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逆転⇔兄弟!!

各兄弟がの兄(姉)弟(妹)が逆だったらこうなる(?)
ifストーリー





浅岡兄弟

それはいつもと変わらぬ朝。
健介が健人を学校へと送りだすところから始まる。
玄関でのんびりと靴を履いている健人に、健介が慌てて駆け寄った。
「健人!お弁当忘れてる!」
「あ!ごめんなさいお兄ちゃん……!」
「せっかく作ったんだから、ちゃんと持っていってくれないと〜〜!
それにほら!今日は寒いんだからこれもつけて!」
健介がせっせと健人の首にマフラーを捲きつける。
すると、健人にクスクス笑われた。
「な、なに?」
「お兄ちゃん、お母さんみたいだなぁと思って」
「……!!」
ちょうど、最近友人に“オカン”呼ばわりされて揉めたところだ。
弟にまでそう言われ、進んで行く“オカン化”を否定しようとしたら玄関のチャイムが鳴った。
ピンポーン
その音で何とか気を取り直す健介。
「伊藤君じゃないか?」
「そうかも」
健人が扉を開けたら案の定、中学生なのに良い体格をした健人の友人の伊藤晴男がいた。
小学生からの友達なので健介とも仲がいい子だ。
彼は朝から爽やかな笑顔で元気にあいさつしてくれた。
「お早うございます健介さん!健人もおはよう」
「おはよう伊藤君」
「いっちゃんおはよう」
挨拶を済ませたところで、健介がふと伊藤が手に持っているビニール袋に気が付いた。
「伊藤君……今日もお昼コンビニ?」
「あ、はい!うちは毎日作ってくんないんですよ!」
「おばさん達忙しいもんね……良かったら、俺が作ろうか?健人のついでだし」
「え!?そんな……悪いですし……」
「どうって事ないよ。健人のついでだって言ってるでしょ?」
「大丈夫だよいっちゃん。お兄ちゃん、お料理好きだから」
浅岡兄弟にそう言われ、伊藤も少し遠慮を崩した。
「そ、そうですか……?じゃあホント、気が向いた時で良いんで!」
「OK。明日から気が向くと思うから、お弁当買わないでね?」
「ううう……すみません……」
恥ずかしそうに笑う伊藤。
健人が何気なく時計を見て「あ」と呟く。
「いっちゃん、そろそろ行こうか?」
「あ、そうだな!健介さん、本当にありがとうございます!行ってきます!」
「お兄ちゃん行ってきま〜す!」
「いってらっしゃい!」
まだ無邪気さの残る二人を見送って、一息付いた健介。
さて夕月さんでも起こしに行こうか……と、玄関に背を向けると
「健介さん!」
呼びとめられた。
先ほど出て行ったはずの伊藤に。
「どうしたの伊藤君?忘れ物?」
「いや……その、健介さんに伝えておきたい事が……健人の前じゃ、
言いづらいから戻ってきたんです……」
「?」
何だか真剣な伊藤の表情に、健介もやや緊張する。
「あの……これ、本当かどうか分からないんですけど、
健人がタバコ買ってるのを見たってヤツがいて……」
「え!?」
「一応、本人に聞いてみたら“そんな事ない”って言うんですけど
何かそれも嘘くさいっていうかぎこちないっていうか……。
そもそも、健人に覚えが無いならそんな話が出る事自体がおかしいんですよね。
俺、心配で……」
「…………」
衝撃の余りしばらく呆然としてしまった健介は、ハッとして口を開いた。
「お、教えてくれてありがとう!
俺がそれとなく聞いてみるよ!心配しないで?」
「お願いします!」
伊藤は軽く頭を下げて走っていった。
すると、先ほどの衝撃が再び頭の中を回りだす。
(健人がタバコ……)
あまりにも信じられない事実だ。
健人は小さい頃から大人しい子で、間違ってもこの年からタバコを吸うようなタイプではない。
(でも、待てよ……そう言えば、前に
俺が出しっぱなしにしてたタバコに興味を持ってたっけ……)
“どうしていつも吸ってるの?”とか“おいしいの?”なんて聞かれて、返事に困ったのを思い出した。
その後、あまりにも興味を持たれるので心配になって……
健人の前では極力吸わない様に心がけていたのだ。
(ついに好奇心に負けたか?そ、それとも俺の知らない間に密かにグレて……!?
陰ではタバコを吸いながら『マジうちの兄貴ダリーわー』とか言ってるのか!?)
健介が真っ青になりながら妄想を続けて、丁度健人が1学区を制圧したくらいに
後ろからのんびりとした声がかかった。
「健介君〜おやつ〜!」
「いやおやつの前に朝御飯でしょ夕月さん!!」
そう突っ込んでやっと現実に戻ってきた健介。
(早いうちに……今日、話をしなければ!!)
そう決意した健介だった。


