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姫神様フリーダムanother(友神編)





 ここは神々の住まう天の国。
本日、王の境佳(きょうか)がいたのは城ではなく山の中。
何故かというと昔から親しくしている友人を探しているのだ。
そして何故山の中かというと……

“パパ、家出しちゃったんです!!
どうしよう!!ぼくが……ぼくがパパに“大っ嫌い”なんて言ったから!!”

脳裏に蘇るのは泣き崩れんばかりに両手で顔を覆う少女。
友人の一人娘で、名前は閻濡(えんじゅ)という。
閻濡が言うには、父親と口論になった際、思わず“パパなんか大っ嫌い!!もう顔も見たくない!”と叫ぶと
父親はショックを受けた様子で、どこかへ走り去ってしまったらしい。
早くに妻を亡くしている友人が、一人娘でしかも母親に生き写しの閻濡を異常に可愛がっていたのは知っていた。
しかし、それでも“大嫌い”の一言で家出はどうだろう……

あの大人しくて心優しい娘が、いつもこんな風に父親の色々勢い余った行動に振り回されているかと思うと
……もう同情しか湧いてこない。
昔から気分の上がり下がりが激しい友人を思い浮かべながら王は内心ため息をついた。本当に、仕方のない友人だ。
不安そうな閻濡を放っておける訳もなく王も捜索に加わって
捜索場所として友人と子供の頃に何度か遊んだこの山の中を提案した。
それで友人側の従者やら皆で探している最中だった。

(大体、いつもこの辺で……)

何年も前の遊び場所に友人がいる可能性も低そうだがとりあえず辺りを見回すと……

いた。

明らかにその場に不釣り合いな華美な服装の男が、木の根元にしゃがみこんで何かしていた。

「閻廷」

友人の名を呼ぶ。
振り返った虚ろな目が、一瞬だけ生気を取り戻す。

「ああ、久し振り。お前がこんな所にいるなんて……そうか、山菜取りか。お疲れ様」
「誰が山菜取りなものか!お前を探ていたんだ!」
「え?あ……悪い。今日は遊べない……」
「別に遊びに誘ってない!!」

友人の閻廷(えんてい)は相変わらずマイペースだった。
しかも、こっちの話をあまり聞く気が無いようで、すでに元の体勢に戻ってまた手を動かしていた。
王はめげずに友人に話しかける。

「閻濡がお前をとても心配して探しているぞ?」
「……嘘だ……」

閻廷の手元でボキリと枝の折れる音がした。
また振り返ってこちらを睨みつける顔はすでに泣きそうになっている。

「閻濡は私に“大嫌い”だと言ったんだぞ!?
その上、“顔も見たくない”と!!きっとこれから、話しかけても無視されるんだ!!
一緒にお風呂も寝るのも拒否されるだろうし、抱き締めさせてもくれない!!おやすみのキスなんて論外だ!!
そんな生活、私は耐えられない!!」

そう叫んで、閻廷は思いっきり木の枝を放り投げる。
こっちは自分の友達が15,6歳の娘とそんな生活をしていることが耐えられないと言いたくなった王に
言葉をはさむ隙も与えず、そのまま閻廷は喋り続ける。

「これ以上あの子に冷たくあしらわれるくらいなら、このまま、この森の守り神になった方がマシ……そうだ!
そうしよう!この森の守り神になろう!それがたぶん、私の夢だったはずだ!
やっと……お前に語ったあの夢が実現したんだ……」
「記憶を捏造するな!!私はそんな夢を語られた覚えなんか無い!
変な現実逃避ばかりしてお前は……」

完全に“森の守り神”気分で現実逃避を成功させている友人を現実に連れ戻すべく
近づいて肩に触れた手を、閻廷が振り払う。

「触るな!私はこの森の守り神になったんだから!」
「閻廷……」

王は何も言えなくなる。
閻廷の足もとに“閻濡LOVE”と書いてあったから。あと閻濡らしき人物の落書き。
さらにその横に(パパ|閻濡)の相合傘の落書き。見ていると妙に脱力した。

