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姫神様フリーダムanother(ホワイトデー編)



※今回は15禁のような気がする。そんな気がするだけ。期待してはいけない。
危険を感じた、我こそは純粋なお嬢様という方は読まない事をおススメします(笑)♪



ここは神々の住まう天の国。
王の境佳は机に向かって悩んでいた。
今日はホワイトデー。それなのに、妻の玲姫にお返しする品がまるで思いつかない。
思いつかないというよりは、決めかねているというべきか……
お菓子に宝石、それとも洋服?……一体何が一番喜んでもらえるんだろう?

「はぁ……」

境佳は小さくため息をついて立ち上がる。
じっとしていてもいい案が浮かぶ気もしないので
気分転換に部屋から出て廊下を歩いてみたところ、息子の立佳にばったり会った。

「どしたの父上?難しい顔して……」
「あ、ああ……」

幼い息子に相談してもどうしようもない事なので
境佳が返事に困っていると、立佳の方がまた明るい声をかけてくる。

「そういえば今日はホワイトデーだよね?母上に何かお返しするの?」
「え?」
「あ、分かった!“今日はホワイトデーだな……今夜私とホワイトに染まらないか?”とか言っちゃうんでしょ〜?
ヤダもう、父上ったら大人だからって大胆すぎる――――っ!!」
「どうしてお前はそういう発想しか……私の膝の上で少し頭を冷やすか?」

相変わらずろくでもない事ばかり考えてる息子を少しお仕置きしてやろうと
伸ばした手はヒラリとかわされて、悪戯っぽい笑みを返された。

「オレの事はいいからさ、色々準備があるんでしょ〜?いいなぁ、大人って☆
ま、父上はオレに似て男前だから上手くいくよ!今夜は仲良くお楽しみですな♪」
「立佳!!」
「オレは球里と仲良くしてきま〜〜〜す!!」
「コラ待ちなさい!全く……」

走り去って行く息子を見送ったものの、やっぱり良い考えが思いつかない境佳。
だからといって、立佳の案は意地でも採用したくない。
仕方なく、境佳は部屋に戻って友人に電話してみた。

“お前は相変わらず女心の分からないヤツだな〜。
私は閻濡が100%喜ぶプランを一週間前から準備していたというのに……聞きたいか?”

「切るぞ?」

早速、脱線し始めた友人の閻廷に冷たく言い放つと、電話の向こうから閻廷の慌てた声がした。

“まっ、待て!お前のプレゼントなら何でも喜ぶと思う!”

「?……珍しく普通な事を言うんだな……」

“だって、玲姫殿の事を一番良く分かってるのはお前じゃないか。
だから自信を持って、お前が一番いいと思うものを渡せばいいんだ”

「閻廷……」

“ちなみに、私は閻濡に純白のドレスを贈って……今、着てくれてるんだけど超可愛いぞ!?
まるで閻濡がお嫁さんにきてくれたみたいだ〜〜!!あ、大丈夫!写真は今度送るから!
それで夕食はホワイトソースをたっぷり使った料理ばっかりのホワイトフルコースを一緒に食べて
お風呂には白いバラの花をいっぱい浮かべて一緒に入って、その後は真っ白いベッ……”

ガチャリ。

境佳は爽やかに電話を切った。
閻廷の言葉に一瞬でも感動してしまった自分が虚しい。
でも……

――自信を持って、お前が一番いいと思うものを渡せばいいんだ。

「よし……!」

境佳はふっきれたように部屋を出て行った。



その夜。
用意したプレゼントを枕に隠して、夫婦の寝室でベッドに寝転んでいた境佳。
妻の玲姫はお風呂に入っていたので、どのタイミングでプレゼントを渡そうかと考えていると……

「お待たせ……境佳様……」
「!!?」

お風呂から上がってきた玲姫は襦袢を着崩した……と、いうか、ほとんど引っかけてるだけの姿。
しかもその襦袢も所々透けていて、肌を隠す機能がほとんど果たされてない。
艶めかしい肢体を極限手前まで晒した妻が、大きな胸を上下にたゆませながら近付いてきて
根が真面目な境佳は、軽いパニックを起こす。

