TOP小説
戻る


ガチムチお仕置きラビリンス〜伊藤編〜






繁華街の路地にひっそりと佇むクラブ『マドンナハウス』。
いつも常連新規入り乱れて盛り上がってるこの店だが、
今夜は盛り上がってると言うより……ざわついていた。

「アイツは酷い奴なのよ!私達やママを裏切って、嫌がらせみたいに隣に店を!!」
「だからねっ!!絶対はるるんは“ダンディキュート”に行かないでね!!」
「はるるんは私達の味方よね!?絶対騙されないで!きっと酷いぼったくりバーよ!」
今日も、気が付いたら雄嬢達のムキムキハーレムの中心に座っている伊藤晴男、
通称はるるんは困った顔で何度も頷く。
「わ、分かった分かった。俺は皆の味方だから。
隣の店には行かないよ……(特に興味ないし……)」
その答えに、雄嬢達から一気に熱気と黄色い歓声が上がる。
「きゃ〜〜っ!!はるるん愛してるぅぅぅぅ
「やっぱり私達の王子様だわ〜〜っ
「抱いて――っ!激しく抱いて――っ
キャアキャアはしゃいで伊藤をもみくちゃにする雄嬢達が話していたのは、
この『マドンナハウス』の近くにできた『ダンディキュート』というライバル店の事。
どうやらこの店の元従業員が出店したらしく、雄嬢達は“ママへの恩を仇で返した”と怒っていた。
当のママ本人は「ステラのやりたいようにやらせておけばいいのよ」とゆったり構えていたが。
伊藤も、この店の雄嬢達には困らされるものの、友達のように思っているし、
特に隣の店に関わる事も無いだろうと思っていた。


しかしある夜……
(う〜ん……今日からバレンタインイベントがあるから絶対来てって言われたし……)
またしてもマドンナハウスに向かう運命の伊藤は、店に行く途中……
「ねー!お兄さん寄ってってよ〜〜っ
大学生くらいの派手な男の子に声をかけられる。
ふっとそちらを見ると男の子が立ってるのは『ダンディキュート』の看板の前。
その一瞬の隙に、男の子が伊藤の腕を取ってベタベタくっつく。
「大学生好き〜〜?アタシ、ピチピチ大学生!中で超、超サービスしちゃう
見た目あからさまな男の子に、聞きなれた“雄嬢口調”で話しかけられて……
伊藤は困りながらも断ろうとする。
「いや、俺はあっちに……」
「……ママに殴られるんです……」
「えっ!?」
聞こえた、震える小声に伊藤はギョッっとする。
伊藤を見上げる男の子が泣きそうな顔でまた囁く。
「お願い今日だけ……!!」
ちょうど、友人の弟が同じくらいの年頃……伊藤は男の子に付いて行ってしまい……

「いやぁあああああっ!!はるるんが泥棒猫の店にぃぃぃぃっ!!」
マドンナハウスの窓側で発した誰か雄嬢の悲鳴で、他の雄嬢達も阿鼻叫喚していた。

一方。『ダンディキュート』に招き入れられた伊藤は……。
「どれする?!アタシのおすすめ!プリンセスダンディー100万円!」
「いや高ッッ!!?」
男の子に渡されたメニューの高額な酒の数々に一気に冷や汗をかいていた。
慌てて言う。
「ご、ごめんこんな高いのは払えない……!今持ち合わせが無くて……!!」
「え……」
伊藤が席を立とうとしたその時……
「あらぁ お客様お帰り??もったいないわぁいい男なのにぃ
長い金髪をふわっと束ねた、スーツ姿のガチムチ男が目の前に現れる。
その男は、顔を逸らす男の子の胸倉を掴んで恐ろしく妖艶な笑顔で言う。
「カロぴっぴの連れてくるお客様は何でいつもすぐ帰っちゃうのかしらねェ??
アンタに魅力無いんじゃないの〜〜?体売る?アンタ全然稼がないし余所で体売ろうか?」
「……許してください……うぅ!!」
「!!ちょっと……!!アンタ若い子脅して商売してるなら犯罪だぞ!
さ、さっきだってこの子……殴られるって……!!」
焦った伊藤が慌てて男の子を庇うと、男の子はすすり泣きながら伊藤にしがみつく。
男はニッコリ笑って手を打つ。
「冗談よぉ!それに殴るだなんて大げさねェ!
ウチは売上0円の子にはちょっとした“お仕置き”があるだ・け
大した事じゃないのよ?ねぇ彼に教えてあげなさいよカロぴっぴ。
アンタがいつもどんなお仕置きされるか……」
「……っ……」
男の子は真っ赤な顔で泣きそうになって伊藤を見る。
恐怖と羞恥に震える彼の姿を見て、伊藤は思わず叫んでいた。
「俺ちょっとお金下ろしてくる!!」
そして、勢いよく『ダンディキュート』を飛び出した。
すると……
さっきまで泣きそうだった男の子はソファにふんぞり返って笑う。
「……あのゴリラが何万持ってくるか賭けるww??」
「コラコラ、仮にもアンタを助けようとしてくれてるのよ?
そんな言い方ないじゃない?ダヴィちゃんあ〜ゆ〜優しい男タイプよ〜〜ん
男も体をくねらせながら笑った。

