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☆4 「そんな事より今日の食堂のスペシャルランチは何でしょう?」 「え?」 「今です!!皆、走りますよ!!」 一瞬のすきをついて、琳姫達は門を走りぬけた。 立佳が慌てて振り返ると、琳姫達と入れ違いに走ってくる狐耳の教師。 「立佳さん何をしてるんですか!?もう一時間目が始まりますよ!?」 「あ!そうだった!オレの大好きな“保健体育”の授業が始まっちゃう!」 立佳もちゃんと教室へ走って行ったところで、今日の食堂のスペシャルランチは何かというと…… 「うふふ〜♪いっぱいできた! 本日のメインディッシュ、時子のスペシャルハンバーグ☆ これで今日のランチは完璧だよね♪」 学院の食堂の厨房で、白いエプロンの熟女が嬉しそうに笑う。 上品にカールしたミディアムヘアーに、優しそうな目元が印象的な彼女は この学園の調理師の時子、その近くで手伝っている若い男の子が補助調理師の優だ。 二人はすでに恋人同士で、力を合わせて毎日おいしい料理を作っている。 ふと、優が時子に声をかけた。 「時子さん……今日もお綺麗ですね」 サラサラした明るめのショートヘアに眼鏡をかけている彼は 女子生徒にもよく声をかけられるハンサムボーイ。そんな優が眉一つ動かさず いきなり褒めてくるものだから、時子はぽっと頬を染める。 「えっ……そんな……」 「あ、すいません。気のせいでした」 「そんな事だろうと思ったよ!!もう!」 真っ赤になってそっぽを向いた時子と無表情の優。 二人はまたそれぞれの作業に戻ったが、しばらくして優がまた時子に声をかける。 「その髪型、いいですね。切りました?」 「あ、分かる?前髪を少……」 「その話はどうでもいいです。 それより時子さん、今日のメインディッシュはオムライスですよ?」 時子は2秒ほど考え込んでそして…… 「ええええ!?そ、そうだっけ!? どどどどうしよう!!もうハンバーグいっぱい作っちゃった!!」 と、ひどく慌てた。 オロオロいる時子を尻目に、優は無表情のままテキパキと作業を続ける。 「作ってしまったものは仕方ありません。問題解決のために作業を分担しましょう。 僕は先生方に事情を話してきますから、時子さんは壁に手を付いて、お尻を出して待っていてください」 「う……うん、分かった……って、私の作業分担おかしくない!?」 「貴女ができる精一杯がそれでしょう? 僕に余計な仕事を増やした事を反省して償ってください。 ついでに、メニューをちゃんと確認しなかった事もね」 「え?あ、うん……それも何かおかしい気が……」 優は時子の返事もよく聞かずにスタスタ歩いて行ってしまった。 仕方なく時子は言われたとおり壁に手を付いて待っているのだが 一人で壁に手を付いて静かにしているという状況に、時子はなかなか複雑な気分になる。 (誰か来たら変に思われるかな……?いや、壁で腕立て伏せしてる事にすれば……) 色々考えているうちに優が戻ってきて、時子は少しホッとした。 しかし優は無表情に時子を見つめて…… 「時子さん……僕の言う事を聞かないなんて、貴女なかなか命知らずですね……」 「え!?えぇっ!?ちゃんと言われたとおり、壁に手を付いてお尻出して……」 「スカートと下着を脱いでないじゃないですか」 「女性にそこまで要求するッ!?」 「悪い人だ貴女は……たくさんお仕置きしなきゃいけませんね」 ツッコミを軽く無視された時子は太ももに手を添えられて、スカートを捲られる。 ゆっくりした動きに羞恥心を煽られ、しかもくすぐったくて時子は小さな悲鳴をあげる。 「やっ……!!」 「何ですか時子さん……また逆らうんですか?縛り上げますよ?」 「逆らわないよ!やめて!くすぐったかっただけ!」 悲鳴に近いツッコミを聞いても、優はチラッと時子の顔を見ただけで、淡々と時子の ストッキングと下着をずり下ろした。 「いきますよ……」 後ろから優の声が聞こえて、時子は息を飲む。 痛みを覚悟して指先に力を込めるが、次の瞬間に感じたのは痛みとは別の感覚だった。 「ふぁっ!?」 