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上倉さんにも苦手な事があるようです



町で噂の大富豪、廟堂院家には二人の息子がいた。
名前は千歳と千早。まだ幼い双子の兄弟だ。
この日もいつもと同じく、双子の兄の千歳と彼の世話係兼、執事長の上倉が
千歳の部屋で午後の一時を過ごしている。
「ねぇ上倉……ピアノが聞きたい」
「ピアノ、ですか?」
千歳の唐突な要求に一瞬キョトンとした上倉だが、すぐに笑顔に戻って頷く。
「分かりました。誰か呼んできて弾かせましょう」
「何言ってるの?お前が弾くんだよ。お前に言ってるのに」
「そうですね。では……」
上倉は室内のピアノの前に行き、スッと、しなやかな指を鍵盤に乗せると……

テ♪ テ♪テ♪ ダ♪

短く、適当に、鍵盤を一本指打法あるいはボタン押しという……そんな叩き方で
叩いただけの5秒演奏。
それを終えると満面の笑みで千歳を見る。
「いかがでしょう?」
「ふざけてるの?」
間髪入れず返ってきた言葉に上倉は顔を赤くしてしゅんと俯いた。
「千歳様は……私が音楽系は全然ダメなのを知っていらっしゃるじゃないですか……」
「うん、知ってる。でもそんなのは関係ない。
僕が聞きたいと言ったらお前は完璧に弾かなきゃいけないんだよ。
そうでしょう?どうしてくれるのこの状況?」
この言葉に、上倉が素早く千歳の傍に戻って来て跪く。
瞳を輝かせて声を弾ませた。
「もっ、もちろん千歳様にお仕置きされて償います!!」
「僕はお前をお仕置きしたいんじゃなくて、ピアノが聞きたいって言ってるんだけど?」
「……あれ?それは私を弄ぶ為の口実じゃ無かったのですか?」
本気で驚いた様子の上倉に、千歳が呆れ気味の声で言う。
「執事部隊でピアノが上手いのは誰?」
「門屋君は意外と上手ですよ?」
「門屋君かぁ……あの子、ちょっと疲れちゃうんだよね」
「(貴方の前での門屋君は普段よりずっと大人しくしていますのに……)ではイル君は?静かですし!」
「イルさんはちょっと……」
「では後は鷹森君……は、きっと緊張で100%失敗しますので……
四判さん、は、お忙しそうですし……う〜〜ん……」
「仕方ないなぁ、じゃあ彼でいいや」
「“彼”?と言いますと?」
「能瀬さん。そろそろガス抜きしてあげなきゃね?」
「あぁ!」
納得した様子で手を打つ上倉。


しばらくして、千歳の部屋に青年執事の能瀬(のせ)が現れる。
洗練された物腰で、柔らかい笑顔で千歳に頭を下げた。
「光栄です千歳様。私を指名してくださるなんて」
そんな能瀬に千歳も笑顔で言う。
「当たり前の選択ですよ。能瀬さんほど優秀な方なら、きっと何でもお上手ですから」
「ありがたいお言葉です。お任せ下さい。何かリクエストはございますか?」
「いいえ、何でも。貴方にお任せします」
能瀬はピアノの前に行き、スッと、しなやかな指を鍵盤に乗せる……
ここまでは上倉と同じ。

しかし、その後の演奏は上倉とは比べ物にならないくらいの出来だった。
正確なメロディーで、優しくて美しい音色が部屋に響き渡る。
流れるような演奏はあっという間で……
見事にテクラ・バダジェフスカの『乙女の祈り』を弾き終えた。

