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ありがとう6周年!!
呪われたケキャキャと裸エプロン祭!!
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こは王都から外れた森の奥深くにある小さな教会。
若い神官のオーディーが保護者代わりに、幼い4人の神官、カロム・マチア・ハノエ・クーアと慎ましやかに暮らしている。
最近は変態一名が追加されたけどそれもご愛嬌。

この日、オーディーは資料室で机に乗った禍々しい仮面をじっと見つめていた。
オーディー(これが、変態の呪いの仮面……)
今日、近くの村の村長から託された物だった。
“変態に憑りつき、その者の変態的な欲望に共鳴して、その欲望を満たす不思議な力を与える魔の仮面”
恐ろしいので教会で預かってほしい、との事だった。
オーディー(確かに、一般人の元に置いておくのは危険な物だ……)
次の瞬間、オーディーはだらしなく頬杖をついて、ゲッソリとした顔になる。
オーディー(でも、うちにはいかにも共鳴しそうな変態がいるんだよな……)
オーディーの頭に嫌でも思い浮かぶのは今この教会に居候しているケキャキャの事。
顔面を呪われたという彼の変態的な言動に、鉄拳制裁を加えない日は無い。
そうして、こうやって考えていると……
ケキャキャ「オーディー!この本を見てくれ!!」
オーディー「(来やがった……!!)何ですか?騒がしいですよケキャキャさん……げっ!?」

ケキャキャ「裸にエプロンだけ着るんだって!名付けて裸エプロン!最高じゃないか!早速皆でやってみよう!」
オーディー「…………分かりました……死になさい!!」
ガタッ!!
オーディーが臨戦体勢になるとケキャキャは青ざめる。“裸エプロン”の本はガッツリ開いたまま。
ケキャキャ「ひぃぃっ!何が分かってそうなるの!?神官の言葉とは思えないよ!」
オーディー「黙れ!!大体、いつもいつも貴方が……!!」
二人で言い争っていると、不意に仮面が光り輝く!!
ケキャキャ・オーディー「!!?」」
仮面は禍々しき光を放ち、独りでに宙を漂い、ケキャキャの顔面に装着された!!
ケキャキャ「うぉおおおおおっ!?何だ何だ!?」
オーディー「しまった……!!」
変態の呪いの仮面『呪われし友よ……汝の望みを叶えよう……』
ケキャキャ「な、何!?え!?裸エプロン祭り!?」
オーディー「あっ!このバカ!変態!クソが……!!」
ケキャキャ「焦ってる割に罵倒しすぎだよオーディー!!」

変態の呪いの仮面『心得た……最高の、カーニバルにしよう……フヒヒ……デュフフフ……』
オーディー(やっぱこの仮面変態だ!!)
気持ち悪い笑い方をする仮面にオーディーは呆れる。
が、その呪いの力は本物だった。ふいに、空間の一部がぐにゃりと歪む。
変態の呪いの仮面『汝に、裸エプロンの力を……!時空を超える力を……!』
ケキャキャ「うぉおおおおおおっ!!?」
オーディー「ケキャキャさん!!正気に戻って!!」
ケキャキャ「皆裸エプロンになれ――――っ!!」
オーディー「くっ……!」
気圧される気迫。変態の雄叫び。
ケキャキャは歪んだ空間に吸い込まれ、オーディーは取り残される。
裸エプロン姿になって。それに気づくと一気に赤面した。
オーディー「ッ!!あいつめ!!」
しかし、恥じらってばかりはいられなかった。すぐに彼の手の中に、先端に卵のような飾りのついた聖杖が現われる。
オーディー「ケキャキャは、時空を超えた!!追わないと!!」
オーディーは意識を集中して唱える。
オーディー「呪われた者を浄化するため、それを追い、時を超える力を!」
聖杖は光り輝き、オーディーもまた、その場から消えてしまった。

ちなみに、ケキャキャが叫んだその直後……団欒室では。
マチア・カロム・ハノエ・クーア
呪いの直撃した4人の幼い神官達が、急に裸エプロンになってポカンとしていた。
マチア「神、様……こ、これは……し、試練でしょうか……!?」
カロム「マチアちゃん落ち着け!チックショウ!どうせあの変態だ!!(クソッ!マチアちゃん可愛い!!)」

真っ赤になってフルフル震えるマチア、彼をドキドキしながら支えるカロム。
クーア「?……涼しい」
ハノエ「ダメだよクーア!捲っちゃダメ!!」
不思議そうにエプロンをたくし上げるクーアに、真っ赤な顔で必死にそれを止めるハノエ。
幼神官達の混乱はその後しばらく続く。


一方。時空を超えたケキャキャが一番にたどり着いたのは……
――stage1 浅岡家

ケキャキャ「……?ここは?立派な建物だ!貴族の屋敷かな?」
夕月「…………」
ケキャキャ「…………」
目と目が合う、夕月とケキャキャ。ケキャキャは微笑むが、仮面があるので無意味だった。
ポカンとしていた夕月が激しく怯えだす。ここは、浅岡家のリビングだった。
夕月「うわぁああああっ!変な人が来たぁあああっ!詩月!!健人君!健介君!伊藤君――!!」
スケッチブックを放り投げて、半泣きでオロオロする夕月。
夕月「ひぃぃぃぃっ!そう言えば一人でお留守番中だったぁぁぁっ!!」
ケキャキャ「ほう、これは感心。しかも……多少の年齢はあるが、なかなかいい男!」
夕月「へっ……いい男?え、えへへ……って騙されないぞ!
    詩月と健人君が怪しい人に優しくされても付いて行っちゃダメって言ってたもん!」

ケキャキャ「ククク……怪しい者じゃないよ可愛いおじ様?」
夕月「十分怪しいよ!助けて誰か!大ちゃ――ん!!私には妻と三人の子供がぁぁぁっ!」
ケキャキャ「妻子持ちとは味わい深い!そぉれ!観念して裸エプロンになりやがれ――ッ♪」
夕月「いないけど酷い事しないでぇぇぇっ!!」

ハダエプっ♪
変な効果音と共に、謎の光が夕月を包む!!
夕月「ぎゃぁああああっ!!……あれ?痛く、ない……」
しかし、ちゃっかりアトリエ風裸エプロンになっている夕月。
ケキャキャは大喜びだ。
ケキャキャ「ファ――――!!素敵!眼福眼福!!」
夕月「わわっ!?な、何これ早着替え?君ってもしかして手品の人??」

