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ある日赤ずきんが



むかしむかし、あるところに“赤ずきん”と呼ばれる男の子がいました。
その名のとおり、赤いずきんをかぶってエプロンドレスを着た彼は今からどこかへ出かけるようです。
「じゃあパパ、オレはつづりのところへお見舞いに行くからね?」
どうやら赤ずきんは、離れて暮らす双子の兄の綴の家へお見舞いに行くようです。
それを聞いた父親はつまらなさそうに言いました。
「ええ〜行かなくていいよ〜。どうせ綴は寝てるだけだろ?そんな事より俺と遊ぼうぜ〜?」
「もうパパったら!そんなだからママに離婚されちゃうんだよ!?」
赤ずきんはじゃれついてくる父親をパタタっと振り払います。
そして美味しそうなパンの入った手提げカゴを持って言いました。
「パパはつづりに何かお土産あげないの?」
「ん〜〜、じゃあこれ」
父親は赤ずきんのカゴにぶどう酒のビンを無造作に入れます。
「つづりがこんなの飲めるわけないでしょ!?」
「だぁって俺、ワインとかいらねーし」
そう言ってケラケラ笑う父親に赤ずきんは大きくため息をついて、「行ってきます」とだけ言って家を出ました。


そこからは順調に森の中を進む赤ずきん。
しかし、途中でバッタリと白衣の狼に出くわします。
「やぁ赤ずきん。ごちそう持ってどちらへ?」
「あっ、狼さん!つづりのお見舞いに行くんだよ」
「そうかいそうかい。それならお花を摘んで行くといいよ」
「そっかぁ!それいいかも!ありがとう狼さん!」
狼の口車に乗った赤ずきんは、せっせと花を摘み始めました。それを見てほくそ笑む狼。
(ククク……先回りして赤ずきんを食べてやる!……あ、食べるって違いますよ!?
赤ずきんの展開的な“食べる”であって、けけけ決していやらしい意味は……!!)
見えない誰かに言い訳しつつ、狼はあわてて綴の家へ先回りします。


その頃、綴の家では、綴が1人で留守番をしていました。
フリルをふんだんに使ったワンピース型のパジャマに、同じくフリルとリボンのついたナイトキャップ姿です。
母親は夜まで戻らないと言っていたので、綴はベッドに上体を起こして座り、大人しく絵本を読んでいます。
小さく白い指が最後のページを繰ると、綴は恍惚とため息をつきます。
「はぁぁ〜〜素敵……♥時子姫、優君と幸せになって良かったぁ!
きっとそのうち結婚するんだよね………そういえば、夕月デレラはどっちの王子様と結婚するのかな?」
綴は読み終えた『時子姫と7人のトキコビト』の絵本を閉じ、『夕月デレラ』の絵本の上に重ねます。

ふと時計を見ると11時。
少し早い気もしますが綴はベッドから出て、テーブルに用意されていたパンとスープ、
それにふわふわのオムレツを食べ始めます。冷めていても母親の愛情たっぷりの美味しい食事に大満足の綴。
しかし、お次は苦い薬を飲まなければなりません。
ずっと病弱だった綴は薬を飲むのもすっかり習慣で“薬は友達”状態。
だからといって薬を飲むのが平気なわけではありません。苦い物は苦いのです。
楽しい食事の後のこの時間は毎回憂鬱になります。
それでも気力を奮い立たせて、食器棚の引き出しから可愛らしい“双子のアリス”が描かれた四角い缶を持ってきて
蓋を開けて、いつもの飲み薬一式をテーブルに並べてみますが憂鬱度は上がるばかり。
薬から逃れたい一心で綴はついついこんな事を考えてしまいます。
(毎日毎日、ずーっと飲んでるんだから、今日くらい飲まなくてもいいんじゃないかな……?)
悪魔の甘い囁き。
幼い心は簡単に絡めとられてしまいます。
(今日は、お母さんもいないし……朝から全然、辛くなかった。お薬飲まなくても平気かも……。
たった一日、今日だけなら……!)