「え!?えぇっ!?何だその格好……服を着ろ服を!!」
「あらぁ、だって今日はホワイトデーだもの……野暮な事は言いっこ無しで
ラブラブしちゃいましょ?今さら恥ずかしがる関係じゃないでしょう?」

玲姫はベッドに上がってきて、境佳に寄り添う。
後ずさりしようとしている境佳をがっしり固定しながら。

「わたくしへのプレゼントは用意してくれました?
見たところ何も用意してないようだけど……あ、もしかして“プレゼントは境佳様自身”って事かしら?
素敵ですね……でも、それなら体にリボンでも巻いてくれたらもっと素敵だったんだけど……」

だんだん覆いかぶさられるような格好になって、境佳は必死で抵抗する。
しかし、こういう時の玲姫は何故か力が強くて体が思うように動かない。

「違う!こら、離れろ!どこ触ってるんだこのッ!
玲姫お前!!二人の子供の母親なのに、こんなッ、はしたない真似を……!!」
「うふふ……わたくしも母親である前に……一人の女ですよ?
さて、プレゼント……頂きましょうか……」
「うわぁぁっ!!や―め―ろ――――っ!!」

服に手をかけられて、境佳は精一杯の力を振り絞って玲姫の体を押し戻す。
突き飛ばされた玲姫がベッドの上で尻もちを付いていた。

「んもぅ、そんなに照れなくても……まだまだ子供ですね……」
「玲姫ッ!!お前という奴は〜〜〜〜〜〜ッ!!」
「きゃぁぁあああっ!!?」

急に腕を引っ張られて境佳の膝の上に乗せられた玲姫。
一瞬で襦袢を捲りあげられて、裸のお尻を叩かれた。
玲姫は驚いて、顔を赤くして抵抗する。

「やっ、何をするのですいきなり!?」
「お前、恥ずかしくないのか!?いい年をして!!」
「な、何ですって!?誰が年増……」
「うるさい!!私は……私は情けないぞ!妻が夫を襲うようなマネを……最悪だ!
お前みたいな恥知らずはお仕置きしてやる!」

パンッ!パンッ!パンッ!

玲姫の抵抗は体を揺らすくらいの効果しか無くて
自分が大人しくお仕置きされるしかないこの状況が玲姫には納得がいかない。

「や、やめて!!こんなの変です!わたくしの方が貴方より年上なのに……!!」
「年上も年下も関係あるか!お前はだらしな過ぎる!もっと慎みを持て!」

パンッ!パンッ!パンッ!

「やっ、いやぁっ!!ダメよ!やめなさい……境佳様ぁっ!」
「“やめなさい”?お仕置きされてるのに随分偉そうな態度だな?」
「そっ、そんな事……言われてもっ、あっ!!
境佳……様にお仕置きされるなんて……恥ずかしいのよ!!」
「さっきのお前の行動の方がよっぽど恥ずかしいだろう!!」
「そんな事ない!やめて!やめてってばぁ!嫌よこんなの!」

どれだけ玲姫が声を張り上げても境佳は全然手を止めてくれない。
ずっと叩かれているお尻はだんだん痛くなってくるし、息が上がってくる。
そして何より玲姫は今、恥ずかしくて堪らなかった。

「んっ、はぁ、やめてぇ……!!ダメ……こんなの耐えられない!!
わ、分かった!お姉ちゃんが悪かったわ!謝るから!
ごめんなさい!これでいいでしょう?」
「……何だか気に食わないな……その上から目線……」
「こんな事もうやめてちょうだい?ね?境佳、いい子だから……」

あくまで大人の態度を心がけ、宥めるように優しく声をかける玲姫だが……

「……“いい子だから”?いつまで私を子供扱いする気だお前は!!」

バシィッ!!