最初は驚いていたものの、後は困惑してケキャキャを見つめる夕月。
そこへ、さらなる犠牲者候補が続々と……
玄関の方で、何人か帰ってきた足音が。それはリビングの扉を開け……
詩月「夕月さん!ただいま帰りました!!」
夕月「あっ、詩月……」
詩月「…………」

夕月の姿を見た詩月から笑顔が消える。
そして、夕月にすごい勢いで駆け寄る。
詩月「夕月さん何があったぁぁぁぁぁっ!!」
健介「ど、どうしたんですか……ヒッ!?あ、兄貴!!変質者だ!!」

健人「健介君!!こっち!お兄ちゃんから離れちゃダメ!」

伊藤「健人!健介君を連れて下がってろ!警察を呼ぶんだ!!」

後から入って来た青年達も、ケキャキャを見るなり驚いて青ざめる。
唯一、ガタイのいい青年だけが、厳つい表情で後ろで寄り添いあう二人を庇うように手を広げる。
ケキャキャ「ほう……イケメン男子が増えるとは、神のご加護!!
      漲れ変態の力よ!皆裸エプロンになるのだ――ッ!!」

ハダエプっ♪
詩月・健人・健介・伊藤「!
変な効果音と共に、四人もの青年たちが一気に裸エプロンになる。
夕月「す、すごいでしょ詩月!!彼、きっと手品の人だよ!」
詩月「……………」

何だか喜んでいる夕月とポカンとする詩月。
健介「なっ、何なんだよコレェッ!!み、見るな!くっつくな兄貴!!」
健人「ご、ごめん健介君!!ごめん……!!」

伊藤(何で俺だけ……八百屋風??)

呆然、恥じらい、哀愁……いろんなものが入り混じる空間で、ケキャキャだけが
極上の光景に高笑いしていた。
ケキャキャ「あーっははははは!いいぞ滾るぞ!宴じゃ宴じゃ――!ハダエプ祭りじゃ――!!」
オーディー「そこまでです!!」
突如聞こえた声。
巻き起こる神の息吹(風)と共に現われたのは黒のローブで身を覆ったオーディーだった。
彼は聖杖をケキャキャにかざして威嚇する。
オーディー「そこを動くな変態!!帰るぞ!」
ケキャキャ「ククク……バーティーは始まったばかりだ。俺は、この世界のイケメンを裸エプロンに染める!!」
オーディー「申し訳ありません旦那様!!」
ケキャキャ「あれ無視!?」

オーディーはくるっと向きを変えて伊藤に跪いていた。
伊藤「え!?俺!?」
オーディー「あの変態は訳あって、うちの教会で預かってるだけなんです!私達とは無関係なんです!
      どうかご慈悲を!お詫びに……なるのか、分かりませんが、これをお納めください!!」

オーディーは、古びたコインを丁寧に伊藤に握らせる。
困ったように笑う伊藤は頭を掻いて、健人を指差す。
伊藤「え、ええと……ごめん、家主はあっち……」
オーディー「あっ……!失礼しました!で、では……申し訳ありませんが……」
オーディーはおずおずと、伊藤の手からコインを回収して、健人に同じように低姿勢で握らせる。
オーディー「これで、どうかお許しください旦那様……!!」
健人「あの、ええと……!頭を上げてください!!」

オロオロする健人の手の中のコイン。
それを何気なく見ていた詩月は、ハッとして叫ぶ。
詩月「こ、これは聖インフェリアのコイン!?」
健介「何ですか、それ?」
小声で詩月に聞き返した健介に合わせて、詩月もヒソヒソっと答える。
詩月「え、ええと……古い時代の教会が持っていたとされるコインで。
    ただ、骨董印としての価値的には微妙なんです。
    本物なら……現在の価値で30万ほどの代物です」
健介「さっ、30万!?」
健人「え!?30万!?困ります!!うち、本当に一般家庭なので!!」

浅岡兄弟は慌てて首を振るが
夕月「いいじゃんもらっときなよ。そんくらい」
詩月「そうですね……気持ちですから」
健介「黙れブルジョアジー共ッ!!」
価値観の合わない夕月詩月コンビを健介が一喝。
しかし、コインを拒否されたオーディーは真剣な表情で言う。
オーディー「……やはり、金銭だけでは済まさないという事ですか……」
ケキャキャ「そう……体で示せという事さ!」
オーディー「なっ!?」
何と!ケキャキャが調子に乗ってオーディの体を強引にお仕置きの体勢に!
ローブを捲ると、元々裸エプロンだったオーディーのお尻が丸出しになる。
オーディー「何でお前が偉そうに!!」
ケキャキャ「フヘヘッ……自らの不手際をご主人様方に詫びるんだなオーディー!」
オーディー「お前の不手際だろうがぁぁっ!!」
顔を真っ赤にしたオーディーが怒って喚くけれど、それはすぐに平手打ちになって返ってきた。
パンッ!!
オーディー「うっ!!」
ケキャキャ「それそれ!悪い子はこうだ!」

パンッ!パンッ!パンッ!
オーディー「や、やめろ!!」
苦しげに呻くオーディー。
傍で見ていた青年達は当然、オーディーを庇う。
夕月「や、やめてあげて!可哀想だよ!」
詩月「そうです!僕たちもう気にしてません!」
健人「お金も要りませんし!やめてあげてください!」
健介「俺からもお願いします!ってか、悪いのその人じゃないし!」
伊藤「そうだよ!むしろお前が謝れよ!」

ケキャキャ「関係ないぜ……俺がコイツを叩きたいから叩くんだ――ッ!!」
その場にいるケキャキャ以外の全員が心の中で叫んだ(コイツ最低だ――ッ!!)と。
そんな中、ケキャキャは何度もオーディーのお尻を叩いて赤く染めていく。
パンッ!パンッ!パンッ!
オーディー「ひゃっ!うっ、くそっ!!痛っ!!」
ケキャキャ「ほれほれ!もっと可愛い声で鳴かんか!ププ!」
オーディー「あぁんっ!!う゛っ……いい加減に!!」
オーディーが発する怒りのオーラ。聖なる力。
ケキャキャは笑いながら彼を離して飛び退いた。
ケキャキャ「ハハハ!怖い怖い!悪魔は〜〜退散退散♪」
歪む空間。逃げるケキャキャ。
オーディー「待て!!タダじゃ済まさないからな!」
追うオーディー。しかし、くるりと青年達に振り向いてお辞儀をした。
オーディー「お騒がせしましたご主人様方!」
オーディーがケキャキャを追って消えた後、青年達は呆然としていた。
健人「な、何だったんだろ……?」
夕月「手品の人だって!」
詩月「貴方が無事で良かったです夕月さん……」
健介「なんか、疲れた……つか、早く着替えないと!」
伊藤「よ、よし!この辺は物騒だし、今夜は俺も泊まってくかな!」