いつも、口うるさくも優しく薬を飲ませてくる母親は今日はいません。
しばらく迷った綴は、結局……勢いよく缶の蓋を閉めてしまいます。
(ごめんなさい……!)
缶に向かって手を組んで祈るように謝って、いつもより奥へしまい込みました。
それからはまたベッドに戻って絵本を読み始めます。
静かな時間が流れ始めました。


そしてその頃、赤ずきんはと言うと……
「できた――っ!何コレちょ――かわい〜〜!オレ天才かも〜〜♥
絶対これつづりに似合っちゃうよ〜〜♥」
手提げカゴいっぱいに可愛い花を入れた上、カラフルな花冠を完成させてご満悦でした。
しかもまだせっせと花を摘んでいます。
「せっかくだから、冠と合わせた指輪と腕輪も作っちゃお〜〜っと♪」
そんな赤ずきんの背後に、とある少年猟師がやってきます。
「やぁ赤ずきん。こんな所で何してるの?」
「あっ、ニノ!つづりのお見舞いに持って行くお花でアクセサリー作ってるんだよ♪
見て見てこれ〜〜可愛いでしょ??」
「へぇ、可愛いね。でもお見舞いはまだ行かなくていいのかい?もうお昼過ぎちゃってるけど……」
「えっ!?」
猟師の言葉に赤ずきんは慌てます。
赤ずきんの予定では、綴と一緒にランチとしてカゴの中のパンを食べるつもりだったのですが……。
「うわぁぁぁっ!どうしよう!?オレもっと早く行くつもりだったのに!
今日はママもいなくてつづり一人だし……つづり、今頃泣いてるかも〜〜!!」
「あ〜〜あ、キミがそんな事でどうするのさ?お兄ちゃんなのに」
「うぅっ、そうだよね……」
しゅんとうなだれる赤ずきん。
それを見て猟師は口の端をつりあげて言いました。
「悪いお兄ちゃんだね赤ずきん。病気の弟のお見舞いに行く途中で寄り道なんて。
そういう悪い子はおしおきしなくちゃ。ねぇ?」
「え!?そ、そんな……オレ、早くつづりの所へ行かなきゃいけないし……」
「そうだよ。キミは早くつづりのお見舞いに行かなきゃいけない。
だから早くお尻を出さないと。ほら、手伝ってあげる」
「や、やめて!許して、ニノ……ひゃっ!!」
逃げようと背を向けたところを、赤ずきんは無理やり地面に抑え込まれてしまいます。
「お尻を突き出して」
言われながら、無理やりお尻を突き出すような格好にされて……
ふんわりとしたスカートを捲くられ、下着をずり下ろされると
赤い服とは対照的な白くて滑らかなお尻があらわれました。
「や、ヤダ!ヤダよニノ!こんな所でパンツ脱ぐなんて恥ずかしいよ……!」
「あれ?女の子のパンツをはくのは恥ずかしくないのに?」
「やっ……!だ、だってそれは……可愛いから!」
太ももに引っ掛かっているピンク色のハート柄下着はどう見ても女物。
それを指摘されて頬を染める赤ずきんを見て猟師はくっくと笑いました。
「本当に、赤ずきんは可愛い物が大好きだね。ボクはそんなキミが可愛かったりするんだけど、
でも可愛い物に気を取られて大事な弟の事のお見舞いに遅れるってどうなの?」
赤ずきんの裸のお尻をぺちぺちと軽く叩きながら、猟師は問いかけます。
「ご、ごめんなさい……オレ、つづりに喜んでもらおうって……」
「それにしたって夢中になりすぎだよ」
ぺち ぺち ぺち ぺち。
遊ぶみたいに緩く叩かれて、赤ずきんは小さなお尻を振って抗議します。
「んっ、ニノぉ……や、やだ、ぺちぺちしないで……!」
「ああそう?なら、ぱんぱんしようか?」
猟師は思いっきり手を振り上げて、赤ずきんのお尻に叩きつけました。
ぱぁん!
「――あっ!!」
急に激しくなった痛みに跳ね上がる赤ずきん。
猟師は続けて同じような平手打ちを何度も浴びせます。
ぱん!ぱん!ぱん!