千歳と上倉は大拍手を送る。
特に千歳は余韻でうっとりしているほど嬉しそうだ。
「すごい……とっても素敵な演奏でした。さすがですね能瀬さん」
「恐縮です」
「上倉とは大違い……」
「わ、私だって練習すればあれくらい……!」
上倉は赤くなって子供の様な拗ねかたをした。
そんな上倉に苦笑しつつ、能瀬が言う。
「上倉君は、きちんとした執事学校を出て無いですから……
執事として当たり前の事でも、あまり多くを望むのは酷だと思います」
「あ――!きましたよ始まりましたよ!能瀬さんの学歴自慢が!
そりゃぁ?能瀬さんは?グランドセンチュリーの?特別クラスをトップで卒業されましたからぁ?
上倉みたいなNO執事学歴はバカにしたい気持ちもわかりますがぁ〜〜??
どうなんですかこの歪んだ選民思想!!ねぇ千歳様!?」
どんどん低年齢化が進む上倉の反応に、能瀬が慌てて首を振った。
「ご、ごめんね!そんなつもりじゃ……傷つけたなら謝るよ!」
「上倉ったら……お前はどうして捻くれた受け取り方しかできないの?
しかも先輩に向かってその態度は何?」
「だって!」
「“だって”じゃないの。能瀬さん?上倉ごときにこんな事言われて悔しいですよね?
思いっきりお仕置きしてやるといいですよ」
「えぇっ!?」
千歳の提案に大げさに驚く上倉。能瀬の方は困った様に首を振る。
「それは……私は、別に気にしていません……」
「ほら!そうやっていい子ぶりっ子で点数を稼ぐんですよ!
姑息な執事インテリ野郎!ねぇ千歳様!?」
「能瀬さん……この頭の弱い性悪が泣いて謝るのを見ないと、
僕のイライラが治まらないんですけど……どうかお願いします。貴方の為にと、僕の為に」
上倉が同意を求めるのをことごとく無視して能瀬の肩を持つ千歳。
能瀬も観念したように頭を振った。
「分かりました。上倉君、準備して」
「……私だって叩いてくれれば誰でもいいってわけじゃ……」
「10、9、8……」
「わっ、分かりましたよ!もう!」
ズボンと下着を勢いよく下ろして、
バンッ!とやけくそ気味に小さな丸テーブルの上に手をついた上倉。
すでに頬を赤くして呼吸にも興奮の色が混じっていた。
「あぁそうそう、能瀬さん?道具はどれにします?ほらほら、よりどりみどりですよ〜〜?」
千歳の声にビクリと頭を跳ねあげる上倉。
上倉からは振り向かないと千歳と能瀬が何をしているか見えない。
振り向こうとソワソワした頭は千歳に「ちゃんと前を見てて!」と
叱られて振りかえれなかった。
「この中だとこれしか選べませんよ……」
「そんな定番でいいんですか?」
という会話にも目を閉じてしまいそうな興奮を押し殺すしかなかった。
そして、いよいよという時に能瀬が千歳に言う。
「やっぱりこれは可哀想です。少しは手加減しても?」
「お優しいんですね。どうぞ貴方のお好きなように」
「ありがとうございます」
その後すぐ、上倉はお尻に冷たい感触を当てられる。
位置確認の様にピタピタとそれを当てられるだけで、上倉の中に込み上げてくる興奮。
「始めようか。ご挨拶してごらん?数は100にしよう」
「んっ、ぁ……」
能瀬の言葉にも変な声が出てしまって、慌ててちゃんとした声を出す。
「あの、先輩に生意気を言ってしまったので……その皮パドルで
お尻を100回……厳しく調教してください!!」
「……せめて“お仕置き”って言おうね?皮パドルは合ってるけど……」
パンッ!
「あ!!」
「もう一度」
パンッ!
「いっ、1!!」
「そう……いい子だ」
パンッ!パンッ!パンッ!
能瀬はあくまでも優しく声をかけながら叩いている。
振るうパドルにも力はこもっているけど、それぼど乱暴に叩いているわけでもなく。
上倉も悲鳴交じりではあるけれど懸命に叩かれた数を数えて、
傍から見ていると『ごく普通のお仕置き』風景に見える。
しかし上倉の中には彼にとって普通では無い種類の興奮が渦巻いていた。
(すごい……この人……一発一発にすごい怨恨の念が!!
