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千鶴お嬢様の素敵な日常
〜王子様陥落編〜




私の名前は茶渡千鶴(さわたり ちず)。17歳。
由緒正しき茶渡家の一人娘……まぁいわゆるお嬢様ってヤツかしら。
今から学校へ行くところ。
私が玄関から出て行こうとしたら、一人の執事服風の私服を着た男の子がお見送りしてくれたの。
「お嬢様!いってらっしゃいませ!」
「えぇ行ってくるわ豆吉」
この子は私の婚約者兼奴隷の豆吉。
え?いきなり話がおかしくなってるって?
おかしかないわ。茶渡家は代々、配偶者を隷属させるのがしきたりなの。
中でも私はすごいのよ!奴隷排出家系の中でも最高ランクに位置する苗床家から婚約者をもらってるんだから!
豆吉はそこの長男で私と同い年のなかなか可愛い奴よ♪
私が前にたまたま“執事モノ”にハマってたせいで執事服っぽいのを着て“お嬢様〜”なんてやってるけれど……
ハッキリ言って今は惰性ね。そろそろ路線変更をしてもいいかもしれない。

そんな事を思いながら車に乗って学校へ着く。
もちろん学校も、家柄の良い人間しか通えない高貴な学校よ!
学校に着くとさっそく私にはやる事があったわ……
まず、いち早く女子の黄色い悲鳴と人だかりを発見し、掻き分けるのよ!
「おどき!この汚らわしい雌豚ども!邪魔なのよ!捌けろ!」
私はグイグイ人だかりを進んだ。途中で女子共が
「なんなのこのアバズレ!」「アンタこそ邪魔なのよ!」
とか何とか言ってきたけど関係ないわ!
私は進むの!そして……
「アーノルド君!!」
「……あ、お早う千鶴さん」
私の声に反応して手を振ってくれる学園のアイドル、王子様、アーノルド君!!
輝く金髪に宝石のような青い瞳!そして気品あふれる優しい物腰!
それでいてどこか幼くて純粋な……あぁあああん!今日もカッコ可愛ゆすぎるわ〜〜!!
「アーノルド君、千鶴は貴方様の登校を今日も待ちわびておりましたのよ!(今来たけど!)」
「あ、はは……ありがとう。一緒に教室まで行く?」
「はい喜んで――――っですわ!」
心なしか話し方まで上品になってしまうわ!
んもうこんなイケメンが思いっきりお尻ぶたれて喘いでる姿が見たい!!
……ハッ!いけないいけない!私ったらアーノルド君で破廉恥な妄想を!
私はね、遠巻きにハンカチを噛んでいる女共を嘲笑いながらアーノルド君と教室まで行ったの!
本気で幸せな時間だったわ!
豆吉?うっさいわね!婚約者とアイドルは別よ!