こうして、勇気ある神官の活躍で一般家庭に平和が戻る。
しかし……戦いはまだ終わらない。

時空を超えたケキャキャが次にたどり着いたのは……
――stage2 廟堂院家

ケキャキャ「ふぅ!次の舞台はここか!」
中庭に降り立ったケキャキャは、目の前にそびえ建つ立派なお屋敷に目を輝かせた。
ケキャキャ「おぉぉおお!懐かしき我が王の城に劣らぬ佇まい!さてはどこぞの王宮か!
      フフフ……裸エプロンに染まる舞台に相応しいぜ!」

門屋「おい」
ケキャキャ「ん?」
声に振り向くと、唐突な回し蹴りがケキャキャを襲う!!
バキィッ!
ケキャキャ「ギャッ!!?」
門屋「やりぃ♪不審者確保!観念しな!今、警察に渡して屋敷の外に叩きだしてやる!」

倒れたケキャキャが見たのは、無邪気に笑う執事服の青年。
ケキャキャ(これはいい……!さっそくハダエプの生贄を見つけたぞ!)
門屋「変態め、最初にあったのが俺で残念だったな!」
ケキャキャ「ククク……日々オーディーの乱暴な愛情表現で鍛えられた俺にそんな攻撃は、慣れているぜ!」
勢いよく起き上がるケキャキャ。
驚く執事青年に抱き付き、そのまま地面に押し倒す。
ケキャキャ「ゲヘヘヘ!俺の腕の中で裸エプロンになるがいい!」
門屋「ぎゃぁああああっ!離せ変態!ふざけんなぁぁっ!!」

門屋に縋り付いて、お腹の辺りで頬ずりするケキャキャ。
門屋「く、くすぐったい!キモイ!」
ケキャキャ「グフフ!すぐに快感に変えて――」
グシャァッ!!
何ともグロテスクな音と共に、ケキャキャの頭部が踏みつけられる。
驚いた執事青年が顔を上げ、見たのは驚くほど冷たい視線でケキャキャを見下ろす別の執事青年だった。
相良「俺の恋人に何してくれてんだよ?」
門屋「さ、相良……?」
相良「大丈夫か準!?」

すぐにいつもの優しげな顔で心配してくれる恋人執事青年にホッとした顔を浮かべる同じく執事青年。
門屋「よっ……余計な事しやがって!こんな奴、俺一人で楽勝だっつーの!」
相良「バカ!不審者見つけたら、すぐ上倉さんに報告だろ!後でお仕置き!」
門屋「なっ、はぁ?!やめろ!ふざけんな!!」
ケキャキャ「そいつは聞き捨てならぬセリフだな……!」
門屋・
相良!!?」
気が付けば起き上がっているケキャキャ。そして……
ケキャキャ「素敵なお仕置きタイムは素敵な裸エプロンで演出だぜ!感謝しな!」
ハダエプっ♪
変な効果音と共に、二人の青年の姿がお察しの通り……
門屋「えっ……」
相良「あ……」
門屋・相良うわぁあああああっ!!?」
裸エプロンになった。ケキャキャはもちろん狂喜乱舞だ。
ケキャキャ「ひゃっほう!可愛い恋人同士の裸エプロン最ッッ高!!」
相良「くそっ……!!準に近づくな!」
門屋「ふぁぁっ!?お前は抱き付くなぁぁっ!」
門屋を庇うように抱きすくめている相良だが、肝心の門屋は恥ずかしがっている。
ケキャキャ「プッフ――♪可愛いなぁ可愛いなぁ!次のイケメンを探しに……」
上倉「その必要はありませんよお客様?」
ケキャキャ「むむっ!」
上倉「目の前にイケメンがいるでしょう?」
ケキャキャ「うっほ!確かにィ!」
門屋「兄さん!」

相良「上倉さん!」

涎を垂らすケキャキャの目の前に、落ち着いた風に佇んでいるのはまたしても執事の青年。
ただ、彼だけは胸にバッジをつけている。
ケキャキャ「君はそれなりの階級かい?」
上倉「ええ。執事長を務めさせていただいております」
ケキャキャ「だったら裸エプロンになろうぜ!」
ハダエプっ♪
変な効果音と共に(以下略)。
しかし……
ケキャキャ「うっ!!」
ゴキィッ!!
上倉「お客様ぁ?失礼ながら、ただの不審人物さんに見えますので、即刻お帰りいただきますね♪
    大丈夫……お帰りはパトカーを手配しておきますので」

ケキャキャ「あ、がっ……バカな……裸エプロンにされて……動じない……?」
上倉「ふふっ……素敵な衣装をありがとうございます」

妖艶な笑みを浮かべて、後ろからケキャキャの腕をへし折る勢いで捩じりあげている執事長青年。
彼は叫ぶ。
上倉「イル君!!」
イル君「はい。今すぐ確保を」

同じく、物陰から出てきた裸エプロンの眼鏡の青年。
(※おそらくケキャキャが執事長青年を裸エプロンにした時近くにいたので波動に巻き込まれた)、
彼も、自分の姿に動じていない様子でケキャキャの手に手錠をかけた。
ケキャキャ「うぅ、捕まった……!でも、君達……実に落ち着いていてエロイね!好き!」
上倉「ありがとうございます」

イル君「上倉君……相手は変質者ですよ。愛想を振りまかないで」
上倉「はぁい」
イル君「君が危ない目に遭ったらどうします……」
上倉「優しいんですね……こんな格好で叱られるとムラムラしちゃいます」
イル君「……君は……後でお仕置きされたいんですか?」

ケキャキャ「その話詳しく!!」
バリーン!!
食いついたケキャキャの変態パワーで手錠が壊れた。
上倉・イル君そんな!?」
ケキャキャ「わぁい自由だ!もっとイケメンを裸エプロンにするぞ――!」
屋敷の方へ走って行くケキャキャ。
上倉とイル君は慌てて追いかける。
イル君「まずい……!!屋敷の中には千早様や……」
上倉「千歳様が!イル君!急いで追いましょう!」
上倉・イル君お二人の裸エプロン姿は見逃せない!!」
門屋「最低じゃねーか!!」
最初の執事青年の叫びは、走り去る二人に届いているのかいないのか。
上倉「あ、違う違う!千歳様の幼い純情を守るのです!」
イル君「そうですね!言い間違えました!千早様の素肌は素人が気安く見ていいものではない!」

