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姫神様フリーダムanother(兄神編）

ここは神々の住まう天の国。
この国の幼い皇子、立佳（りっか）は自室で嬉しそうに寝巻き用意している。
今から従者の球里（たまさと）とお風呂に入ろうと考えていたのだ。


「球里――！お風呂入ろう！」
「今、琳姫様と遊磨が入ってますから、少し後にしましょう」

立佳に呼びかけられた従者の球里は、狐の耳をピッと揺らしながら答える。
狐の耳と尻尾があること以外は普通の青年だ。
その球里の言葉を聞いた立佳は、はたと手を止めた。

「琳ちゃんと遊磨ちゃんが……？」

琳姫は立佳とそう年の変わらない妹。遊磨はその琳姫の従者で、巨乳のお姉さん。
そんな二人が今、一緒にお風呂に……
立佳は少し考え込んで、おもむろに部屋を出て行こうとする。


「どこへ行かれるのです？」
「ちょっとそこまで」

急に部屋を出ていく主君に怪訝そうな顔をする球里。
その心配は当たっていた。
立佳がやってきたのは脱衣所の前。そこでゴクリと唾を飲んで、深呼吸。


（だ、脱衣所に入るだけなら……入ってすぐ出れば……）

そう思って脱衣所に入った立佳だったが、そうはいかなかった。
いざ入ってしまうと、浴室から漏れる女の子の……琳姫と遊磨の声が好奇心をくすぐって、
立佳はいてもたってもいられず、フラフラとドアに近づく。その頃には本能が理性を蹴倒していて
もはや一片の迷いもなくそろりとドアに手を懸け、静か少し開けて、その隙間に顔をつけて中を覗く。

浴室の中で、遊磨に体を洗ってもらっている琳姫が見えた。
これはいい時に来た！！と興奮の絶頂に達してしまった立佳はそのままウォッチングタイムに入ってしまう。

『ほら、琳姫様、洗ってる時はじっとして……』
『やんっ！遊磨、くすぐったいです……』
『ダメダメ、しっかり洗わないと……うふふ、琳姫様の体は、どこもかしこもちっちゃくて可愛いですね……』
『あっ！！やっ……遊磨ぁ……！！』

などとセリフを脳内で妄想しつつ、立佳は食い入るように二人を見つめる。
琳姫の小さく細い体に泡が滴り、時々身じろぎしては遊磨に押さえつけられて……
その遊磨も、胸が腕の動きに合わせて揺れる。
微妙に体に泡が散っているのも艶めかしい。
至高の絶景……桃源郷がこっちにやってきました状態である。これには立佳も大興奮であった。


（ああぁ……いい！！もう、このまま琳ちゃんや遊磨ちゃんのハダカ見てたら出しちゃいそう……鼻血。）

完全に桃色世界に旅立っていた立佳だが、後ろで気配を感じて意識が現実に返ってきた。
振り返ってみると、いつの間にか球里が後ろに立っていた。


「あ、球里……」
「お静かに。声を立てると姫様や遊磨に気付かれてしまいます」
「お前……のぞきの心得をよく分かっているな……」
「やっぱり覗いてたんですね……」
「え……んむ゛っ！？」

球里の手で口を塞がれて、そのまま抱きあげられて連れ出される立佳。
黙って歩く球里に抱っこされたままずっと口を押さえつけられて、やっと息ができたのは立佳の部屋に戻ってきた時だった。

「ぷはっ！！窒息した！！何するんだよ球里！！」
「貴方こそ、今から何をされるか分かりますか？」

球里と向い合せに座らされて、しかも向かいで正座している球里は怒っているようで、立佳は少し焦った。
やっぱりアレだろうか、覗いていたのがマズかっただろうかと冷や汗をたらしながら
しかし、あえてここで床にあぐらをかいてカリスマオーラを出してみる。


「フッ……お前の主であり、気高き神の皇子であるこの立佳に何をするつもりやら……
まぁよい。お前の考え、遠慮せずに申してみよ」
「恐れながら申し上げます。立佳様が先刻、妹君とその従者の入浴を覗いていらしたようなので
球里がお仕置きして差し上げようと存じる次第でございます」


“恐れながら”と言いながら、絶対恐れてないだろと思うほど立佳を凝視する球里は顔がもう色々とやる気満々だ。
立佳はますます焦ったが、カリスマオーラで対抗しつつも、頭をフル回転させて言い訳を考える。


「のぞいていた？お前、オレが琳ちゃん達のお風呂をただ単にのぞいていたと思っているのか？
あぁ、従者のお前が主君の意向を汲み取れないとは嘆かわしい……」
「“覗きの心得を”どうこう言ってましたよね？」
「オレはのぞいていたんじゃない！！変質者がいないか見張っていたんだ！！」

立佳の叫びとともに、二人の間に沈黙が流れた。
ほんの一瞬の事で、すぐに球里がふ―っと息を吐いて手の関節を鳴らしていたが。

「言いたい事はそれだけですか？」
「え！？今すごい正当な理由を……あ、ちょっ、ま、待って！！まだあるはず！！」

自信を持って伝えた言い訳があっさり無視された事に落ち込む暇もなく、立佳は次の言い訳を考える。
なぜなら、球里が今にも自分を捕まえてきそうだから。

「お、オレはその、男女の体の違いについて実践を通して学ぼうと……」
「それよりまず、道徳規範について学ぶべきです。今から球里が教えて差し上げますよ」
「わぁぁっ！！勘弁してください――――っ！！」