そして外へ出た伊藤は一瞬にして……
「晴男ォォォッッ!!ちょっと来いやゴラァアアアアッッ!!」
一部の雄嬢軍団に連行されて『マドンナハウス』に連れ込まれていた。

「み、皆!!違うんだ!これには事情が!
俺、早くお金を持って行ってあの子を助けないと!!」
床に尻餅をついて焦る伊藤を取り可囲む雄嬢達は口々に言う。
「落ち着きなさい!まんまと騙されてるのよ晴男!」
「そうよ情けないわね晴男!あの泥棒猫達の演技も見抜けないなんて!」
「まったく!子猫の泣き落としで
ホイホイ浮気するなんて覚悟はできてるんでしょうね!この晴男!」
「えぇ……で、でも……(急に皆が俺を呼び捨てに……)」
戸惑う伊藤に、シャルロットがピシッと言う。
「ステラ……ダヴィーは従業員に厳しいふりをして同情した客から金を巻き上げる
のが手口の一つなの!他にも小狡い手口で金を稼いでる!
ホイホイお金出そうとしてんじゃないのバカ晴男!」
伊藤はやっとハッとして、そしてしゅんと俯いて頭をかいた。
「そ、そうか……!俺は、詐欺に遭う所だったのか……!
止めてくれてありがとう皆……!!」
「ま、まぁ……晴男のそういう優しい所……私嫌いじゃないけどね!」
「悪いのはステラだし……でも気をつけなさいよ!」
「そうよそうよ!心配……しちゃうんだからねっ!」
急激にデレデレもじもじし出す雄嬢達に、シャルロットはニヤリと笑う。
「あらら〜〜?皆もう許しちゃった感じ?だったら晴男のお仕置きは私が独り占めね!」
「ちょっと何言ってんのよシャル!私も怒ってるんだから!」
「そうよ抜け駆けズル〜〜い!」
「シャル姐さん私も〜〜っ!」
またしてもキャッキャとはしゃぎだす雄嬢達に付いて行けない伊藤。
「え?おし……??」
「晴男??私達に感謝してるのよね?浮気を反省してるのよね?
だったら、おすすめはこちらの裏メニューになりまぁす
シャルロットの手にあるメニューには
『マドンナの愛:悪い子な貴方をお好きなマドンナがお仕置きしてくれるぞ
と書かれており……
「いや、俺は……」
冷や汗を流す伊藤を取り囲む影がだんだん濃くなって……
「……これ、ください……」
「「「ハァアアアアイ!!かりこまりぃぃィィィッ!!」」」