「そんなに閻濡が恋しいなら、さっさと帰ればいいものを……」
「う、うるさい!!私の愛する閻濡が私を愛してくれない状況で、城になんか帰るもんか!!
これからは、思い出の中の閻濡と共に生きていくんだ!」

そう宣言した友人に、もう一言かけようとしたが、別の声に阻まれる。

「パパ……!!」

声のする方には閻濡が立っていた。
不安げにこちらを見つめる愛娘に、閻廷は驚いた顔をして……

「しまった!!愛し過ぎて、さっそく閻濡の幻覚が!!」
「バカ。あれは本物だ」

頭痛を押さえるような仕草で焦っている友人に、王は冷静に事実を伝える。
せっかく探しに来てくれたのに幻覚扱いされては閻濡が不憫でたまらない。
その閻濡は、不安そうな表情のまま、それでも必死に口を開く。

「パパ……あのね……」
「もういい!!何も言うな!分かってる!!」

しかし、閻廷は娘の言う事も聞かずに耳をふさいでしまう。

「どうせ“もう帰ってこないで”とか、“一生ここで住んでろ”とか……
そういう事を言いに来たんだろう!?もう帰らないから!!もう私、一生ここにいます!!だから……」

震える声でそう言った閻廷に、閻濡が駆け寄る。
そしていきなり父親の唇に口づけたかと思うとそのまま胸にすがりついた。
反動で尻もちをついた閻廷は、娘を抱きしめようとして躊躇しているのか
閻濡に触れるか触れないかの所で手を硬直させる。

「えん……じゅ……?」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!嘘だからね!?パパが嫌いだなんて嘘だから!!
パパがいないと、ぼく……ひっく……ごめっ、なさい……お願い、帰ってきて……お願いします……」

泣きながら謝る娘に、閻廷の硬直している手がフルフルと震えだして……

「閻濡…………帰るに決まってるじゃないか!!!」

閻濡の細い体をへし折るんじゃないかというぐらい、ぎゅっと抱きしめた。
抱きしめながら撫でて擦って、もう、遠慮がない。

「ああ、泣かないでくれ……可哀相に……お前を泣かせるなんて、パパは悪いパパだ!!
ごめんな、パパがいなくて寂しかったな?よしよし、今日は一緒にお風呂に入って、一緒に寝ような?」
「うわ〜〜〜〜ん!!パパぁ〜〜〜〜〜!!」
「閻濡〜〜〜〜〜!!」


王は完全に蚊帳の外で二人を眺めていた。
親子の再会なんだから声をかけるのも無粋かと思って黙っていたが
あまりにも長い間抱き合っていたので、ゴホンと咳ばらいをすると、閻濡がパッと父親から離れて立ち上がる。
父親の方は「あれ?」みたいな名残惜しそうな顔で娘を見上げていた。

「父君が見つかって良かったな、閻濡」

父親よりはまだ常識がある閻濡に優しく微笑むと、閻濡も嬉しそうにそれに応える。

「はい!おじ様、ありがとうございました!パパ、帰ろう?」
「いや……閻濡、悪いが皆を連れて先に帰っててくれるか?父君と少し話がしたいんだ」
「え!?私も閻濡と帰……」
「閻廷、少し静かにしてくれ」

そう言った王の笑顔を見た閻廷はピタリと黙る。
笑顔に隠した「黙れ。余計な口をはさむな」というメッセージが伝わったらしい。
タダならぬ空気を感じたのか、閻濡が少し慌てたように取り繕う。

「あ、そっ、そうですね……パパとおじ様はお友達だから。パパ、二人でゆっくりしてきて?
おじ様、今日は本当にありがとうございました。さようなら」
「さようなら。気をつけて」