叫んだものの、立佳は球里に引き寄せられて膝の上に乗せられてしまった。
そしてお尻を丸出しにされて……

パンッ！

「ひゃうっ！！」

叩かれた。もちろん一発ではなく、何度か続けざまに叩かれた。

パンッ！パンッ！パンッ！

「あっ……ああっ！！」
「女性の入浴を覗くなんて、紳士にあるまじき行為ですよ立佳様！」
「の、のぞくつもりなんてなかったんだ！！
でもね、脱衣所に入ったらキャッキャウフフって感じの甘い声が聞こえて！！
ここは男ならレッツゴーかなって！！」

パァンッ！！
いきなり強い平手打ちがきて立佳は悲鳴を上げる。

「やぁあっ！！痛いぃっ！！」
「“男ならレッツゴー”って……その考え方が女性の敵ですよ！
立佳様、女性の裸を覗くのは失礼な行為です！絶対にしてはいけません！
それに妹君を覗くなんて、お父上様がどれだけお悲しみになられるか……」
「ひぃっ！！琳ちゃんを見てたわけじゃなっ……いや、見てたけど！！
お、おおむね遊磨ちゃんのおっぱいを……！！」
「その煩悩……１０８つ叩けば出ていきますかねぇ？」

球里はぎゅっと立佳を抱え直すと、その裸のお尻に思いっきり平手を叩きつける。

パンッ！パンッ！パンッ！

叩くたびに立佳のお尻は赤みが差して、悲鳴もだんだんい大きくなっていく。


「あはぁぁっ！！やぁぁ！！やめてぇっ！！」
「やめません！貴方には反省が足りませんよ！」
「んああっ…んうぅっ…！！むしろ突入していかなかった所を重点的に評価してくれ！！」
「……私をこれ以上怒らせたくなかったら、余計な事は喋らないでください？」


パンッ！パンッ！パンッ！

「やぁぁっ！！痛いって！！痛いよ球里ぉ！！ふぇぇぅ！！」

立佳は泣きそうになっているが、さっきから言っている事を考えればまだ余裕のあるようにも思える。
ここは徹底的にやって、覗きなんてもう二度としないように躾けなければと
球里は小さなお尻に何度も手を振りおろした。


「やだぁ！！やだぁぁっ！！もうやめてぇっ！！」
「まだまだ、女性の裸を覗くような不埒者には足りないくらいです！」
「やぁっ！！おまっ……！！主を不埒者ってぇ！！」
「あぁ、失礼。そうならないようにお仕置きしているんでしたね。
球里も自分の主が不埒者だなんてまっぴらです。しっかり反省してくださいませ！」

パンッ！パンッ！パンッ！

「わぁぁぁああんっ！！痛ぁぁああっ！！」

叩き続けていると、立佳は泣き出してしまった。
お尻も赤く火照っている。それでも球里は叩くのをやめない。

パンッ！パンッ！パンッ！

「“痛い”より他に言う事があるでしょう？」
「うわぁぁああんっ！！ごめんなさいっ！ごめんなさぃぃっ！！」
「やっと“ごめんなさい”ですか……言い訳ばかりして、言うべきことは全然言わないんですから。
しかも球里に言われないと謝れないなんて……」
「わぁぁぁん！！ひっ……うっ……うぇぇぇっ！！」
「やっぱり貴方にはもう少し反省していただく必要がありますね」
「いやだぁああああ―――――っ！！」

本当にもう我慢できないのだろうか、立佳が派手に泣き叫んで暴れた。
暴れたといっても小さな体……球里にとっては押えておくのにはたいした苦労もない。
お尻を打つたびに、あまり動けない立佳の足だけが必死に逃げようとしていた。

パンッ！パンッ！パンッ！

「ごめんなさいぃぃっ！！わぁぁっ！ごめんなさいごめんなさいぃ！！」

パンッ！パンッ！パンッ！

「ゃめぇぇぇっ！！ご、めっ……ごめんなさい―――――っ！！」
「謝ればいいってもんでもないですよ」
「ごめんなさい―――――っ！！わぁああああんっ！！ごめんなさぁ――――いっ！！」

泣きわめいて、必死に“ごめんなさい”を繰り返す立佳がさすがに可哀想になってきた球里は
そろそろ終わりにしようかと、立佳に声をかける。

「自分が悪かったと思っていますか？」
「思ってるぅっ！！わぁああああんっ！！」

パンッ！パンッ！パンッ！

「もうしませんね？」
「ふぇぇぇえっ！！もうしません――――っ！！」
「では、終わりにしましょう。」
「うぇぇっ！！ふぇぇっ！！」

球里は泣いている立佳を膝抱きにして、落ち着かせようと頭を撫でる。
立佳も優しく撫でられているうちに徐々に落ち着いてきたようだ。
しばらくすると泣きやんでいた。


「……球里……ごめん……」
「もういいですよ。今後一切、覗きなんてしないなら……」
「しない……しないから、あのさぁ……」

言いにくそうにしながら、立佳は球里の瞳を覗き込む。

「父上には……黙っててくれるよね？」
「さて……どうしましょうか……」
「嘘ぉっ！！？そこは黙っててくれるでしょ！？球里、お願い〜〜〜っ！！」
「あはは、分かりましたよ。」

思いっきり抱きついてくる主君を受けとめながら球里は思う。
結局、私は立佳様には甘いのかもしれないと……
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