TOP小説
スタート地点に戻る


(やっぱりやめよう……だって、僕は今から死ぬのに、伯父さんは最後に僕の声を聞いたらきっと悲しむ……)
自分でそう思って、ハッと気付いた。
そっか、伯父さんや伯母さんや、七美お姉ちゃんは僕が死んだらきっと悲しんでくれるよね?
僕は急に暖かい気持ちになった。そして勇気がわいてきた。
こんな感情は、きっと普通じゃない。僕は頭がおかしくなっちゃったのかな?
でも、そんな事はもうどうでもいいんだ。
僕は柵に足をかけて勢いよく乗り越えた。驚くほど簡単だ。
体が軽い。鳥になったみたいだ。風が気持ちいい。
(伯父さん、伯母さん、七美お姉ちゃん……)
僕の体は落ちている。でも、不思議と感覚が無い。
(さようなら。皆、大好きでした……)
涙。上に飛んでいってしまった。綺麗だな……。
頭がぼんやりとしてきた。
(お父さん、今行くからね……そしたら二人でお母さんを待とうね?)
それが、僕の最後に考えた事。後はもう、何も分からない。


――翌朝、某古ビルの近くで青年の投身自殺死体が発見された。


エンディング4 お父さんのところへ



気に入ったら押してやってください
ついでに、気に入ったエンディング番号かいてみませんか?
【作品番号】TAZ


TOP小説
スタート地点に戻る