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門屋と相良がイチャイチャしたようです



町で噂の大富豪、廟堂院家。
その廟堂院家で働く執事達。
中でも、執事長の上倉と相良が珍しく一緒に仕事をしているらしい。
たわいのない会話をしていた。
「でね、イル君自身も知らないイル君のホクロを新発見しようと思って!
そして私の名前を付けようと思って!」
「そんな、星じゃないんですから……」
「あぁ、そういえば……門屋君も太ももの付け根にホクロがありますよね。お尻のところ。
あの子自分で気付いてないだろうから、私の名前を付けちゃいましょうかね♪」
「!?」
上倉が言った一言に相良は大いに驚いた。
思わず、上倉に掴みかかる勢いで尋ねてしまう。
「何でアンタがそんな事知ってんですか!!?」
「えっ!!?だって、お仕置きする時見えるじゃないですか……」
「あっ……」
考えてみればそうだった。
相良は焦ってしまった事が一気に恥ずかしくなる。
上倉は楽しそうに笑っていたが。
「相良君ったら、もしかして〜、私があの子に手を出したと思ったんですか?
無いですよ、イル君一筋ですから☆」
「ハイハイ、お仕置きされないようにずっと一筋でいてください」
「相変わらず私に辛辣ですね〜相良君は」
そう会話しつつ相良はホッとする。
大事な恋人が、慕っている先輩の過激な冗談セクハラに押されて
脱がされていたらどうしようかと思った。
もちろんそんな事は断固としてさせないけれど。
けれど、何やら癪な気持ちを残しつつ、そのまま時間が過ぎていく。

そして夜。

いつものように相良は門屋の部屋に密会に行くのだが……
「準、ちょっとお尻出して」
「はぁっ!?」
会話もそこそこにそんな事を切り出すと、当然門屋は驚いて拒否する。
「な、何でだよ!?俺何も、悪い事してないぞ!?」
「いいから!!」
「ぎゃぁぁっ!や、やめろー!!」
相良が門屋の体を床に押さえつけて、うつ伏せにして
ズボンや下着を脱がせて……お尻を丸出しにしてしまう。
門屋のお尻を突き出させるように掴んで探してみたら、
さっそく件のホクロを発見してじっと見入る相良。
お尻と太ももの境目にあるので、よく見てないと見落としそうだ。
(本当にあった!!)
「さ、相良……何だよ?何怒ってんだよ……?」
(こんな見えにくいところ……!何ちゃっかり発見されてんだよ準!!)
「お、おい……あの、お前の冷蔵庫のアイスが一つ消えてたのは俺じゃないからな!?
そ、それとも……雑誌にコーヒーが零れてた……とか?!それも知らねぇから!!
変な、ナース服はきっと蒸発したんだよ!!」
(くそっ……!準の体の事は何でも知ってるつもりだったのに!)
「……叩くんじゃ、ないのか……?」
上半身を床に突っ伏した門屋は混乱しながら相良に色々語りかけているが、
相良が返事をしないので一方通行な会話が続いていく。
そのうちに門屋の様子がだんだん変わってきた。焦った様子から恥ずかしそうな様子に。
「お、お前……やっぱ、最後まで……わ、分かってる!!
俺だって、そうだけど!!ま、まだ俺……覚悟が……!!」
「んっ?」
そこで我に返る相良。
何か色々大事なセリフを聞いた気がする。
門屋はまだ恥ずかしげに声を震わせていた。
「もしかして、ついに我慢できなくなったのか?
来ていきなり……こんなのってないだろ……ヘンタイ……」
「準……もしかして、勘違いさせてる?」
「え?」
「ホクロがあんだよ、ここに」
「ひゃっ!!?」
指し示す様に軽く指で触れると、門屋が驚いて声を上げる。
そして不機嫌そうに喚きだした。
「お前っ……ホクロ見てたってのか!?下らねー事してんじゃねぇ!」
「ごめんごめん!上倉さんに教えてもらってさ。俺知らないのにって、……悔しくなって確かめたんだ」
「バッ、バカじゃねーの!!?兄さんもどこ見てんだよもう!!」
「このホクロ、“なおふみ”って名前な?」
「何言ってんだよお前!!?」
「上倉さん、お仕置きの時に見つけたって言ってたぞ?」
パシッ!
目の前の生尻を軽く叩くと門屋は上ずった声で怒っている。
「なっ、何すんだよ!!」
「お仕置きされるような事ばっかりしてるから、見つけられるんだよ!
俺より先に、こんな所発見されやがって!」
ピシッ!パシッ!
