TOP>小説 選択肢に戻る |
☆4 立佳が“玲姫先生がお仕置きされる。”と、ノートに書き込んだ、同時刻…… 保険医の玲姫は、保健室であるものを発見していた。 「あら……これは……」 玲姫が発見したのはこのボルボックス学園の女子制服。 上衣の白いセーラー服は襟の端に黄緑色のチェック柄が入っていて、それと同じ黄緑色のチェック柄なスカート…… 胸元の桃色リボンが初々しい制服だった。 薄いビニールに包まれた新品なので、保健室に置いてあった予備の物らしい。 「はぁ、わたくしも、もう少し若かったらなぁ……」 セーラー服を見てため息をつく玲姫。 この制服目当てに受験する女の子もいるという学園自慢の女子制服、 これを着て青春を謳歌している女子生徒たちを、玲姫は心密かに羨ましいと思っていたのだ。 憧れの制服を手に入れてしまった玲姫は 「でも待って……わたくしだって、着てみたら案外似合っちゃったりして……」 などとあらぬ方向にポジティブになってしまい…… 「ほぉら♪案外似合っちゃうじゃない!」 着てしまった。 しかし、普段は青い果実を包み込んでいる制服なので、玲姫の熟成ボディーを納めるには少々容量不足らしい。 巨胸で突っ張った上衣からはおへそがチラリ、スカートも桃尻が張って校則違反並みに短い。 「うふふ。胸とお尻が窮屈ね。でもそれ以外はパーフェクト!!」 玲姫は一人、鏡の前でクスリと笑う。 そして、鏡に向かってポーズを取ってみたり、保健室をうろうろしたりしていたのだが どうにもそれだけでは満足できなくなってきた。 (これで校内を歩いたら……わたくしもつかの間、青春時代を取り戻せるのかしら……) 玲姫はうっとりと保健室の電気を見つめる。 しかし、保険医である以上彼女は自分の都合でこの場からむやみに出られない。でも出たい。 迷っていたそんな時…… 「あの、そこのキミ……」 絶妙なタイミングでやってきたのは調理師の時子だった。 彼女は人のよい笑顔でにっこり笑って玲姫に声をかける。 「玲姫先生はどこに行ったのかな?今月の献立表をもってきたんだけど……」 「……あ……」 時子の言葉に、玲姫はみるみるうちに感極まってくる。 やだ……私……完全に生徒だと思われてる!! そう思った瞬間、彼女からすべての迷いが消えた。 「ありがとう時子さん!!少しの間、保健室のお留守番よろしくお願いします!」 しっかりと時子の手を握ってそう言った後、玲姫は走りだした。 大慌ての時子を取り残して。 「え!?ぇえ!?そんな……困るよぉぉぉっ!!」 時子の悲痛な叫びは、誰にも届かずに壁に吸い込まれるのだった……。 一方、保健室の外に出てみた玲姫の方も少し困った事になった。 今は授業中で、廊下には先生も生徒もいなかったのだ。 これでは仲間や先生と青春を謳歌できないし、授業中の教室に飛び込むわけにもいかない。 しばらくキョロキョロと歩いて、玲姫はやっと、向かいから歩いてくる一人の先生を発見した。 「境佳先生!」 「え?……えぇっ!?」 二段階で驚いた教師のその胸に、玲姫は思いっきり走って飛び込んでいく。 なぜなら彼女は“女子生徒”になりきっているから。 しかし、玲姫に真正面から飛びつかれた境佳はバランスを崩し倒れた。玲姫も一緒に倒れて…… 「あいたたた……」 「んん゛〜〜〜ッ!!ん〜〜〜〜ッ!!」 胸の中から聞こえる境佳のくぐもった声に胸を見ると、境佳の顔を思いっきり胸で圧迫していた。 玲姫は慌てて起き上がる。そしてマウントポジションのまま、境佳を見下ろして恥ずかしそうに言った。 「ごめんなさい。発育良くって☆」 「……み、見かけない生徒だな……何組だ?」 玲姫に馬乗りにされたまま、境佳は何かを我慢しているように小刻みに震えている。 それに対して玲姫は笑顔でこう答えた。 「本日転校してきた、“姫神玲子”です!