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 正しい嫁の躾け方 番外編(アシュラフとネムール場合) 
BL





ここはワルイ13世の城。
最近結婚したばかりの自称、新婚フレッシュで若くてイケメンな王と
娶った5人の嫁(男性含む)達が平和に暮らしていた。

【夜】

銀の月の灯りが照らす神秘的な雰囲気の寝室で、ワルイ13世と嫁達の中の一人、アシュラフが
ベッドの上で夫婦の営みに興じ――
「――あっ、あぁ……ワ、ワルィぃっ……ひぃっ ぅぐっ、テメいい加減にしろぉぉ!!」
「うぶぅッ!!」
ようとしてはずが、アシュラフに思いっきり蹴られたワルイが前傾姿勢でうずくまっていた。
「い……一体何が気に入らなかったんだアシュラフよ……」
悲しげなワルイに、アシュラフが真っ赤な顔で済まなそうにしている。
「あ!や、その…………やっぱり心の準備が……!!」
「……分かった。今日はここまでにしよう。
ふぅ、なかなか夜の夫婦生活の段取りは進まないものだな」
「……俺、は……」
ワルイは気分を害している様子も無く、ただ、残念そうに優しく笑う。
そして、片手で顔を覆って苦悩するようなアシュラフを、励ます様に言う。
「気にするな。他も皆、同じようなものだ。
リウリーはキスするのさえ恥ずかしがるし(物理)、ロロは俺が近づくだけで怯えるし、
竹雛はいつも気合と自信十分で積極的だが、いざとなったらヘタれるし……
あぁ、皆の中ではネムールが一番筋がいいな!ハハッ……へぶぅッ!!」
「ネムに変な事すんじゃねぇっ!!」
思いっきり枕を顔面にヒットさせられたワルイが涙目になって反論する。
「へ、変な事って!!夫婦のコミュニケーションじゃないかぁ!!」
「あんなチビにお前、まさか、まさかもう……!!」
「待て落ち着け!!俺だって幼子に無茶はしない!!」
ティッシュ箱を投げそうなアシュラフにワルイが必死で無実を叫ぶ。
この夜はそんな会話をしつつ、二人で普通に眠った。

【次の日】

ネムールに誘われて、談話室で一緒におやつを食べるアシュラフ。
楽しく話していても気を抜くとため息が漏れてしまう。
「……はぁ……」
「……アシュラフ様?何か悩み事ですか?」
「あ、いや。何でもないんだ」
心配そうなネムールに、アシュラフが慌てて笑顔を作る。
しかし、ふと昨日のワルイの言葉を思い出して、神妙な面持ちでネムールに尋ねた。
「……ネム……お前、その……ワルイに、夜……何か、ええと、されるか……?」
「え?う〜ん……ああ!ワルイ様の『嫁』としてのお勉強の事でしょうか?
夫婦の性愛の秘儀について、熱心に教えていただいております」
「!!」
嬉しそうなネムールの言葉に、一瞬で頬を赤くして驚くアシュラフ。
ネムールの方は無垢な瞳を輝かせながら言葉を続けた。
「恥ずかしくなってしまったり、驚く事も多いですが、日々とても勉強になります。
ワルイ様の手ほどきは温かくて優しくて……とても、心地よくて……
他の皆様も同じようなお勉強をなさっていると聞いてます!
アシュラフ様も……?」
「あ……」
「アシュラフ様は私よりも大人で、高貴な方ですし……
お勉強も、私より進んでいらっしゃるのでしょうか……?
よ、よろしければ……失礼でなければ、ぜひ、予習として!お聞きしてよろしいですか!?」
興味津々のネムールの期待に満ちた眼差し。
アシュラフの中で何かが揺り動かされ、首を大きく振った。
「ち、違う……!!違うんだ……!!」
何かに突き動かされるように、アシュラフから言葉が溢れる。
「ネム、お前が、俺達がやられている事は本来、女がされる事で……!!」
「!、それは、私もぼんやりとは分かっておりますが……
しかし、ワルイ様は愛があれば男同士であっても恥じる事は無いと……」
「いや……そうかもしれないけど!!
それでも、俺は、納得がいかなくて……!!俺は!男なんだ……!!」
アシュラフは自分の言葉によって、夜の営みに乗りきれない原因がハッキリと形になっていく。
その感情は耐えがたい衝動になり、そして、叫んだ。
「ネム、行こう!!」
「行くって、どこへ??」
「男を取り戻せる場所へ!!」
肩をガッシと持たれたネムールが目を丸くした。