「やっ……!痛い!やめろよ!お前ヤキモチ焼きか!
どうでもいいだろホクロなんてぇぇっ!」
「良くない!!いいか!?今度から、上倉さんにお仕置きされるような事があったら、
俺もお仕置きしてやるから!」
「いっ!?いいい意味分かんね――よ!
一回のところを二回もお仕置きされるなんて嫌だ!!」
「だったら、お前がいい子にしてればいいんだよ!」
パシッ!パシィッ!!
「んっ!う!やめろよぉ……!!」
軽くでも叩き続けていると、門屋の言葉の勢いもやや弱くなってくる。
しかし相良は弱めの平手ながらも叩き続ける。
「アイス黙って食べたり、雑誌にコーヒー零したりして謝らないのも
今日は許してやるけど……俺がお前のために買ったナース服を何で捨てるんだよ!!」
「聞いてやがったのか変態!!要らねぇよ頼んでねぇよ着ねぇからな!!」
「くそ……!!と、とにかく!これからはお仕置きされるような行動は控える事!いいな!?」
パシンッ!
「分かったよ偉そうにぃぃっ!!」
バシィッ!!
「ごめんなさい!!」
「おう、分かればいい」
最後は強く叩いたものの、相良は手を止めた。
お仕置きが終わって冷静になると、目の前にほんのりピンク色のお尻が見えて
違う気持ちが芽生えてくる。
「……良く考えると、エロイなこの格好」
「!?ま、また始まった……!!」
「準は平気なのかよ?俺以外の男にこんなエロイお尻見られて……」
「おっ、お前本当に変態だなッ!!お仕置きの時は、そんなんじゃないだろ!!」
言葉に煽られて恥ずかしそうにする門屋のお尻を、相良が両手で挟むようにギュッと掴む。
門屋は切なげな声を上げた。
「あっ……♥やめろ……!」
「せっかくだからエロいお仕置きもしようかな?」
「バカぁッ!!しねよ!!」
真っ赤な顔でそう喚いて、やや弱気な声で続ける。
「で、でもそっちは……まだ、やる事無いだろ?」
「ん〜?見てる♥」
「早くしね!!」
「大丈夫……無理やりはしないから。準が“覚悟”できるまで待ってるよ」
相良の優しい声と言葉。
「聞いてたのかよ……」
門屋は嬉しくてしんみり……しそうになって慌てて声を盛り返す。
「つかお前なぁ!当然のごとく自分が“する側”で考えてんじゃねーぞ!?
俺がお前に!その……したいって言ったらどうするつもりだよ!!」
「えっ……!?」
門屋のこの発言に相良が一瞬言葉を失って……
そして一気に慌てだした。
「えっ……マジで!?準が俺に挿れたい!?そ、そっか……
まぁほら……俺も、準がそうなら、大丈夫。でもな、俺もそっちがいいから!
そこは、譲り合おう!!交代でって手が!順番交代!!」
「本気で悩んでんじゃねぇよバカ!!おっ、俺は……
どう考えてもなぁ!イケメンでモテモテで男らしい俺が!男側なんだけど!
お前がヘンタイだから……仕方ないから、俺が、心が広いから!!
……やられる側かなって、思ってんだからな!!」
「準……!!」
怒ったようにそう言い切った門屋。
でも、それが照れ隠しなのは明白で、
門屋なりに、初体験の事を考えてくれているらしい事が……
しかも“女々しさ”を嫌う彼がいわゆる“女役”を受け入れようとしてくれている事が
とても嬉しくなって、相良は門屋の体を起こして抱きしめる。
「ありがとう」
「うぅ……」
心からお礼を述べると、門屋は恥ずかしそうに黙っていた。
そんな門屋を抱きしめたまま相良が言う。
「準の覚悟さえどうにかなったら、用意はいつでもできてるからな?