その癖、表には全く出てない!私が、可愛い後輩にするみたいに……優しく声、かけながらっ……!)
ジリジリと心身の性感帯を炙る興奮に酔いながら、上倉は夢想と現実を行ったり来たり。
そんな最中でも『ごく普通のお仕置き』は続いていた。
「上倉君!ほら、声が小さくなってきた!」
パンッ!パンッ!パンッ!
ビシッ!と強くお尻を打たれて上倉は喚く。
「ごめんなさぁぁいっ!さんじゅうななぁぁっ!」
「その調子!しっかり反省するんだよ?」
「ふぇぇっ!さんじゅはちっ!」
「ほら、泣かないよ?しっかり数えて!」
パンッ!パンッ!パンッ!
耳からとびきりの甘やかせボイスを聞いて、身体に感じるのはドス黒い怨恨と憎悪。
上倉はもう真っ赤なお尻を痛みと快感に揺らして悲鳴を上げていた。
「ひゃはんっ!よんじゅうにぃっ、よんじゅ、さん!あぐっ、よんじゅうしぃぃ!!
(あ゛ぁ、怖いのと気持ちいのが混ざって鳥肌が……!
ゾクゾクするぅ色んな意味でッ!!こんなっ、こんな怖くて痛くて重いの初めて……!)」
そんな興奮の絶頂状態の上倉を見て、今まで静かだった千歳が言う。
「上倉すごいねぇ?そんなに興奮する?」
「んぇっ!?」
「情けない声出さないで。もしかして、僕が見てるの忘れてたの?」
「あ、ぁ……千歳様っ!!ひぁぁぁんっ!!」
パンッ!パンッ!パンッ!
上倉はまるで絶頂を越えてしまったかのような大きな悲鳴を上げる。
叩く強さは今までと同じ。けれども、幼い主の声が一気に彼の快感に火を付けてしまった。
「ごっ、ごめんなさいっ!千歳様見っ……!!」
「ふふっ……見てない方が良かったかなぁ?」
「うっ、はぁんっ!やぁぁっ!見て下さい!見てぇっ!!痛いぃっ!痛いよぉぉ!」
「いいよ?最後まで見ててあげるから、その見るに堪えない変態姿を
僕に見せている事を心から謝り続けてね?」
「あぁあああ痛いぃっ!ごめんなさい!私っ、こんな、恥ずかしいっ……見て欲しいですぅぅッ!!」
パンッ!パンッ!パンッ!
痛みに耐えられなくなったのか、机に突っ伏してボロボロ泣きだす上倉。
それもで興奮が色濃く出た声は相変わらずだった。
「んう゛ぅぅぅ〜〜〜千歳様ぁぁぁ!!」
「はいはい、見てるよ。で……お前は全く数を数えて無いわけだけど……。
能瀬さん?こういう場合って最初から数え直すんでしたよね?」
「やっ……!!?」
怯える上倉に、振るうパドルを一旦止めて、
少し息を乱した能瀬はやはり遠慮気味に首を振る。
「千歳様……いくらなんでもそれは……罰として、少しの間強く連打して終わりましょう」
「う、ぁぁぁ……(少しの間強く連打少しの間強く連打少しの間強く連打少しの間強く連打……)」
能瀬の言葉を頭の中でリピートさせながら、突っ伏した体勢のまま一人興奮に震える上倉。
その“少しの間強く連打”はすぐに与えられた。
パシンッ!パァンッ!パァンッ!
「ひっ!?はっ、あぁあああんっ!ごめんなさい!ごめんんさぁぁぁい!」
「謝ってもすぐは終わらないよ?反省したの?」
「しました!しましたぁっ!もう能瀬さんに生意気言いません――っ!
千歳様変なもの見せてごめんなさぁぁい!」
真っ赤にされたお尻をさらに強く叩かれては、いくら上倉が気持ちいいといっても
泣くしかないわけだが、相変わらずの快感交じりの恐怖感で興奮具合も
ガンガンに上がってきてしまう。悲鳴が止められない。
パァンッ!パァンッ!パァンッ!パァンッ!
「ひぁぁっ!ごめんなさぁぁい!んんっ、やだぁぁぁっ!」
快感で頭が朦朧としてきた上倉は気がつけば泣きながら恍惚と叫んでいた。
「あぁっ、あぁあっ!!感じるぅ!感じますぅ!
能瀬さんは……私が憎くて堪らないんですよねぇ!?」
「違うよ」
上倉の肩をテーブルに押さえつけながら、能瀬は言う。
まるで小さな子供を抱きしめて言い聞かせるようにふんわりと。
「上倉君に、いい子になって欲しいからこうするんだよ?」
「んぁああああっ!そんな風に言われたらぁぁっ!!」
上倉の脳裏に巨大な悪魔がよぎる。
それっきり、ぷっつりと意識が途絶えてしまった。


