、本気かよ!?」
門屋は慌てて抵抗するけど、相良の手は振り払えない。
逆に相良の方へ引き寄せられてしまう。
振り払うのが無理だと感じたのか、門屋は相良の服を思いっきり引っ張って嫌がっている。
「おい!これが二人っきりの時に恋人にする事かよ!お前の変態魂はどうした!?」
「変態魂って何だよ。服が伸びるだろやめろ」
「何で、こんな……俺の方がッ……!!」
何やら言いたげな門屋の顔が、悔し泣きしそうに歪む。
でも、次の瞬間にはニヤリと笑って……
いきなり空いてる方の手で相良の股間を掴む。
「なっ……!?」
「へ、へへっ……分かってんだぜ……俺の事、襲いたくてたまらない、変態野郎のくせに……!!」
「ちょっ……準……!?」
グニグニと勃起を煽る様に手を動かしている、思わぬ門屋の攻撃(?)に相良は動揺した。
慌てて門屋の手を止めようと掴むけれど……
顔を上げた門屋は熱に浮かされたように相良を見つめて、余計にドキドキしてしまう。
さらにこんな事を言ってくるのだ。
「何で止めるんだよ……お前だって、尻叩くより、そういう事したいんだろ?」
「そ、そういう逃げ方は感心しないな……!!」
「なぁ、舐めたい……いいだろ?」
「ッ……!!」
宥めたつもりの言葉は無視されて。
顔を真っ赤にした門屋に、吐息まじりにそう言われては、
相良に理性が残っていても体が反応してしまう。
当然、門屋にも伝わって笑われた。
「くくっ、この状態で説教かましたら、さすがに爆笑するわ」
「準……!お前、何のつもり……!!」
「愛情、表現、だよ。文句あるか?」
門屋はゴソゴソとズボンの前を開いて、躊躇なく相良のモノを取り出して咥えこむ。
一生懸命、吸い付いたり、頭を動かしたりは慣れたものだ。
ちゅくちゅく、じゅるじゅると、水音がまた興奮を高めてしまう。
(何だ……?準がやけに積極的だ……!!)
吐息で喘ぎながら、相良は気持ち良さに頭を揺らされて、
例えこの門屋の行動が“お仕置きされたくないから”という駆け引きだったとしても、
この快楽に身を委ねてしまってもいいかもしれないと思いはじめる。
(尻叩くのは、この後でもいいわけだし……!!)
むしろ、珍しく積極的な恋人の興奮に乗っからない方が失礼だと。
すっかり頭の中は恋人といやらしいイチャイチャ行為をしたい気持ちでいっぱいになる。
目の前では、ペニスから、ちゅぽんと口を離した恋人が得意げにしている。
「ほら、もう大きくなったぜ、単純だな!」
嬉しそうに言いながら唇を舐める仕草で相良の理性は吹き飛んだ。
「準……分かった。仰向けになって」
「……!!」
「お前はそういう“お仕置き”をしてほしいんだな?」
門屋は黙って真っ赤な顔を逸らしつつも、言われた通り仰向けになる。
半ば飛びつくように覆いかぶさった相良は、深めに唇を奪う。
そして、服の下から潜らせた手で門屋の胸を弄ぶ。
「んんっ……!」と、喘ぐように息を漏らした唇から離れると、
生意気な恋人の勝ち誇ったような笑顔が見えた。
「や、やっぱお前は変態じゃね―か!」
「うるせーよ、煽ったくせに。“気持ちいい”って、泣くなよ?」
「バカ!そんなんで泣かねーし!」
また顔を逸らして、自分を押し返そうとする門屋にもう遠慮はしない。
ズボンも下着も脱がせて、まだ眠っているような“それ”に触れて、強めに扱く。
「あっ、あっ……やめっ……♥」
「やめるかよ、お仕置きだぞ?」
「ひゃぁああっ!バカ!くそっ!♥」
そこからは、門屋のアレをぬるぬるさせた挙句にイかせたり、
いたるところにキスし合ったり、触り合ったりで、門屋の服は邪魔になって全部脱がせてしまった。
相良の服は「何でお前だけ着てるんだよ!」と、門屋がじゃれるように引っ張るのが可愛いので、
シャツだけ引っかけていた。
