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健介と真由、二人の“弟”が集い、楽しいお喋りの始まり始まり♪

健介「さぁやってまいりました!『弟ーク2011』!語り部は私、浅岡健介と……」

真由「上倉小二郎です!よろしくおねがいしま――す!ところで健介、『弟ーク2011』って
    具体的に何を喋ればいいんだ?」

健介「(小二郎!?真由って聞いてたけど……まぁいっか)
    そうだな……弟ならではの苦労話とかどうかな?ほら、よくあるじゃん!
    ケンカして泣かされた!とか、
おやつ取られた!とか、服がお下がりばっかり!とか」

真由「……オレ、おにぃとケンカしないなぁ……おやつも取られた事ないし……
    むしろオレが“食べたい”って言ったら
次の日に5個ぐらい買ってきてくれる……」

健介「あれ?待てよ……俺も兄貴とケンカした記憶があんまり……
    しかも、
兄貴のおやつ取ってたのむしろ俺!?
    中学ぐらいの頃って『冷蔵庫の中身は早い者勝ち』みたいなトコあったから……
    よく兄貴のおやつ勝手に食べて、へこませてたような……」


真由「服も、おにぃの服なら嫌じゃない……むしろ嬉しいかも……
    でも、オレがおにぃの服着ても似合わないんだよなぁ……」


健介「そうだよなぁ、俺も兄貴とは着る服の系統が違うから。
    お下がりなんて無かったつーか、着なかったっつーか……。親にごり押しして買ってもらったっつーか……」

真由「……」

健介「……」

真由「おっ……お互い、優しいおにぃでよかったな!」

健介「そ、そうだな!仲良き事は美しきかな!」

あわやこれで終了かと思われた『弟ーク2011』、2人のフォローでまだまだ継続のようですね。
真由が何か思いついたように手をポンと打ちました。


真由「そうだ!オレ達の事じゃなくて、おにぃの事ならたくさん話せるんじゃね?健介のおにぃってどんな人?」

健介「え……?どんなって言われても……普通だけど」

真由「カラフルレンジャーで言うと何レンジャーに似てる?」

健介「カラフルレンジャー!?ま、また急に懐かしい番組を……ええと、何レンジャーだろう……?」

真由「オレのおにぃは、青レンジャー!健介のおにぃは……そうだな、イメージで言うと白レンジャーだな!」

健介(白ってどんなレンジャーだっけ……う〜〜ん……)

懸命に『カラフルレンジャー』の記憶をたどっている健介を見て、
真由はハッとしたように顔を赤くしました。


真由「あ!ごめん……オレ、カラフルレンジャーの話ばっかりしちゃって……
    えっと、健介は、もうカラフルレンジャーなんて見ないもんな……」


健介「ううん!気にしないで!カラフルレンジャーはいい番組だったと思うよ!
    でも今日は『弟ーク2011』だから、兄貴の話に戻そうか?」


真由「そうだな!おにぃの話しなきゃな!健介、自分のおにぃの事好き?」

健介「へっ!?す、好きって……いや、まぁ好きか嫌いかって言えば好きだけど……」

真由「……そこまで好きでもないのか?」

健介「い、いや……好きは、好きだよ?うん……」

真由「オレもおにぃ大好き!」

健介(この子……兄貴に相当可愛がられてんだろうなぁ……)

真由「おにぃはドMで変態だけど、すごく優しいんだ!最近は仕事があるからあんまり一緒に
    遊べなくなったけど……たまに一緒に買い物行くぜ?」


健介「(ドMで変態!?いや、ここは流すのが礼儀だ!!)
    そ、そっか!優しいお兄さんいいなぁ!何のお仕事してる人?」


真由「廟堂院家って知ってる?そこの執事!執事のリーダーなんだ!」

健介(変態……廟堂院……執事……あれ?どこかで……)

真由「健介?どしたの?」

健介「あ、いや……何でもない。もっと小二郎のお兄さんの事聞かせてよ。
    俺は自分の兄貴の事話すのは照れ臭くなっちゃって……」


真由「え〜〜健介のおにぃの話も聞きたいのにぃ……
   だって、健介のおにぃって白レンジャーだろ?