夕方。
健人が帰って来て部屋に入ると、健介も慌てて後を追う。
いかにも平静を装って部屋に突入したのだ。
「あ〜ぁ〜♪、そう言えば健人は――」
そう言った直後、兄弟は同時に動きを止める。
片やタバコの箱を持ったまま真っ青になる健人。
片やその健人を見つめてもっと真っ青になる健介。
「健人……やっぱり、お前……」
「ち、ちがっ……お兄、ちゃん……ごめんなさ」
「お前!お前やっぱりぃぃぃぃ!!」
健介は絶叫とも悲鳴ともつかない大声を上げて
健人の体を乱暴に拾い上げて、ベッドに腰掛けた膝の上に乗せて……
「違う!!違うよお兄ちゃん!ごめんなさい!ごめんなさいぃっ!やめてぇぇっ!」
必死に抵抗する健人を押さえこんで制服のズボンや下着を下ろす。
そして手を振り下ろした。
バシィッ!
「やぁぁっ!」
「中学からタバコだなんて!!俺でもちゃんと二十歳まで我慢したのに!!」
バシッ!バシッ!バシッ!
強めに連打すると健人は苦しげに体を揺すってもがく。
「あぁっ!違うぅっ!違うってばお兄ちゃぁん!!」
「何が違うんだよそんな箱まで持って!言い逃れはできないぞ!?」
「これは、違うぅっ!」
「違わない!!言い訳ばっかりするな!」
バシィッ!
「いやぁぁぁあっ!」
叱りつけるみたいに、ありったけの力を込めて叩くと
健人は大きな悲鳴を上げて力が抜けたように倒れ込む。
そして半泣きで訴えるのだ。
「ごめんなさい!ごめんなさいっ……でもっ、ちがっ……!」
「いつからそんな不良になったんだ!!」
バシッ!バシッ!バシッ!
「ひゃあぁぁっ!お兄ちゃん聞いてよぉぉっ!」
「聞くからちゃんと“ごめんなさい”しなさい!」
「わぁぁごめんなさぁぁぁい!――じゃなくてぇぇぇっ!」
健介の厳しめのお尻叩きで、健人のお尻は真っ赤になってきた。
それと同時に泣き声もだんだん本格的になってくる。
「あぁああっ!おにいちゃっ、ぐすっ、ふぇぇぇっ!痛いよぉ!」
「当たり前だろう!?反省したか!?今度タバコなんてやったら承知しないからな!?」
「うっ……うぅぅ〜〜っ!!」
「返事は!?」
バシッ!バシッ!バシッ!
「ひぁあああん!!お兄ちゃぁぁぁん!!だ、だからぁぁっ……」
健人は痛みの合間を縫う様に頑張って叫ぶ。
「僕は、別に、吸ってなかったでしょぉぉぉぉっ!?」
「おまっ……!そんなへ理屈を!全然反省してない子は……」
健介がそう言ってまた手を振り下ろそうとすると、
その瞬間を奪う様に健人が素早く再度叫ぶ。
「このタバコは、お兄ちゃんにプレゼントしようと思ったんだよぉぉぉっ!!」
「へ!?」
間一髪だった。
健介が驚いて硬直すると、健人は真っ赤になったお尻を震わせながら、
すすり泣きながら一生懸命こう説明した。
「お、お兄ちゃんっ、毎日、ご飯とか……ひっく、作ってくれて、だから……!
この前買って……!でも、つけるリボンッ、の色、迷ってて渡せなくて!」
「…………」
真実を知った健介は真っ青になって
「け、健人……それ、嘘じゃないだろうな?」
「うっ……うわぁあああああん!!」
「わぁああああっ!ごめん!ごめんな!嘘なわけ無いよな!?」
とっさに出てきた言葉を慌てて打ち消した。
健人はそんな嘘がつける様な子ではない事は健介が一番知っている。
「ほほほほホントごめん!分からなくて!てっきり、お前が不良化したかと思って!
心配で……!」
全てが誤解だと知って、泣いている健人が可哀想過ぎて自分も泣きそうになる健介。
力いっぱい痛めつけてしまった弟を抱きしめた。
「ごめんな……健人……!俺、悪いお兄ちゃんだよ……!」
「お兄ちゃん!」
そう言って健介に抱きついた健人は健介を責めなかった。
「僕も、紛らわしい事してごめんなさい……」
と、一言だけ添えて。


ただ、後になって
「……もし僕の方がお兄ちゃんだったら、悪いお兄ちゃんの事お尻ペンペンしちゃうんだからね!」
と言われたので怒ってた事は怒ってたらしい。

結局この事件は、夕飯をハンバーグからハンバーググラタン(※健人=グラタン大好物)
にする事で清算されたらしく、健介は無事、青いリボンのついたタバコをプレゼントされた。