そうやって何度も快感を高め合いながらも、まさぐり合ってると、
ふいに門屋が言う。
「相良っ……さがら……♥!!」
「何?“直文”って呼んでくれたら聞く」
「あぁっ……♥なお、ふみ、い、挿れて……!!」
「ん……んっ!!?」
意外で爆弾のような一言に、相良は驚いて首筋にキスしていた動きを止める。
まじとまじと門屋を見つめてしまった。
「えっ、いいの!!?」
「いっ、いいって言ってんだよ!早くしろ!!」
「いや、でもそんないきなり……!!」
「怖気づいてんじゃねぇよヘタレ!!は、早く!!」
そう言って、門屋は腕で目を覆う。
「早く早く」という割には、声も、無理に開いた足も震えていて、
相良には興奮するというより痛々しく見えた。
試しに足に手をかけたら、息を飲んで、大げさに体が跳ねた。
いくらなんでも相良には分かる。
「……準?お前、怖がってんだろ?」
「はぁっ!?ふざけんな!お前だって、やりたいくせに!いいから!
無理やりにでも、挿れればいいだろ!!」
「そんなレイプみたいな事したくない」
「なっ、何でだよ!!何でっ……!!」
急に、泣き出しそうな声になる門屋。むしろ泣いているのかもしれない。
相良は優しく声をかける。
「準……どうした?」
「何で……何で、あ、アイツらはできるのに俺はできないんだよっ……!!」
しゃくりあげるような声に、門屋の頭を撫でて、
目を覆っている腕を外してやったら、やっぱり泣いていた。
「俺の、方が、お前の事好きなのに!!アイツらより、好き合ってるのにっ!!」
「アイツらって、鷹森達の事か?」
「うっ、うぇっ……あ、アイツら、仕事中なのに……っ、俺が見てたのに……!!」
「おいおい、嘘だろ……」
断片的な情報の意味が分かってしまって、相良は絶句した。
大人しいあの二人では想像がつかないけれど……けれどもこれで何となく……
「もしかして、それで鷹森を苛めたのか?」
「ヘタレのくせに!ムカつくんだよ!!
小二郎も“門屋には恋人がいないから分からない”なんて開き直りやがって!!」
「……そりゃ災難だ……」
見たくもない物を見て、きっと飛び出して注意したのだろう。
もちろん逆上していたであろう門屋が、冷静な言葉で注意できたのかは分からないけれど、
それでも、可愛がっている妹分からそんな事を言われたのでは、門屋のプライドは酷く傷つけられたに違いない。
だから、自分も負けじと……今日の門屋の妙な態度が納得できた相良は、
負けず嫌いのくせにヘタレな恋人を愛おしく思いながらも宥める。
「でもさ、こういう事は競い合う事じゃないよ。
俺は、ゆっくりでいいから幸せに進めたい。早けりゃいいとか、お互いの愛情の深さとか、違うよ。
ただの個人差……てか、カップル差?背の高さとか、足の速さみたいなもんだよ。
大体、アイツらより俺達の方がラブラブだって、当たり前じゃんか!
準、もしかして自信なかったのか〜〜??」
わざとからかうようにそう言うと、門屋も慌てて言い返してきた。
「ば、バカ言え!!あんなエロガキ共に負けるか!!」
「俺もそう思う。な?だから、泣くなよ」
「泣いてねーよ!!」
ボロボロ泣いているのに意地でもそう言う門屋。
相良は思わず頭を撫でていた。
「ははっ、だから今日は変に積極的だったんだな。でも、もう落ち着いたろ?」
「……うん」
「良かった。じゃあ、本当のお仕置きな?」
「えっ……!!」
そう。事情が分かってもお仕置きが無くなったわけではなかった。
相良は門屋の腕を持って起こして、膝の上に乗せる。
無防備だった、しかもまだ完全に痛みの引いていないお尻が叩かれる体勢に持って行かれて、
その瞬間に門屋は足掻いて抵抗しつつ喚いていた。
「や、やめろ!!話聞いてただろ!?俺は悪くない!!」
