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姫神様フリーダムanother(閻濡編)



ここは神々の住まう天の国。
この国の幼い姫君、琳姫の部屋には、琳姫とその従者の遊磨ともう一人、15歳ぐらいの少女がいた。
白い肌に長い睫毛……優しげな瞳。
ふわっとした長髪はほんのり桜色で、毛先だけウエーブがかかっている。
なおかつ、パーフェクトな癒し系スマイルで微笑む女の子……
実は、琳姫の父親の友達の娘……が、この少女。名前は閻濡で、よく城に遊びに来ているのだ。
今日も女の子3人、お喋りに花を咲かせていた。

「―それでわたくし、兄上の事、姫神式R-2UMB(小傘型レーザー砲)で吹っ飛ばしてやりました!」
「ええっ!?危なくないのそれ!?」
「いいんです!兄上ったら、すぐわたくしのスカートめくるし、遊磨の胸ばっかり触るんですよ!!
閻濡お姉様も気を付けてくださいね!?可愛いから絶対狙われます!」

琳姫の力説に、閻濡もとりあえず神妙に頷く。
横から遊磨が口をはさんだ。

「大丈夫ですよ。閻濡様に手を出したら閻廷様が黙ってませんから。
それは立佳様も分かってらっしゃると思いますよ?」
「あら、それもそうですね。兄上もパパ様には敵いませんものね」

閻廷は閻濡の父親で、閻濡への溺愛っぷりは琳姫達の間では有名だ。
すっかり“子煩悩”で定着している父親の評価に、閻濡は笑うしかない。

「あはは……あ、ケンカした話はそれでお終い?」
「え?え、ええ!お終いです!」
「あれぇ〜?姫神式R-2UMBで立佳様ごと一部屋崩壊させて
境佳様にお尻ペンペンされた素敵なオチは言わなくていいんですかぁ〜?」

ニヤニヤ顔の遊磨にそう茶化されて、琳姫の顔が一瞬で真っ赤になった。

「ゆ、遊磨ぁっ!!貴女はまた余計な……い、いえ……ゴホン!
何のことやらさっぱりです!身に覚えがありません!!」
「お尻……」

閻濡がポソリと呟いたものだから、琳姫は余計に真っ赤になる。

「ち、違います!閻濡お姉様、違うのです!わたくしは全然……そんなッ……
遊磨だって!!遊磨だってこの前、きゅうりにお尻叩かれてたんですよ!」
「ああ―――っ!!それ言うの反則ですよ!!」
(きゅうりって球里の事だっけ……)

ぼんやりそう思いながら、真っ赤になって言い争う二人を見ていると
閻濡は思わず笑ってしまった。

「うふふっ、二人とも……可愛い……」
「あ――っ!!笑った!笑いましたね!?
もぅ、閻濡お姉様はお尻叩かれた事無いから笑っていられるのです〜〜〜っ!!」
「仕方ないですよ……閻濡様には叩かれる要因が無……」
「あるよ?」

閻濡の一言で姫神主従の動きが止まる。
急に固まって自分を凝視する琳姫と遊磨に戸惑いながら、閻濡はもう一度繰り返す。

「……ぼくも、お尻叩かれた事ある……よ?」
「「誰にッ!!?」」

声をそろえた二人からすごい勢いでにじり寄られて、閻濡は目をパチクリさせた。

「ぱ、パパだけど……」
「ど、どうして……まさか一緒にお風呂に入ってくれないからという理不尽極まりない理由で……!?」
「お、落ち着きましょう琳姫様!父親と娘ですもの……そりゃあ一回ぐらい……
そうだ!きっと小さい頃の話ですよ!ねぇ、閻濡様?」
「……結構……最近なんだけどなぁ……一週間前ぐらいの話……」