    絶対カッコ良くて優しいもん!」


健介「(あれ!?兄貴がいつの間にか白レンジャー化!?)
    い、いや、うちの兄貴だって、優しいって言っても怒れば怖いぜ!?」


真由「え?そ、そっか……怒ると……怖いんだ……」

健介の言葉に、真由が急に顔を赤くしてモジモジします。
そして少し恥ずかしそうな上目遣いで言いました。


真由「どんな風に怖い……?ケツ、叩いたりする……?」

健介「へ?!」

真由「その……オレのおにぃは、オレが悪い子だったらケツ叩くから……
    健介のおにぃもそうかな、って……」


健介(待て待て待て!?何故この話題になる!?どう答えればいい!?ええと……
    『実は俺の兄貴も……』?無い無い!!『兄貴に尻叩かれてます暴露』とか恥ずかし過ぎるだろ!
    明らかこの子のが俺より年下だし!!ぶっちゃけこの子が“弟”っていうのも疑問を感じるぞ俺は!?
    女の子だったらなおさら言えない!ここは無難に『うちは無いかな?』って……!)


健介のものすごい動揺は真由にも伝わったようで、すぐに申し訳なさそうな顔になりました。

真由「健介……お顔真っ赤……ごめん、恥ずかしい事聞いちゃった?」

健介「いやいやいや!!全然恥ずかしくないっすよ!!うちは兄貴が俺の尻なんて叩かないし
    
むしろ兄貴の尻叩いてるのは俺だしッッ!!」

真由「え?」

健介(し、しまった余計な事……!!)

慌てて手を口元に当てる健介。
ですが真由の反応は……瞳を一気に輝かせ――


真由「すっげぇぇぇぇぇ!!健介がおにぃのケツ叩くの!?健介カッコいい――!!
    オレなら絶対できねーよ!!」

健介「……あ」

真由「だってだって!弟がおにぃにお仕置きされるのはよくあるけど、
    おにぃが弟にお仕置きされるって……健介はしっかりものの弟なんだな!」

健介「……いやぁ、それほどでも〜〜!」

あまりにも素直に感動されて、べた褒めされて。
健介は鼻高々で饒舌に語り始めてしまいます。


健介「うちの兄貴さ、優しいだけに少し頼りないところもあって……特に酒に弱くてさぁ、
    酔って帰って来てぐずったりするわけだよ!そういう時ってもう何言っても聞かないから
    俺がちょちょっとお仕置きしてやるわけだけど、結構簡単なもんだぜ?」
※健介の鼻:現在2M

真由「そっかぁぁ!健介手慣れてるって感じ!さすがだな!
   そういう時って健介のおにぃも泣いちゃったりする?」


健介「ん〜〜?そうだな、すぐ泣いちゃうかな?酒も入ってるし。
    可哀想だけど、俺としては泣かれても……そう簡単には許せないんだけどな?」
※健介の鼻:現在50M

真由「あははは♪健介のおにぃ可愛い!何かイメージ変わっちゃった!」

健介「酔ってる時は可愛いと言うか子供っぽいと言うか……
    もう少し酒乱が治れば、俺もしょっちゅうお仕置きしなくて済むんだけど……」

※健介の鼻:現在300M

真由「な〜〜んか、健介の方がおにぃみたい!」

健介「そうそう。実際そんな感じだよ、うち」
※健介の鼻:現在スカイツリーの高さ

真由「おぉ――!そっか、そういうのもカッコいいよな!オレもおにぃをお仕置きしてみたいかも!」

健介「うん。お兄さんが悪い事したらしてみなよ。簡単だから。
    うちも、しょうがない兄貴だから全く……、まだまだお仕置き役は引退できそうにな……」


健人「ごめんね健介君……しょうがないお兄ちゃんで」

健介「ひっ!?」

大一郎「誰をお仕置きしてみたいって?真由」

真由「あ……!」

聞き慣れた声に焦る弟2人。そうです、兄2人ご本人の登場です。
これは焦りますね。特に健介が。


健介「な、何で……?……うっ、盗み聞きなんて卑怯だろ!?」

健人「ごめん……。でも、僕の知らないところで散々僕の恥ずかしい話をするのって卑怯じゃないのかな?」

健介「全くもってその通りですごめんなさい!!」

健人「……もう。少しはしゃぎすぎだよ健介君」

大一郎「仰るとおりです健人様。ここは同じ弟を持つ兄として……
      
健介様をお仕置きしてしまう事を強く提案いたしますっ!!」

健介「うぇっ!?な、何でそんな話に……!!」

大一郎「ついでにこの子は私がお仕置きしておきますから」

そう言いながら真由の肩をポンと叩く大一郎。
真由は当然、ビックリした顔で言います。


真由「えっ!?お、オレ……おにぃの恥ずかしい話は……してない……」

大一郎「それは分かっています。別に健介様の前で私を辱めてくれてもよかったんですよ“小二郎”?
      それよりも、お前は今までずっと何を偉そうに健介様に対して敬語も無しで喋ってるんですか?」


