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門屋君が何かご不満なようです



※門屋準とおとぎ話の妖精が何か話しているようです。

「な・ん・で!『フェアリーテールは好きですか?』に俺の出番がね―んだよ!!」
『……その頃は存在感無かったんじゃないですか?』
「んなもん納得できるか!俺の存在感は100年前から輝いてんだよ!
くっそ……今から俺の登場するナイスな『フェアリーテールは好きですか?』の話を作るぞ!」
『はぁぇ……』
「何なんだよそのやる気無い返事は!いいか!?まずタイトルはこうだ!
“キャプテン・カドヤの大冒険!!”!」
『……え?それ元ネタのおとぎ話は何ですか?』
「元ネタなんていらねーんだよ!夢と希望と冒険があればいいんだ!
小学生向けの小説であるだろこういうの!」
『う〜ん。ありそうではありそう……ですね。完全創作かぁ……で、どんな話なんですか?』
「まず、超強くてクールでカッコいい海賊のリーダーであるキャプテン・カドヤは、
ゴージャスな衣装と船で、伝説の7つの秘宝を集める為に旅をしてるんだ!
それを集めると、大いなる力が手に入る!」
『キャプテン・カドヤは野心的な海賊ですね』
「まぁな!でも、勘違いするなよ!?キャプテン・カドヤは野心というか、男らしい向上心は
あるけれど、基本的に仲間想いで優しいリーダーなんだ!そして強くてクールでカッコいい!
そんなキャプテン・カドヤの船で一緒に旅をするのが、マユマユ姫だ!」
『え?何でお姫様が海賊と旅をしてるんですか?キャプテン・カドヤがさらってきたんですか?』
「バカかお前は!お姫様さらうとか悪役じゃねぇか!キャプテン・カドヤは海賊だけど正義のヒーローなんだよ!
むしろ、キャプテン・カドヤがマユマユ姫を助けて……そうだこれだ!魔王にさらわれそうになった
マユマユ姫が、キャプテン・カドヤに助けられて惚れて、で、一緒に旅をしてるんだ!!」
『……ちょ、魔王とかどっから沸いたんですか!?思いっきり今考えついた感じじゃないですか!
で、そのマユマユ姫をさらった魔王は誰なんです?』
「もちろんそりゃー鷹森!……と、言いたいところだけど魔王って事はラスボスだろ?
ラスボスが弱っちい鷹森じゃ、倒した所でキャプテン・カドヤの強さが証明できないからなぁ……。アイツはアレでいいよ。
弱いくせに合間合間にキャプテン・カドヤにちょっかいかけてくる雑魚敵。魔王の手下とか」
『そ、そもそも、キャプテン・カドヤの旅の目的は7つの秘宝を集める事だからラスボスも何も
無いんじゃ……とにかく、マユマユ姫をさらったのは魔王の命を受けた鷹森って事ですか?』
「ん〜〜……そこはアレだよな。鷹森がマユマユ姫に惚れてるって設定を最大限に生かしたいから
アイツが自主的にマユマユ姫をさらった感じにしたいよな。でも、雑魚は雑魚だし……」
『“好きだから手に入れたい”って言うのはさらう理由としては分かりやすいですもんね』
「あ!いい事考えた!鷹森は、元々、マユマユ姫に惚れた隣国の王子なんだけど、求婚しても振られるんだよ!当然!
そしてアイツは、もっといい男になればマユマユ姫が振り向いてくれると思って、魔王の手下になるんだ!
まぁ下らねー勘違いなんだけども!」
『えぇ!?王子様が魔王の手下になっちゃうんですか!?ものすごく努力の方向を間違ってますけど!?』
「鷹森はアホだからそれでいいんだよ!盛大な勘違いと血迷いの果てに魔王の手下になりさがった鷹森は、
何度もキャプテン・カドヤからマユマユ姫を奪おうとするんだけど、いつも負けて帰っていく!」
『典型的な雑魚キャラなわけですね……で、魔王はキャプテン・カドヤの冒険にどう絡んでくるんですか?』
「そこだよ!魔王は悪事で人々を困らせつつ、7つの秘宝を狙ってるんだ!その力で世界征服を目論んでる!