そこからは伊藤が雄嬢達の逞しい腕にもみくちゃにされて、
「あっ!」「ちょぉぉっ!?」「待っ!!」と悲鳴すらまともに上げられず、
あれよあれよと言う間に、ズボンも下着も脱がされて……
店奥の小ステージのポールに両手を手錠で繋がれてしまった。
なされるがままの伊藤は、結局ポールを握ったままお尻を突き出すような格好になって、
困ったように顔を真っ赤にする。
マドンナ達しかいないとはいえ小さなステージの上で……
気を抜いたら足が震えそうなほどのとてつもない羞恥心だった。
「こっ……これは下手したら性癖が歪む……!!」
思わず声を漏らした伊藤に、雄嬢達が鼻息荒く反応した。
「いいのよ!私どんな晴男でも愛せる!!」
「ありのままの貴方が見たいの!ジュルッ……いけねぇ涎が……!!」
「ねぇ誰から!?ハァハァ、誰からいくの!?」
「皆怖いよ!!」
叩かれる前から悲鳴に近い声を上げる伊藤。
順番は公平に「名前のあいうえお順」という事になり、しかしシャルロットは
「私最後でいいわ!」と最期を陣取った。
かくして――
バシィッ!!
「うぁああっ!!」
強力な一発目から伊藤のお仕置きが始まったわけだが、
普段カワイコぶっていても中身は屈強な男達、お尻の痛みも最初から相当だった。
ビシッ!バシィッ!!
「もう晴男ったら悪い子なんだからぁッ!反省なさい!」
「ごめんなさいぃっ!!」
「浮気もそうだけど!簡単に騙されちゃダメなんだからね!」
「うぅう分かりましたぁぁっ……!!」
バシッ!バシィッ!!
「やっ!めっ、ごめんなさい!本当に!本当にぃぃっ!!」
「やめな〜い!皆で怒ってるんだから、お尻真っ赤になるまでは覚悟してね!」
「そんっ、なっ、あぁああっ!!」
「もう!そんな可愛い悲鳴あげてもお仕置きはお仕置きなんだからね!えいえいっ!」
「あぁああっ!うぅうう!!」
バシッ!ビシィッ!バシッ!!
伊藤は懸命に受け答えをしているけれど、いつ誰に叩かれているかは分からず。
とにかく痛みで頭がいっぱいで、ポールが折れそうなほど握って必死に耐えていた。
それでもお尻はすぐ真っ赤になってしまったし、叩かれるたびに体を振って
顔を赤らめて辛そうに汗をかく。
「逃げちゃダメよ晴男!男の子でしょ!」
バシィッ!バシッ!!
「ごめんなさい!でも、痛くてぇぇっ……ぐぅっ……!!」
「そりゃそうね。でもお仕置きだから仕方ない!逃げても追っかけて叩いちゃうから!」
「うぁあああっ!ごめんなさい!ごめんなさいもう……っ、浮気しないからぁっ!!」
「やだぁぁっ!はるるんの彼女になった気分!!
とたんに、「ずるぅい!」「私も!」「もう一回やりたい!」と、周りからパラパラと声が上がる。
伊藤は改めて“複数人に見られながらのお尻叩き”だと感じて、
ぶわっと恥ずかしさで体もお尻も熱くなる。
思わず叫んだ。
「っ!!もう!皆!限界!!やめてくれ!お願いだからぁぁっ!!」
「ダメ!まだ回ってきてない子もいるの!お尻真っ赤で可哀想だけど我慢して!」
バチンッ!!バシッ!
「あぁああっ!うぇっ、もう……やめっ……っ!!」
「泣いてもいいけど、お尻はまだ叩くからね!」
「うぁあああっ……!!」
たまらず泣き出してしまった伊藤にも、真っ赤なお尻にも、
まだ代わる代わるの手と叱責が止まない。
「皆が言うから重複になるけどぉ、浮気するはるるんもお財布緩いはるるんも、めっ!」
バシッ!バシッ!!
「ごめんなさい!ごめんなさいもうしません!気をつけますぅ!!うぁああん!」
「私誰だかわかる?もうすぐ終わりだからしっかり反省しなさい!」
「分かりません!!もうしないからぁ!皆許して……許してぇぇっ!!うぅうう!!」
「分からんのかいッッ!!」
バシィッ!ビシッ!バシッ!!
散々に泣いて、喚いて、真っ赤なお尻を痛めつけられて……
息を切らせる伊藤に、ついに……
「待っていたのよ……この時をねッ!!」
シャルロットが立ち上がる。彼女は得意げに皆に言った。
「なぜ私が最後を狙ったのか分かる!?それは泣いてるはるるんのお尻を叩けるから!」
安定の仲間からの「その手があったか!」「奴め策士だわ!!」というざわめき。
シャルロットが伊藤の腰を持つと、彼がビクンと震える。
泣き濡れた伊藤の耳元で優しく言った。
「晴男、はるるん……私、誰だか分かる?」
「っ、ぅ、シャル……っ」
「正解。いい子ね。お姉さんが真っ赤なお尻に仕上げのお仕置きしてあげる
皆も見守ってくれてるわ。振り返ってみる?」
「無理……!本当に、性癖、……歪っ……!!」
真っ赤な顔でガタガタと震える伊藤に、シャルロットは元気に手を振り上げる。
「まぁ無理にとは言わな〜い!でも悪いお尻はもうちょっとだけ無理してね!」
バシッ!ビシッ!バシッ!!
「うわぁああん!わぁああああっ!!ごめんなさぁぁい!!」
「さすがに十分反省できたわよねはるるん?
「ごめんなさいごめんなさぁぁい!!」
バシィッ!!バシッ!ビシィッ!!
「はい一丁上がりィッ!!」
「うぁっ、あっ……!!」
威勢のいい掛け声と共にお仕置きが終わり、伊藤も一瞬ポカンと
してしまったけれど、すぐにお尻の痛みが襲ってきて低く呻く。
「うぅ……!!」
と……
「はるるん!いい子!良く頑張った!私の胸で泣いていいのよ!」
「バカね私よ!痛かったでしょはるるん!?あらゆる部位をナデナデしてあげる!」
「はるるん!お尻に薬塗ってあげるわ薬!!」
また雄嬢達がここぞとばかりに伊藤に押し寄せる。
「ちょっ、いいって!いい!!あ、いたたたた!!」
伊藤の悲鳴は聞き取ってもらえず。
お尻は散々だったものの、手厚いアフターケアをされて、
山ほどのチョコを抱えて帰った伊藤だった。

一方
「あのゴリラ帰って来ないじゃな――いっ!!」
あの男の子は他の客にくっつきながらふくれっ面で、
男がニヤニヤとそれに返す。
「あ〜ららぁ!カロぴっぴちゃん、売上ゼロでお尻100叩きの刑かしら??」
「はぁ??それはこの店の裏No.1に言ってんのかしら?ねぇ社長さん??」
男の子がバラバラと札束を弄んで……
悪い顔で笑いあう二人。
そんな『ダンデキュート』は普通に営業して……

「……ステラ……」

ママが切なげで厳しい視線を送っていた。



気に入ったら押してやってください
【作品番号】USB7

戻る

TOP小説