もちろん、休み時間や昼食もアーノルド君とお話ししたかったけど……なかなか、他の女が邪魔なのよね!
朝みたいに上手くいかなくて!くそう!野蛮な女共ね!
こうなったら私の席をアーノルド君の隣にしてもらって……
とか思ってたら放課後!やっとチャンス(物理)が訪れたの!他の女共をあらかじめ倒し、私はやっとアーノルド君と二人きり!
鞄の中をゴソゴソしてる凛々しすぎるアーノルド君に声をかけたわ!
「アーノルド君!」
「千鶴さん……」
「アーノルド君、何をしてるの!?探し物!?」
「う、うん……これ」
アーノルド君は手のひらに乗せたクマの人形?を見せてくれた。
何だか手作りっぽい……ま、まさかどこぞの雌豚が抜け駆けの貢物を!?
「何それ誰にもらったの!?」
「えっ!?リズ、妹に……」
「あ、なんだ妹か……」
ホッ。
そう言えばアーノルド君には小さい妹がいるんだったわね。
ここではなく、女子学校に通ってると聞いたけれど。
とりあえず、身内を褒めてアーノルド君の好感度ポイントゲットよ!
「とてもお可愛らしいわ!妹さん、器用でいらっしゃるのね!」
「ありがとう……これがね、ちゃんと鞄に入ってるか確認してたんだ。失くしたら大変な事になるから」
「まぁ……なんて妹思いなのかしら……!!」
やっぱりアーノルド君素敵!家ではいいお兄様でいらっしゃるのでしょうね!
妹のリズ様も人形のように可愛らしい容姿って聞いたし、
きっと……
『お兄様〜絵本を読んで〜!』
『やれやれ……甘えん坊だなぁリズは。でも、いいよ……おいで、僕の可愛いお姫様』
『わーい!お兄様だぁいすき!』
うっはぁぁぁ何この中世ヨーロピアン感!絵になるぅぅぅぅ!!
こんな妹思いのアーノルド君が全裸スパンキング調教されるところが見たい!!
……ハッ!いけないいけない!私ったらアーノルド君で破廉恥な妄想を!
「千鶴さん……」
「はい!?」
「電話が鳴ってるよ?」
アーノルド君に呼びかけられてビックリしたわ。
けど、言われてみればホントに携帯電話が鳴ってる!早く出ないと!
「もしもし……」
『千鶴様――!運転手が腰痛で倒れて帰りの車が出せませんのじゃ――!!』
「何ですってじいや!?それなら豆吉を寄越しなさい!車の代わりにアイツに乗って帰るから!」
『分かりましたじゃ――!』
私は携帯電話を切った。
ふぅ。うまく解決して良かったわ。
「豆吉さんって……千鶴さんの婚約者の方だったよね。乗って帰るって……?」
「あっ……!あ!そうなの!豆吉が白馬でわたくしを迎えに来てくださるのよ!」
「そうなんだ。乗馬も嗜むなんて、素敵な方なんだね」
「褒めてもらうほどの腕でも……お、お恥ずかしいわ……(実際豆吉は三角木馬ぐらいしか乗りこなせないけど……)」
うぅ、アーノルド君が横にいたの忘れてたわ……もっと上品に話せばよかった。
“それじゃ豆吉をお寄越し遊ばせ”とか……
「良かったら僕の車で送ろうと思ったけど、心配なさそうだ」
「待ってぇぇぇい!豆吉はたった今爆発したわ!!私、アーノルド君の車で帰る!!」
「えぇえっ!?でも、豆吉さんが……」
「豆吉はたった今爆発したわ!!」
こうして、私はアーノルド君の車で帰る事にしたの♪


そんなわけで、校門を出たら……
「リズ……!?」
急に、アーノルド君が血相を変える。
使用人さんがお辞儀をした立派な車の前に、それはそれは美しい女の子が立っていたの。
アーノルド君に似た金髪の長い髪をした……お人形のような子。
間違いない!リズ様よ!アーノルド君今言ってたし!
リズ様に駆け寄ったアーノルド君は焦り気味に言うのよ。焦った彼も素敵!
「こ、困るよ……学校に来るなんて」
「ごめんなさい、お兄様。でも……」
そう言ったリズ様と私の目が合う。な、何かしら……まさか!
“お兄様に色目使ってんじゃないわよ泥棒猫が!”って因縁つけられる!?
え!?どうしようそしたら殴っていいの!?
いいえ!いくらんなんでも彼の幼い妹を殴るなんてアーノルド君に失望されちゃう!
……なんて考えてたけど目が合っただけだったわ。
リズ様はそのままアーノルド君と話し続ける。
「お兄様を……」
「えっ?」
「今日はお兄様を、お仕置きしようと思って迎えに来たの」
「リズゥゥゥゥゥゥ!!」
叫んだのはアーノルド君だった。
彼はリズ様を抱きしめながら必死で言うの。
「やめて!本当にやめて!!千鶴さん気にしないで!今日はこの子調子が悪いんだ!!
妄想癖と虚言癖を併発してて……!!」
「…………」
私ビックリした。ビックリしましたとも。
だって、リズ様がアーノルド君に “お仕置き”なんて言うんだもの。
でも……私には分かる。
神様が……調教の神様が……
「事情は分かったわ。リズ様、私も連れて行って。
私はアーノルド君がお仕置きされるところを常々見たいと思っていたの!!」
「何言ってるの千鶴さん!?」
「……それは、お兄様に聞いてみないと……」
「嫌だよ!嫌に決まってるよリズ!!」
調教の神様が、私に味方しているわ!!
「ぜひ、うちへいらして。お姉様」
その場で崩れ落ちるアーノルド君と、天使のような笑顔のリズ様がまるで絵画を切り取ったようだったわ……!