二人は一応訂正しながら走っていた。残った執事青年達も
相良「準、一応俺達も四判さんや仲間に危険を知らせよう!」
門屋「おう!え、このままで!?」
相良「恥ずかしいけど、着替えてるヒマはなさそうだし」
門屋「うぅ、仕方ねぇな……!」
彼らなりに作戦を秘めて走って行く。

そして屋敷の中に侵入したケキャキャは……
ケキャキャ「うっはぁぁぁっ!イケメンだ!イケメン大漁だ!どいつもこいつも裸エプロンになっちまえ――!」
執事「うわ――!何だこの格好は!」
執事「ギャ――!衣替えか!?」

ケキャキャ「フハハ!いいぞ――!むっ!?こ、これは!!」
通りがけの執事すべてを裸エプロンへ変えていたが、急に立ち止まって仮面の下でスンスンと鼻を鳴らす。
ケキャキャ「優しい蜂蜜ミルクの様な甘い香り……これは!良質なちびっ子がいる予感!!」
ケキャキャの変態嗅覚が当てる部屋。
屋敷の小さな双子の主達が驚いてケキャキャを見る。
ケキャキャ「うわ―!双子だ!可愛い!!」
千早「な、何だコイツは!?」

千歳「誰か!誰かいないの!?」

ケキャキャ「ウフフ〜〜怖くないでちゅよ〜〜ちょっと、裸エプロンになってもらうだけだよ〜〜!!」
じりじりと双子に近づくケキャキャ。
身を寄せ合って警戒する双子。
その双子の姿に、ケキャキャのスイッチが入った。
ケキャキャ「双子の裸エプロンGETだぜ――!!」
ハダエプっ♪
変な効果音と共に、双子が裸エプロンに!
双子はすぐに顔を真っ赤にして悲鳴を上げる。
千早「うわぁあああああっ!!」
千歳「いやぁぁああああっ!!」

ケキャキャ「あ〜〜いい悲鳴♪」
ケキャキャはのんびり構えているが、幼い主の悲鳴はすぐに番犬を呼び寄せるのだ。
先ほどの執事長青年&眼鏡執事青年が駆け付けた。
上倉「千歳様!千早様!」
イル君「遅かったか!」

千早・
千歳うわぁあああああああっ!!」
裸エプロンで駆け付けた執事達に余計悲鳴をあげる双子。
ケキャキャはにんまりと微笑んで満足そうだ。
ケキャキャ「美しい光景だ……ここに裸エプロン帝国を築こう……!!」
オーディー「させるか変態!!」
突如聞こえた声。
巻き起こる神の息吹(風)と共に二回目の出現を果たす黒のローブで身を覆ったオーディー。
オーディー「今度こそ……我が教会の名をこれ以上汚さぬうち……連れて帰る!!」
再度、聖杖をかざすオーディー。
けれどケキャキャは仮面の下に余裕の笑みを浮かべる。
ケキャキャ「また、体を張って俺の代わりに詫びに来てくれたのかいオーディー!」
オーディー「誰が!!今度はお前が跪いて詫びろ変態!!」
千早「おい」

言い争うケキャキャとオーディーに、千早が割って入ると、
オーディーはすぐに恭しく膝をついて礼をする。
オーディー「ご無礼を、お許しください王子……!!」
千早「王子?ぷっ……!!」

吹き出した千早は、そのままクスクス笑って言葉を続ける。
千早「そ、そうだな!お前みたいな愚民からすれば、オレは王子だ!
   で?王子サマのオレと、オレの愛しい兄様にこの振る舞い……頭を下げて済むとでも?」

オーディー「……い、いいえ……ですが、うちは力の無い小さな教会です……!どうか、これで!どうか!」
オーディーは小さな袋を捧げるように前へ出す。
千歳「上倉、受け取ってあげて」
上倉「は、はい……」
上倉が「失礼しますと」と、オーディーから袋を受け取る。
中には古びたコインが袋いっぱいに入っていた。
千早「中身は何だ?」
上倉「これは、聖ベルデヴァーレのコイン?……古い、教会のコインですね」
千早「価値があるのか?」

上倉は、祈る様に小さく震えているオーディーをチラリと見やって、笑顔で言う。
上倉「それは、もう……貴重品です!恐ろしいくらいの価値が!お詫びの品としては、二重分かと!!」
オーディー「!!」
オーディーが驚いたように目を見開く。しかし……
千歳「上倉……千早ちゃんを騙すなんて、いい度胸だね」
千早「さすが兄様……ゴミ虫は後で死ぬほどお仕置きだな」
上倉「うぅっ……」
頬を染めているのは上倉だけで無なかった。ケキャキャも状況をドキドキと見守る。
ケキャキャ「ドキドキ……ドキドキ……!」
正反対に青ざめているのはオーディーで、そんな彼に千早が冷たく言う。
千早「驚いたな。“王子”相手に金で解決しようなんて、舐められたもんだ。
   うちにいくら財産があると思ってる?」

オーディー「お許しください!貴方様を貶める意図は、決して……!
       あぁ、ご慈悲を……!うちの教会には親を持たない子供達がいます!
       私にはそれしか差し出せるものがありません!!」

千早「違うだろ?お前は差し出せるじゃないか、お前自身を」
オーディー「!!……お、お願いです、命だけは!!」
泣き出しそうなオーディーに、また千早は吹き出しそうになっていた。
千早「くふっ、いちいち大げさな奴だな……誰も殺すとは言ってないだろ?」
千歳「千早ちゃん……きっと、箱入りの神父様なんだよ。脅かしたら可哀想だよ?」

その言葉で、イル君がとっさに助け船を出す。
イル君「教会で学んでいらっしゃる、どこか、名のあるお家のご子息かも! 
     うかつに手を上げたら、家同士の争いになりかねません!!」

千早「へぇ、お前、実家が権力持ちか?」

オーディー「い、いいえ……小さな、町の出身で。とても、とても王族と肩を並べるほどでは……」
千早「決まりだな!お前は罰として、お尻100叩きの刑だ!」

幼い威厳に満ちた罰の宣告。
オーディー「!?」
ケキャキャ(イヤッホォォォオオオオウ!!)