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姫神兄妹

ここは神々住まう天の国。
この城の姫と皇子は今日も仲良く……
「こぉらぁぁぁあ!立佳!待ちなさい!」
「わぁい♪姉上に襲われちゃう〜〜♪」
「そんな事しません!!今日こそ許しませんよ貴方は〜〜ッ!!」
廊下で追いかけっこをしていた姉の琳姫と弟の立佳。
しかし、そこへ父親の境佳が偶然通りかかって呆れながら二人を叱った。
「何をしてるんだ騒々しい!琳姫!廊下を走るんじゃない!
もっとおしとやかにしないか!」
「ご、ごめんなさい父上!でも、立佳が!」
「お前はまたお尻を打たれたいか立佳?」
父親にそう言われ、ササッと琳姫の後ろに隠れる立佳。
これには琳姫も困った顔をした。
「ちょっと……隠れるくらいなら最初からイタズラを……」
「お!今日はピンクですな♪」
「きゃぁあああ!立佳ぁぁぁあッ!!」
立佳はちゃっかり琳姫の後ろからスカートを捲っていた。
そしてまた嬉しそうに逃げて行ったのだった。


琳姫の自室にて。
「んんもぉぉおお!あの子ったら許せません!!」
バンッ!と机を叩く琳姫を遊磨がへにゃっと笑って宥める。
「まぁまぁ、落ち着きましょうよ琳姫様……」
「これが落ち着いていられますか!!小さな弟だと、今まで甘やかしてきたのが
いけないのです!今日こそは、厳しくお仕置きをしなくては!!」
「琳姫様いつもそう言ってるじゃないですか……」
「今日こそは!です!ふふっ……とっておきの作戦があるんですよ?」
「おぉ??」
珍しく強気な笑みを見せる琳姫に、目を丸くする遊磨だった。

さて彼女の作戦とは……
「えぇっ!?姉上とお風呂!?行く行く超行くッ!!」
一本釣りだった。
そうして意気揚々と鼻歌交じりにお風呂へやってきた立佳。
そこへ待ち構えているのは……
「良く来ましたね立佳!!」
「姉上!!」
仁王立ちになって腕組みをする琳姫。
を瞳を輝かせてみた立佳……の、表情が強張る。
「なんと!姫よ!お風呂に水着で入りなさるか!?遊磨ちゃんも!」
「当然です!!貴方をおびき寄せるための罠だったのですからね!」
キリッと大きめな胸を張って言う琳姫のビキニ姿が眩しい。
遊磨が「あ。琳姫様また上の水着が小さくなってる……」と呟いていた。
「そんなぁ!話が違うよぉ!水着もいいけど裸が見たいよぅ!
今からでも遅くないから脱いで〜〜!!」
フラフラと寄ってきた立佳をすかさず捕まえ、
お風呂の椅子に押さえつけた琳姫は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「うふふ……観念しなさい!
今日は泣いて謝るまで貴方のお尻をペンペンして……あら?」
さっそく立佳のお尻を叩いてやろうとした琳姫は気付いた。
立佳のお尻に、すでに叩かれた様な赤みが残っている事に。
琳姫が呆然としていると立佳が赤くなりながら言う。
「あ、あんまりジロジロ見ないで!分かるでしょう?
姉上にお仕置きされるまでも無いよ……!
痛かったんだから……
「……自業自得ですね」
「ヒドイや姉上……」
立佳がぐったりしたのはその一瞬だった。
すぐ立ち直って駄々をこねる。
「んねぇ!お尻をペンペンされて悲しみブルーな可愛い弟の心を
姉上達の裸で癒してよぉぉっ!」
「甘えるんじゃありません!!」
ペシンッ!
「いっ!?」
琳姫が立佳のお尻に厳しい一発を叩きこんだ。
驚き混じりの悲鳴を上げた立佳は、震える声を出す。
「う、嘘でしょう……?そんなムゴイ事、する……?」
(あら?この子ったら珍しく怯えているのかしら?)
試しに無視してあと2,3発追加してみた琳姫。
ペシッ!ピシャンッ!ピシャンッ!
「やっ痛、うそっ!?姉上、それは……酷いよ!待って!」
「あらあら……これはいい薬になりそうじゃないですか〜〜♪」
「あっ!だってオレ……ひゃぁああんっ!」
本気で動揺して、痛がっている立佳を見て“これは好機”と
琳姫は弟のお尻を叩き続けた。
ピシャンッ!ピシャンッ!ピシャンッ!
「やぁぁっ!姉上!オレ、一回叩かれてぇぇ……あぁあぅっ!」
「一回叩かれたから何です!貴方は最近イタズラが過ぎますよ!
わたくしが二回目のお仕置きをしてあげるから、しっかり反省なさい!」
「ちょっ、ダメッ……本気で痛いんだってばぁぁぁ!!」
「貴方が悪いのでしょう!?痛いと言われても許しませんよ!」
そう叱って琳姫は立佳のお尻を叩き続けた。
最初から赤みがかっていたお尻はすぐに真っ赤になって
立佳にも大ダメージが与えられているらしい。
そんなに経たないうちに泣きだしてしまった。
「わぁあああん!姉上痛い!痛いよぉ!ごめんなさい〜〜!」
「反省したんですか!?」
ピシャンッ!ピシャンッ!ピシャンッ!
「いやっ!やだぁあああっ!反省しましたぁ!ごめんなさぁぁぁい!」
「…………むむむ」
「わぁあああん!許して下さい姉上〜〜っ!」
泣いている立佳を厳しくお仕置きしている琳姫だけれど、
こちらも少ししか経たないうちに可哀想になってきたようで
けれどもすぐには許せないジレンマがあるのか、難しい顔をしていた。
その間にも手を動かしているので
ピシャンッ!ピシャンッ!ピシャンッ!
「あはぁぁっ!姉上!うっ、ごめんなさっ……わぁあああん!!」
立佳は泣き喚く。
琳姫はソワソワしながら遊磨を見た。
「遊磨!貴女がどうしてもというのなら、この子を許してあげましょう!」
何だか“助けてください”とでも言わんばかりの琳姫の表情に、
遊磨も“心得ました”と笑顔でこう返す。
「……どうしても、です。許してあげて下さい」
「仕方ないですね……!」
琳姫は手を止めて立佳を起こす。
頭を撫でながらも、厳しい声で言った。
「いいですか!今後わたくしたちに、いやらしいイタズラばかりしてはいけませんよ!」
「ごっ、ごめんなさい!ごめんなさい!ひっく……!」
立佳も泣きながら謝って、お仕置きはひとまず終わった。