先生や皆と楽しい思い出を作りたいです!」 「そうか……“玲子”、さっそく私と思い出を作らないか?二人っきりの、生徒指導室で」 スルリと送られた意味ありげな流し目。(ただし握りこぶしは震度6レベルの揺れ) 思わせぶりな境佳の口調に、玲姫はぱっと頬をバラ色に染める。 「それはまさか……『誰にも言えない愛の生徒指導』!?いきますいきます!いかせてください!」 「積極的で嬉しいぞ玲子。私も指導に熱が入ってしまいそうだ」 ニッコリ笑う境佳に強く手を握られて、生徒指導室にやってきた玲姫。 二人きりの生徒指導室に張りつめた静かな空気…… 境佳がパイプ椅子少し広い場所までギギと引きずって、スーツの上着を脱ぐ。 玲姫はゴクリと喉を鳴らし、恐る恐る口を開く。 「わ、わたくしも脱いだ方がいいのでしょうか……?」 「そうだな。下着を脱いで、私の膝の上に乗ってくれるか?」 「分かりました、それは対面座――」 「向かい合って座るんじゃなくて、膝の上にうつ伏せになってくれ」 玲姫にゾクゾクと込み上げる高揚感。 ああ、境佳先生は今、目の前の女子生徒を食らう獣になっているんだわ…… と、境佳の射るような視線を彼女はそう解釈したのだ。 だから境佳の言う通り下着を脱いで彼の膝の上にうつ伏せになった。 そしてそのまま押さえつけられてスカートを捲くられると…… 「――しまった!!」 スパァンッ!!! 彼女がすべての現実を悟るのと、お尻にジンと響く一発は同時だった。 反射的に椅子の足を掴んで玲姫は叫ぶ。 「かっ……はぁっ……騙したわね境佳先生!!」 「何を言ってるんだ?これは立派な“生徒指導”じゃないか玲子」 パァン!パァン!パァン! 何食わぬ顔で玲姫のお尻を叩き続ける境佳に、玲姫は涙目で反論する。 「どこの世界に生徒指導室に女子生徒と二人っきりになって 本当に健全な生徒指導するバカ教師がありますか!この朴念仁!!」 「お前は有害図書の読み過ぎだ!!」 バシィッ!! 「きゃぁぁっ!!」 またお尻を激しい痛みが襲って玲姫は悲鳴を上げた。 しかし、上から境佳の厳しい声がする。 「転校初日に授業をサボった挙句に、教師に暴言…… お前のような生徒には厳しい指導が必要なようだな」 「くっ……!!」 “生徒”という言葉が玲姫に重くのしかかる。 自分がこんな屈辱的な罰を受けるのは“生徒”だから。 ならば本当の事を……自分は実は制服を着ているだけの教師だと言えば……!? (でもせっかく、失われた青春を楽しんでいるのに……境佳先生にも生徒だと思われてるのに……!!) パァン!パァン!パァン! 打たれるたびにお尻の痛みが思考を掻きまわして、それでも玲姫は考えなければならなかった。 自分は教師だと明かせば、この痛みは無くなるのかもしれない。 しかしそれを明かした瞬間にもう自分は女子高生ではいられないのだ。 「痛い……痛いぃっ……!!」 (まだ女子高生を演じたい!でも、今この状況で演じ続けて何の意味があるの!?) 周りを騙し切れている事で証明される自分の見た目の若さ……彼女はそれを捨てきれない。 捨てきれないから悪い事をした女子生徒のようにお仕置きされ続ける事になる。 「境佳先生……境佳先生ッ、あぁっ!!やめて!」 「ダメだ。まだまだ玲子には反省の色が見えない」 「やぁぁっ、反省してます、反省してますから!痛いぃっ!」 「そうだろう?この指導が悪い生徒には良く効くんだ」 パァン!パァン!パァン! 生徒、生徒……境佳先生は私の事16そこらの少女だと思ってる…… 私まだまだいける……!!あぁ、でも限界!お尻は限界!でも若く見られたい……! 「あぁあ!あぁっ、……ひぁああっ!!」 玲姫は痛みに頬を伝う涙を拭う事もせず、椅子の足をしごき続ける。 何か動いていないと痛みに耐えられない。 