「やぁぁっ!痛い!痛いってばニノ!!」
「ぱんぱんしてるからね」
「ぱんぱんしないで!」
「え〜〜?ワガママだなぁ……じゃあどうすればいいの?」
ぱん!ぱん!ぱん!
軽い調子で赤ずきんと会話しながらも、バシバシお尻を叩く猟師。
赤ずきんの声にも徐々に辛さが滲んできます。
「ひっ、何もしないで!」
「それじゃ、おしおきにならないよ」
「おしおきしないで!」
「それは無理。だってキミは悪い子なんだよ?」
「だって、だってぇ、痛いんだもん!お願いニノぉ〜〜!」
赤ずきんは甘えた声で猟師に懇願します。
この声は意識してか無意識にか……どんな男達をもコロッと頷かせてしまいそうなハニーボイスです。
でも猟師は赤ずきんにやましい感情を持っていないので引っ掛かりません。
明るい声で笑って返すだけです。
「いやぁ〜〜全くキミってヤツは本当に可愛いや〜〜♥
で、可愛いからって何でもワガママが通ると思わないでね赤ずきん?
いや……」
猟師が一旦言葉を止めたので、お尻を打つ音だけが響きます。
その合間に悲鳴交じりの呼吸を漏らす赤ずきんに、猟師は優しく呼びかけました。
「たばね?」
「あ、うっ!!」
久びさに呼ばれた本名に体を脈打たせて反応する赤ずきん。
涙で濡れ始めた瞳を細めて、か細い声を出します。
ぱん!ぱん!ぱん!
「に、ニノ……今、“たばね”って……!」
「おしおきだから真面目に、あだ名じゃなくて本名で呼ぼうと思ってね。
でもお尻は真っ赤だから“赤ずきん”に似合ってるよ?」
「やぁぁぁ……からかわないでよぉ!痛いんだもっ、んぅ!本当に痛いんだもん!」
「反省した?」
「はぁ、ぁ、は、反省したよ!」
お尻もすっかり赤くなって、打たれるままに息を乱す赤ずきん。
猟師は手を止めずにさらっとこう言います。
「じゃあ最後、すごく痛くして終わろう」
「ふっ、ぇ……ヤダよぉぉ!もう痛いのヤダぁ!ニノぉぉっ!」
「大丈夫!反省してるなら、気合いで乗り切れる!」
「気合いとかぁぁぁぁっ!!もうやだぁぁぁっ!やぁぁぁだぁぁぁぁ!!」
ラストスパートに入る前に、猟師の言葉でフライング泣きしてしまった赤ずきん。
しかし、すぐに痛みが追いかけてきました。
ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!
「痛いぃ!痛いってば!もうヤダ!無理!無理ぃぃぃぃっ!!」
そろそろ痛みに耐えるのも限界で、赤ずきんは思わずその辺に咲いていた花を掴んで痛みに耐えます。
茎が押しつぶされ、花が歪み、指の隙間から花弁がチラリと覗きます。
「たばねったら、そんなに強く握ったら花が散っちゃうよ?」
「だってぇぇぇぇっ!こんな、こんなのぉぉぉっ!」
赤ずきんは泣きながら首を振りました。
自分の体が自分でどうにもできません。上手く力が抜けないのです。
痛くて痛くて、どうにかなりそうでした。
ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!
「ふぁぁあああああんっ!!」
赤ずきんは泣き叫びながら花を引き千切ってしまいました。
地面に擦れた花弁が散って綺麗なピンク色の花弁が土で汚れます。
それに気付かない赤ずきん、ただ痛みに泣いていました。
「ごめんなさい!ごめんなさいぃ!ニノぉぉ許してお願いぃぃぃ!うわぁああああん!!」
「ああ、散っちゃったね……」
猟師は手を止めて、赤ずきんを抱きしめました。



一方、こちらは先回りして綴の家に着いた狼。
(そう言えば、赤ずきんの展開的には……先にこの家にいる綴君を食べてから
ベッドで赤ずきんを待ち伏せするんだよな……だっ、だから!!ちちちち違いますってば!
