![]() |
TOP>小説 スタート地点に戻る |
![]() |
僕は抵抗しなかった。 もうお母さんに無視されるのはうんざりだ。 これから何が起こるとしても、それでお母さんに愛してもらえるなら構わない。 僕に肌を擦りつけながら器用に服を脱ぎきったお母さん。 そして恍惚とした表情で僕のズボンと下着もずり下ろしてしまった。 「はぁ、ぁ、音也……!」 空気に触れた僕の下半身はすでに固くそそり立っていて…… お母さんはそれにまたがる様に腰を落とす。 「あ、んっ……!」 艶めかしい声と共に、僕の下半身がお母さんの中に飲みこまれていく。 僕はもう呆然としていたけど、何とも言えない温かさだけは感じていた。 そして、お母さんは何のためらいもなく腰を動かし始めた。 「あぁんっ、音也!!音也ぁぁっ!!」 気持ちいい。 でも、これはいけない事。 だけど、本当にいけない事? 僕がお母さんに愛されたいって思うのは、いけない事なの? だって、息子が母親に愛されたいって思うのは、普通の事だよね? 「ふっ……へへっ、ふへっ……」 息が抜けるような、変な笑い方になってしまった。 けど僕は笑ってた。涙を流しながら、笑っていた。 「愛してる……あぁっ、音也愛してる!愛してるぅぅ!!」 「アッハハハハハハ!!」 僕は笑った。大声で笑った。こんなの何年振りだろう? 思いっきり笑ったら全部フッ切れた。 何でもいいじゃん!お母さんが愛してるって言ってるよ!僕を!そう、この僕を! ああ、なんて素敵な事だろう!? 僕も腰を振って叫ぶお母さんに負けない様な大声で叫ぶ。 「絢!!愛してる!僕も愛してるよ絢!」 「あぁ!!音也嬉しいぃぃっ!!」 お母さんの呆けたような笑顔。甘い声。 温かいお母さんの中に包まれて擦られて、気持ち良くてたまらない。 気が付けば僕の方も必死でお母さんを突き上げていた。 「絢、僕は、この、日をずっと待ち望んで……!」 「私もよぉ!音也……!あぁっ!」 お互いに愛を叫びながら、僕達は完全に一つになる。 僕が果てるその瞬間まで、言い知れぬ快楽と幸せは続いた。 お母さんは、それからすっかり昔のお母さんに戻ってくれた。 掃除も洗濯もご飯作りも、全部やってくれた。 多少ブランクがあったからたまに失敗したりするけど、その時に照れて笑う顔がとても可愛かった。 そんな風だったから、伯母さんは僕の家に来た時に本当に驚いていた。 「絢さん……貴女……!!」 「あら、義姉さん、こんにちは。よく来てくださいました」 笑顔で伯母さんに挨拶するお母さん。 さぁさぁ中へと伯母さんをテーブルへ案内して、手作りのクッキーを振る舞う。 訳が分からないと言った様子の伯母さんだったから、僕が隣に座って説明してあげた。 「お母さんね、昔の優しいお母さんに戻ってくれたんだよ」 笑ってそう言うと、伯母さんはだんだん明るい笑顔になってくれた。 「そう……そうなの……よかったわね、絢音……!」 伯母さんがそっと自分の涙を拭う。涙もろい人なんだから。 でも、伯母さんが嬉しそうだと僕も嬉しかった。 次の瞬間、お母さんが僕の事を呼ぶ。 「ねぇ音也?コーヒーか紅茶かどっちがいいかしら?」 「え?」 伯母さんはすごく驚いた声を出したけど、僕は普段通り返す。 「もう絢ってば、そんなのは義姉さんに聞いてあげなよ」 「あ、そうね!私ったら……義姉さん、どっちがいいかしら?」 「…………」 伯母さんはまた訳が分からないという顔に戻ってしまう。 呆然としてお母さんの質問にも答えてくれない。 だから、僕がもう一度聞いた。 「伯母さん、コーヒーと紅茶どっちがいい?」 「あ、の……紅茶を、お願い……」 「分かったわ!」 お母さんが楽しそうに紅茶を淹れ始める。 伯母さんは心配そうに僕に尋ねた。 「絢音?さっき、お母さんが貴方の事“音也”って……」 「あぁ、お母さんね、僕の事お父さんだと思ってるんだ。 だから、僕はお母さんの為にお父さんになる事にしたんだよ。 伯母さんも僕の事“音也さん”って呼んでね?僕も“義姉さん”って呼ぶね?」 「絢音……」 伯母さんが真っ青になる。 僕の両手をぎゅっと握って、真っ青な顔で首を振る。 「ダメ……そんなのダメ!おかしい!病気だわ!」 「やだなぁ。絢はずっと前から病気だよ義姉さん」 「絢音!!」 伯母さんが僕を怒鳴る。さっき“音也さん”って呼んでって言ったのに。ちょっとムッとした。 でも、伯母さんは何だか必死だ。 「絢音、今すぐこの家を出ましょう!こんな事になるなんて……あの時私達で強引にでも引き取るべきだったわ! 