「ひっ!!」

逆に境佳を怒らせてしまったらしい。
今までで一番強く叩かれて、体が跳ね上がる。

「いい加減にしてくれ!私はもう子供じゃない!
それに私達はもう夫婦で……
昔みたいに姉面すれば勝てるなんて思うなよ!?」
「あ、姉面なんて……」
「だいたい、昔の姉上はそんなじゃなかった!もっと清楚でおしとやかで恥じらいがあって……
それなのに結婚したとたん、すぐ肌を露出するし、変なちょっかいばかりかけてくるし
飢えた獣のように毎晩私を……くっ……
どうして!!どうしてそんな風に変わってしまったんだ姉上!!」

“姉上”……そう呼ばれて、玲姫は顔を赤らめる。
普段は記憶の隅に追いやられている姉弟という関係を嫌でも意識してしまう。
そしてそれを意識した瞬間、今自分が“弟”にお尻を叩かれてる事も意識に登ってきて
玲姫の羞恥心をどんどん膨らませてしまう。

「姉上なんて呼ばないで!わたくしだって、昔から貴方が可愛くて可愛くて
どうにかしてしまいたかったけど……我慢してたのよ!!
どれだけの精神力を要したと思ってるの!?」
「昔から私をそんな目で……!?
私の純粋な気持ちを……綺麗な思い出を……
くそ――――っ!こんな事実知りたくなかった――――っ!!」
「いやぁぁぁっ!!」

パンッ!パンッ!パンッ!

一段と激しく叩かれて玲姫は悲鳴を上げる。
玲姫のお尻はもう真っ赤だった。
それでも境佳の怒りを鎮めようと声を振り絞る。

「あ……あぁあああ……わ、分かった!分かったわ!
境佳の無念は良く分かったわ!!……だから……」
「だから何だ!?男の純情を踏みにじられたからには姉上といえども……」
「とりあえずその“姉上”っていうのをやめて!!
弟にお仕置きされてるって感じで恥ずかしいの〜〜〜っ!!」
「っ、玲姫、少しは自分の行動を改める気になったか?!」

パンッ!パンッ!パンッ!

「やぁぁんっ!!分かりました〜〜〜!!嫌よもぅ!
恥ずかしいって言ってるのに、境佳ってば意地悪よ!
わたくしだって……ぐしゅっ、わたくしだってぇっ……」

体をゆすって暴れても押さえつけられる。
逃げられなくて痛くて恥ずかしくて、玲姫は涙声になってくる。
そしてそれでも叩かれて、泣き出してしまう。

「わぁぁぁんっ!!わたくしだってホワイトデー楽しみにしてたのにぃ〜〜〜〜っ!!」

パンッ!パンッ!パンッ!

「酷いわ!あんまりよ!せっかくのホワイトデーなのに!!わぁぁぁんっ!!」

泣き出してしまうと恥ずかしさはどこかに飛んでいってしまったらしく
玲姫は思いのたけを思いっきり叫ぶ。

「ふぇぇっ!ああ〜〜んっ!!
何が悲しくてお尻なんて叩かれなきゃいけないのよ――――!!
どうせベッドの上なら違う事がしたかった〜〜〜〜〜っ!!」
「コラ――――――――――――ッ!!
だから、そういう発言をッ……!!」
「ふぇぇぇぇんっ!!うわぁぁああんっ!!わたくしはっ!
わたくしはただ……貴方を愛してるだけなのよ――――ッ!!」
「!!」

いきなり大音量で告白されて、境佳の方が思わず手を止めた。

「愛してる……貴方を……ひっく、愛してるのよ……ずっと昔から……」

「……玲姫……」

肩を震わせて泣いている玲姫をこれ以上叩く事は出来なかった。
境佳だって、ホワイトデーは妻と楽しく過ごしたかったのだ。
これだけ泣かせたのだから玲姫もたぶん行動を改めるはずだし、いつまでもこんな事を続けていたくない。
えぐえぐと泣きじゃくっている妻を押さえていた手を外して、頭を撫でてやった。