焦るオーディーに、ジャンプするケキャキャ。
オーディー「そ、そんな……!」
千早「感謝しろよ愚民。オレが直々にお仕置きしてやる」

千歳「いいなぁ……♪」

張り切ってパドルを持ち、オーディーに近づく千早。クスクス笑いでそれを見守る千歳。
不安げに見守る執事青年×2.
鼻息荒く見守るケキャキャ。
千早「その邪魔なローブ、脱げ」
オーディー「っ……!!」
ひたすら恥ずかしそうに、オーディーはローブを脱ぎ捨てる。
オーディー「えっ……!!?」
しかし、彼が身にまとっていたのは裸エプロンではなく……
上倉「うわぁぁぁ……素敵!!」
イル君「素晴らしい……!」

ケキャキャ「フォォォオオオオッ!!」
変態の呪いの仮面『デュフフフ……我が呪いは……状況に合わせエロカスタマイズ可能……!!』

本人もびっくりの緑のセクシーボンテージ。
オーディー「なっ……あ……!?」
千早「何だ。お前も変態じゃないか」
オーディー「違っ……!!」
千早「這いつくばれ変態。犬みたくな」
オーディー「くっ……はい……」
顔を真っ赤にして言われた通り四つん這いになるオーディー。
オーディー(こんな、あの子達と同じような子供に、お尻を叩かれてしまうなんて……!)
そんな羞恥が胸に渦巻いて。
それでも、無慈悲なお仕置きは始まってしまう。
バシッ!!
オーディー「あっ……!!」
ビシッ!バシッ!バシィッ!
オーディー「うっ、お許しください!あぁっ!!」
千早「つまらない事を言うな。まだ始まったばかりだろう?」

ビシィッ!!
オーディー(こ、こんな事になるなんて……!!子供にお尻を叩かれるなんて……!)
確かに、痛いのもある。
けれど、普段子供達と暮らしているオーディーにとっては、子供達を“お仕置きする側”のオーディーにとっては、
どうしても恥ずかしさや屈辱感が押し寄せてくる。
せめて、声は抑えようと必死に歯を食いしばった。
ビシッ!バシッ!!
オーディー「んっ……!」
千早「……」

バシッ!バシィッ!
オーディー「くっ……!」
千早「……」

ビシッ!ビシッ!
オーディー「はぁっ……!」
千早「つまらないな……」

何度叩いても声を殺しているオーディーに千早が不機嫌に呟く。
その後煽る様にバシバシとオーディーのお尻を叩きながら、言う。
千早「おいお前。もっと、悲鳴を上げて泣きわめいてくれないとオレも兄様も楽しめないだろ」
オーディー「あっ……!うっ、それは……!」
千早「オレが叩いてやってるのに、わざと声を上げないなんて反逆行為だ」
オーディー「違います!そんなつもりは!!」
バシィッ!!
オーディー「うぁっ!!」
千早「本当に悪いと思ってるなら、ひれ伏して泣きながら許しを乞え。
   ……まぁ、叩き続ければ、強情なお前もそうなるだろうけど」

オーディー「お、お許しくださいどうか……、これ以上は!!」
バシッ!ビシィッ!!
オーディー「あぁっ!!本当に申し訳ない事を……」
千早「ベラベラ喋るな」

バシィッ!!
オーディー「ひぅっ!!くっ……!」
千早「お前はただ、情けなく泣き叫んで、
    オレと兄様の暇つぶしの玩具になってればいいんだ!」

ビシッ!ビシッ!!
オーディー「うぁあっ!(こんな、事が……!!)」
頑張って耐えていたオーディーも、こう長く叩かれは
息も上がるしお尻は赤くなってくるし、精神的にも参ってしまう。
千早が言うように泣きそうだった。
オーディー「うぅっ、お、お願いです……っ、もう、本、当に、許してください……!!」
千早「いい声になってきたじゃないか」

バシッ!ビシィッ!バシッ!!
オーディー「あぁああっ!嫌だぁっ!ご、ごめんなさい!!許してください!何でもしますからぁぁっ!!」
バシィッ!!
オーディー「うわぁああああん!!」
セクシーボンテージを着て、真っ赤なお尻を打たれて泣き出したオーディー。
その姿を一部始終見ていたケキャキャは……
ケキャキャ「うぉおおおおおっ!!漲る――っ!!」
天高く興奮の雄叫びを上げていた。
ケキャキャが叫んだ瞬間、激しい光が屋敷を包む。
千早「くっ……!!」
千歳「何……っ!?」

思わず皆が目を閉じる。
そして次に目を開けるとケキャキャもオーディーも消えてしまっていた。

そして……その光には絶大な効果があって……

千賀流「…………え?」
絵恋「きゃーっ!どうしたの千賀流さん!?すっごくセクシーよ!」
月夜「旦……那、様……っ!!」

千賀流「ち、違う!!誤解だ月夜!!」

四判「千賀流様、今すぐ着替えを持ってきます!!」

珍しく慌てる千賀流&四判も裸エプロンになっていた。
しかも絵恋と月夜の目の前で。
絵恋は嬉しそうだったけれど、千賀流は着替えが来るまで、絵恋に抱き付かれながら
月夜の厳しい視線に晒されて心臓を縮ませる事になる。

被害はこれだけにとどまらない。
廟堂院家と血の繋がりのある二条城家では……
琥珀丸「ぎゃぁあああああっ!」
シャルル「きゃああああっ!あぁっ、でも琥珀丸落ち着いて!」

鼈甲丸「そうだぞ兄者!大丈夫、落ち着くんだ!」

自分が裸エプロンになっている事で、悲鳴を上げる琥珀丸。
そして、錯乱する兄を支える同じく裸エプロンな鼈甲丸と、心配するシャルル。
琥珀丸はフラフラと座り込んで力なく声を出す。
琥珀丸「べ、鼈甲丸……そう、だね、着替えを……」
鼈甲丸「分かった!」

シャルル「わ、私!向こうへ行ってるから!」

ワタワタするシャルル達と、その両親は……
ノエル「……す、素敵ね、リオ」
リオ「……わ、私が……私が何をしたって言うんだぁぁあああっ!!」
ノエル「リオ落ち着いて!!」
突如裸エプロンになって頭を抱えるリオと宥めるノエルがもっとワタワタしていた。

ちなみに。
秋緒「麗……ちゃん……?」
能瀬「…………あぁ」
緒「……えっと……麗ちゃん、ごめんね、この部屋、暑かった……?」
能瀬「……そうだな。秋緒、着替え、貸してくれ」

休暇中で友達の家に来ていた(執事)青年も影響を受けたらしい。

多大な被害を残して、廟堂院家を後にしたケキャキャ。
それに、理不尽にお尻を叩かれたオーディー。
オーディーは、時空の狭間を駆けながら、お尻をさすって恨みがましく呟く。
オーディー「くそう!何で私がこんな目に!!あの変態、絶対、絶対捕まえてコテンパンに……!!」
そうしていると、ふいに壁に突き当たった。
オーディー「え……?」
次の追跡地に着くはずの、時空の歪みが無いのだ。
オーディー「そんな、追え、ない……?いったい何が……?教会に戻った?」
呆然とするオーディー。
しかし、キッと表情を引き締めて、聖杖に念じる。
オーディー「呪われし者の居場所を!神が許さぬ限り、追い続ける!」
オーディーの必死の祈り。
そんな中、ケキャキャがちゃっかり到着していたのが……