貴方のお母さんは、やっぱり一度病院で診てもらった方が……」 「勝手な事言わないで!!」 僕は思わず怒鳴ってしまった。いけない。伯母さんは優しい人なのに。 だから、少し声を落ちつけて続けた。 「やっと見つけたんだ。僕がお母さんに愛される方法……見てもらえる方法を。 お母さん、昔みたいに戻ってくれたし、僕今すごく幸せなんだ。邪魔を、しないで……!!」 「絢音……!」 「頼むから“音也さん”って呼んでよ義姉さん。絢が変に思うでしょ?」 伯母さんは顔面蒼白って感じだった。 そこへお母さんが紅茶を淹れ終わって持ってきてくれる。 「はい。義姉さん」 お母さんに紅茶をもらっても、伯母さんは固まってしまっていて返事もしない。 「はい。音也」 「ありがとう、絢」 僕はお母さんにお礼を言って、彼女を引き寄せて軽く唇にキスをする。 「――――!!」 伯母さんがゾンビでも見るみたいに僕らを見た。 何なんだろう?さっきから失礼な人だ。お父さんだって、このくらいしてたじゃないか。 って思ってたら伯母さん、何故か泣きだした。 「絢音……絢音お願いやめて……こんな事やめてちょうだい……お願いよぉ……!!」 何で泣くんだろう?変な人。お母さんも心配してる。 「ね、ねぇ音也?義姉さんどうしたのかしら?私、何かした?」 「いや、僕が少し心配かけちゃったみたい。謝っておくよ」 「そう……」 お母さんはまた僕らから離れて流しへ向かったから、僕は泣きだした伯母さんを慰める事にした。 「義姉さんごめんね……義姉さんが何を悲しんでるのか良く分からないけど、 何も心配しなくていいんだよ?僕ら、幸せだし。 義姉さん疲れてるみたいだし、今日は帰った方がいいかもね? また兄さんや七美ちゃんも連れて遊びに来てよ?あ、そうだ…… そんなに“絢音”が好きなら、赤ちゃんができたら教えてあげるね?」 「いやぁぁあああああっ!!」 伯母さんは悲鳴を上げて、走って帰ってしまった。やっぱり、変な人。 それから、伯父さんが何度も家に押しかけて来て、しつこく 『この家を出なきゃだめだ!伯父さん達と暮らそう!』って言ってきたけど断った。 ムカつくから「兄さん、僕が死んだままの方が良かった?」って聞いたら ビンタされた事もあったから怖かったよ。 でも、殴られたのがお母さんじゃなくて本当に良かった。 もう本気でしつこくて嫌になって……お母さんとエッチした事をバラせば黙るかと思って そう言ったら、余計しつこくなった。だからこっちも意地だよね? お母さんとのそういう映像とか写真とか何度も送り付けまくってたら、静かになったよ。ここにも来なくなった。 でも、相変わらず生活費や学費の援助はしてくれたからやっぱり優しい人達なんだ。 僕は優しい兄を持って幸せだよね。 そうやって僕は、大学へ行って一般の企業に就職した。 絢とのセックスには気を使って、僕がきちんと稼げるようになるまで赤ちゃんはできない様にしてたけれど 今は僕が稼げるようになったので思うままにやっている。 それに僕は髪も短く切って、ますます“音也”っぽくなったと思う。 だからそろそろ…… 帰宅の電車に揺られて、丸い月を見ながら考える。 「ただいま」 「おかえりなさい……」 家に帰ると、絢が少し照れくさそうにもじもじしていた。 「どうしたの絢?何かあった?」 「実はね……赤ちゃんができたの……」 「え!?」 僕は疲れていた事も忘れてしまうくらい驚いた。嬉しかった。 「本当なの絢!?」 絢が真っ赤な顔をして頷く。嬉しくて嬉しくて……絢を抱きしめた。 「嬉しい!嬉しいよ!おめでとう絢!」 「ありがとう……!私も、音也との赤ちゃんが欲しかったの!!」 え? 「僕も嬉しいよ絢!君との子供がずっと欲しかったから! これで、戻れるね!やっとあの頃に戻れるんだ!」 夢が叶った。幸せだ。幸せすぎて怖いくらい。 生まれてくる子は男の子がいいな。そしたら絶対“絢音”って名前にしよう! そうだ!兄さん達にも教えてあげなきゃ!きっと喜んでくれるよね? ああ、これで……戻れる……やっと、あの幸せだった頃に戻れる……!! 絢を抱きしめながら、僕は死ぬほど幸せだった。 一瞬の違和感は……これからの幸せな生活が消してくれるはず。きっとそうに違いない。 やっぱり、僕は死ぬほど幸せだった。 エンディング6 理想の家族 |
||
気に入ったら押してやってください ついでに、気に入ったエンディング番号かいてみませんか? 【作品番号】TAZ TOP>小説 スタート地点に戻る |
||
![]() |
![]() |