【In繁華街】


アシュラフはネムールを連れて、こっそりとある場所にやって来た。
そこには、色々な煌びやかで美しい店舗が立ち並び、それぞれの店で
目を引くような美しい着物を着た、美しい女性たちが魅惑的な声としぐさで行きかう男性たちを手招きしている。
「ここは一体何ですか!?楽園の様ですね……!!」
「だろう?お金を払えば、綺麗な女達と酒が飲めるんだ。
さて、どこへ入ろうか……」
ネムールは大興奮で瞳を輝かせ、アシュラフもドキドキしながら周りを見渡す。
「あ!あちらの皆様はリウリー様の国のような着物を着ていますね!」
「あっちは竹雛の所みたいな着物だな……」
「あそこは何となくロロさんっぽい感じが……!」
アシュラフとネムールが目移りするたびに、視線の先のお姉さん達が笑顔で手招きしてくれる。
美女だらけの小さな世界旅行を楽しんだ二人は、結局、自分達の地域っぽい雰囲気の店を選ぶ。
しかし店に入ろうとしたら、店員らしき男性に止められた。
「あの、お兄さんはともかく、そっちのオチビちゃんは入れらんないよ……」
「むむッ、失敬な!お言葉ですが店主よ!私、村ではもう成人の儀を終えていますよ!?」
「そうは言っても……」
子ども扱いされたネムールが頬を膨らませる。
アシュラフもどうしたものかと悩んでいると、ネムールがニッコリと笑った。
「店主よ……貴方は神を、信じますか?」

数分後。

「どうぞお入りください!!貴方方にラーナ様の祝福がありますように!!」
ネムールとシュラフは無事、入店できた。
店の中、アシュラフとネムールは綺麗なお姉様方に囲まれて、楽しい時を過ごす。
皆、褐色肌の豊満ボディをセクシーな踊り子服に包んで優しくサービスしてくれた。
「アシュラフ様、もっと飲んでくださいな?
「あぁ、アシュラフ様、私めも可愛がってください
さすが実家にハレムがあるだけあって、アシュラフは美女達に怖気づく事なく、
マイペースに酒を飲み進めながら、手慣れた風に戯れる。
「おいおい、酒も女も足りねぇよ!もっとじゃんじゃん寄こしな!!」
「「きゃ〜〜 アシュラフ様〜〜素敵〜〜」」
店員が嬉しそうに媚びつつ、アシュラフへ酒と女を追加投入する。
ますます美女と美酒に囲まれて、アシュラフはテンションが上がりつつご満悦だ。
(フフ、悪くねェな…… ネムも楽しんでるかな?)
そう思って隣を見てみると……
「……と、このように女神ラーナは彷徨える民を救ったのです!」
「素晴らしいお話です!ラーナ様万歳!!」
「ネムール様!もっと我々にラーナ様のお話を!神のお導きを……!!」
すっかり信仰心に目覚めた美女たちがネムールの声に聞き惚れていて、
ネムールもそれなりに楽しんでいるようだった。
安心したアシュラフはまた美女達と戯れ続ける。お触りも絶好調だった。
「ほんっと、皆イイ女だよな 体つきも最高だぜ
「きゃ〜〜っ アシュラフ様ぁ〜〜
「あぁ わたくしにも、わたくしめにもぉぉ
「アシュラフ様どうか、触ってくださいまし〜
きゃぁきゃぁと楽しそうな美女達の嬌声に、アシュラフのテンションは最高潮になる。
(あぁ、何を悩んでいたんだろう……そうだ俺は……俺こそが………)
高ぶる雄の本能が心の中で咆哮を上げる。
(ハレムの王!!)
その瞬間、アシュラフも高らかに叫んだ。
「オラァアアアッ!!まとめて来やがれ牝牛共ぉぉぉぉッ
「「「「「きゃぁああ〜〜 アシュラフ様ぁぁぁ〜〜」」」」」
「素敵ー」だの「抱いてー」だの甘い声が飛び交う中……