だから、様々な刺客を送りこんでキャプテン・カドヤを潰そうとするけれど、キャプテン・カドヤは負けないんだぜ!
キャプテン・カドヤは魔王のたくらみを知って、ますます7つの秘宝集めに意欲を燃やす!そして華麗にコンプリート!
ラストは魔王と直接対決!7つの秘宝を手に入れて、マユマユ姫と恋人になって、世界も救っちゃうキャプテン・カドヤ!
どうよ!?サイコーにイカスだろ!?」
『そ、そうですね……そうなると、鷹森も魔王の刺客の一人って感じですよね』
「あーそうなるか!一応、魔王の命令でキャプテン・カドヤを倒しに来てる体だけど、私利私欲も混じってる、と」
『ところでその魔王ってのは誰なんです?』
「う〜ん……魔王……魔王……兄さんで良くね?何か最強そうだし、
最終的にキャプテン・カドヤが勝つから俺的にもスッキリするし」
『マユマユ姫の兄は別に王子じゃないんですね……』
「そもそも、血縁設定にする必要も無いしな。
でも……“お互い知らなかったけど、実は生き別れの兄弟!”ってのが、冒険の中で明らかになっていく。
ってのも、展開的に熱いけど!」
『それだと、マユマユ姫にも “兄の目を覚まさせる”って旅の目的ができますよね!』
「うん!そして目的の為に共闘するキャプテン・カドヤとの結束と愛も深まる!!」
『え、ええ……。えっと、魔王は妹の事を気付いてるんですか?』
「魔王は最後まで妹の事に気付かないんだ!マユマユ姫はキャプテン・カドヤと旅をする際、
身分を隠してコジロリーナと名乗ってるからな!それに、姫である妹がまさか海賊と
旅をしているとは思うまい!で、最高に盛り上がるラストバトルの果て、キャプテン・カドヤに負けて、
魔王は自分の罪を悔いる!これからは城に戻って王子としてまっとうに生きる事にするんだ!」
『でも、魔王が王子として戻って来ても平民達は受け入れるんですか?』
「一般ピープルが魔王の顔なんて知らねーよ!悪事は全部部下にやらせんだから!
魔王サマは魔城でワイン片手に高みの見物だよ!対して、王子は対外的に行方不明って事に
なってるからな!行方不明の王子が戻って来て、国は大歓迎ムード!
キャプテン・カドヤは“スゴイ名誉な勲章”をもらって、国の英雄だよ!」
『へ、へぇ……魔王は反省してるから特に何の罰も無し、って感じですか。でも、それで
済むんですか?悪い魔王だったんでしょう?どんな悪事をしたんですか?大体、どうして
王子が魔王になったんですか?』
「まぁまぁ、そう質問攻めにするなよ。そうだな、まずは魔王の悪事は……」
『村の美女をさらってハーレムを作った、とか?』
「あ?お前今何つった?」
『え?だから、村の美女をさらってハーレムを……』
「バカ野郎!!そんな羨ましい展開が許せるか!!俺はモテ男が大嫌いなんだよ!」
『えぇっ!?だ、だって悪役が無理やりハーレム、なんて、定番じゃないですか!』
「知るか!そんな素晴らしい役得は絶対ダメだ!男だ!村のイケメンをさらってハーレムだ!!」
『えぇぇぇぇっ!?魔王って男ですよね!?ま、まさかの同性愛!?子供泣きますよ!?』
「そんな事に構ってられるか!兄さんのキャラ的にもピッタリだし男!男しか認めん!
男なら俺、羨ましくないし!魔王に食われそうになるイケメンざまぁみやがれ!だし!
あとは、美味しいチョコレートを買い占めるとか、あらゆる壁に『魔王様最高!』って
落書きしたり、そんな魔王の悪行なんだよ!」
『……いやいや、小学生並みじゃないですか……』
「だって、“キャプテン・カドヤの大冒険”は夢と冒険とロマンの物語だぜ!?