閻濡にはあくまでも笑顔で手を振って、王は友人に向きなおった。
まだ地面に座り込んでいる閻廷は不安げに王を見上げる。

「境佳、怒ってるのか?」
「ああ。そうだ」
「何で?」
「“何で”って……教えてやるから、そこの木に手をつけ」

王が木を指差すと、閻廷は途端に慌て出した。
この後何が起こるか察知したようだ。

「えぇ!?そんなそこまで私、悪い事……お前、何か私に恨みでもあるのか!?
まさかお前の揚げだし豆腐を食べたのをまだ根に持って……!?」
「いつの話だ!?その事はいいから、早く!」

戸惑っている閻廷を無理やり立たせて木に手をつかせる。
自然と尻を突きだす形になった閻廷は「何で何で」と地面に向かってボソボソ呟いていたが
王は構わず着物の裾を捲り上げて帯に押し込んで下着を下ろして……
閻廷の尻を丸出しにしてパン!と叩く。

「っぅ!!」

パン!パン!パン!

小さく呻き声を上げる友人が体勢を崩してしまわないように
腰のあたりを支えながら、何度も尻を叩いた。

「あぁっ!!嫌だ……こんなっ……痛っ……何で……!!」
「お前が急に城を飛び出したりするからだ!」

パン!パン!パン!

「は、ぁだっ、だって……閻濡に嫌われたと思って……!!」
「だからって勝手に飛び出していいと思ってるのか!?」
「思ってる!!こっちの自由じゃないか!!ものすっっごくショックだったんだぞ!?
それこそ胸が張り裂けそうに痛いって言うか……今この瞬間の痛みなんか……
あの時の胸の痛みに比べたら……」

バシィ!!

「あぁあっ!!くっ……比べたらっ……ケシ粒みたいな……もんだ……
とッ、飛び出したくもなる!!」

閻廷がバカな事を言い出したので強めに叩いたのに言い切られた。
自分の行動全肯定、反省の色が無い友人に王も参ってしまう。
どうしてこうも自由度の高い思考ができるのか……きっと周りが甘やかすからだな……
そう思って少し強めに叩いてやることにした。

バシッ!バシッ!バシッ!

「あぁっ!!いっ……!!何でそこで力を入れてくる!?」
「“閻濡に嫌われてショックだったから飛び出していい”なんて言い出す奴は
もっと強く叩かないと反省しないという事だろう?」
「違うっ!!早まるな!!落ち着け!!私が閻濡を世界一愛してるってことだ!!
だからショックが大き過ぎて……んんっ、飛び出さざるを得ないって言うか……ふっ、不可抗力ッ!!」
「それで上手い事言ったつもりか?」

バシッ!バシッ!バシッ!

「いぁあっ……お前っ……私達の親子愛をなめるな!!」
「なめてない!お前が落ち着け!いいか!?お前は、今、お仕置きされてるんだ!
気を散らさずに、自分のした事を反省しろ!そのうち大泣きする事になるぞ!?」
「やっ……ああっ……!」

王は、脱線どころか暴走気味の友人の思考回路を何とか元に戻そうとする。
尻は赤いので痛みは感じているはずなのに、どうも状況が分かってないらしい。

バシッ!バシッ!バシッ!

「ぁやっ……ひたっ……私がっ、した事……?」

ぐっと前のめりになりながらも、閻廷はそこで少し考え込んでいた。
どうかまともな結論にたどりついてくれと祈った王に閻廷が出した答えは……

「んんっ……そ、そうだった……閻濡をっ……泣かせたんだった……!!
ああっ……そうか!閻濡を泣かせる事は何にも勝る重罪なんだ!!たとえ私であっても、っ、許されない!!」
「そうそう、閻濡はお前を心配していたんだぞ?……」
「はぁっ、閻濡……ごめんっ……こんなパパを許してくれ!!」

言葉の所々に色々突っ込みどころというか……不安要素が満載だが
ようやく思考がまともな方向に向かい始めたらしい友人に王はホッとする。
このままきちんと反省してくれれば許してやれるのだが……そう思いながらも手を振り下ろす。

バシッ!バシッ!バシッ!