しかし……
「ねぇねぇ姉上!オレが体洗ってあげ……ぎゃぁあああっ!
熱い!痛い!強いシャワーダメぇぇぇぇっ!!
助けて遊磨ちゃ――ん!!」
その日のお風呂場は嫌に騒がしかったらしい。

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廟堂院兄弟

廟堂院家の美しい庭……そこで、一人の可愛らしい男の子が
ふらりとつまづいて転ぶ。
「あっ……!」
ぺたん。と、そんなに激しくない転び方で地面に座り込む男の子。
しかしその瞬間……
「千歳ぇぇぇぇぇぇっ!!!」
血相を変えた男の子がすごい速さで転んだ男の子に駆け寄っていく。
そして、寄り添い、しっかりと手を握って必死に呼びかける。
「大丈夫か!?痛いところは無いか!?一体、誰にやられた!?」
「僕が自分で転んだんだよ兄様……」
千歳と呼ばれた男の子が穏やかに微笑んでも、
駆け寄ってきた“兄様”は心配そうなまま千歳の顔を覗きこむ。
「あぁ、何て事だ……気を付けなきゃダメじゃないか千歳……!
いや、待て!悪いのは今日この庭の手入れをした執事だな!?後で折檻しなければ!!」
「兄様ったら……執事さんは悪くないよ?」
「お前は天使の様に優しい子だな千歳……!」
千歳の言う事なす事にすべてにうっとりと頬を染める兄様。
そんな兄を千歳も心底愛おしそうに見つめる。