異変が起こる。

「やぁやぁ、とても楽しそうだな王子様!」
「!!」
目の前にはどうやってここにたどり着いたのか、笑顔のワルイ13世。
アシュラフは驚いたものの怯まない。多少焦りの滲む笑顔を返した。
「……おかげさまでな。お前も一緒に飲んでくか?」
「そうしたいのは山々だが、アシュラフに客人が来てるぞ?
一度我が城へ帰らないか?ネムールも一緒に」
「客?誰だよ?」
「まぁまぁ、それは城へ帰ってのお楽しみだ」
「……いいぜ。撤収だ」
ワルイの落ち着いた態度に安心したのか、
アシュラフもあっさりと店を出る事を承諾する。
甘ったるい声で名残惜しむ美女達を「また来る」とボディタッチで宥め、
これまた残念がるネムールの手を引いて、ワルイと一緒に店を出たのだった。

【城に帰還後】


「アシュラフ!!久しぶりだね!」
「兄様!?どうしてここに……!!」
城で待っていたのはアシュラフが故郷で懐いていた“兄様”(=アシュラフの父王の愛人の一人)。
驚くアシュラフへ、兄様は嬉しそうに話す。
「アシュラフが“夜の夫婦生活”の事で困ってるって聞いて……
ワルイ様に“特別講師”を頼まれたんだ。だから、もう大丈夫だよアシュラフ。
僕が色々教えてあげるからね?」
「!!?」
兄様の言葉を聞いたアシュラフは真っ赤になって、ワルイに怒鳴りかかろうと
「テメ何勝手にッ――!!」
「その事なんだが兄様殿……」
するが、ワルイが優雅にそれを受け流す。
アシュラフの様子は軽くスルーして、兄様へ言った。
「“特別授業”は少し待ってもらいたい。
アシュラフは先ほどまで、いかがわしい店で女遊びをしていてな。
まず二人で夫婦の在り方について話し合いたいんだ」
「えっ!?それはそれは……きっと陛下の遺伝子ですね……!
分かりました。いつまででも、待たせていただきますのでごゆっくり」
「悪いな。待たせてしまう間、色々な国地域からのお取り寄せスイーツとお茶で、
心ばかりの小世界旅行をプレゼントしよう。楽しんでくれ」
「わぁ、楽しみです。僕、国から出のは今日が初めてで……」
のほほんと話し合うワルイと兄様。
アシュラフがまたワルイに叫んだ。
「おいワルイ!勝手に話進めんな!!俺は特別授業だの、話し合いだのっ……!!」
「アシュラフ」
そしてまた、アシュラフの言葉を遮ったワルイは、穏やかな笑顔で言う。
「行こうか、地獄へ……あ、間違えた。俺の部屋へ」
「行かねぇよ!地獄つっただろお前!?」
「遠慮せずに、さぁ!」
「はっ・なっ・せっ・よ!!」
「ぐぬぬ……リリア!リリア――――っ!」
「あぁっ!卑怯だぞワルイぃぃっ!!」
アシュラフはリリアに羽交い絞めにされて、
無理やりワルイと一緒に部屋に連れて行かれた。