――stage3 神の国

降り立ったのは爽やかな森の中。
ケキャキャは深呼吸をする。
ケキャキャ「スーハー。今度はどこかな?森の中か?気持ちいいな……!
      心が……洗われるようだ!天然の変態力に満ちていく!!」

そんな中、ケキャキャの視線がある者達を捉えた。
閻廷「間違いない!この辺にキノコがいっぱいだぞ!可愛いキノコを探して閻濡にプレゼントだ!」
立佳「その意気だよパパ様!琳ちゃん達には負けないんだから!」

ケキャキャ「おっひょ♪今日は王族当たりが激しいぞ!俺の気品のおかげかな!」
仲よく森を散策してるらしい、青年と少年。
森に不釣り合いな華美な服装で、ケキャキャは王族だと判断したのだ。
ケキャキャは二人の前に躍り出る。
ケキャキャ「ご機嫌麗しゅう高貴なお二方!本日はお日柄もよく……裸エプロン日和じゃい!!」
ハダエプっ♪
変な効果音と共に、二人の姿が裸エプロンに……と、思ったが
ケキャキャ「おっ!?ぎゃっ!?」
相手に放ったと思った裸エプロン攻撃が、自分に跳ね返ってきた。
ケキャキャは一瞬にして裸エプロンになってしまう。
ケキャキャ「むむっ、俺も似合うな!しかし、何が起こったかな?」
もやが晴れた真正面、ケキャキャが狙った二人の前には巨大な鏡が浮いていた。
閻廷「なっ、何なんだお前!変態!!立佳、怪我は無いか?!」
立佳「わー!パパ様かっこいい!!」
ケキャキャ「ほう、鏡を操るのか!それで跳ね返したのか!」
感心したのもつかの間、ケキャキャの左右と後ろにも同じ巨大鏡が瞬時に現われる。
閻廷「う、うぅっ……ええと、“命惜しくばさっさと立ち去れ!我は偉大なる神の王なるぞ!”」
立佳「きゃ――!パパ様素敵――!頑張って――!!」
青年は困り顔でケキャキャを威嚇していて、後ろの少年は楽しそうにそれを応援している。
もちろん、たどたどしい威嚇はケキャキャをニヤ付かせるだけだ。
ケキャキャ「ククク!やっぱり2人共、裸エプロンが似合いそうな可愛子ちゃんだね!
      裸エプロンの神様どうもありがとう!!食らえ!」

閻廷「!!」
立佳「ほいさ!」
またしても、ケキャキャの攻撃は届かなかった。
今度は少年が手から放った赤い稲妻に相殺されたのだ。
ケキャキャを取り囲んでいたはずの鏡はいつの間にか消えている。
立佳「あはは!パパ様スタミナ切れ?」
閻廷「立佳……済まない……!」
立佳「ノープロブレム!俺のカッコいいトコ見てて!後で琳ちゃん達に伝えてね♪」
少年はひたすら明るくケキャキャに言う。
立佳「さて、お前は何?精霊?妖怪?
   オレ達こう見えて超身分高いから、変な事すると後が怖いよ?」

ケキャキャ「ふっ……俺は、愛の裸エプロンハンターとでも名乗ろうか!
      とっとと、裸エプロンになってくれないと、俺の欲望が我慢の限界だぜ!」

立佳「裸エプロンいいよね!……ってオレ達が!?冗談でしょ!?裸エプロンは女の子が着てこそだよ!!」
ケキャキャ「女に興味はねぇぇぇぇぇぇえ!!お前らが裸エプロンになれぇぇぇぇ!!」
立佳「うわ――っ!!そっち系の人だ――――っ!!」
ケキャキャ「行くぜこの情熱、最大級の裸エプロン攻撃を食らえ!!」
立佳「ヒィッ!ちょっとそんなデカいの……!!」

閻廷「くそっ……!!」

立佳は、ケキャキャが放つ攻撃の巨大さにたじろいで、閻廷は手をかざして力を振り絞ろうとする。
放たれた巨大な欲望の塊が、二人を襲う……?
ズシャァァッ!!
寸前、突如、天から大きな赤い雷が突き刺さり、その攻撃を地面へ押し潰して裂く。
境佳「私の息子と親友に手を出すとは……それなりの報いは覚悟の上か?」
響くのは威厳に満ちた落ち着いている声。
すっと持ち上げていた腕を下ろしてケキャキャを睨みつけるのは新たな青年だった。
ケキャキャ「かっ、カッコいい!裸エプロン候補が増えた!!」
境佳「!!??」
閻廷「境佳!コイツ変態だ!」
立佳「そうだよ父上も言ってやってよ!裸エプロンにするなら女の子だって!」
境佳「……はぁ。お前達が元気そうで安心した……」
呆れ顔で先の青年と少年に手を貸す、新たな青年。
その一瞬の隙に、ケキャキャがほくそ笑んだ。
ケキャキャ「今だぁぁっ!全員裸エプロンになれ――ッ!!」
ハダエプっ♪
変な効果音と共に、3度目の正直だった。3人の青年の姿が、念願の裸エプロン姿になる。
境佳「なっ!?」
閻廷「わっ……!!」
立佳「えぇっ!?」
ケキャキャ「キタぁぁぁぁあっ!!漲る――っ!!」
響き渡るケキャキャの興奮の雄叫び。広がる裸エプロンの波動。

一方の裸エプロンの三人とは、自分の姿に驚いて、体を隠す様に身を縮ませる。
そして顔を真っ赤にして抗議の声を上げる。
立佳「信じられない!この技を女の子に使わないなんて頭おかしいんじゃないの!?」
閻廷「閻濡の方が絶対似合うのにー!」

境佳「そんな事言ってる場合か!!」

ケキャキャ「キヒヒヒ!この裸エプロントリオは神々しいぞ!ありがたやありがたやぁぁっ!!
      おっと、こんな事を言っているとそろそろ“そこまでです”って、オーディーが……」

しかし、誰も来ない。
ケキャキャは首をかしげた。
ケキャキャ「あれれ?誰も来ないや。ま、いっか!お三方!夢のような時間をありがとう!
      君達の姿は忘れないよ!次いこう!」