いきなり背中に体温を押し付けられて、時子は抜けたような声を出す。 優が覆いかぶさるように背後から体をくっつけてきたのだ。 (あれ!?あれあれあれれ??) てっきり叩かれるかと思っていた時子は、今の出来事に完全に混乱していた。 衣料越しに感じる優の体つきと、すぐ後ろで聞こえる息遣いに、一気に心拍数が上がる。 「優君……ど、どうしたの……」 「貴女はどうせお尻をぶたれると思ったんでしょう……?」 息がかかるほど近くでささやかれると余計に恥ずかしくなって、返事を返す声が震えた。 「ち……違うの……?」 「いいえ、違いません」 しれっと言い放った優が時子から離れ、横に回って時子を押さえつける。 そのままお尻に手を振り下ろした。 バシッ!! 「ふぇえぅっ!!じゃっ……さっき抱きついてきたのは何!」 「人の気配がしたもので。あれはたぶん4組の高倉(妹)……チッ、出鼻を挫かれました。 今度、彼女にココアと偽ってブラックコーヒーを渡す事にしましょう」 「それはやめてあげて……うぅ、くっついてるの見られちゃったかな……」 「さぁ?見られたとしても特に問題ありません。 僕と時子さんが淫らな行為に及んでいるようにしか見えないでしょうから」 「それ問題大有りでしょ!!?」 「貴女はそんな事を心配をしている場合ですか?」 バシッ!!バシッ!!バシッ!! 「んんうっ!!」 急にお尻を激しく連打されて時子は苦しそうに悲鳴を上げる。 「僕にお仕置きされているというのに気を散らして…… それは僕に対する侮辱ですかそうですか……イラっとしますね」 「ちがうぅっ……違うよぉ!!」 「なら、この程度の叩き方では余裕過ぎて他の事を考えてしまったと、 そういうわけですか。分かりました」 「ひぃぃっ!!君全然分かってなっ……」 バシィッ! いい音がして今までで一番の痛みが襲ってきた。 時子は耐え切れずに叫び上げてしまう。 「あぁああっ!!違うって!違う!違うのにぃっ!!」 バシィッ!バシィッ!バシィッ! 必死に“違う”と訴えても平手の強さは変わらない。 それどころか強くなっている気もする。 「違うっ!ああっ、優君違っ……いたいぃっ!!」 「やっとお仕置きらしくなってきましたね。 いいですよ時子さん。その調子で喚いてください」 「やだぁぁっ!!痛いよやめてぇぇっ!!」 「……ああ、また僕の言う事に逆らうんですか。 学習能力のない人だ」 「いやぁぁっ!違うっ!ごめんなさい優君、違うぅっ……!!」 バシィッ!バシィッ!バシィッ! とっさに謝っても遅かったようで一段と叩かれた。 お尻が熱くて痛くて、時子は足踏みたり優のズボンを掴んだりしたが全然紛れない。 「ごめんなさいっ!逆らわない!君の言う事聞くから!痛いごめんなさいぃっ!!」 「いくら僕が名前の通り優しさ溢れる男の子でも 3回も逆らわれるとブチのめしたくなりますね……」 「いやぁぁっ!優君!ごめんなさい!違うの!君に逆らうつもりなんて これっぽっちも……!!」 「時子さん、ベラベラ喋るより歯を食いしばるのをお勧めします」 「ぃゃぁぁ……」 冷たく聞こえる優の言葉。 このまま酷く叩かれるんだと思うと 時子は恐怖のあまりほとんど声にならない声が出た。 それでも、言葉通りのキツイ平手打ちが続く。 バシィッ!バシィッ!バシィッ! 「ごめんなさい!ごめんなさい!優君やめて許してぇぇっ!」 「馬鹿ですね、最初からそう言っていれば良かったのに……」 「っごぇんなさぃ!いやぁ……ゆうくんっ……いだっ……うぁぁっ……!!」 だんだん涙声になってくる時子の尻を叩く優は無表情のままだ。 バシィッ!バシィッ!バシィッ! 「ゆうくんっ!ひっ、いだい……もう立ってられなっ……よぉ!! 抱っこして……ゆうくん抱っこして……! まだ叩くなら抱っこしてぇぇっ!!」 「甘ったれた事言わないでください。 楽な姿勢なんて取らせるわけがないじゃないですか。 これはお仕置きなんですから」 「やぁぁ……ごめんなさい!優君っ……許してよぉ……うぇぇぅっ……!!」 「へぇ、泣き落としとは小賢しいですね。僕には通じませんよ?」 「ちぁうもぉぉんっ!!痛いんだもん!!