そのままアーノルド君の車で舞台は彼の家に移されることになったの。
アーノルド君ったら車の中で屍のようになってたから、私がリズ様……いや、リズちゃんと楽しくお話ししたんだけれど。
でも死んでる彼も素敵!
で、その途中で……
『お嬢様ぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
台車に乗った豆吉がものすごい勢いで私を追いかけてきた。
「あ、運転手さん、アイツは無視でいいです」
って私は言ったんだけど……優しいリズちゃんが豆吉も車に乗せてくれたわ!
豆吉はゼェゼェ息をしながらうっとおしく絡んできた。
「ひっ、酷いですよお嬢様ぁぁぁぁっ!!
僕に乗って帰るから学校に迎えに来いっていったじゃないですか!走って行ったのに!
ご自分はボーイフレンドの車で寄り道しているななんて……!
仕方ないから近くの八百屋さんに台車借りて……」
「黙りなさい豆吉!そんなことより、アンタごときがアーノルド君と、リズちゃんの家に招待されてるのよ!?
くれぐれもご無礼の無いようにね!」
「疲れたぁぁ……ぁぁ?おぉ!」
何よ豆吉の奴、急に元気になってキラキラした顔でアーノルド君に話しかけるの。
「貴方様がアーノルド様ですか!いやぁお嬢様からお噂はかねがね……」
「どうも……」
「なんとまぁ美しいお顔立ちでしょう!さすがは学園のプリンスと崇め奉られるだけあります!
貴方様が笑えば、たちまち空に太陽が輝き、鳥が歌い、枯れた泉は湧き上がり、百万もの薔薇が咲き乱れる!らしいですよね!
えぇ、分かります!分かりますよそれほどの溢れる美貌ですもの!」
「あ……」
「しかも成績も優秀で、スポーツ万能なんでしょう!?
お嬢様も貴方様の事は、毎日、世の中の褒め言葉が枯渇するってなくらい褒め称えておりまして、婚約者としても妬けるばかり!
いやいや、何もお嬢様だけではありませんでしょう!?今までどれだけの姫君が貴方の虜になられた事か!カぁぁッコいいな〜〜!!」
「あぁ……」
「どうかお聞かせくださいアーノルド様!学校での貴方の輝くばかりの武勇伝!!」
「あぁああああっ!!」
「はれっ!?アーノルド様!?」
アーノルド君が豆吉のせいで泣き崩れた。
私、久しぶりにブチ切れてしまったわ。
「何アーノルド君の事泣かせてんのよブッコロスわよ豆吉ィィィィィッ!!」
「うわわ違うんですお嬢様!!僕はアーノルド様の素敵さを褒め称えようと……!」
豆吉がどうでもいい言い訳をしている間、ずっとでこピンしてやったわ!
「痛い!痛いですお嬢様!!」
車はつつがなくアーノルド君の家まで走っていたの。