あんまり残酷な事させられないじゃん!だから、罰としては城に戻った時に
親にケツ叩かれるくらいでいいんだよ!」
『その投げやりなスパンキングオチ!!ま、まぁ必要シーンではありますけれど……
(あれ?“キャプテン・カドヤって夢と希望と冒険の物語”じゃ……一緒か)』
「後は、キャプテン・カドヤがマユマユ姫をお仕置きするシーンも欲しいな……
キャプテン・カドヤの海賊7つ道具を可愛い悪戯で隠して困らせる
マユマユ姫に愛のお仕置き……!うっは!いいな!」
『…………』
「あーあと!鷹森がキャプテン・カドヤに負けて帰った時も魔王にお仕置きされてりゃいいよ。自業自得!」
『……そう言えば、鷹森は名前、少し変えたりしないんですか?』
「あぁ、どうでもいいけど……じゃあタカモリティ―かな。
タカモリモリでもいいけど、アイツ体型貧素だから……モリモリじゃないしな」
『んーっと、さっきから私情挟みまくりのキャラ配置ですけど、他にも誰か出てくるんですか?』
「う〜ん。千歳様と千早様は……魔王に男狩りされた村の子供でいいや。
村のイケメン共を取りかえしたキャプテン・カドヤに、『素敵!カッコいい!サイン下さい!』こんな役」
『殴られますよ?顔かお尻』
「何で?いい役だぜ?あと、メイド部隊はこれまた7つの秘宝を狙ってるライバルの女海賊団!
でも、戦うのはダメだな。キャプテン・カドヤが女に負けるわけ無いし、キャプテン・カドヤの騎士道精神に反するし。
魔王の刺客を倒す為に、共に戦う話があるってのがいいな!」
『女の子も女の子で強そうですけどね』
「確かに、リーダーの月夜さん……ツキーヨさんは強そうだけど、キャプテン・カドヤの敵じゃねーよ!
あと、エレーンっていうお姫様を、ヒナータがさらってきたけど、エレーンは持ち前の女王様気質で
海賊団の中でもお姫様として君臨してる。あ、奥様と日向さんな?朝陽さんはアサーヒで」
『名前が安直過ぎですよ』
「安直って言うな!分かりやすいんだよ!いい事だよ!……ふぅ。こんなもんか?」
『あ!待ってください!魔王がどうして魔王になったかって話がありました!』
「おお!そっか!それは……マユマユ姫の兄、王子のダイヤモンドは……」
『え?!ダイヤモンドって……ダイしか合ってな……』
「お前が!安直って!言うから!!」
『あぁ!!ごめんなさい!ひねってもその程度ですか!続けて下さい!』
「謝りながら言いたい事はちゃっかり言うな!!
ったく、えーっと……王子のダイヤモンドは、王子である自分とか
周りが嫌になって自由と青春を求めて城を飛び出した!ま、反抗期だ」
『世界の存亡をかけた、だいぶ迷惑な反抗期ですね』
「アウトローに憧れたんだよ。悪い事してる俺カッコいい!みたいな!
それまでいい子の仮面が窮屈だったんだよな……そんな感じで!」
『やっぱり、ちょっと投げやりなんですね……』
「ふっふっふ、これでだいぶ素晴らしい作品が仕上がったぜ!!
この最高の夢と恋と冒険のスペクタクルロマン!!
“キャプテン・カドヤの大冒険”!!これは映画化するしかないな!」
『……そうですね!話が長くて疲れました!でも、これで気は済みましたよね!
素敵なお話が出来上がって良かったですね!(脳内で!)』
「ああ!皆も“キャプテン・カドヤの大冒険”をよろしく!劇場に遊びに来いよな!」
『もう脳内映画の公開始まっちゃったんですか!?どんだけ先走ってポジティブなんですか!?』



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【作品番号 BSS12】

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