この超絶仲良し双子が廟堂院家の二人の息子達。
兄の千早と弟の千歳だった。
千早は千歳が可愛くて堪らないらしく、常に甲斐甲斐しく世話を焼いて、
千歳はそんな兄にされるがまま、姫君の様に優雅に微笑んでいるのが常だった。
そしてこの日も、二人は仲良くベッドに入る。
手を繋いだまま二人で星空の描いてある天井を見つめる。
「ねぇ兄様?」
「何だ千歳?」
「兄様は僕の望みを全て叶えてくれるの?」
「ああ。お前の為なら何だってするぞ?」
「ふぅん……だったら……」
そっと、千歳は千早の方に体を向ける。
「僕、兄様のお尻をぺんぺんしたいんだ」
「え?」
驚いた千早も千歳の方に体を向け、二人は向い合せになった。
千歳が甘えた声で千早に懇願する。
「いいでしょう?やってみたいの……優しい兄様をめちゃくちゃにしたい……」
「…………」
「ダメ、ですか?」
「……よし」
千早が起き上げる。千歳もお許しが出たのかと、明るい表情で起き上がる。
しかし……
「ぁっ!?」
急に引っ張られたのは千歳の体だった。
あっという間に千早の膝の上に引き倒されてしまった千歳は
わけが分からなくて慌てて叫ぶ。
「な、何をなさるの兄様!?」
「お前のやってみたい“お尻ぺんぺん”とやらのお手本を見せてやろうと思って。
初めてじゃ、お前も分からないだろう?」
「そんな!!」
パシッ!
千歳の声を遮る様に、千早の手が振り下ろされて千歳のお尻を打つ。
「あぁぅ!」
「へぇ……これはなかなか……」
千歳の悲鳴をじっくりと味わように、千早は続けてお尻を叩き続ける。
パシッ!パシッ!パシッ!
「やぁぁっ!兄様痛い!」
「千歳分かるか?こんな感じで、叩くんだ」
「いっ、いやぁぁぁっ!」
「可愛い悲鳴だな。楽しいよ」
「兄様やめてぇぇっ!」
千歳は逃げようとするけれど、千早がそれを許さない。
結局、お尻に何度も平手打ちを受ける羽目になる。
パシッ!パシッ!パシッ!
「あぁぁあ!兄様!だめぇ!許して下さい!うぅっ!」
痛みが重なって千歳もやや弱り気味なところに、
千早がさらに追い打ちをかけた。
「そうだ忘れてた!きちんと裸のお尻を叩かないと!」
「えぇぇえっ!?やっ、嫌です!兄様!!」
千歳の言葉は無視されて、ネグリジェの裾が捲くられて下着が下ろされる。
さらなる痛みの予感に怖くなった千歳が叫ぶ。
「兄様助けて!やめてぇぇ!」
「オレを“めちゃくちゃにしたい”だなんて、イケナイ子だ千歳」
「あぁっ!ごめんなさい!兄様!もうそんな事思わないから!」
謝っても遅かった。
今度は守る物の無いお尻をお仕置きされる事になった千歳。
パシッ!パシッ!パシッ!
「痛い!痛いよ兄様ごめんなさい……!」
「さ、て……この可愛いお尻がすぐに真っ赤になってしまうぞ?」
「あぁ!あぁああああ!!兄様ごめんなさぁぁい!」
増した痛みと恐怖で千歳は泣きだす。
けれどもそれでお仕置きが終わる事は無くて……
結局本当に千歳のお尻が真っ赤になってからお仕置きが終わったのだ。
泣いてしまった千歳を千早が優しく抱きしめながら慰める。
「泣くな千歳。お前の為なんだ。少しは何か感じただろう?」
「うっ、うぅっ……兄様……!!」
胸の中で小さくコクコクと頷く千歳を抱きしめながら、千早は舌舐めずりをする。
(何て可愛いんだオレの千歳……このまま毎日調教したい)
千早がそう思ってゾクゾクしていると、胸の中の千歳が上目遣いに見上げてきた。
「兄様……」
「ん〜?何だ?」
「僕が我慢したんだから、次は兄様の番だよね?」
「へっ!?」
その言葉に驚く千早。
気が付けば千歳は惚けたような妖艶な瞳で千早を見ている。
「えへへっ……大丈夫だよ兄様……!
僕ね、兄様にぺんぺんされてる時……痛かったけどちょっとドキドキしたんだ
兄様もきっと、そう感じるよ……!」
「待て千歳……オレはッ――」
「そうだ!実は今日の為に鞭も買ってあるんだ〜〜♪
兄様、喜んでくれると思って!」
まるで媚薬でも飲まされているかのように色っぽい千歳の顔。
愛欲に飲まれた彼はもう止められない。兄の千早でさえも。
「ち、千歳……!」
千早が助けを求めるように前に出した腕は、余りにもあっけなく。
まるでか弱い花が踏みつけられるかのように
ベットに押さえつけられてしまうのだった。