やっとアーノルド君の家に着いて……さっすがの大きなお屋敷!!
もう私は初めての彼の家にドキドキだし、これから彼がお仕置きされるところを見られるしドキドキだし!
彼の部屋に着いた時には目を見開いて深呼吸をしまくったわよ!
でも、アーノルド君はリズちゃんに泣きながら訴えるの。
「酷いよリズ!他の誰にも内緒にしてくれるっていったじゃないか!!
僕っ……僕は、学校では皆の憧れでいられたのに!どうして!?どうしてそれすら奪ってしまうの!!」
「お兄様……」
リズちゃんは済まなそうな顔をして、アーノルド君の顔に手を伸ばして、両手で頬に触れる。
そうして顔を近づけて……ヒュゥゥゥゥ絵になるぅぅぅ!じゃなくて!
「ごめんなさい。リズ、我慢できなくなってしまったの。
お兄様ったらリズの奴隷のくせに学校では見知らぬ女性に囲まれてデレデレと……」
「デレデレなんてっ……!!」
アーノルド君が反論しかけた瞬間、リズちゃんが
ゴッ!
音も激しくアーノルド君とおでこを合わせて、瞬きもせず……
「お兄様はリズの奴隷なのリズ以外の女に調子に乗って愛想を振りまくこと無いのダメなの
誰からも尊敬なんてされなくていいの学園の王子ですってアイドルですってバカじゃないの
朝起きてから夜寝るまでリズの事だけを考えていればいいの心も体もリズだけの奴隷になって欲しいの
お兄様はリズの奴隷リズの奴隷リズの奴隷リズの奴隷リズの奴隷そうでしょう?」
驚異の早口言葉だったわ!
その後、優しい微笑みで言うの。
「理解して、いただけたかしら?今からお仕置きなのよ?早くお尻を出して」
「リズ……リズベル、お願いやめてっ……彼女はクラスメイトなんだ……!!
二人でなら、いくらだって好きにしていいから……!彼女の前で酷い事しないで……!」
「もうお兄様!ワガママばっかり言っちゃダメよ!めっ!
ごめんなさいお姉様……お兄様ったらいつもは聞き分けがいいんだけど」
リズちゃんが困った顔でこちらを振り向いた。
来た!?私の出番が来たのね!?
「豆吉!」
しゅっ……
あぁ!指パッチンがしたかったのに!鳴らなかった!恥ずかしい!
もういいわ!代わりに豆吉のお尻を叩いておこう!
パチンッ!!
「うぃっ!?」
「何をボサッとしてるのよ!アーノルド君とリズちゃんを手伝って差し上げなさい!」
「はいぃっ!!」
豆吉は大慌てでアーノルド君の後ろに寄り添う。
そうしたらアーノルド君……豆吉なんかに助けを求めてるわ!!
「アーノルド様、さぁ、準備いたしましょう」
「ま、豆吉さん助けてください!!僕はこのままじゃリズベルに、妹に……!!」
「えぇ。そうですね、分かっております。
お話から察するに、アーノルド様はリズベル様の奴隷なのでしょう?で、今からお仕置きと。
いけません抵抗しては。奴隷がご主人様に逆らおうなど……」
「違うんです!!僕はこんなになるなんて!嫌だと思ってたんだけど、リズが喜ぶし、
子供のする事だって我慢してたら、どんどんおかしくなって……奴隷だなんて、本当は嫌なんだ!!」
「“嫌だ?”はて……?」
ダメよアーノルド君!!貴方が豆吉なんかと会話をしては!
ほら豆吉のムカつく笑顔が目に入ってしまう!
「奴隷が奴隷であることを“嫌だ”なんて言う権利無いじゃないですか」
「――――っ!!」
「あ――っ!!暴れないで――!」
「嫌だ!!嫌だ誰か!!助けて!!」
抵抗するアーノルド君。
豆吉はしばらく楽しそうに振り回された後、彼の腕を後ろで締め上げた。彼から悲鳴が漏れる。
うん、豆吉後でしばく。
「どうか大人しくなさって。でないと……苗床の本気を出さなければいけなくなってしまいます」
不敵に笑う豆吉。
豆吉アイツ調子に乗って!!帰ったらベッタクソにお仕置きね!
ともあれ私も……下らん前座は飽きたところよ♪
「さ、リズちゃん。お楽しみの時間だわ♪」
そう言ったらリズちゃん、ニッコリ笑って私を見たわ。可愛い!私達って気が合うかもね!
とりあえず皆で相談して……アーノルド君はズボンと下着を下ろしてお尻を出した格好で
小さなアンティークな机の脚に手足を縛り付けちゃったわ。
リズちゃんには愛用のパドルがあるらしくって。
彼女はそれを躊躇もなく振るう。
パァンッ!!
「うわぁっ!!」
リズちゃんのパドルがアーノルド君のお尻を打った。
待ってたぁぁぁぁっ!これが見たかったのよ!!
苦しげなアーノルド君の声とかお尻とかがサイコーにセクシーだわぁぁ!!
「リズ!リズベル!!お願いやめて!もう、学校の女子と話さないよ!
お前しかいらない!本当、愛してるから!!お願いだ助けてくれ!こんなのっ……!」
パンッ!!パンッ!パンッ!
「うぅっ……!!ねぇ、昔はよく絵本を読んであげたじゃないか!一緒にお庭を探検したよね!?」
パンッ!パンッ!
「あはぁぅ!!まっ、またそうやって遊ぼう!正気に戻ってくれ!リズ!」
パンッ!パンッ!
「お願い……お願い!!愛してるからぁぁぁっ!!リズベルゥゥゥッ!!」
バシィッ!!
「うぁあああああっ!!」
痛かったのか、アーノルド君の頭が大きく跳ねる。
お尻、だんだん赤みが差してるわね。いいわね。
「お兄様……今日はとても嫌がってるのね……皆さんがいるから?」
リズちゃんの言葉に、アーノルド君の体が反応する。
彼……声を震わせて言うの。
「これ以上、苦しめないでよ……!」
「……お兄様は根本的なところを分かっていらっしゃらないわ。