うぇぇああああんっ!!」 時子がボロボロと涙をこぼしながら叫ぶ。 ずっと動かしている足がだんだん疲れてきた。 ズボンの裾を握りしめている手も痛い。 心から許してほしいと、そう思っているのに…… 「そんな事は知りません。悪いのは貴女ですから、当然の報いです」 そう言って、優はお尻を叩くのをやめてくれない。 バシィッ!バシィッ!バシィッ! 「わぁあああんっ!!優君ごめんなさぁぁい! もうしないからぁぁっ!!」 「何をですか?」 「ハンバーグ作らないぃっ!!」 「このタイミングで退職宣言ですか……」 「ちぁうぅっ!!間違えない!メニュー間違えないぃっ!」 「まぁ当然ですね」 バシィッ!バシィッ!バシィッ! 「はぁっ、ああぁ、君にも迷惑かけないぃ!! だから許してぇぇっ!ごめんなさぃぃっ!わぁぁぁんっ!!」 「…………」 しばらく考えているような間があって、優が口を開く。 「それじゃあ、今からあなたが本当に反省しているか確かめるためのクイズを出します。 正解すればお仕置きは終わりですが、 不正解ならあと2時間ぐらい叩かせてもらいます。」 「やだぁぁぁっ!!」 「嫌だ……などと、ふざけたことをおっしゃいましたか?」 「いゃぁぁっ!言ってない!やる!クイズやるぅ!!」 「……今の歯向かいの分は後で制裁するとして…… では、問題です」 ちらっと恐ろしいことを言われた気がしつつも 時子はビクビクしながら問題を待った。 「僕のことを愛していますか?」 「ぇ……?」 「5・4・3……」 意外な問題にあっけにとられるのも許してくれないらしい 優が恐怖のカウントダウンを始めたので…… 「ぁあ愛してる!!愛してるよ優君!!」 「……正解です」 バシィッ!! 慌てて答えを言うと、正解だったのに叩かれた。 この理不尽な対応に時子は泣き出してしまう。 「わぁああんっ!!終わりって言ったのにぃぃっ!!」 「ええ。終わりです。さっさとパンツをはいてください。 僕以外に見られたらどうするんですか?捻じり上げますよ?」 「うぇぇっ……ずっ、んきゅっ……うぅ――……」 優に急かされて、時子は泣きながら下着とストッキングをはいた。 はく時に布がお尻にこすれて痛かったのは我慢した。 そしてその後、二人はしばらく職員専用の休憩所で休んでいた。 並んでソファに座っていると、優が時子の手を繋ぎながら言った。 「時子さん……僕だって貴女が憎くてあんな事をしたんじゃないんです……」 普段表情の変化のない優の目が、悲しげに細められたような気がして 時子も切なげな表情をする。 「優君……」 「憎いからじゃない……楽しいからです」 「優君ッ!!」 せっかくの切なさを台無しにされて怒る時子に 優は眉を少し吊り上げて不機嫌そうだ。 「何ですか冗談の通じない……皺が増えますね、確実に」 「言い切らないでよ!!ちゃんとアンチエイジングしてるっ…… ってその前に、余計なお世話!!」 「あ、そうだ。最後、クイズの時に僕に歯向かった分の 制裁を加え忘れるところでした……」 優が思い出したようにそんなことを言って、時子はまた恐怖感に襲われる。 「ねぇ……また痛いことするの……?」 「そのつもりはありませんでしたが、貴女がお望みならばそうします」 「嫌だ!痛いのはもういやだよ!!」 「そうですか……では予定通り……」 「…ぇ……」 優がぐっと体をくっつけてきた。 さらに顔まで近付けてきて…… 「んっ……」 一瞬、唇が触れ合って、優は何事もなかったかのように離れる。 短いキスだったが、時子は顔を赤らめる俯いた。 優の手をぎゅっと握りながら。 「……優君……」 「何ですか?舌でもねじ込んでほしかったんですか?」 「違うよ!!なんて言い方するの君!?」 ツッコんで、一呼吸おいて、恥ずかしそうに、時子は言う…… 「……お仕置きも……これがいいな……」 「……調子に乗らないでください」 「ごめん……」 時子のしょんぼりボイス以降、黙って手をつないだままの二人。 優が、ほんの少し笑っていた。 |
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