ローションとか常に買い置きしてるから!古くならないように定期的に買い換えてるから!」
「……本当、お前……呆れる」
「そう言わずに……好きなんだ、お前の事」
「そっ、それ、言えば、何でも許されると思うなよ……!」
やっぱり直球で愛を表現されるのが苦手らしい門屋が、
体を相良から離しつつ急いで話題を変えた。
「大体、ローション買い換えるって……古い分どうしてるんだよ?捨てるのか?」
そう聞かれて、相良は少し言いにくそうに口を開いた。
「……自分で使ってる」
「はぁ!?何に!?」
「それを言わせるか?一人でやるそういう事って、つまりアレだよ」
「あっ……!あ……」
何かを察したように視線を彷徨わる門屋。
その時、相良が急に何か閃いたようで
「そうだ!せっかくだから準も使ってみる!?気に入ったら分けてやるから!」
さっそく今日のプレイの方向性が決まったらしい。
が、素直に同意しないのが門屋だ。
「使わない!!」
「何でだよ!?楽しいって!」
「お前がだろ!?」
「準も楽しませるよ♪な、お願い!!」
嬉しそうな相良の顔を見ると、ポンと手を合わせて“お願い”されると、
門屋は赤くなってムスッと黙りこくってしまう。いつもの事だった。
だから……相良もいつものように事を進めるのだ。
常備していた小さなローションボトルを持ってくる。
「手、出して」
言えば素直に手を差し出す門屋。
その手の上に乗せるように、相良はローション液を注いであげた。
ドロリとした液体を門屋は不思議そうに怪訝そうに、もう片方の手で触っている。
「うーわぁ……糊みてぇ……」
「ムード無いなぁ……で、付けてみ?」
「……沁みたりしないだろうな……?」
「大丈夫だって。冷たいかもしれないけど」
恐る恐る、門屋はローションの乗った手で自分の性器を触ってみる。
「っ……」
おそらくはその冷たさに、しかめられた顔が妙に色っぽくて、相良は小さく息を飲んだ。
けれどその顔は一瞬で崩れて少し戸惑った顔になる。
「な、何かベタベタするだけじゃん!!」
その様子が“おもちゃの遊び方を分かっていない子供”見えて、
思わず相良は吹き出してしまう。
「ぷっ、そりゃそうだよ、擦らないと!滑りを良くする用途なんだから!」
「あっ……笑うな!」
「手を貸そうか?」
「いい!自分でやる!!」
力んで叫んでいた割には、自分のモノを擦る門屋の手つきはおっかなびっくりで、
それでも確かに、ローションの効力は感じているようだ。
「っぁあ、すっげぇぬるぬるする……!!」
最初こそ未知の液体に警戒していたが、危険が無さそうだと分かれば
門屋はだんだんスムーズに手を動かした。
そうすると目に見えて様子が変わる。
「な、何これぇっ……いつもと、違っ……!!」
声も表情も、気持ちよさそうに蕩けてくる。
戸惑いながらも、手の動きが一心不乱さを増してくる。
「んっ……!あっ……はぁっ、はっ……!!」
にちゅにちゅと粘度の高い音を響かせながら、息を荒げる門屋。
近くに相良がいる事も忘れて快感を貪っているらしい。
こんな姿を見せつけられる相良は堪ったものではなかった。
(準……あぁ、お前……!!ダメだ、混ざりたい……!!)
乱れる恋人に触れたい。気持ち良さそうな声を出させるのは自分でありたい。
そんな思いが一気に溢れて、少し門屋に近づこうとしたら……
「――!?何見てんだよ!!?」
動いた気配で我に返ったのか、門屋が慌てて自慰をやめてしまった。
相良から後ずさって、恥じらいテンションで叫んでいる。
「わっ、分かった!もう分かった!終わり!
ただのヌルヌルじゃねぇか!俺はこんなモン要らねぇ!」
「何だよ、すっげぇ良さそうだったくせに」
「ひっ……!!」
しかし、これで終わりとさせないのがスイッチの入りきった相良だ。
ここぞとばかりに体を寄せて、さっきまで門屋が弄っていたソコを遠慮なく掴む。
「さ、触んな!!まだ、ぬるぬる、残って……!!」
「うん。渇いてもまだあるから。消費に協力してくれよ、余るからさ……」
「自分で使うんだろうがぁっ……!!」
「俺はいつも使ってるからいいんだよ」
適当を言いつつ、相良は追加のローションを垂らして
それを潤滑油に門屋のペニスを強めにしごいた。
門屋が真っ赤になって騒ぐのもお構いなしで。
「やぁっ、やめっ!!冷たい!触んなぁっ、あぁっ……!!」
「文句が多いなぁ」
「ふぁああっ!ほんとぉ、やめろってぇぇっ!いやぁぁっ!!」
「さっき自分でやってただろ?」
「ふざけんなぁっ!!やっ、やぁあああっ!違う!自分でやるのと全然違うぅぅっ!!」
艶めかしい悲鳴は相良を煽るだけ。
徐々に力の抜けていく門屋は終いには仰向けに寝転がってしまう。
「相良ぁぁっ!やめてぇぇっ!あぁあああっ!!」
相良は手を容赦なく動かしてちゅっちゅと水音を響かせながらも、
いつもより感じて、恥ずかしがっている門屋を宥めるように優しく言った。
「いっつも触りっこするじゃん。同じだよ。出してもいいよ?」
「うわぁああああんっ!バカぁぁぁぁっ!!