あのね、リズはお兄様を苦しめるつもりなんて全くないのよ?
いつも言ってるじゃないのこれはお仕置きなんだ、って!いい子にしててねお兄様?」
バシィッ!!
「んぁあああっ!!」
また一つ、リズちゃんがアーノルド君のお尻を打つ。
アーノルド君はいよいよ必死に叫んでるわ。
「痛いよリズ!もうたくさんだ!こんな事やめろ!離せぇぇぇっ!!」
必死に手足を動かしているようだけれど、固定されててビクともしない。
これだけアーノルドが参っている様子なのに、リズちゃんは口の端を吊り上げる。ちょっと怖い。
「あぁ、すっごくドキドキする……リズの素敵なお兄様……本当に追い詰められたらこんな風になっちゃうのね」
「……うん、リズちゃんその意気その意気♪」
とりあえず応援したけど、この子マジで怖いわ。完全に目がイッちゃってる。
私の助言なんか要らないんじゃないかしら?
でも……
「り、リズ……!!うっ、く……!!」
「お兄様、これ以上の無駄な抵抗はよしてね。
そうでないと長く苦しむだけだわ。
お兄様に憧れる皆さんの前で、奈落の底までブチ落としてあげるんだから」
「いやだぁあああああっ!!」
ここからが最高に盛り上がるところだわ!!
絶望の悲鳴を上げるアーノルド君に、リズちゃんが大きくパドルを振るう。
パァンッ!!パンッ!パンッ!
「あぁああああっ!やめて!嫌だ!嫌だぁああああっ!」
「さぁ、悪い子のお兄様……!下らない王子様ごっこはもうお終いだわ……!!」
ビシィッ!バシィッ!バシィッ!
「ひ、ぃっ、リズぅぅっ!!酷い!何で!何でぇぇぇぇ!!」
「これからは、家でも外でも、リズが傍にいてもいなくてもリズの奴隷。できるわね?」
「わぁああああっ!うわぁあああああん!!」
「今すぐ声に出して誓って……!でないと、後が辛いわよ?分かるでしょう?痛くてお椅子に座れなくなっちゃう」
リズちゃんの言葉に、アーノルド君は必死に首を横に振って、もうお尻も真っ赤で……悲鳴も……もう泣いてるんでしょうね!
あ゛ぁ、目も耳もたまんないわ……!クラクラする!
惜しむらくは、アーノルド君の顔方向に定点カメラが欲しい!いっそ回り込みたい!!
リズちゃんとアーノルド君の声が美しい音楽のように響き合うわ!
「ふふっ、でも辛いだけじゃないわね。こうは考えられない?
ご飯を食べる時、車に乗る時、学校で勉強する時……日常生活のありとあらゆる座る場面で、
お兄様はリズのお仕置きの事思い出しちゃうの。それってとても素敵な事だわ」
「ひっ……!!?」
「これだけお尻も真っ赤なんですもの。もう遅いわね。いっぱい今日の事、思い出していいのよお兄様」
バシィッ!!
「うわぁあああああっ!痛い!痛いよ!もう、嫌だよ!リズぅぅぅぅッ!」
痛そうな音が響くと、アーノルド君が本気で音をあげたわ。
……さっきのリズちゃんのエグイ発言で心がボッキリ逝った可能性もあるけど。
「あぁっ、誓うから!声に出すから!僕は何を言えばいいのぉぉっ!!」
「もう、お兄様ったらそんな事も分からないの?頭の悪い子ね!」
ビシッ!ビシィッ!!
「わぁぁああん!ごめんなさぁぁい!」
「今からリズが教えてあげるから……痛みで内容が飛んだら自分でアレンジしてね?」
「うぁぁあああっ!!」
アーノルド君が必死に頷く。
あぁっ……ついに!ついにアーノルド君の奴隷堕ちの瞬間が拝めるのね!
リズちゃんったら何を言わせるつもりかしら?!ドキドキワクワクする!!
「コホン、“僕はリズベル女王様の奴隷です。一生リズベル様を愛します。この心も体も一生リズベル様の物です。
リズベル様以外には何も要りません”……はい!復唱して!」
バシィッ!!
「ひっ、うっ!!わぁぁあああん!!僕、はぁぁぁっ!!」
痛みに引きずられるアーノルド君も素敵!!
でも、彼は悲鳴を上げながらも一生懸命言葉を紡ぐわ。
「僕は、あぁっ!リズ、ベル女王様の奴隷です!!いっしょう、んぁあっ!リズベル様を愛しますぅぅっ!!」
「お兄様!!嬉しい!!」
ビシッ!バシッ!
「いひぃぃっ!!こ、この……この心も体も、一生っ、リズベル、様の物でっ……はぁぁんっ!!」
何これ……!何これ最高だわすごい!!
隣で豆吉が泣いてるわ『懐かしい……!』って!!
「も、もう……!要らないっ!許して!!お前以外、要らない!!リズベルぅぅぅぅッ!!」
ゴリ押しだけどアーノルド君言ったぁぁぁぁぁっ!!
「お兄様ぁぁぁぁっ!!」
「豆吉!ふざけてんじゃないわよアンタ!早くアーノルド君を解放して差し上げなさい!!」
「はいもちろんですただいまッッ!!」
私達3人は熱狂の渦に巻き込まれながら、豆吉がアーノルド君の拘束を解いた。
そして私達の前に連れてこられたアーノルド君は座り込んで泣いていたの。
「うっ、うぅっ……うわぁああああああん!!」
「お兄様……お兄様はよくやってくれたわ!今の言葉に嘘偽りは無いのね?」
「ぐすっ、うぅ――っ!!」
「そう……安心したわ。愛しのお兄様……」
頷きつつ泣いているアーノルド君に、そっと寄り添うリズちゃん……あぁ、美しい兄妹愛……!素敵!
「アーノルド君……」
「!!」
私を見た彼の眼は怯えていた。あぁゾクゾクする。でも我慢だわ。
「私、今の貴方が最高に輝いていると思う」
「えっ……!!」
アーノルド君は目を見開いて……そして私は颯爽と立ち去るの。
「あ、お嬢様!玄関はそっちじゃないですよ!」
豆吉を蹴り上げて。