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上倉兄弟&鷹森姉弟


上倉真由はただいまやるせない気分だ。
何故かというと……
「なぁ大一郎?」
「ん?何おにぃ?」
「お前いくつだっけ?」
「え?何急に?13だけど?」
「…………」
傍でシュルッと学ランを着こなす真由の“弟”。
背はすっかり抜かされて、知らない人には高確率で兄弟逆に思われるので
真由は最近悔しくなっていたのだ。
「そんな13がいるかぁぁぁぁっ!!」
「いるじゃんここに」
「何でなんだよぉぉぉぉ!!」
頭を抱えてゴロゴロ床を転がる真由。
そんな兄を大一郎はパッとせき止めて笑う。
「おにぃってば、また背の事気にしてる?」
「気にするよ!背だけじゃねぇ!お前の方がすっかり男らしいイケメンになりやがって!
見知らぬお姉さんが“あの子モデルかしらカッコいい〜”って!
おっ……オレ、この前お前の彼女に間違われたしぃぃぃっ!」
「ん〜〜……でもさぁ〜〜……」
ふと、ナチュラルに真由の両腕を押さえつけている大一郎が真由の胸元に顔をうずめてくる。
「ひゃっ!?大一郎!くすぐった……」
「俺ってさ……体がデカイだけでまだまだ甘え盛りの可愛い純粋な弟だし……」
「じっ、自分で言うな……!」
「色々教えてよおにぃ?例えば、キスの仕方とか……」
そう言って、妖艶な表情で顔を近付けてくる大一郎。
――を、真由は思いっきり蹴り上げていた。
「こんのエロガキ!兄をからかうな!」
痛がって転がる大一郎を一瞥して上着を引っ掴み、真由は出て行こうとする。
「オレ出かけるから!」
「なぁ、おにぃ!おにぃは俺のこと嫌いなの?!」
後ろから聞こえる必死な声。
涙目で縋るようにこちらを見る大一郎に、真由はもう一度近付いて頭を撫でた。
「嫌いじゃないよ。蹴ってごめんな?大好き……」
「っへへ〜〜♪な・ん・て・心配した?」
「イッテキマスッ!!」
持っているカバンで大一郎の頭を殴って出かけた真由であった。


そして、待ち合わせしていたのは友達の鷹森絢音。
真由は瞳を輝かせて鷹森に駆け寄っていく。
「鷹森!」
「小二郎君!……その人は?」
「へっ?」
鷹森が不思議そうに指さすのでその方向を振りかえると……
「だっ、大一郎!!?」
「いやぁ〜〜どうも!貴方が鷹森さんですか〜〜?」
「こらァァッ!何勝手に付いて来てんだお前ぇぇぇっ!」
爽やかに微笑む大一郎と、大一郎の服を慌てて引っ張る真由の姿に
困惑しながら鷹森が言う。
「え――っと……小二郎君のお兄さん?」
「!!」
ショックを受けた様な真由が、一拍置いて……
引きつった笑顔になりつつ
「コイツ、弟!ちょっと待ってて鷹森!」
そう言って、大一郎を物陰に引っ張っていった。


バシィッ!
「わぁぁん!」
物陰に響く打音は真由が大一郎のお尻を叩く音。
何故か大一郎のカバンに入っていた木製パドルを拝借してお仕置き中だ。
さすがに服を脱がせるまではしなかったけれど。
コンクリート壁に手をついて呼吸を乱す大一郎が、か細い声で言う。
「や、ヤバいっておにぃ!野外はヤバいって……ひぁんっ!」
「お前何してんだよこんなとこで!学校行くんじゃないのか!?」
「まさか……今日休みだし……んっ!おにぃのカレシに会うから
正装をって思って着ただけだって!」
「まだ彼氏じゃないし、会わせてやるとも言ってない!勝手に付いてくんな!」
バシッ!バシッ!バシッ!
真由が力強く叩くたびに、大一郎の悲鳴も大きくなってくる。
どことなく嬉しそうに身をくねらせて。
「んぁぁっ!会うくらいいいじゃん!おにぃのデートが
上手くいくように俺が鷹森さんにアドバイスをぉっ!」
「お前絶対面白がってんだろ!?兄をバカにしやがってこのこの〜〜っ!」
バシッ!バシッ!バシッ!
「ひっ!いっ!おにぃ!痛い!」
「当たり前だ!おにぃだって怒るんだぞってところ見せてやる!
今はあんまり長くできないけど!家に帰ったらもっと酷いお仕置きだからなッ!」
「わぁあああん〜〜!」

と、上倉兄弟が激しい(?)お仕置きを繰り広げている中、
鷹森は考えごとをしながら待っていた。
(遅いなぁ小二郎君……大一郎君?だっけ?との、話が長引いてるのかな?
あんな大きな弟さんがいるなんてビックリだよ……。
七美ちゃんも今日の事すごく心配してくれたし、大一郎君もやっぱり
心配で来たのかな?)
小二郎の弟を見て、鷹森も同居している義理の妹の事を思い出す。
今朝こんなやりとりをして出てきたのだ。