「あぁっ!!閻濡!!済まなかった閻濡ぅぅっ!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

「ごめんな閻濡!!ああ、閻濡ごめん……!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

「閻濡!!んっ、ふぁぁっ、閻濡……!!」

一応、謝罪の言葉は出ている。閻廷の声も辛そうになってきた。
けれども王は何となく違和感を感じていた。
どうもさっきから閻濡の名前しか出てこない……またコイツの思考回路が脱線しかけているような……と。
その嫌な予感に先手を打って、王は友人に声をかける。

「……閻濡だけじゃなくて、他の皆もな、心配してたんだぞ?
だから、これからは皆に心配をかけるようなマネは……」
「うわぁぁあんっ!!閻濡〜〜〜〜っ!!ごめんよ〜〜〜〜〜!!」
「だから閻濡だけじゃなくて………」
「閻濡〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「あのな、閻濡だけじゃ…………」
「え〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜じゅ〜〜〜〜〜〜〜!!」

自分の言葉はどうしても“閻濡”という単語に遮られる。
王は深呼吸して叩く手に勢いをつけて……

「人の話を聞け!!」

バシィッ!!

「いぁあああっ!!」

溜まったイライラを平手に込めて叩きつけると、閻廷は悲鳴を上げてびくんと動いたが、
王はまた平手を振り下ろす。

「お前はそうやって、いつもいつも……どうして人の話を全然聞かない!?」

バシッ!バシッ!バシッ!

「うぁあああ!!痛いぃっ!!ギブ!もうギブ!!」
「だったら、自分の何が悪かったか言ってみろ!!」
「さっ……さっきから何回も謝ったぁ!!」
「“閻濡を泣かせた”以外にだ!!」

バシッ!バシッ!バシッ!

王が真っ赤な尻を思いっきり打つと、閻廷は地面を蹴って痛がっていた。

「うぁぁっ!はっ……ぇぁあっ!!分かっ……人の話聞かなかったからぁ!!」
「それもそうだが、それ以外!!」
「知るか〜〜〜〜〜〜っ!!わぁああああん!!」
(即答か!!)

バシッ!バシッ!バシッ!

本当に話を聞いていなかったのかと思うと本気でイライラしてきた。
あまり感情的になるのはいけないと思いながらつい、叩く手にも力が入ってしまう。
閻廷は完全に泣いていたし、木にもたれている腕が震えていた。

「んっ……ひうぅっ……助けっ……あぁあああん!!」
「本当にお前は……ちゃんと言えるまでこのままだからな!!」
「わぁぁあああん!!嫌だぁぁっ!!閻濡―――――っ!!」
「閻濡に助けを求めるんじゃない!」

バシッ!バシッ!バシッ!

「わぁぁぁあんっ!!だ、だって……私、にはっ……ひっく……閻濡しかぁぁっ!!
もうっ……離れたく、ない……あの子だけは……!!」
「お前……」
「うぇぇっ!!わぁぁぁんっ!!」

泣きじゃくる閻廷を見て、王は思い出した。
基本的には明るくて、いつもマイペースに笑っている友人だから思わず忘れてしまうけれど
自分に無い辛い目に合って苦労してきたんだという事を。
愛する妻を亡くして、閻廷の心の支えは閻濡だけだったのだ……
そう思うと自然に手が止まった。

「お前はよく頑張ってると思う……
弱音も吐かずに閻濡を育ててきたんだもんな……」
「うぇっ、ふぇぇ……んっ……」
「だがやっぱり、人に心配をかけるのは良くない!!」

パシッ!!

「あぁああっ!!」

王は早々に気持ちを切り替えてまた閻廷の尻を叩いたが、その手は幾分か優しい。

「お前がしっかりしないと、閻濡に愛想をつかされるぞ?」
「やっ、ヤダっ……閻濡っ!!ふぇぇぇええっ!!」

パシッ!パシッ!パシッ!