“食べる”って言うのは赤ずきんの展開的な“食べる”って意味で、いやらしい意味は断じて無いですから!!)
またもや見えない誰かに言い訳した狼は、あわあわと扉に手を掛けて……硬直しました。
(待てよ?いきなり狼が来たら綴君は怖がるに違いない。ここは優しい狼を演出しなくては……!!
まず初めのセリフは『チャオ!俺は優しい優しい狼さんだよ!ちなみに独身、よろしくね☆』……これだ!)
今度こそ勢いよくドアを開けた狼は、さっそく考えていたセリフを喋ります。
「チャオ!俺は優しい優し……綴君?!」
言い終わらないうちに、狼は家の中へ飛び込んみました。
何故ならば、綴が床に倒れていたから。
狼がかけ寄って抱き起こすと、明らかに熱っぽい顔で苦しそうに呼吸しています。
「綴君どうしたの!?」
狼の必死の声に、綴は涙目になって答えました。
「ご、ごめんなさい……次からちゃんとお薬飲むから……いい子にするから食べないで……!!」
(し、しまった怖がられてる!!)
狼は慌てましたが、今は陽気に振る舞っている場合でもありません。
「大丈夫だよ、食べたりしないから」とだけ笑顔で言って綴を抱き上げ、ベッドに寝かせました。
(急に発熱したのか?いや、さっき確か『次からちゃんとお薬飲むから……』って……薬を飲まなかったのか?)
そう考えつつも狼は綴の手を握って声をかけます。
「綴君、お薬飲まなかったの?」
「ごめんなさい……」
「お薬どこ?」
「食器棚の、引き出し……いつもより、奥に……」
狼は言われたとおりの場所に、可愛らしい“双子のアリス”が描かれた四角い缶を発見してました。
蓋を開けてみると入っていたのは、間仕切りで一回分ずつ分けられた薬一式。親切設計です。
その一区画分を取り出して、ちょうどいい温かさにした白湯と一緒に綴のところへ持っていきます。
「さぁ、綴君飲もう。少しだけ頑張って起きようか?」
「…………」
狼は綴の体を起して座らせます。
ぼんやりとした様子の綴は狼に渡された薬をのろのろと白湯で流し込みます。
「よくできました」
狼にそう褒められて頭を撫でられると、綴りは弱弱しい笑顔を浮かべました。
そんな綴を再びベッドに寝かせて見守る狼。
せっせと額に濡れタオルを乗せたり、それをたまに取りかえたり水を飲ませたりしていると
薬が効いてきたのか綴はぐっすり眠ってしまったので、狼もようやく一安心。
ベッドの傍に丸椅子を持ってきて座りつつ、柔らかい表情で綴の寝顔を見たり
傍にあった絵本を読んだりしながら時間をつぶしました。

しばらくして、眠っていた綴は再び目を開けます。
「狼さん……」
「ああ、起きたんだね。具合はどう?」
「あの……すごく楽になりました……」
「それはよかった。次からはちゃんとお薬飲まなきゃダメだよ?」
「ごめんなさい……」
綴の声に苦しそうな感じは無いし、顔色も良いのでひとまず熱は下がった……
と、思われましたが綴は目を伏せて頬を赤くします。
まさかまだ熱が!?と、思った狼ですが、どうも綴の様子は熱とは違うようで……
「狼さん、あの……ぼくのお尻、ぺんぺんするんですか……?」
「えっ!?」
「だ、だってぼく、……悪い子だったから……!!絵本では、悪い子はお尻ペンペンされるから……!」
ぎゅっと被っている布団を握りながら、恥ずかしそうな綴が言います。
狼は突然の展開に驚きましたが同時に思い出しました。
暇つぶしに読んでいた絵本の中で、魔女の毒りんごをうっかり食べた逃亡中のお姫様も、
勉強が嫌で城を抜け出した王子の弟も、罰としてお尻を叩かれていた事。
(ど、どうする……?ここは、叩くべきか!?
そうだな……確かに今後きちんと薬を飲むように指導するのは大事かもしれない……。
何より綴君が自分から反省しようとしているんだし、その気持ちに応えてあげないと!)