それは手だけではなく、バタついている足や、揺れている真っ赤なお尻も。 「痛いですぅ!境佳先生痛いぃ!うぁああっ……!」 「泣いてもダメだぞ。反省したなら言うべき事があるだろう?ごめんなさいは?」 「ごっ、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなっ……ッうう!!」 パァン!パァン!パァン! (あぁあ……わたくし、お尻を叩かれて、謝らされて……女子生徒みたいに……) こんな事になるなんて、玲姫は思ってもみなかった。 生徒としてお仕置きされる恐怖なんて知らなかった。 昨日までは教師だったのだ。 (わたくしはこんな事がしたかったの?お仕置きされるために女子の制服を着たの?) 気が張り詰めてきて、まともな思考能力が失われていく。 違う……こんな事の為じゃない……わたくしは少し学生気分を味わいたくて…… 制服だって可愛かったし、わたくしこんな格好で、若く見られて、少女扱いされたくて…… でも本当に今生徒みたいにお仕置きされて…… 許して……許して……!こんなつもりじゃなかったの! 玲姫が頭の中で叫んだ瞬間、擦り切れた思考は一瞬で崩れて、感情だけが一気に溢れだす。 「うわぁあああん!!ごめんなさぁああい!」 大人としての理性が慌ててそれを止めに走っても、止めきれないほどの感情で なすすべもなく子供のように泣き出してしまう。 悲しさと情けなさで涙が止まらない。 「ちぁうのぉぉっ!こんなつもりじゃなかったぁぁっ!ごめんなさい!ごめんなさぃぃ!!」 「生徒の格好で好き勝手うろついて、保健室を開けてどういうつもりだ! 悪戯にしてもタチが悪い!」 「ごめんなさい!ごめんなさい!もうしません!うぇええええんっ!!」 「当たり前だ!今この間に生徒が倒れたらどうするつもりだ!」 パァン!パァン!パァン! 泣いても泣いても痛い。火傷のように痛い。許してもらえない。 玲姫はだんだん混乱してくる。 「ごぇんなさい!ごぇっ、ぐす……あぁああ!!ごぇんなさぃぃっ!もうしませぇんっ!」 必死で「ごめんなさい」と「もうしません」を繰り返す。 それ以外に許してもらえそうな方法が分からないのだ。 「境佳先生ぇ!ごめんなさいぃ!いやぁあああっ!ごめんなさぃぃぃ!!」 「本当にお前は……仕方のない教師だ!!」 バチィンッ!! 「やぁああああっ!!」 その痛みが最後だった。 後は息が切れを起こしながら泣いて、境佳に抱きしめられた玲姫。 そして、お仕置きが終わって落ち着いた後に玲姫は重大な事に気づく。 「境佳先生!わたくしが玲子じゃなくて玲姫だって、知ってらしたのね!?」 「……どこの世界にそんなパッツンパッツンの制服を着たバカ女子高生がいるんだ。この恥知らず」 さっきまで裸のお尻を見ていたにも関わらず、 玲姫の制服に納まらないたわわボディーから目を逸らして顔を赤くする境佳。 玲姫も顔を赤くして寂しそうに言い返す。 「わたくし、まだまだナウでヤングなつもりだったわ…… 境佳先生に生徒扱いされるのが少し嬉しくて本当の事を言わなかったのに」 と、いきなりスカートの裾をスッとたくし上げる。 「納得がいきません!わたくしを大人だと知っていたなら、 せっかく女子生徒の制服を着ているのですからこの場で『生徒に言えない愛の生徒指導ごっこ』を……」 ガタン。 「ああ、そう言えば!時子さんに任せてきた保健室が心配です!早くもどらなければ!」 境佳が机の上にあった大きな定規を手に取ったのを見た玲姫は、 早口でそう言って足早にドアへ向かう。しかし、定規でお尻を軽くはたかれた。 「早く行け」 「ひゃぁん!酷いです、まだ痛いのに!」 涙目の玲姫がドアを出るのを見送って、境佳はのろのろとスーツの上着を着込むのであった。 |
||
選択肢に戻る TOP>小説 気に入ったら押してやってください |