閻濡が苦笑しながらそう言うと、琳姫と遊磨は顔を見合せて……

「何があったんですか閻濡お姉様!?事と次第によっては、わたくしたちパパ様に抗議しますよ!?」
「そうです閻濡様!詳しく聞かせてください!!」

ガッシと、さっきより勢いをつけて迫ってきた。
閻濡は二人の必死さに気押されながらも、一週間前の出来事を語りだす。



一週間前の朝、閻濡は寝ぼけてうっかり閻廷の歯ブラシを使ってしまった。
なので、パジャマで着ていたベビードールを着替えもせず、寝ぼけたまま謝りに行く。

「ごめんねパパ〜、パパの歯ブラシ間違えて使っちゃった……」
「何――っ!!閻濡このっ、悪い子め☆まさか他にもパパの物を使ってないだろうな?」

すっかり着替えを済ませてソファーに座っていた閻廷は、眠そうな閻濡を膝に抱き寄せて何だか嬉しそうに頬ずりをする。
閻濡はまだ寝ぼけながら微笑んで、ふにゃふにゃと答えた。

「あのね〜、パパのパジャマ着てみたことあるし、パパの枕使った事あるし〜……」
「え!?ちょっと待て!それ、どのパジャマか詳しく……」
「あとね〜、パパのカードでお洋服大人買い……」

言っちゃった!と、一気に目が覚めた閻濡。
慌てて閻廷の顔色を確認すると、笑ってはいるものの微妙にピリピリしていた。

「よし、そっちの話を詳しく聞こうか?」
「あ、あの……あの……」
「この前のすごい額の請求書……閻濡の仕業だったんだな〜……
閻濡の写真集の制作費にしては高いと思ったんだ全く……仕方のない子だなぁ」
「ひっ!?」

ぐいっと体勢を変えられて、閻廷の膝にうつ伏せにされた。
驚いた閻濡が逃げようとしても父親の力には敵わない。

「や、やだパパぁ……!!」
「無駄遣いはダメだぞ、無駄遣いは」

ベビードールはさらっと捲られて、下着もあっさり取り払われて、閻濡は裸のお尻を叩かれた。

パンッ!パンッ!パンッ!

「やっ、いやぁっ……!」
「どうしてパパのカードを勝手に使ったりしたんだ〜?もう。」

そんなに強くない平手打ちだが、閻濡は“大好きなパパに叩かれてる”という事実だけでうっすら涙を滲ませる。

「あの、あのねっ、お洋服可愛かったの……!」
「お洋服可愛いからっていっぱい買ったらダメじゃないか!しかもパパのカードで!
お小遣いちゃんと渡してるだろう?」
「お小遣い……ぁっ、お洋服買ったから無かったんだもん……」
「何でお洋服ばっかり買うんだ……?」

少々呆れ気味の閻廷。
優しめの平手打ちでも、閻濡は打たれるたびに反応していた。

「だ……だってパパ、可愛いって言ってくれるから……」
「……パパに可愛いって言ってほしくてお洋服買うのか?」
「ん……」

少し赤くなってコクンと頷いた閻濡。
パパは何て言うだろうかとドキドキしていると……

「コラ!」

バシッ!

「ぴゃぁっ!!」

怒られた。そして思いっきり叩かれてビクンと跳ねた。
それからは少し平手の強さが上がる。

パンッ!パンッ!パンッ!

「確かに、閻濡がお洋服着て見せてくれたら、パパは可愛いって言ってるけど
可愛いのはお洋服じゃなくて……一番可愛いのはお前自身なんだぞ!?」
「ごめっ……ごめんなさい……!!」
「うんうん。本当に罪な可愛らしさだとも。でも、今謝らなくちゃダメなのはそこじゃない」
「ふぇぇっ……パパぁ……」

叩かれ続けて、閻濡もだんだん痛くなってきた。
きゅーっとうずくまってみても、我慢できずに涙があふれてくる。

「そんなに新しい服ばかり着なくても、閻濡は十分可愛いんだ!な?
裸でも可愛いんだぞお前は!そこをわきまえてもらわないと!
それなのにお小遣いも無駄遣いして、パパのカードも勝手に使うし……それがダメなんだ!」
「うぇっ、ごめんなさい……パパごめんなさい……!!」
「あぁ〜今、閻濡のお部屋はお洋服だらけなんだろうなぁ……あとで一緒にお片づけしような?」
「あぁんっ、ぼく一人でお片づけできるよぉ……!」
「え――!だって二人でやった方が早いじゃないか!それとも〜……
まだパパに何か隠してるのか?ん?」

バシッ!