そして上倉が再び意識を取り戻した時、自分は床の上に転がっていた。
「ふっ、ぁ……!」
「あ!やっと気付いた……全く、いつまで寝転んでるつもり?」
「え、と……申し訳ありません」
千歳の呆れ顔に、慌てて起き上がって衣服を整える。
とは言え、自分はきちんとズボンも下着も穿いていた。
呂律も回るし少しドキドキするくらいで、心も落ち着いていた。
一つ一つ自分の状況を確かめている上倉に千歳はめんどくさそうに補足する。
「お仕置きが終わって、お前がうんともすんとも言わないから……
能瀬さん慌てて……“慌てた様子”で?イルさんを呼んでくれたよ?
服はイルさんが直してくれて、それから軽く介抱してくれてた。
お前を執事控室に運ぼうとしてくれてたけど、僕が
“ちょっと話がしたいからこのまま床に転がしといてください”って言ったら不安そうに出て行った」
「そうですか……私に対するぞんざいな扱い……!さすがです千歳様!!」
上倉の嬉しそうな様子に千歳がクスリと笑う。
「能瀬さんの方はいいストレス解消になっただろうね。お前はどうだったの?」
「すっ……ごい、ゾクゾクするほどの憎悪でした……!
それなのに“嫌々やってます。可哀想に思ってます”って態度で一貫して……。
彼、やはりタダ者ではありませんね!」
「ああいう、権威への執着が強くて何か企んでそうなのは、扱いにくくてダメだよね。
その点お前はただのドM変態ブラコンだから扱いやすくていいよ」
そう言って笑う千歳に、上倉は何故か得意気に胸を張る。
「フッフッフ……千歳様?上倉だって、お腹の中に大いなる野望を秘めているやもしれませんよ?」
「そうなの?じゃあお前をしっかり調教して、余計な反逆心は削ぎ落としておかないと」
「あっ……
自分で招いた状況に、パッと頬を赤くする上倉。
千歳はいつもの笑顔でにっこりと笑って手招きした。
「喜んでね……さっきのお仕置きの仕上げをしてあげる。おいで?」
「あ、あ、あぁありがとうございます……!」
一瞬の躊躇も迷いも無く、上倉は穿かせてもらったズボンと下着をまた脱ぎ捨てていた。