そう結論を出した狼は、不安そうに見つめてくる綴を抱き上げて
ベッドに腰掛けた自分の膝の上に横たえます。
「ぁ……!」
怯えたような息を漏らす綴のパジャマの裾を捲くりあげると、
一糸まとわぬ柔らかそうな小尻がこんにちは。
あと一段階あると予想していた狼は少々驚いてしまいます。
(……あれ?下着は!?い、いや……細かい事は気にしたら負けだ!!
ノーパン健康法ってあるらしいから、きっとそれだ!!)
「狼さん……」
「日頃から健康に気を使うのはいい事だよ綴君ッ!!」
「え!?あ、はい……??」
綴はよく分からないといった感じでしたが
狼の方はさらさらしたお尻を撫でながら、必死に自分を落ち着けていました。
「でも、お薬飲まなきゃ意味が無いよね?どうして今日は飲まなかったの?」
「それは……」
「それは?」
「…………」
急に綴が黙りこくってしまったので、狼は綴のお尻を叩き始めます。
ぱし!ぱし!ぱし!
「あっ、いやぁっ!!」
「ほら綴君、お仕置きが始まっちゃったよ。早く答えないと」
「ご、ごめんなさっ……つづり、あのっ、きゃぅ!!」
叩くたびに身をよじって悲鳴を上げる綴。
きゃっきゃ言いながら苦しそうですが、律儀に狼の質問に答えていました。
「お薬、おいしくないから、飲みたくなくて……んっ!
お母さん、ひっ、ぃ、いないから……一日ぐらいなら飲まなくて、いいかなって……や、ぁ!!」
「そんな理由だったの!?もう、悪い子!」
ぱしん!ぱしん!ぱしん!
狼が叩く力を強めると、綴は余計泣きそうになって暴れました。
「ご、ごめんなさい!やぁぁっ、ごめんなさい!!」
「お薬は飲みたくなくてもちゃんと飲まないと、今日みたいに辛くなっちゃうでしょ!?
お母さんがいないと、そういう風に悪い子になっちゃうんだ綴君?」
「ふぇぇっ、ごめんなさい!ごめんなさい!うわぁああん!」
ぱしん!ぱしん!ぱしん!
素直に謝っているのですが、なかなか許してもらえない綴は泣きながら訴えます。
「狼さん痛い!痛いよぉ!」
「うん。綴君は悪い子だからね。お母さんにも今日の事話して、たくさんお尻叩いてもらわないとね?」
「や、やだぁぁあっ!うわぁあああん!ごめんなさぁぁぁい!」
“お母さんに話してお尻を叩いてもらう”と脅されて、綴りは怖がって泣きました。
赤くなっているお尻を振りながら必死で叫びます。
「お母さんには言わないでぇ!ごめんなさい!いい子にします!いい子にしますからぁぁ!
ごめんなさぁぁぁい!」
「じゃあ、俺にたくさんお尻叩かれるの?」
「うっ、ふぇぇぇぇっ!叩かれますぅ!狼さんにいっぱい叩かれるから、お母さんには言わないれぇ!!」
「そう……俺に叩かれたいんだ?」
「うわぁぁぁぁん!狼さんに叩かれたいですぅぅぅっ!!」
(こりゃやめられん!!)
自分が可愛いと思っている子が、自分の膝の上で可愛いお尻を丸出しにしながら
泣いて暴れて、あまつさえ『狼さんに叩かれたい』発言。
狼はあまりの夢心地に、最初の“指導”目的を忘れそうになって、慌てて我に返ります。
(いかんいかん!あまり綴君をいじめて熱でも出させたらそれこそ意味が無い!
そろそろ手加減していかないと……!)
ぱし!ぱし!ぱし!
狼は少し手を緩めて、気を引き締めて綴に言います。
「綴君、今度からお母さんがいなくてもお薬飲む?」
「うぇぇぇん、飲みますぅぅ!」
「うん。もういい子にったね?」
「なりましたぁぁ!ごめんなさい!ごめんなさいぃぃっ!」
「よし、ならこれでお終いっと!」
ぴしゃん!