【ワルイ13世の部屋】

アシュラフは部屋に連れて来られて早くも、
ベッドに座ったワルイの膝の上でお尻を丸出しにされていた。
「何だよ話し合うんじゃなかったのかよ!嘘つき〜〜っ!!」
「もちろん話し合うつもりだ。お仕置きしながらな!!」
バシッ!ビシィッ!!
そして、お尻を叩かれていた。
「っっ!!くそ!離せ!離せってばぁっ!!」
「うるさぁぁあい!大人しくしろお前ぇぇえっ!!
俺との愛の営みはあんなに渋る癖に、美人のお姉さんにはあんなにベタベタとヤラシくぅぅッ!!」
バシィッ!バシッ!ビシッ!!
「ひゃぁああああっ!!?」
「なんていやらしい子だ!このスケベ!女タラシ!女の敵!悪妻!浮気者ぉぉぉッ!!」
バシッ!ビシッ!バシンッ!!
怒り心頭の様子のワルイに、初っ端から怒鳴られて思い切り叩かれて、
アシュラフも暴れつつ、必死に反論する……
「んぁああっ!何だよ!お前だって嫁5人も娶っておいて……」
「俺は5人とも誠実に愛してるだろうがぁぁアあッ!!お前の女遊びと一緒にするなぁぁあああッ!!」
バシィッ!ビシッ!ビシィッ!バシッ!!
ものの、余計怒られせて酷く叩かれてしまうので、
早々に反論するのを諦めて、痛みにのけ反りながら弱腰になる。
「ひぃぃっ!わっ、分かったよ痛い分かったぁっ!そんなキレんなよ!ちょっと落ち着けよぉぉッ!」
「俺は愛する妻達がいるのに、あんないかがわしい店に言った事は無いぞぉおッッ!!」
「ごめんなさい!立派だよ!お前は立派だ!夫の鏡だよッッ!!
あぁ、だから!ちょっと待ってぇぇっ……!!」
アシュラフの気弱くなる声を聴いても、ワルイは毅然と言い放った。
赤くなっていくお尻を思い切り叩きながら。
バシッ!バシィッ!ビシィッ!
「待ったは無しだぞ!今日の事はものすっっごく、ショックだったし!頭にきてるんだ!
お前が泣きながら謝るまで、きつくお仕置きしてやるからなぁッ!!」
「うあぁ!あああっ!!いやだぁああああっ!!」
バシンッ!ビシィッ!!
いくらもがいても押さえつけられ、
止まらないワルイとお仕置きの勢いに、アシュラフは泣き出してしまう。
「うわぁぁああああん!!ごめんなさい!ごめんなさい痛いぃぃッ!!」
「罰なんだから痛かろうよ!自業自得だ!デカパイ美女に鼻の下伸ばして……
くそう!また腹が立ってきた!我ながら今日のお仕置きは絶好調だから、道具も登場させてやるぞ!」
「うわぁあああん!嫌だぁぁッ!!ごめんなさい違うぅッ!!」
「何が違うんだ!言い訳は聞かんぞ!もう、もう……うわぁあああん!!
一生浮気なんてできない尻にしてやるぅぅッ!!」
ビシィッ!バシッ!バシィッ!!
悔しそうな涙声になるワルイは、やっぱり手が緩まないので、
アシュラフはお尻を真っ赤にしたまま、叩かれ続けて泣き続ける。
「あぁああああっ!ごめんなさい!ごめんなさぁぁい!もうしない!
あんな店二度と行かないからぁぁっ!」
「男は皆そう言うの!何なんだ!?胸か!?お、お前はやっぱり女がいいのか!?
俺は、男だけど!お前もっ、男だけど!!俺はお前を本当に愛してぇぇえっ……!!」
一方、お尻を叩いているワルイも目に涙を溜めて……
「少しでも夫婦の親睦を深めようと!お前ともっと愛し合いたいと!
夜な夜な励んでも上手くいかないしぃぃッ!!うわぁああん!
俺が下手だからか!?妻の愛も繋ぎとめられない、甲斐性無しなのかぁぁっ!!?」
アシュラフに負けないくらいボロボロと泣き出していた。
泣きながら、お仕置きしながら叫ぶ。
「アシュラフぅぅ!愛してるんだぁぁ!!なのにお前は!!
お前はぁぁぁッ!俺の所為なのかぁぁあぁっ!!?」
「うっ、うわぁあああああん!ごめんなさぁぁああい!違うぅぅぅっ!!」
その真摯な愛の叫びが通じたのか、アシュラフの方も
泣きながら必死に胸の内を訴え始めた。
「俺、俺も!!ワルイの事好きだし、キスとかするとドキドキするしぃぃぃっ!
でもぉぉぉッ!!
受け入れられなくて!自分が“男だ”って思うと、どうしても!前に進めなくて!
夫婦でいたくないわけじゃない!お前に愛されてるのは嬉しい!
あぁいう店にいけば!男としての自信を取り戻せてっ、何か掴めると思ったんだ!
俺だって、お前を、愛ッ……わぁあああん!!ごめんなさぁぁぁい!!」
「アシュラフ……!!」
アシュラフの本心を聞いたワルイは、喜びに瞳を潤ませて、やっと落ち着いたようだ。
戸惑いながらも冷静な言葉を紡いだ。
「そんな……お前が夜伽に乗り気でなかった事に、そんな想いがあったなんて……
気付いてやれなくてすまない!!だが……
何故言わない!?話さない!?そうと、言ってくれたらよかったんだ!」
バシィッ!!
「うわぁあああん!ごめんなさい!ごめんなさぁぁい!!」
しかし、手は止めずにアシュラフの真っ赤なお尻を叩きながら言う。
ビシッ!バシッ!バシィッ!!
「相談してくれよ!一人で悩まないでくれ!!
そのための夫なんだ!夫婦なんだ!一緒に乗り越えていこう!
よし、愛を確かめ合ったところで、お仕置きの趣旨を変えるぞ!?
何でも一人で抱え込んで苦しんで、暴走する愛しい嫁に愛の鞭だ
ビシッ!バシィッ!バシッ!
「あぁああああんごめんなさい!!これからは相談するぅぅぅっ!!」
「約束だぞ?俺はもう二度と、お前との愛を疑いたくない!!」
「うぁああああっ!わぁぁあああん!!」
「こらこら、約束するのか?」
バシッ!バシッ!ビシッ!!
「するぅぅぅっ!あぁああんっ!」
機嫌良さげなワルイのお仕置きが続き、アシュラフが体を揺らしながら悲鳴混じりに懇願すると、
「うわぁああん!ごめんなさい!もうやだ、痛い!許してくれお願いだからぁぁあっ!」
「ふふ 分かった。今日のお仕置きはここまでだ」
やっと許されたのだった。