それからしばらくして、上倉は千歳の部屋を出て廊下を歩いていた。
「上倉君!」
「あぁ、能瀬さん……」
振り向いた上倉に、心配そうな能瀬が歩み寄ってきた。
「さっきはごめんね?痛む?」
「あれは半ば千歳様の命令の様なものです。貴方はお気になさらず。
それに、私にとって痛みなど快楽への通過点に過ぎないんですから」
「やっぱり君の事が心配だよ……」
本当に、心から心配そうに能瀬はこう続けた。
「疲れが精神にきてるんじゃないかな?
君は執事教育もろくに受けてない素人なのに、この廟堂院家の執事長なんて重すぎたんだ!
今だって仕事を完璧にこなせてるとは思わない!実際は皆、今も四判さんを執事長と
見なしているところが多いし……特に、シニアの方はね。
執事長の選定の仕方も異例だった。こんな状態なら、君を千歳様の世話係にして執事長は分けるべきだ!
これは何度言っても聞き入れてもらえないし。どうだろう?
上倉君、一度執事長を降りてみないか?しばらく屋敷を離れて休養を取った方が……」
「ありがとうございます」
能瀬の言葉を遮って上倉は笑った。
「確かに、貴方の言う通り……私はまだまだ未熟で、
一部の皆さんにはきっと、執事長と認めてもらえていません。
けれど、自分のやれる事を精いっぱいやっていこうと思うんです。
“せっかく千歳様が私を直々に執事長に選んでくださったんですから”」
最後の一言を強調すると、能瀬の表情が一瞬固くなる。
そのちょっとした変化にも上倉は楽しそうな笑みを浮かべて
さらにからかうような口調で能瀬に詰め寄る。
「能瀬さんの言いたい事は分かりますよ?
“テメェみたいな汚物が出しゃばらずに、優秀な自分が執事長になりたいから
席を渡しやがれダボが”って、ところでしょうか?
私が選ばれるまでその瞬間までは、貴方が執事長の最有力候補だった……
いやぁ、男の嫉妬って見苦しいですね〜〜♪」
「そんな……つもりは……」
「ごめんなさぁ〜〜い。どうも性格が悪いと穿った受け取り方しかできなくて☆
さっき貴方にお仕置きされたばかりなのに……気を付けないと♪
これこそ、能瀬さんみたいに優しくて優秀な方に対する嫉妬ですよね?」
「…………」
「んふふ♪ハラワタが煮えくり返って、これ以上喋るとボロが出ますか?」
口を真っ直ぐに引き結んでいる能瀬に、上倉が寄りかかる。
まるで誘惑するような艶めかしい表情で耳元に唇を近付けて吐息を漏らす。
「いっそ……その仮面の下の激しい憎悪で貫かれてみたいんです……私。
執事部隊の皆さん、とても優しくて……時々、ちょっとだけ刺激が欲しくなっちゃうんですよね……」
それだけ囁いた後はニコッと人懐っこく笑って、歩いていった。
残された能瀬は、上倉がいなくなるくらいの間は我慢できていたのだが、ついに……
拳を思いっきり叩きつけた壁に寄り掛かって、歯ぎしりをする。
(くそっ……くそッくそくそくそォォォォッ!!
あの、色狂い!!汚らわしい性欲の権化!!家柄も学歴もスッカスカな
下層民が旦那様の優しさに付けこんでこの屋敷に入った挙句、執事長だと!?
どんな恥知らずな手を使って千歳様に取り入ったんだ……
子供を籠絡したくらいでいい気になりやがって!!あんな奴が執事長だなんて……
廟堂院家の執事長にふさわしいのはこの僕だ!僕は廟堂院家に仕えるべく
生まれてきた、執事のサラブレットだぞ!?エリートだぞ!?
それを!それを!それを出し抜いてからにぃぃ〜〜〜〜っ!!)
爪が食い込みそうなほど拳を握って、能瀬は人知れず、
底抜けに暗い音色で呟く。
「いい気になっていられるのも今のうちだ……。
僕は貴様の安い挑発に動じない。陳腐な誘い文句で懐柔もされない」
その先はまた、心の中にしまいこんで……能瀬は誓う。
(いつか……いや、いつかなんておぼろげな未来じゃなく、
そう、近い未来だ!僕は絶対に貴様を不正にまみれた
執事長の座から引きずり下りし、執事長になる!!
そしてこの屋敷を繁栄へと導き、僕こそが……僕こそが廟堂院家の正史となる!!)

能瀬は深呼吸して、姿勢を正して歩いていった。

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【作品番号 BSS14】

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