「きゃぁぁぁっ!」
最後に真っ赤なお尻を強く叩くと、綴は甲高い悲鳴を上げて跳ねあがっていました。
その後は、全身の力が抜けたように狼の膝の上で放心して泣いています。
「ひっく、ぐすっ、狼さん、ごめんなさい……」
「大丈夫だよ綴君。お仕置きは終わったからね?」
「はいぃ……ふぇっ、うっ!」
泣いている綴の、真っ赤になったお尻を撫でている狼。
欲望の巨大ドリルがものすごい勢いで理性の壁を削っていきますが、そこはぐっと我慢です。
(俺は狼だ……しかし、俺は畜生じゃない!紳士だ!太った豚より痩せたソクラテスであれ!
ボーイズビーアンビシャス!南無阿弥アーメン!!)
錯乱の為、意味不明な思考回路になっていた狼。紛れこんでこんな声も響きます。
『でも、欲望に負けてもいいじゃないか。狼だもの』
(ですよね―――――!!)
【欲望の巨大ドリル1−0理性の壁  欲望の巨大ドリルWIN!!】
狼は、綴の真っ赤なお尻を見て舌舐めずり。そして口を開きます。
「綴君、あのさ……どうして下着をさ……」
「え……?」
「どうして、パンツをはいてないの?」
狼の言葉に、綴はきょとんとした顔で振り向きます。
ですがすぐ笑顔になって答えます。
「それは、ぼく……」
綴りがそう言いかけた、その時!!
「つっづり〜〜☆いる〜〜〜!?」
バーンと扉が開き、中に赤ずきんと猟師が入って来ました。
「あー!狼さん!狼さんもお見舞いに来てたの――?」
「狼!!お前こんなところで何を!?」
それぞれの反応を示す赤ずきんと猟師ですが、狼は猟師の顔を見て真っ青になります。
「ヤベェ!猟師だ!ごめんね綴君、さよなら!窓の修理代は置いて行くから!」
狼は綴をそっと膝からどけて、ポケットから札束を出してその場に置くと
窓を突き破って逃げていきました。
「あ!狼め!待て――――!」
猟師は慌ててドアから狼を追って出ていきます。
残された赤ずきんと綴はお互いポカンとして顔を見合わせます。
しかし、ある事に気付いた赤ずきんが言いました。
「ねぇつづり〜〜?どうしてそんなにお尻が真っ赤なの??」
「えぇっ!?そ、それは……!!」
予期せぬつっこみに綴は顔を真っ赤にして混乱しますが……
「……赤ずきん(の服)と、おそろい、かな?」
あははと笑って精いっぱい誤魔化すと、赤ずきんはパァッと顔を輝かせます。
そして何を思ったか、後ろを向いてスカートを捲くり上げて下着を下ろしました。
「ひぇぇぇっ!?たばね君何して……あ!!」
「うん!オレとおそろい♪」
振り返ってにっこり笑う赤ずきんのお尻は綴と一緒で真っ赤。
驚く綴に赤ずきんは少し恥ずかしそうに笑って言いました。
「えへへ……ここに来る途中で寄り道しちゃって遊び過ぎて
ニノにペンペンされちゃった☆ごめんねつづり。もっと早く来られなくて……」
「う、ううん……気にしないで。ぼくも実は、狼さんにペンペンされちゃって……
あ、う、あっ、赤ずきん、お尻痛くない!?お薬あるから塗ってあげるね!?」
自分のセリフの途中で恥ずかしくなった綴は、慌ててお尻に塗る薬を取りに行こうとしますが
赤ずきんにぐっと手を掴まれます。
「ねぇつづり!オレいい事考えちゃった!オレとつづりのお尻にお薬塗ってさ、
“おしくらまんじゅう”みたいにスリスリして一緒に塗れば、ちょ――楽しいね☆」
「ふぇぇぇっ!?そんなの恥ずかしいよぉぉっ!!」
顔を真っ赤にする綴とニコニコしている赤ずきん。
この後、二人がどうやって薬を塗ったかはご想像にお任せします。




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【作品番号】FS4

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