そして帰り道……私はしっとりとあの夢のような光景を思い返して味わっていた。
「あぁ……素敵だったわアーノルド君……」
「お嬢様、お荷物お持ちしましょうか?」
「ちょっと!話しかけないでよ!」
「す、すみません!!」
ビクッとして謝る豆吉に、鞄を押し付け、私はふと思ったの。
「……にしても、アンタも良く考えたら、今日はなかなか活躍したのかしら?」
「そうだといいのですが……」
「ふむ。何だかそんな気がしてきたわ!頭を撫でてあげる。ちょっと地面に這いつくばりなさい」
「はい!ありがとうございます!」
豆吉は躊躇なくアスファルトで土下座スタイルになって、私は彼の頭を躊躇なく踏みつけ……じゃない、撫でる。
「いい子いい子、豆吉グッボーイ!」
グリグリ。
「あ、ありがと……ございます、イタタ……なんだか、涙が……!」
もうこれくらいでいいかしら?あんまりやって豆吉が禿たら嫌だわ。
そこへ……
「ちょっとそこの君たち?何をやっとるのかね?」
あ!ヤバい!オマワリさんだわ!
ポリ公には高貴なる茶渡の流儀が分からないのよね全く!豆吉と一緒にいるとよく誤解されるの!
「豆吉!アンタに乗って帰るわ!走って!!」
「え?え?わ、分っかりましたぁぁぁぁっ!!」
豆吉は素早く私を負ぶって、走り出した。わーい早い早――い!
「な、なんだ、ただのカップルか……」
ふぅ。ポリポリも納得してくれたみたい。
「豆吉!」
「何でしょうかお嬢様?!」
「お腹が空いたわ!あと五秒で家に着かないと、お仕置きついでに腰立たなくなるまで犯すわ!」
「えぇっ!?無茶ですよお嬢様〜〜っ!!なるべく急ぎますけど……思う存分お仕置きして、犯して下さいね!?」
「あははっ!急いで急いで〜〜!♪♪」

何だか今日も私にぴったりの素敵な一日だったわ!




★おまけのアーノルド君(その後)

熟年女教師「アーノルド君!貴方そのチョーカー……!アクセサリーは校則違反ザマスよ!外しなさい!」
アーノルド君「先生……これ、チョーカーじゃなくて首輪なんです。僕、妹の、リズベルの奴隷で……
        ほら、ここに“リズベル”って、縫ってあるでしょう?これを外すと、家に帰ったら酷くお仕置きされてしまうんです。
        お尻に……はぁ、打たれるだけで済めばいいんですけど……ねぇ、許してもらえませんか?」
熟年女教師「え?あ、……と、特例は認めるザマス!」
アーノルド君「ありがとうございます!」
ブチィッ!!
熟年女教頭「えぇええっ?!なぜ自分で外したザマス!?」
アーノルド君「今日も百合の花束を献上するよ……僕の愛しい女王陛下……」
熟年女教師「え!?ちょっ……チョーカーにキッス!?あの、アーノルド君、保健室行った方がいいザマスよ!!」


とっても色っぽくて素敵な男の子になっていました!



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【作品番号】ZF1

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