ケキャキャは姿を消す。
そしてそれとは入れ替わりに……
琳姫「兄上!わたくしたちはこんなにいっぱいキノコを見つけましたよ!勝負はつきましたね!」
遊磨「走らないでください琳姫様ぁ!!」

閻濡「パパも、何か見つけた?」

玲姫「そろそろ皆でおやつにしましょうって……」
華やかな女神メンバーが、合流して、
琳姫・遊磨・閻濡きゃぁああああああああっ!!」
玲姫以外の全員は悲鳴を上げ、真っ赤になって顔を覆う。
立佳「ねぇ!それは誰を見ての“キャー!”なの!?」
琳姫「だっ、だって!だって父上とパパ様がぁぁっ!」

遊磨「あ、あたし何も見てません!見てませんから境佳様!閻廷様!」

閻濡「おっ、おじ様、ごめんなさい……!!」

立佳「誰かオレのイケメンボディーにも反応してよぉ!」
残念そうな立佳に、玲姫がクスクス笑いながら言う。
玲姫「立佳の可愛い裸、恥ずかしくなっちゃうわね」
立佳「……やめて……そのフォローは胸が痛いよ母上……」
境佳「玲姫!笑ってないで娘達を連れて戻れ!私達は、どうにか服を……!!」

玲姫「あら、残念。皆行くわよ?」

玲姫が女の子衆を連れて戻っていく。

その後、境佳がこれは呪いの一種だと気付いて、皆は服を取り戻した。
改めて女神達と合流しても気まずさMAXで、災難だった神様達。

ちなみに……
桃里「球里兄さ……いやぁああああっ里様ぁぁぁぁっ!!球里兄さんが壊れたぁぁぁあああっ!!」
球里「落ち着け桃里!!里様を呼ばないでくれ――――っ!!」


姫様「雪……里……だ、ダメですわ!!私には立佳様が!!」
雪里「ち、違うんです姫様!!違うんです!!」

狐耳トリオも軽く修羅場だったらしい。


そしてケキャキャは時空に流されていく。
立ち往生だったオーディーも……
オーディー「あっ……!動いた!!」
やっと時の流れに乗れたようだ。
オーディー「次で、次で最後だぞ!あの、変態!!」
そう決意を固めて。


――stage4 喫茶店

ケキャキャが、また明るい世界に降り立つ。
ケキャキャ「よいしょーっと!」
ケキャキャが降り立ったのは屋外だ。
目の前には“喫茶店times”と看板の出た小さな建物がある。
ケキャキャ「……ん?この建物はなんだ?まぁいいか!入ってみよう!」
颯爽と店内に入るケキャキャ。
ケキャキャ「ごめんください!」
・束…………」
・梓
…………」
仮面+裸エプロンのケキャキャの姿を見て、少なかった客4人全員が凍りつく。
ウエイターらしき青年が冷静に一言放った。
優君「……変質者は立ち入り禁止なので帰ってください」
ケキャキャ「えぇっ!!?こんなに裸エプロンが似合いそうなキューティー男子がいるのに!
      それに俺は高貴な紳士だぜ!轟け!俺の裸エプロン魂!!」

ハダエプっ♪
変な効果音と共に、その場にいた全員が裸エプロンになる。
綴「ひゃっ!?えっ……!?」
束「な、何これ〜〜!!」

司「梓、大丈夫か……!!」

梓「は、はひ……!!(司さんの裸エプロン!司さんの裸エプロン!!)」

オロオロしている双子の少年達と、顔を真っ赤にする青年と少年の組み合わせ。
ウエイター青年も、一度は自分の姿に驚いて赤面していたものの、
すぐにケキャキャを睨みつけた。
優君「ッ……!よくも子供達に……!!」
ケキャキャ「フハハ!これはいい裸エプロン空間!オチビちゃんからイケメンまでヨリドリミドリだぜ!」
優君「通報するのは、貴方をブチのめしてからでいいですか……?」
ケキャキャ「いいよいいよ!足上げてエプロンを翻して秘密の三角ゾーンを見せてよ!」
優君「では……」
ウエイター青年はケキャキャを思いっきり蹴り飛ばす。
ケキャキャは吹っ飛ばされてテーブルに直撃する。
ドガシャン!!
ケキャキャ「ぐぇっ!!」
優君「あまり手荒な事はしたくありません……子供が見てるので」
ケキャキャ「うぅっ……ククク、俺が一人だと思ったか?」
派手に転んだ後、胸倉を掴まれても、ケキャキャは余裕の声を出す。
すると……
オーディー「ケキャキャ!!今度という今度は絶対に連れて帰る!!連れて帰ってボコる!!」
巻き起こる神の息吹(風)と共に三回目の出現を果たす黒のローブで身を覆ったオーディー。
本音がダダ漏れでだいぶお怒りの様子。
しかし、ウエイター青年に睨まれて身をすくませていた。
オーディー「うっ!?」
優君「貴方、コイツの仲間ですか?」
オーディー「仲間だなんてとんでもない!……し、しかしうちの教会の居候なので不本意ながら関係者です。
      店主よ、食堂を荒らして申し訳ありませんでした。どうかこれで穏便に……!」

オーディーはウエイター青年に古いコインを渡す。
優君はそれをじっと見つめた。
優君(これ、聖ノガンデアのコイン……?実物初めて見た……)
オーディー「い、いかがでしょう?」
優君「いいでしょう。うちのボスに渡しておきます。僕は店主ではないので。
   しかし……その変態には厳しく折檻しといてください。もう二度と顔を見たくない」

オーディー「感謝します、良き給仕さん。ここの店主にも神のご加護がありますように。
       この下劣極まりない変態野郎には、よく言い聞かせますので。体に」

ケキャキャ「う〜〜動けない!俺、このままオーディーに連れて帰られてお仕置きされちゃうの?デヘヘ困っちゃう♪」
オーディー「えぇ、ケキャキャさん。お尻一万叩きは覚悟してくださいね」
ケキャキャ「わっほい!ちょっと胸キュン!」

優君「……いい大人がお尻叩かれたいんですか?それってただのド変態ですね」

ウエイター青年のこの発言が、とある人物に大ダメージを。
司「…………」
梓「つ、司さん!気をしっかり持って!僕はそんなあなたが好きですからね!」

落ち込む青年を慰める少年。
そしてオーディーは、やっとこさ捕まえたケキャキャのエプロンの肩紐を持ちながら、皆にお辞儀をした。
オーディー「では、みなさん……本当にご迷惑をおかけしました」
ケキャキャがぐったりとしながら引きずられ、店から出て行く。
それを見送って、ウエイター青年は双子に声をかけていた。
優君「綴君、束君、大丈夫でした?」
束「うん!ゆーくんが悪い人やっつけてくれたから平気だったよ!すごいねキック!」
優君「はは……お行儀悪いから、真似しないでくださいね?綴君も、怖かったでしょう?ごめんね」
綴「う、ううん……音がおっきくてビックリしたけど、ゆーくんは優しい人だって、知ってるから。平気です……」
優君「ありがとう。君達に怪我が無くて良かった。あ、でも着替えが……」