『絢音お兄ちゃん!』
いきなりドアを開けて入って来たのは従姉妹の七美だった。
『ど、どうしたの七美ちゃん??』
『ふっふ〜♪絢音お兄ちゃん、今日デートでしょ?
デート初心者な絢音お兄ちゃんの為に、私が色々教えてあげようと思って!』
『…………』
悪戯っぽくウインクする七美に、鷹森は一瞬ポカンとして……
『な、七美ちゃんは……デートした事あるの!?』
『へ?!』
驚く七美の両肩を掴んで必死で揺さぶる。
『相手はどんな人なの!?ちゃんとした、真面目な人だよね!?
伯父さんやおばさんは知ってるの!?最近スカートが短いと思ったら
そんな理由だったんだね!!』
『ちょっと……な、七美の話は今どうでもいいでしょ!?
もう!絢音お兄ちゃんの心配性!!』
七美はプンスカと怒りながらも、鷹森の服のコーディネートや
デートプランの微調整を手伝ってくれたのだ。
(ふふっ……大一郎君も、七美ちゃんみたいに可愛らしく張り切って、
小二郎君を手伝おうとしたのかな?)
そんな微笑ましい光景を想像してほのぼのしつつ、のんびり待っている鷹森だった。

*******************************************

門屋兄弟

ある日、久しぶりに実家に帰って来た門屋準。
「あ――実家落ち着く――」
と、まったりしていると……どこからともなく可愛らしい足音が。
スローリーな走りで部屋に入って来たのは門屋の弟の一(はじめ)だった。
中学校に上がったばかりだけれどもまだ背が低い彼が、明るい笑顔で門屋に言う。
「準く〜ん!お帰りなさ〜〜い!」
「おっ、ハジメか!ただいま!」
「…………」
「…………どうかしたか?」
突っ立ったまま動かないハジメに門屋が声をかけると
ハジメは持っている大きなウサギのぬいぐるみで口元を隠して、困った顔をした。
「あのね、あのね〜〜準くんにぎゅーってしたいけど〜〜、
ロロくんだっこしてるからぁ……できないの……」
「お前ッ……!!」
門屋は一瞬にして顔を真っ赤にして……ハジメにガバッと抱きついて叫ぶ。
「バッカ野郎!ロロ君置けよ!ってか、俺がしてやんよ!ぎゅーってぇぇっ!!」
「えへへ〜〜やったぁ♪準くんありがとう〜〜!」
「あぁチクショウお前可愛いなぁ!!」
と、ブラコン炸裂の門屋はハジメの頭を撫でていた。
「そう言えばハジメ?俺の事は“お兄ちゃん”って呼べっていつも言ってるだろ?
次間違ったらお尻ぺんぺんの刑だからな?」
「ふぇっ!!?」
その瞬間、ハジメは大げさなほど驚いて涙目になる。
「ご、ごめんなさぁい……」
「あぁあああもうぅ!!しねぇよ!お尻ペンペンなんてしねぇよ!
むしろ俺が明日から『準君』に改名するよバカぁぁぁッ!!」
またしてもハジメに勢いよく抱きついて頬ずりする門屋を
両親が温かく見守っていた。

少しして。
仲良く遊んでいた門屋兄弟。
ハジメがいきなりこんな事を言い出した。
「明日は、パパとママと準くんと遊園地に行きます!」
「うんうん覚えてるぞ!楽しみだな〜ハジメ?」
「うん!」
明るく頷くハジメ。
ハジメはたまにしか帰って来ない兄と遊園地に行くのを心待ちにしていたのだ。
しかし次の日……