ワルイは泣いていたアシュラフを優しく落ち着かせて膝から下ろすと、嬉しそうに言った。
「さ!お仕置きも話も済んだし、お待ちかねの“特別授業”だアシュ……へぶぅっ!!」
そのまま蹴られてひっくり返る。
すぐさま起き上がって、涼しい顔で服を整えているアシュラフに抗議した。
「おっ、終わった途端、豹変し過ぎだぞ!!」
「反省はしてる。それとあの……ネムは叩かないでくれ。頼む。
俺が無理に引っ張っていって、アイツは悪くないんだ……」
「……いいだろう。ネムールの方は、遊んでいたと言うより、布教していたようだしな」
「あ、ありがとう……」
ホッとしたように笑うアシュラフ。
ワルイもニコニコと話を続けた。
「話を戻すが“特別授業”、兄様もやる気十分だったぞ?彼のやる気と好意を無下にする気か?
お前を心配させたまま国に帰すのか?お義父様にいい報告をさせてやらないのか?」
「うっ……!!」
「恐れる事は無いアシュラフ!共に新たなるステージへと踏みだそう!
そして……もう一度、“愛してる”と聞かせてくれ……!」
「なっ……あ、アレは……!!」
顔を真っ赤にして焦るアシュラフへ、ワルイが穏やかな笑みを浮かべる。
「俺も、もう一度“愛している”とお前に言いたい」
「!!…………」
アシュラフは真っ赤な顔を逸らして俯いたのだった。

【その後】

“特別授業”の開始をワクワク張り切っていたワルイだが、
ここで兄様が一言。

「では、アシュラフと二人にさせてください」
「え?」
「僕がアシュラフに色々と手ほどきしますので。ワルイ様は他でお待ちください。また、後程」
「え―――――――っ!!?」

あっさりと閉まるドアの外で一人残され、
期待が外れてガッカリしたのだった。




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【作品番号】TYS4.5

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