「お前は全然聞いてなかったみたいだから、もう一度教えてやるけど、お前が家出して皆が心配したんだ。
閻濡が泣いていたのはお前が心配をかけたからだぞ?
お前の家臣だって、お前の事を必死に探したハズだ。皆に迷惑がかかるだろう?
人に心配をかけるようなマネはするな!ほら、ごめんなさいは!?」

パシィッ!!

「ごめっ……なさいっ!!ごめんなさいっ!!」
「もうしないな?」
「しないぃっ!!ごめんなさいぃっ!!わぁぁああんっ!!」
「全く……」

王が支えていた手を離すと、閻廷がその場に崩れ落ちる。
最後は誘導したみたいになって、王にすれば本当にこの友人が反省したかは不安だが……
今日はこれくらいにするしかない。
閻廷は地面に座り込んでぐすぐすと泣いていた。

「うっ……ぅ、……う?……ぅああああ――――――!!」

――のもつかの間。思い出したように叫んで立ち上がって、頭を抱える。
何事かと思いきや……

「今日、閻濡とお風呂に入るんだった―――――――!!
尻!!跡!!お風呂入るまでに引くかな!?」

またこれだった。
王もだんだん面倒になってきて投げやりに答える。

「いや……知らん」
「知らんじゃないだろ!!お前がやったくせに!閻濡にこんな事がバレたらどう責任を取るつもりだ!!?
閻濡の中の“カッコいいパパ”のイメージが壊れたら……!!」
「……」
「お前責任をとれるのか!?私の“カッコよくて素敵なパパ”のイメージを壊して、責任を取れるのか!?
閻濡がもう一緒にお風呂に入ってくれなくなったらどう責任とるんだ!!えぇ!?
言ってみろ!!私と閻濡との楽しいバスタイムを奪って責任を……」
(そろそろ帰ろう)

そう結論づけて王は一息ついた。そしてまだ何か言っている友人に背を向けて別れの挨拶をする。

「……私は帰るからな」
「なっ!?待て!!このッ……」

帰ろうとしたのに服を掴まれて、王はまだ喚き立てられるのかとウンザリして振り返る。
しかし、言われたのは文句では無く……

「……あ、ありがと……もう心配かけない……」

短いけれど謝罪と感謝の言葉。
どうやら友人は今日のお説教を理解したようだ。
恥ずかしそうに顔をそむける閻廷の肩を、王は笑いながらポンと叩く。

「何を改まって……友達じゃないか」
「……今度お礼に、私が撮影した“閻濡のベストショット100選”、送るから」
「……せめて“20選”にしてくれ」

そんな事を言い合いながら友達と別れた。
友人は最後、笑顔で元気よく手を振って帰って、この事件は一件落着した。


その数日後。

球里が王の部屋にやってくると、王は写真を眺めていた。
それも一枚ではなく、封筒から零れた大量の写真が机に散らばっている。

「主上様、これは……?」
「見ての通り、また閻廷の娘自慢に付き合わされてるんだ。
アイツめ、本当に100枚も送ってきて……」

文句を言いながら、王の顔は何だか楽しそうで、球里の顔もほころぶ。

「そうでしたか。でもどの写真も、よく撮れています」
「まぁそれはそうだが、付き合わされるこっちの身にもなって……あーあ、見てみろこの写真」

王が球里に見せたのは“パパと閻濡の仲直り記念(はぁと)”と書かれた父親と娘の写真。
庭かどこかで撮影されたらしく、二人は花に囲まれていて、閻廷が後ろから閻濡に抱きつくようなポーズだった。
二人とも本当に幸せそうに笑っている。

「全く、呆れるな。あのバカ親子は……」

呟いた言葉とは裏腹に優しい笑顔の主君に、球里も自然と笑顔になる。
お騒がせ友神親子のくれた、和やかな午後のひと時だった。

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「野外?大人同士?オチ弱い?とにかく色々ヤバイような……」
“廟堂院”を出す時と同レベルぐらいドキドキしています(笑)。
とにかくスーパー子煩悩なお友達を書きたかった!その点では満足です(笑)!
全体的にガッタガタな感じもしますが楽しんでいただけたら幸いです(*´∀`*)