真由「……?」

“執事モード”の兄に向かって小首をかしげる真由。
大一郎はわざとらしくため息をついて、呆れ気味に言いました。


大一郎「健介様と健人様は大堂先生が居候していらっしゃるお家のご子息。
     廟堂院家の執事部隊でありながら、そのくらいの情報も持ってなくてどうします?
     全く、健人様や健介様に無礼を働くなんて旦那様に恥をかかせる行為ですよ。ああ嘆かわしい」


真由「うそっ!?ど、どうしよう!オレ……!!」

大一郎「もう今さらどうしようもありません。素直にお仕置きを受けなさい。分かりましたね?」

真由「は……はい……」

しゅんとうなだれる真由。
それを見て浅岡兄弟は黙っていません。特に(弟)が。


健介「諦めるな小二郎!!小二郎が折れると俺もお仕置きされる!!」

健人「そうですよ、大一郎さん。僕らはそんな事気にしませんから……
    小二郎君の事だけはお仕置きしないであげてください」

健介(小二郎君の事“だけは”って何だ!?俺はどうなる!?お仕置きか!?)

大一郎「ああ、お優しいのですね健人様……分かりました。貴方がそう仰るなら
      この子の代わりにこの私が貴方にお仕置きされ……


真由「ごめんなさい健人様、健介様!!埋めます!
    今すぐこのバカおにぃを地面に埋めますからッ!!」


健人「だっ、大丈夫だよ小二郎君!埋めないであげて!!」

とっさに動こうとした真由を止める健人。
健人にしっかりと腕を握られて、真由は恋する乙女のようなうっとりした顔になります。

真由「あ……健人様……(カッコいい……マジで白レンジャーみたい……)」

健介「(よし!この流れでうやむやにできる!!)
    もう、お仕置きとかそういう物騒な話やめようぜ!今日はせっかく

   
大好きな兄貴の話を楽しめたんだから、平和に終わろう!!」


健人「……わざとらしく持ち上げてきたね」

健介「なっ……そんな事ない!失礼だな!心から言ってるよ!」

大一郎「健介様……そうですよね!
      
大好きなお兄様にならいつお仕置きされてもOKですよね!?」

健介「何でだよ!!アンタの頭はどうなっていやがりますか!?
    どうしてでもそっち方向に持っていきたいんですか!?
    ちょっと黙っててください!」


真由「健介様……おにぃをいじめないで……」

健介「へっ!?」

健介のツッコミを少々深刻にとらえてしまった真由。
うるうるのおめめで健介を見つめます。驚く健介の前で、大一郎も悪ノリして……

大一郎「真由……大丈夫大丈夫……おにぃはこのくらいで負けないよ……
      お前の為なら、どんな困難にも……ううっ」

真由「おにぃ!!」

泣きながらしっかり抱き合う兄と弟。これでは健介が完全に悪者。
あまりの急展開で冷汗だらだらの健介に、大一郎がこっそり小悪魔スマイル。
カチンときた健介ですが、もう状況は止まりません。


健人「健介君……お尻叩かれたくないからって大一郎さんに当たるなんて……」

健介「そ、そんなつもりじゃ……それに、あの人一瞬笑ってたって!!」

大一郎「あんまりでございます健介様……!貴方がたに比べれば、雑草のような我々でも
     この状況で笑えるほど強くはできておりません!うっ、ぐすっ……」

真由「お、おにぃ泣かないで……!」

健人「健介君!!今日は本当に許さないからね!」

健介「うわぁぁぁぁん!何でこうなるんだよ――――!!」

哀れ健介、帰ってから可哀想な事になりそうな予感です。



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【作品番号】OT1

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