ムカつくぅぅぅっ!お前一人、はぁん、冷静なのがムカつくぅぅっ!!」
が、それも逆効果らしく。
こんな時でも怒って喚いている門屋に相良は苦笑した。
「もっと可愛い事言いながら喘げよ……
なぁ、俺の事“直文”って呼んでくれる約束は?ほら、呼んで」
「やだぁぁぁっ!もうやめろぉぉっ!離せぇぇぇっ!!」
「呼んでくれないと、触りながらキスするぞ?深いヤツ」
「んぁあああああっ!!」
「この状態じゃ気持ちよすぎて一発KOだろ天邪鬼?」
「あぁあああん!バカ相良ぁああああっ!!」
「はい、お前終了♥」
素直じゃない恋人へ、宣言通りにキスをした。
大胆に舌を絡まる様な激しいキスを。
「んぐぅっ……!ちゅっ……!んんっ!」
いつものように応えてくるでもなく、かといって逃げ回るでもなく。
余裕がないのか、されるがままの門屋の口の中を相良は思う存分舌で掻き回す。
「ぁっ!……んぷっ、はむぅ!!んぅぅ!!」
息継ぎに明らかに喘ぎ声が混じっていた。
口を塞いでいる事を後悔するほど、門屋は快感に声を上げていて
そして
「んんぅぅぅ――っ!!」
くぐもった叫び声を上げ、門屋は絶頂を迎える。
手に伝わってくるドクドクと脈打って溢れ出している感覚に、
相良は唇を離して門屋へ笑いかけた。
「な?気持ち良かっただろ?」
「うっ……うぅっ……!!」
しかし門屋の方は目にいっぱい涙を溜めて……
「うわぁああああん!俺嫌い!これ嫌いィィィィ!!」
「えぇっ!!?」
駄々っ子のように泣き出してしまった。
相良は慌てて汚れていない方の手で門屋の頭を撫でる。
「ど、どうしたんだよ!?恥ずかしかったのか……?」
「無理やりしないって言ったぁああああ!!うわぁああああん!!」
「いや、それは本番の……ご、ごめん……準が可愛かったからさぁ……つい」
「可愛くないぃぃぃっ!!」
「あぁ、ごめんって……」
禁句を言ってしまうとますます泣かれて相良は参ってしまう。
しゅんとして謝るしかない。
「そんなに嫌だったなら、謝るよ。もうしないから」
「うぅ嘘つくなよ!!」
「ハハッ、そうだな……準、本当に嫌だった?」
謝りながらも、希望を抱いてそう確認してみる。
門屋は瞬きをして、顔を逸らした。
「……た、たまになら、我慢してやる……!!」
「お風呂に入れたら楽しそうだよな?」
「……そ、それならいいかもな!!」
そこは純粋に顔を輝かせた門屋。
入浴剤的なプール遊び的な、そんな楽しい事を考えたのだろう。
実際は今日より悲惨(門屋の羞恥度的に)な事になるだろうけど、
とにかく門屋の機嫌が直った事にホッとしながら、相良が言った。
「で、俺の事は名前で呼んでくれないの?寂しいな」
「お、お前まだそんな事……」
「呼んでくれるって言ったのに。またケンカになりたくない……」
前に下の名前で呼ぶ呼ばないで一回、浮気?までするケンカになっている。
それを踏まえて懇願してくる相良に、門屋は困ったように目を泳がせた。
そして無理やり意を決したようだ。
「あぁもう!仕方ないな!!な、なおふみ!!」
「準……」
ぶっきらぼうな呼ばれ方だったけど、相良は嬉しかったので
それを表現するべく唇に軽くキスした。門屋の反応は相変わらずの照れ喚きだ。
「何なんだよコレ!」
「あはは!そうだ、ローション落とさないと」
うやむやに話を逸らすと、門屋も案外気にしていないようで、普通に言葉を返してくる。
「あーそうだった。これ、水で落ちるのか?」
「うん、頑張って擦れば水で十分落ちるから」
「頑張って……擦れば……」
そう呟いて、門屋は顔を真っ赤にして飛び起きた。
「おっ、俺、今から風呂で落としてくるけど、お前だけは絶対に入ってくんなよ!!」
言った途端に風呂に駆け込む。
(もっと“直文”って呼んでほしいんだけどな。まぁいっか)
取り残された相良はそう思いつつ笑うのだった。

※ちなみに、門屋はローションを分けてもらいませんでした。





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【作品番号 BSS36】

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