「ひゃぅっ!!」

脅すような強い一発。
その後も、真っ赤になっているお尻を強めに叩かれる。
閻濡はこの状況で嘘がつけるほど器用では無かった。

「ふぇぇぇんっ!ごめんなさいぃっ!パパに内緒でお胸がおっきくなるお薬買ったの〜〜〜〜っ!!」

と、泣きながら本当の事を暴露してしまった閻濡は……

「……そんな得体の知れないモノ買っちゃいけませんッ!!」

怒られた。そして、今までと比較にならないほどキツイ平手打ちをもらう。
すでに泣いていた閻濡は堪らなくなって、大声で泣きわめく。

「うわぁぁぁんっ!ごめんなさぁ――――い!!」
「没収するから後で出しなさい!っていうか、いつ買ったんだ!?もう使ったのか!?
何なんだそれは!?飲み薬か!?」
「ふぇぇぇんっ!まだ使ってないけど肌に塗るの〜〜〜〜っ!!」
「そんな物使って閻濡の柔肌に何かあったら……ああ、耐えられない!
何て危ない事をするんだ閻濡!そんな事する子はパパ許しません!」

バシッ!バシッ!バシッ!

いつもは娘に甘い閻廷も、閻濡のお肌の危機に本腰が入ったらしく
閻濡が泣こうが喚こうが容赦がない。

「うぇぇぇぇんっ!!痛いよぉパパぁ〜〜〜っ!」
「当り前だ!反省しなさい!大体お前、パパに対して隠し事が多すぎる!
パパ悲しいじゃないか!」
「ごめんなさぁ――い!!ふぇぇぇんっ!」
「それに、閻濡のお胸はそのくらいのサイズでいいんだからな!?
十分可愛いんだからな!?」
「うぇぇぇぇんっ!!」

褒めたり叱ったりのお仕置きはそれからしばらく続いて……
やっとの思いで許してもらえた閻濡は、閻廷の膝に抱かれていた。
閻濡がぼろぼろ泣いていると、閻廷が必死で撫でて擦って抱きしめる。

「え〜ん〜じゅ〜……よしよし、痛かったな〜閻濡……頼むからそんな顔しないでくれ〜……
でも、もうお洋服ばっかり買っちゃダメだぞ?」
「ひっく、うんっ……!」
「パパのカードも勝手に使っちゃダメ!変なお薬も買わない事!」
「うんっ……!」
「あと、隠し事も無し!約束できるか?」
「うんっ……!」
「ああ〜いい子だ!さすが私の閻濡!愛してる!
もう、チュッチュしちゃお!可愛いからチュッチュしちゃお!
ほら、閻濡泣き止め〜♪」

閻廷に抱きしめられながら頬やら唇やらにキスされて、閻濡もようやく泣きやんだと……そんな話。

閻濡が一しきり話終わると、琳姫と遊磨は考え込みながらも口を開く。

「うーん……思ったよりパパ様は理不尽ではありませんね……
所々、行動に思うところはありますが……」
「そうですね……そして閻濡様は結構、大胆でチャレンジャーですね……」
「うぅ……こうして話すと何だか恥ずかしいなぁ……」

頬を赤らめて俯いた閻濡の手を、琳姫がぎゅっと握った。
そしてにっこりほほ笑む。

「大丈夫ですよ閻濡お姉様!わたくしも可愛いお洋服、好きです!
今度、遊磨も連れて3人で一緒に買いに行きましょう?」
「ほ、本当!?嬉しいよ琳姫……絶対行こうね!」
「ええ!それに、お胸大きくしたいなら遊磨に聞けばいいのです!ね!?」
「え――っ!?特にこれといって……
あ、でも揉むと大きくなるって言うしマッサージでもしてみます?」
「や、やってみようかな……」
「遊磨!あとでわたくしにもやってください!」

こうして、女の子3人の時間はにぎやかに過ぎていくのだった。

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「閻濡モテ王記念」で!
3人娘の楽しいひとときも書きたかったんですよ(*´∀`*)
閻濡の相手はパパしか思いつきませんでした……
パパの閻濡大好きっぷりが爆発してますが許してあげてください(笑)。