ウエイター青年はそこで少し考えて、思い出したように青年達の方に声をかける。
優君「アンタ等も大丈夫でした?」
司「あ、平気でした。でも、これじゃ帰りが……」
梓「僕も、大丈夫です……(司さんの裸エプロン見れた!見れた!)」

そうして皆でホッとしていると……
この店の女店主が帰ってくる。
時子「ただいま!優君、皆さんごめんね……ってきゃぁああああっ!!?何があったのぉぉおお?!」
優君「お帰りなさい時子さん。今日は裸エプロンデーです!さぁ貴女も!」
時子「しないよ!うちの店にそんないがわしい行事はありませんッ!!」

しれっとしているウエイター青年に、真っ赤になっている女店主。
その後、皆の服は何故か荷物入れの中から見つかって、
4人の客はいつも通り喫茶店を去る事が出来た。


――Last stage 教会

さて、長い長い時空旅行から、教会へと帰ってきたオーディーとケキャキャ。
こちらの世界は夜になっていた。
そのままケキャキャは、いつも吊るされる狭い石造りの空き室に連行され……
両手を拘束されて、古い机に上体をうつ伏せるように、お尻を突き出す格好になっていた。
もちろん裸エプロンのまま。

オーディー「自分がどれだけ罪深い事をしたか、分かってるんでしょうねケキャキャさん……」
ケキャキャ「オーディ!さすがにこれはエロ過ぎるって!」
オーディー「黙れ!!」
ビシィッ!!
ケキャキャ「痛い!!」
ケキャキャは大きめの木製パドルでお尻を叩かれて跳ね上がるが、
オーディーが怒鳴りながら追加で何度もパドルを叩きこんでいく。
オーディー「いいですか!?今日の貴方はただのサンドバッグだと心得てください!
      私の、気が済むまで叩かれる、ただの砂袋!!」

ビシッ!バシッ!ビシッ!
ケキャキャ「ぎゃっ!あんまりだよ!俺を反省させる愛の鞭じゃないの!?」
オーディー「貴方はお尻から叩き壊したって反省なんかしないでしょう……?」
ケキャキャ「ひぃぃぃっ!!」

オーディーの低音での脅しに怯えるケキャキャ。
そしてまた怒鳴られながらお尻を打たれる。
オーディー「砂袋が喋らないで!よくも私を散々な目に遭わせてくれましたね!!」
バシンッ!ビシッ!ビシィッ!!
ケキャキャ「いっ、痛い!ごめ、ごめんなさい!うわぁっ!」
オーディー「喋るなって、言ってるでしょう!?」
バシィッ!!
喋っただけなのに叩かれるわ怒られるわで、さすがにケキャキャも涙目になってきた。
ケキャキャ「あ、あんまりだぁぁっ!!ひぃんっ!!」
オーディー「自分だって、私のお尻を叩いたくせにッ……大体貴方のせいで私はお尻を子供に……
       あぁ思い出したらイライラしてきた!」

バシッ!バシッ!
ケキャキャ「ふぐっ、痛いっっ!!やめてぇぇ〜〜!!」
オーディー「うるさい!!」
バシィッ!!
ケキャキャ「あぁん!」
オーディー「気色悪い声出すな!!」
ビシッ!
ケキャキャ「リフジンッ!!」
そんな感じで、ケキャキャの謝罪(?)はとことん受け入れられずにお仕置きが続く。
オーディーは怒りにまかせてパドルを振るっていたので、
比較的長く叩かれていたケキャキャのお尻は真っ赤になっていた。
ケキャキャ「頼むよ、オーディ痛いよ〜〜!!もう許して!」
オーディー「ふっ……お尻真っ赤になって、いい気味ですね……」
やっぱりケキャキャの訴えは無視される。
もうケキャキャは変態の呪いの仮面に縋るしかなかった。
ケキャキャ「あぁ、何とかしてくれ変態の呪いの仮面!!」
変態の呪いの仮面『こっちも痛い!もう嫌だ!!』
ケキャキャ「結構ハッキリ喋れるなお前!!?」
感覚が連動してるのか、呪いの仮面はひとりでに床に落ちて、砕け散った。
ケキャキャが息を切らせながら訴える。
ケキャキャ「ほ、ほら!呪いが解けたよオーディー!よかったありがとう!
      だから、許し……わぶっ!!?」

オーディー「良かったですねケキャキャさん!代わりに良い被り物を上げるからこれ被って
      大人しくしててくださいね?」

ケキャキャ「もごごっ……そんなっ」

オーディーは、ケキャキャの顔に紙袋を被せてお仕置きを続行した。
しかも容赦なく。真っ赤なお尻にパドルを打ち当てる。
バシッ!ビシッ!バシッ!
ケキャキャ「びひぃっ!?い、痛いってば助けて――っ!!」
オーディー「私の怒りがこの程度でおさまると思わないでください!
       しかも、あなたのせいでいくら浪費したと思ってるんですか!今月の食費が……!!」

ビシッ!バシィッ!
ケキャキャ「ごめんって!はぁあああん!泣く泣く泣いちゃうぅぅぅぅっ!!」
オーディー「サンドバックの癖にうるさくしたら100回追加でお仕置きします!」
ケキャキャ「そんなぁぁあぁっ!うわぁああああん!!
      やっぱり俺はオーディーの淫らなお尻を叩く方がいいよぉぉぉぉぉっ!!」

オーディー「誰が淫らなお尻だ変態!!」
バシィッ!!
ケキャキャ「ぎゃ――――っ!ごめんなさ――――い!!わぁああああん!」
オーディー「今夜は眠れると思わないでくださいね!」
ケキャキャ「わ――ん!!エロイセリフが嬉しくないよ――っ!!」

ビシッ!バシッ!バシィィッ!!
ケキャキャ「ぎゃぁああああ!ごめんなさいもうしませぇぇぇぇん!!」
悲鳴と打音が石壁に反響する中、お仕置きは長く続いたそうな。

最終的にケキャキャは十分すぎるほど報いを受けたけれど……
反省したかは分からない。



終わり

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【作品番号】6syuunenn
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