「もっかい!もう一回やるぅぅっ!!」
「何回計っても変わらないのよハジメちゃん?」
パジャマを着たままロロ君を抱いて……
珍しくぐずった様に泣いてわがままを言うハジメ。
目の前で屈んでいる母親が、仕方なくという風に体温計をハジメに挟ませて困った顔をする。
これで連続4度目の検温だ。
しかし何度計っても38度から下がらない。
「これ壊れてるもん!みんなで遊園地いくもん〜〜!!」
「ハジメちゃん……」
泣きだすハジメとオロオロする母親を見かねて、門屋がハジメに近づいて頭を撫でた。
「熱が出てるんだから諦めろよ……な?今日はずっと一緒にいてやるから」
「やだぁぁぁ!遊園地行くぅぅぅっ!」
「そんなんで行ったって楽しくないだろ?」
「楽しいもん!準くんと遊園地楽しいも〜〜ん!!」
「いや、だって……」
「行くもん!遊園地行くぅぅぅ!準くんとパパとママとぉぉぉっ!」
「だからな……」
「わぁあああああっ!遊園地ぃぃぃぃっ!!」
「…………」
ブラコンの割に沸点は低い門屋。
ハジメがあまりにも聞きわけなく泣き喚くのでついにブチギレた。
「るっせぇぇぇぇっ!!言う事聞かねぇとロロ君ゴミ箱にブチ込むぞハジメェェッ!」
「わぁああああん!ロロ君も遊園地いぅぅぅっ!!」
「まだ言うか聞かん坊が!お前一日で急激に反抗期迎えやがって!
ワガママ言う子はこうしてやる!」
「ひゃっ!?」
急に抱きあげられたハジメ。ロロ君が“ボトッ!”と音をたてて落ちる。
門屋はそれを乱暴に拾い上げてハジメの胸に押し付ける。
装備が元に戻ったところを見届けてから、近くのソファーにドカッと腰掛けて
ハジメのズボンと下着を剥ぐ律儀な門屋だった。
そしてすぐ、幼いお尻を叩き始める。
ピシッ!
「いやぁぁっ!」
一発目から派手に跳ねあがるハジメのお尻を容赦なく叩く門屋。
ピシッ!ピシンッ!
「どうだ参ったか!悪い子はこうなるんだよ思い知れ!」
「やぁぁん!痛いよ〜〜!準くん痛いよ〜〜!ふぇぇっ!」
「“ごめんなさい”って謝って、“今日は大人しく寝ています”と約束するなら許してやろう!」
「だ、だってぇ〜〜遊園地ぃぃぃ〜〜!!」
「なら、一生痛い痛いって泣いてな!」
突き離す様にそう言って、門屋はさらに叩き続ける。
ハジメが泣き喚いても知らん顔で。
ピシッ!ピシッ!ピシッ!
「ぁああああっ!痛い!準くんやめてよぉぉ〜〜!わぁあああん!」
「ごめんなさいするか?」
「やぁああああっ!だってぇ!遊園地行きたいぃぃ!」
「この準お兄ちゃんにまだ反抗するとは、なかなかいい度胸だぜ?」
なかなか謝って大人しくしようとしないハジメを抱え直して、
門屋はもう少し手を強めてみることにした。
バシッ!ビシッ!バシィッ!!
「うひゃあぁっ!?うっ、うわぁぁあああん!やぁああああ〜〜っ!」
ハジメは今まで以上に泣きだして、手足をバタつかせる。
押さえつけて叩いていたらすぐにお尻は真っ赤だ。
(あーぁ。痛そ。もう叩きたくねぇよ。そろそろ謝んないかなぁハジメ……
あと、一回くらい“お兄ちゃん”って呼ばないかなぁ……)
バシッ!ビシッ!バシィッ!!
「ふぇぇぇっ!準くん痛いよぉぉっ!わぁああああん!」
門屋の願いは何一つ敵わないままお仕置きが続く。
埒が明かないので門屋の方から声をかける。
「なぁ、ハジメ?今日行けなくてもまた今度一緒に行けばいいじゃないか……」
「だっ……だって……!!」
しゃくりあげるハジメのお尻を緩く叩きながら、門屋は言う。
「それまでに遊園地で何するかの作戦が立てれるんだぞ?今行くより楽しめるって!
俺ほどの頭の良い兄がいるんだから、スペシャルな作戦が立てられる事間違いなしだ!!
したいだろ作戦会議?」
「……したい……」
「よっし!じゃ謝れ!」
バシィッ!
「あぁあああん!ごめんなさぁぁぁい!」
強く叩くと、あっさりハジメは謝った。それが最後。
ハジメを抱きしめて落ち着かせた後、
さっそく作戦会議をしようと張り切った門屋だったが
母親が病院へ連れて行ってしまったため一人でしょんぼりしていた。


その後、ハジメは部屋で安静にしていた為にしばらく会えず、
門屋は夜になってやっと、ハジメの部屋へ入っていく。
ロロ君の友達のポポ君の人形を持って、胸の前でゴソゴソと動かしながら。
「やぁハジメちゃん☆ポポ君だよ!調子はどうかな?元気になったかな??」
「……何してるの〜〜?準君??」
「おいコラ!俺じゃねぇよ!今はポポ君が喋ってんだよ!」
「でも準くんのお口が動いてるよ〜〜?」
「そこスル―でいけよ!変なとこ現実的だなお前!!」
ギャグがすべった感じで真っ赤になる門屋。
挙動不審になりつつ、ハジメが寝ているベッドに腰掛ける。
「で?元気になったのか?」
「うん……」
柔らかい笑顔でそう言って、ポポ君の手を握って遊んでいるハジメ。
門屋は勇敢にも先ほど失敗した人形劇に再び挑む。
「遊園地で行きたいところは決まったかな?準君じゃないよポポ君だよ☆」
「えっとね〜〜……お化け屋敷〜〜」
「オオオオバケ屋敷はやめといた方がいいよ!楽しくないよポポ君だよ☆」
「そっかぁ〜……準くんが怖いもんね〜〜」
「準君が怖いんじゃなくて、ハジメちゃんが怖いと思うよポポ君だよ☆」
「変な準くん〜〜♪」
「おいコラ!ポポ君だっつってんだろ!」
「あははは〜〜!」
ハジメが楽しそうに笑うので、思わず「こいつぅ〜〜☆」と抱きついた……
やっぱりブラコンな門屋だった。




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【作品番号】GG1

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