すると、玲姫はまた目に涙を溜めて思いっきり抱きついてきた。
抱きつかれた拍子にたわわな胸が当たりまくっているが、それはさすがに責められない。

「玲姫……あの……」
「ぐすっ、本当のプレゼントは何なんですか……?
こんなにも叩かれて叱られたって事は、“境佳様自身”はプレゼントじゃないんでしょう?
他に何かプレゼントがあるんでしょう?」

慰めようと声をかけたのに、不機嫌そうな顔で見上げられて境佳は少し驚く。
それにさっきまで何となくいい雰囲気だったのに……
と、いう境佳のションボリ気分はお構いなしで、玲姫は不機嫌そうに捲し立てる。

「もしこれでプレゼントが無いなんてオチだったら、わたくし容赦しませんよ……
攻守逆転でお仕置き第二ラウンド開始ですからねっ!!?」
「わ、分かってる!落ち着け!ちゃんと用意してあるから!」

境佳は慌てて枕の下のプレゼントを出してきて、玲姫に渡す。
プレゼントの袋を開けた玲姫は、可愛らしい花柄の湯呑を取り出した。

「あらぁ……素敵……」

喜んでもらえるか少々不安だった境佳も、玲姫が嬉しそうでホッとした。
大事そうに両手で持って湯呑を見つめていた玲姫は、やがて境佳の方に照れ笑いを向ける。

「ありがとう……やっぱり、こういう落ち着いたプレゼントの方が境佳様らしいですね……。
わたくし、一人で暴走しちゃって恥ずかしい……ごめんなさい。
でも……境佳様ったら、最近手も繋いでくれないんだもの……」

そう言って、悲しそうな顔をする玲姫を見た境佳の胸には
少しの罪悪感と少しのときめき。

「ねぇ……境佳様……寂しいの……」

切なげに見つめられたかと思うと、玲姫は目を閉じて静止する。
明らかに、境佳は行動を求められていた。

(この流れは……しかし、そんな、でも……いや、
玲姫にここまで言わせて……私が……いくべきだ!!)

ただ無言で目を閉じて待っている玲姫の姿に、境佳も覚悟を決めて
ぐっと玲姫を引き寄せて唇を奪った。
強く触れ合ったお互いの唇の感触に、境佳が達成感に満たされていると……

「っ……んんっ!?」

何かにゅるッとしたものが口の中に入ってくる感じ……
境佳が慌てて玲姫から離れようとしても、すごい力で抱きしめられて離れられない。
ちゅっちゅという音も、お口の中で何か柔らかいものが動いている感じも悪くはないけれど
境佳にとっては恥ずかしさの方が上回って……

「ぷはぁぁっ!!玲姫ぃぃぃぃっ!!
おまっ、お前はッ……お前ぇぇぇぇぇっ!!」

もうなりふり構わず妻を引き剥がして、真っ赤な顔で抗議する。
境佳の言葉になってない抗議に、玲姫はただ嬉しそうに笑っているだけだ。

「あらやだぁ、ホワイトデーだし、このくらいサービスしてくれてもいいじゃないですか。
わたくしたちの夜は、こ・れ・か・ら☆でしょう?」

「うるさ―――――――いっ!!」

そう叫んで、思いっきり布団にくるまってしまった境佳。
玲姫は器用に境佳の横に潜り込んでいた。
何だかんだで楽しそうなホワイトデーの夫婦神であった。


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Q.姉弟で夫婦ってどういう事なの……?
A.神様の世界ではよくある事です。(ですよね?)
春めいて参りました。だから頭が沸いて作品がこの有り様です(笑)。
春だから仕方ない。
玲姫さん初登場の小説がこれで玲姫=エロいおばお姉さんのイメージがついたかもしれませんが
普段は優しくて気立てのいいババお姉さんなんだという事をこれからアピールしていきたいです。