「いやまぁ……確かにアイツらはバカだけど、それならそれとして、
“苛める”じゃなくて“叱って”やらなきゃ。それに、上倉さんが動いたって事は……」
バシッ!!
「ひゃっ!!い、いたっ!!」
「お前に非があったんだろ?」
ビシッ!バシッ!!
慣れたように門屋の動きも言葉も受け流しながら、相良は何度も門屋のお尻を叩く。
少し赤みの残るお尻が叩かれるたびに跳ねていたが、それでも言い返された。
「う、うるせー!兄さんは甘いんだよ!
だ、だから、俺が、もう一回“お仕置き”してやったんだ!!」
「……確かに、上倉さんって甘いよな。俺が、もう一回お仕置きしてやんないと」
「あぁもう!うぅっ、マネすんな!!」
「ハイハイ、相変わらず生意気な子ですこと。
一体、今日は何回お尻を叩けば反省できますか、門屋君?」
「ふざけんな!!全然兄さんに似てねーよ!!」
「えー。結構いい線いったと思ったけど。
でも、そうだな。ふざけんのはやめよう。こっからは真面目に」
バシィッ!!
「わぁあああっ!!?」
「お仕置きな?」
少しお尻を叩く手には力を込めて、下で悲鳴を上げた門屋には真面目に言った。
門屋は焦ったようで、抵抗に力が入るが……
「やっ……やめっ……」
ビシッ!バシッ!!
「痛い!!痛いって!!やめろ!!」
被せるように強く叩いたら、抵抗も弱まる。
そうやって、そのままの強さで叩き続けているとだんだん門屋のお尻もさらに赤く色づいてくる。
悲鳴も切羽詰ってきた。
「やだぁぁっ!!やめろって!やめろってば!!」
「準が反省したらやめる。何が悪かったか言ってみ?」
「ふぁあっ!!お、俺はっ……!!」
「それとも、俺が言おうか?」
バシッ!バシッ!ビシッ!!
「あぁああっ!!わ、分かった!分かったごめんなさい!!
もう鷹森とケンカしないからぁぁっ!!」
ついに謝罪が出るほどには限界を迎えたらしい門屋が叫ぶように言うが
「ケンカぁ?」
バシィッ!!
「うわぁあああん!!」
相良は手を緩めなかったので、泣きそうな悲鳴を上げていた。
そのままのペースで赤くなっているお尻を叩かれ続ける。
ビシッ!バシッ!!ビシッ!!
「どうせお前の一方的な、暴力だったんだろ?」
「兄さんの真似すんなぁぁっ!!」
「ほら、上倉さんにも同じ事言われてやんの」
「やぁあああっ!!しない!もうしないからぁっ!!い、痛い!!痛いぃっ!!」
門屋はもうなりふり構わずと言った感じで、大胆に暴れていたし、ほどなくして泣き出した。
「うわぁああああん!ごめんなさぁぁい!!」
「泣くぐらいなら、最初からしない」
「分かったぁぁっ!!分かったからぁぁぁっ!うわぁあああん!
俺もう叩かれたのにぃぃっ!!」
「同じ事ばーっかりして、懲りないからだよ。もう懲りたか?」
「懲りたぁぁっ!ごめんなさぁぁぁい!!あぁあああん!!」
「全く……」
ビシッ!バシィッ!バシッ!!
「やだ!やだやだやだ!もうやだぁっ!ごめんなさい!ごめんなさぁい!!う、ぁあっ!!」
大泣きながらも、門屋は何かに気付いたように叫び出した。
「な、なおふみ!!もうやめて!ごめんなさい!わぁぁん!ごめんなさいなおふみぃっ!!」
「あぁ、『“直文”って呼んでくれたら聞く』って言ったの、ここで使ってくるか?
悪知恵だけは働くんだからな」
「うわぁあああん!ごめんなさぁぁい!!」
「まぁいいか」
門屋も本気で泣いているので、反省しているだろうと思って相良は手を止める。
大泣きしている恋人を抱きしめてあやして、落ち着かせた。
そして……

“今度から少しずつ、最後までできるように練習しよう”

という事にして、その日は一緒に仕事ができなかった分もイチャチャしたのだった。





気に入ったら押してやってください
【作品番号 BSS37】

戻る 進む

TOP小説